弁護士法人飛田&パートナーズ法律事務所では、只今弁護士の募集を行っております!
弊事務所は、若く活気のある事務所で、所員みんなで助け合いながら日々業務に励んでいます!
私達と一緒にクライアントの悩みを解決しませんか?
下記に採用情報を掲載致します。
ご質問やご不明点があれば、気軽にr_inoue@tplo.jpまでご連絡ください!
ご応募お待ちしております!


1.契約関係
    弁護士法人飛田&パートナーズ法律事務所との雇用契約となります

2.契約条件
(1) 執務日・執務時間
          ・平日
          ・裁量労働制裁量労働制 1日8時間
        【午前9時から午後6時(休憩1時間)を基本とし、個人の裁量に委ね
   る。】
         ※ ただし、業務の進捗に応じて、上記以外の日時に執務することもあります。

(2) 試用期間
            3か月

(3) 給与等
          ※基本給は要相談となります。
          ・交通費実費分別途支給(非課税限度額の範囲内)
          ・弁護士会費支給
          ・賞与及び昇給については、試用期間経過後6か月以上勤続した方を対象に、適
      時諸般の事情を考慮して決定します。
          ・健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険完備

(4) 従事する職務内容
          ・企業法務を中心に、多種多様な案件を担当していただきます。
            ※ 当事務所は、企業法務を主軸とした業務展開を企図しておりますが、顧問先
                 の事業に関連した一般民事紛争(建物明渡や債権回収等)や紹介等による
             「個人」をクライアントとする事件もあります。

(5) 休暇
           ・夏期休暇(7月から9月の間に5日間)
           ・冬期休暇(年末年始)

(6) その他
           ・個人受任(相談制)

3. 勤務地
  東京・銀座

4. 採用人数
  1名

5. 当事務所に適した人材
           ・一緒に事務所を盛り上げていく意欲と気概のある方
           ・いかなる業務にも誠意を持って謙虚に一生懸命取り組む方
           ・共に働く事務所メンバーに対する敬意と融和の精神を有する方
           ・クライアントの悩みに共感し、クライアントのために力を尽くせる方

6. 応募方法
            以下の書類を当事務所宛に郵送またはメールにてお送りください。
            ・履歴書(書式自由)(写真付)
            ・職務経歴書
            ・志望動機書
            ・(修習性の場合)成績表(大学、法科大学院、司法試験、修習)
           書類選考後、面接にお越しいただく方にのみご連絡致します。
           なお、ご提出いただきました書類は返還致しませんのでご了承ください。

〔応募書類郵送先〕
    〒104-0061
        東京都中央区銀座6-16-5  さ可井小川ビル4階
        飛田&パートナーズ法律事務所
        弁護士採用担当 宛

〔応募書類メール送信先〕
 
r_inoue@tplo.jp
 飛田&パートナーズ法律事務所
 弁護士採用担当
 
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IMG_2790コロナ禍にあまり注目されていないようなのですが、この7月10日から遺言書保管法なる法律が施行され、法務局での「自筆証書遺言書保管制度」が始まりました。

http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00010.html 

この制度は、簡単にいうと全国の主要な法務局で、(自分で書く)自筆証書遺言書を保管してもらえるという制度です。

自筆証書遺言は、自分で比較的自由に作成できますが、作成や保管について第三者が関与していないため、本当に遺言者が作成したのか?とか、実は作成日が記載されておらず形式に不備があって無効だったとか、後々紛争になることが多く、また、誰も遺言書があることに気がつかず遺産分割協議が行われてしまうこともあるため、法務局で遺言書の形式面のチェックと保管をやっていただき、リスクを回避しましょうというのが制度趣旨のようです。 

法務局で預かったまま、遺言者が亡くなった場合、通常の自筆証書遺言では家庭裁判所の検認という手続が必要となるのですが、この制度を利用した自筆証書遺言書では検認が免除されるという特典もついてきます。

はじめこの制度のことを聞いたときは、法務局では形式面だけチェックを受けるといっても、内容面について色々と相談されると法務局側でも答えざるを得ないだろうから、実質的には、(公証人が作る)公正証書遺言とあまり変わらず、実際には公証人の仕事を奪うことになるのではないか?と感じたのです。
それにも関わらずこのような制度を作るのは、法務局では、コンピューター化及びIT化が進んで、どんどん職員の仕事がなくなってきているようなので、法務局内での仕事を作りたかったからなのではないか?などと邪推しておりました。

しかし、保管の際の手数料が3,900円と破格の安さなので、公正証書遺言との差別化はできているようです。公正証書遺言では、遺産のボリュームによって公証人の手数料は違いますが、想定される遺産規模が5000万円から1億円くらいですと、だいたい5万円くらいかかるので(http://www.koshonin.gr.jp/business/b01/q12)、公証人に相談にのってもらいながら丁寧に遺言書を作りたいときには公正証書遺言、自分で作りたいときには自筆証書遺言を作って、保管だけは法務局に任せるという整理が良いのでしょう。

ちなみに、この制度を作るときに参考とされたのが平成29年度法務省調査の次のリンクの報告書。http://www.moj.go.jp/content/001266966.pdf 

平成24年から平成28年までの5年間で、家庭裁判所の自筆証書遺言書の検認事件件数は、毎年1万6000件から1万7000件しかないのですが、7,659名からのアンケート回答をもとに、全国の55歳以上の方のうちの4.3%にあたる211万人の方が既に自筆証書遺言を作成済みで、992万人の方が今後自筆証書遺言を作成する見込みの方(合計1204万人)と推計します。そして、さらに、既作成の211万人のうち89万人の方及び今後作成見込みの992万人のうちの448万人が保管制度を利用したいと考えているものと推計するのです。この報告書によると、2020年度は21万人の方が、2021年から2023年までは、毎年12万人から13万人がこの制度を利用すると予想されています。私には今ひとつ実感がないのですが、もしこの報告書の推計があたるとすれば、かなり利用される制度になりそうですね。

まだまだ若手などと思っていましたが、私も気がつくと52歳。そろそろ遺言書でも作って法務局に預けようかしら。

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IMG_2788202065日の国会において、「個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律案」が可決・成立し、同月12日に公布されました(https://www.ppc.go.jp/news/press/2020/200612/)。
改正法の施行日は、一部を除き公布から2年以内ですが、施行日を決める政令が未だできていないため、具体的には決まっていません。

改正法の条文や新旧対照表が個人情報保護委員会のウェブページに上がっているので、改正の具体的な内容については、これらを確認する必要がありますが、個人情報保護委員会発表の概要資料(https://www.ppc.go.jp/files/pdf/200612_gaiyou.pdf)によると、

Ø  保有個人データの利用停止・消去等の請求権の範囲が拡大される。

Ø  個人データの授受に関する第三者提供記録について、本人が開示請求できるようになる。

Ø  漏えい等が発生し、個人の権利利益を害するおそれがある場合に、個人情報保護委員会への報告及び本人への通知が義務化される。

Ø  「仮名加工情報」の概念が創設され、開示・利用停止請求への対応等の義務が一部緩和される。

等の改正点があるようですので、個人情報取扱事業者は改正対応が必要になりそうです。

改正法の施行は2年近く先で、まだ関連の政令や委員会規則もできていないので、すぐに何らかの対応する必要はないと思いますが、関係する皆様は適宜動向を確認しましょう!



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adtDSC_6205厚生労働省によると、73日時点において、新型コロナウイルスの影響で、勤め先から解雇や雇い止めにあった人が見込みも含めて全国で3万人(うち非正規労働者は約1万人)を超えたとのことです。
(厚生労働省:「新型コロナウイルス感染症に起因する雇用への影響に関する情報について(73日現在集計分)」https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000646779.pdf

 

新型コロナウイルスは多くの業界に影響していますが、今回は、新型コロナウイルスを理由として、正社員(期間の定めのない労働契約を締結している労働者)の解雇はできるのか?という点を検討したいと思います。

 

そもそも解雇とは、労働者との間に締結された労働契約を会社が一方的に解除することをいいますが、解雇と言っても、普通解雇(社員の勤務態度、仕事の能力などを理由に行われる解雇)、懲戒解雇(重大な違反行為をした場合の解雇)、整理解雇(会社の経営難を理由とした解雇)などがあります。
新型コロナウイルスを理由とした解雇は、会社の経営難を理由とした解雇ということになると思いますので、整理解雇に位置づけられるでしょう。

 

労働契約法では、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」(第16条)と定められていますが、特に普通解雇と整理解雇などを区別しているわけではなく、また「合理的な理由」や「社会通念上相当」かどうかは解釈に委ねられています。
実務上、整理解雇の合理性・相当性については、以下の4つの要素によって判断されるとされています。ただし近年では、「退職条件」(割増退職金の支払い、就職先のあっせん等)の有無・程度も考慮要素にしている裁判例もあります。

 

①人員削減の必要性

②解雇回避努力

③人選の合理性

④手続の相当性

 

この中の解雇回避努力(②)について、解雇をすると従業員の生活の糧を奪うことになるので、いわば最終手段的なものであり、会社としては解雇を避けようと努力したけど結局駄目でした、という事実が重要になります。
一般的には、整理解雇をする前に、経費削減、時間外労働の中止、新規採用の中止、賞与の支給停止、休業、非正規労働者の労働契約の解消、希望退職者の募集などを行い、それでも会社の経営状況から考えて整理解雇をせざるを得ないといえる場合には、この解雇回避努力(②)を充たしていると評価されます。

 

また、今回、新型コロナウイルスに対する各種救済制度があるので、解雇回避努力(②)を充たしているといえるためには、これらの利用を検討する必要もあるでしょう。
ただし会社の経営状況によっては、上記の経費削減等の策をとっている暇がない場合もあるので(人員削減の必要性(①)の程度が高度な場合)、まずはこの救済制度が利用できないかを検討することもあり得ると思います。

 

この救済制度ですが、例えば、厚生労働省の雇用調整助成金、経済産業省の持続化給付金(中小企業向けの給付金)、各金融機関による事業者の元金弁済期の猶予(リスケジュール)等の支援、日本政策金融公庫や商工組合中央金庫の新型コロナウイルス感染症特別貸付、各自治体による支援制度(融資のあっせん、利息負担の軽減等)などがあります。

 

上記の雇用調整助成金は、労働者を休業させた場合に支払う休業手当の一部を助成する制度ですが、いち早く大手航空会社のANA(全日本空輸)は客室乗務員の休業を行い、この雇用調整助成金の申請をしたことがニュースになりました。
雇用調整助成金は、今回の新型コロナウイルス騒動の前からあった制度であり(今回、助成率や上限額が引き上げられました。)、2008年のリーマン・ショックの時にも多くの会社が利用して、雇用維持につながったという事実がありますので、今回も大いに活躍することが予想されます。

 

その他に、上記要素(①、③及び④)の有無・程度も重要になってきますので、「新型コロナウイルスを理由とした(整理)解雇はできるのか?」という問いは、簡単に答えが出るものではなく、諸事情を総合的に検討する必要があります。

 

新型コロナウイルスによって各業界が大きな打撃を受けており、今後整理解雇が増えていくおそれがありますが(最初の段階は退職勧奨や希望退職者の募集が増えるおそれ)、労使双方が休業や各種制度の利用について協議・検討できれば、解雇にまで至らないケースもあると思いますので、労使が一緒になって今回のコロナ禍を切り抜けるための方策を模索できればと思います。
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IMG_2791(以下は、2020年6月23日に発行したメルマガの記事ですが、7月21日現在もあまり状況は変わっていませんので、ブログに掲載することにしました。)

東京では、政府の緊急事態宣言が5月25日に解除され、その後の都庁の「新型コロナウイルス感染症を乗り越えるためのロードマップ」も6月12日には最終段階のステップ3に以降し、現在は、大型イベントを除いて、全ての業種において休業要請も終了しました。
皆様の生活においても、マスク着用・手洗い励行・三密回避などのコロナ対策は維持しながらも、徐々に普段の生活に戻りつつあるのではないかと思います。

ところが、裁判関係の仕事はまだ全然戻っていません。

約2ヶ月間の自粛期間中、裁判の期日は、保全事件などの一部の事件を除き、民事事件も刑事事件も全て取り消され、何も動いていませんでした。裁判は、国民の権利を守るための大切な活動であり、「不要不急」のものとは思われませんので、今にしてみれば裁判所のこの判断自体にも議論があるところだと思います。しかし、4月7日に政府の非常事態宣言が出た段階では、新型コロナウイルスがどのような猛威をふるうかわからず、欧米諸国のように医療崩壊を起こして、何万、何十万の死者が出るリスク(なにもしなければ42万人の死者といわれていましたね。)があったのですから、私はこの裁判所の対応を非難するつもりは毛頭ありません。
ただ、これからが重要だと思うのです。言うまでもなく、我々法曹関係者は早く裁判(司法)を正常な状態に戻さなければなりません。
そうしなければ、せっかく医療従事者がコロナ感染の危険にさらされながら、国民の命や健康を守ったのに、我々法曹が怠慢なために社会が不健康になったなどと言われかねないからです。
我々は、法曹になったころの初心を思い出して今頑張るべきだと思います。

現在、我々の事務所では自粛期間中に期日が取り消された約10件の裁判のうち、新しい期日が決まったのはたったの1件です。
それから、我々の事務所では、6月に入って立て続けに3件の新件の訴え提起をしましたが、まだ1件も第一回口頭弁論期日が決まっていません。
裁判所からは何も連絡がない毎日です。歯がゆい日々が続きます。

 

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IMG_2781(写真は、2020年7月17日お昼の銀座中央通。東京都の新規コロナ感染者が293人と過去最高だったからか、それとも梅雨の長雨が続いているからか、人通りがまばらで、寂しげな様子です。)



(この原稿は使用者サイドから見た法律関係を説明します。)


まず、使用者が設問のような命令を出すことができるか?ですが、使用者は労働者の業務や職場の環境について指揮命令権・管理権を有するとともに、労働者について安全配慮義務を負っています。

新型コロナウイルスの感染拡大が重大な問題となっている現在の状況で、ゴホゴホ咳をしていて、コロナ感染が疑われる従業員に勤務を続けさせることは、仮に本当にコロナに感染していたときは、他の従業員に対する安全配慮義務も尽していないことになるので、使用者としては、当然に、従業員に対する指揮命令権、職場環境についての管理権の一環として、帰宅するよう命じることができると考えてよいでしょう。
で、この従業員の仕事が自宅でできるものだったらよかったのですが、できない場合、労働者に休業させることになります。

次に、その場合、休業手当(給料の60%以上)を支払う必要があるかについて問題となります。多くの会社では、そこまで厳密な取り扱いはしておらず、従業員が風邪などで休んでも定額の給料を支払っているということかもしれませんが、法的に詰めて考えると、「ノーワーク・ノーペイ」が原則ですから、労働者が休業していた期間は給料を支払わなくてよいのでは?という疑問が発生するわけです。

この点について規定しているのが、労働基準法第26条です。

 

(休業手当)

26条  使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の60以上の手当を支払わなければならない。

 

つまり、コロナに感染している疑いのある労働者に帰宅を命ずることが、「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当するかがポイントです。

考え方としてはいくつかあるでしょう。
例えば、コロナに感染していることが確認されている従業員であればいざしらず、コロナ感染の「疑い」だけで、ノーペイという不利益を課すのは「推定無罪」という法原則に反すると考えて、「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当するという考え方もあるでしょう。

また、労働法という分野では労働者を社会的弱者と考えて保護することに重点が置かれますので、この問題を考えるにあたっても、労働者保護にウエイトを置き、コロナ感染の「疑い」で休業命令を出すのは、「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当するのだ、という考え方もあるでしょう。

しかし、ゴホゴホ咳をしていても、PCR検査でコロナ陽性が確定していない従業員に休業を命じると全て「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当すると考えるのは不合理です。なぜなら、実際にコロナウイルスに感染していることを確認してから休業命令を出すとするとコロナ感染予防対策として効果がなく、他の従業員に対する安全配慮義務も尽くせなくなるからです。

これに対しては、「いやいや使用者の指揮命令権の一環として休業命令自体は出せるのだから、使用者は休業手当の支払いを覚悟して休業命令を出せば良いではないか?」という人がいるかもしれません。

しかし、一方では(コロナ感染拡大予防対策などといって)休業命令を出すことを推奨しておきながら、他方ではその休業命令を出すことを躊躇させるような解釈をするのは、ベクトルの方向がちぐはぐで、良い解釈論とは言えないと思います。

そこで、労働者の状態がどの程度であれば、「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当するのか?という更に細かい議論に入っていきます。極端な例で言えば、労働者がちょっと咳をしただけで休業命令を出すとすれば、それは「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当し、休業手当の支払いの対象になるが、従業員が、ゴホゴホ、ゼーゼーしながら咳をしていて、見るからに苦しそうであれば「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないということについては誰もが納得すると思うのですが、その間の事案についてはどう考えればよいのか?ということです。

で、この点に言及しているのが、厚生労働省のHPにある次のQ&Aです。

 

〈感染が疑われる方を休業させる場合〉

3 新型コロナウイルスへの感染が疑われる方について、休業手当の支払いは必要ですか。

感染が疑われる方への対応は「新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)症状がある場合の相談や新型コロナウイルス感染症に対する医療について問1「熱や咳があります。どうしたらよいでしょうか。」」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html#Q4-1)をご覧ください。

これに基づき、「帰国者・接触者相談センター」でのご相談の結果を踏まえても、職務の継続が可能である方について、使用者の自主的判断で休業させる場合には、一般的に「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまり、休業手当を支払う必要があります。

 
このAnswerの中で、「「帰国者・接触者相談センター」でのご相談の結果を踏まえても」という部分は、そんな相談をしている余裕はないので、適当ではないです。その点は置いておいて、上記のAnswerで引用されている「問1「熱や咳があります。どうしたらよいでしょうか。」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html#Q5-1)のQ&Aを見てみると、次のとおりです。

 

問1 熱や咳があります。どうしたらよいでしょうか。

 発熱などのかぜ症状がある場合は、仕事や学校を休んでいただき、外出は控えてください。休んでいただくことはご本人のためにもなりますし、感染拡大の防止にもつながる大切な行動です。そのためには、企業、社会全体における理解が必要です。厚生労働省と関係省庁は、従業員の方々が休みやすい環境整備が大切と考え、労使団体や企業にその整備にご協力いただくようお願いしています。
 咳などの症状がある方は、咳やくしゃみを手でおさえると、その手で触ったドアノブなど周囲のものにウイルスが付着し、ドアノブなどを介して他者に病気をうつす可能性がありますので、咳エチケットを行ってください。

 帰国者・接触者相談センター等にご相談いただく際の目安として、少なくとも以下の条件に当てはまる方は、すぐにご相談ください。

息苦しさ(呼吸困難)、強いだるさ(倦怠感)、高熱等の強い症状のいずれかがある場

重症化しやすい方(※)で、発熱や咳などの比較的軽い風邪の症状がある場合

※高齢者をはじめ、基礎疾患(糖尿病、心不全、呼吸器疾患(慢性閉塞性肺疾患など)など)がある方や透析を受けている方、免疫抑制剤や抗がん剤などを用いている方

上記以外の方で発熱や咳など比較的軽い風邪の症状が続く場合

(症状が4日以上続く場合は必ずご相談ください。症状には個人差がありますので、強い症状と思う場合にはすぐに相談してください。解熱剤などを飲み続けなければならない方も同様です。)

 

このAnswerを読んでも、使用者が従業員を休業させる場合に、従業員がどのような状態であれば、「使用者の責に帰す事由による休業」といえるのか直接の言及がないように思うのですが、なんとなく、

 

息苦しさ(呼吸困難)、強いだるさ(倦怠感)、高熱等の強い症状のいずれかがある場

重症化しやすい方(※)で、発熱や咳などの比較的軽い風邪の症状がある場合

※高齢者をはじめ、基礎疾患(糖尿病、心不全、呼吸器疾患(慢性閉塞性肺疾患など)など)がある方や透析を受けている方、免疫抑制剤や抗がん剤などを用いている方

上記以外の方で発熱や咳など比較的軽い風邪の症状が続く場合

(症状が4日以上続く場合は必ずご相談ください。症状には個人差がありますので、強い症状と思う場合にはすぐに相談してください。解熱剤などを飲み続けなければならない方も同様です。)

 
☆の場合には、「帰国者・接触者相談センター」にご相談ください、としているのですから、この場合には、休業命令を出すこともやむを得ないと考えているのかなと思います。


上記のような状態にある場合には、新型コロナウイルスへの感染の可能性が高いと合理的に判断できますので、使用者側が休業命令を出すこともやむを得ない、むしろ労働者が(何らかの理由により)無理をして出勤してきているような場合には、休業命令を出すべきといえます。

というわけで、私の結論としては、従業員が上記の状態に当てはまる場合には、使用者の判断で休業させても、「使用者の責に帰す事由による休業」には該当しないと考えます。

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最近のビットコインですが、現在(この記事を書いている2020/7/15現在)、1BTC=99万円ほどで推移しています。ここのところ、100万円前後で上がったり下がったり、という流れになっています。

さて、前回、中央銀行が発行するデジタルマネー(CBDC)の話題について触れました。

その際、日銀も、CBDCについて研究している、といった話をしましたが、昨日の日経新聞電子版を見たところ、日本政府が、公式に、CBDCの検討を「骨太の方針」に盛り込む方向である、と報道されています(有料記事ですが、記事冒頭部分は右のURLで見ることができます。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61499170U0A710C2MM8000/)。

 

最近、CBDCは、各国でも、注目を集めており、いわば、ブームのようになっています。

各国中央銀行は、Libraなど「民」がやろうとするデジタルマネーに対しては、基本、批判的でしたが、「官」によるCBDCがブームになったこともあってか、デジタルマネーに関する方針を転換する、といった話も出てきています。

 

すなわち、共同通信の報道によれば、G20は、これまでの方針を転換して、デジタル通貨容認の方向に舵切りをするとのことです(https://this.kiji.is/654657337360712801?c=113147194022725109)。ここでいうデジタル通貨が、あくまで、「官」によるCBDC中心の話なのか、Libraなどの「民」によるものも念頭に置かれているのか、必ずしもニュアンスは不明ですが、報道を見る限り、後者のニュアンスを感じます。

 

以上のように、刻一刻と、状況が変わっていっているように思います。この点、本当にざっくりですが、(主観を交えて)これまでの歴史を振り返ってみると、

 

Facebookが著名企業とともにタッグを組んで「Libra」を提案しました。

 

②この「Libra」は、各国中央銀行が袋叩きに批判したため、実質、頓挫の状況になりました(マネロン等のリスクもありますが、実質、法定通貨に取って代わる可能性があるとなると、中央銀行も黙っていられない、という面もあるように思います。)。

 

③ただ、他方、中国は、Libraも意識して、デジタル人民元の(早期)リリースを匂わせ、実証実験なども行っています。

 

④このような状況を見て、中国にやられるならば、ということで、デジタルドルの議論も活発化しました。

 

⑤さらに、日本を含めた各国で、自国通貨のデジタル化(CBDC)の検討もブームとなっています。

 

⑥そして、ついに、G20も、容認路線に方針転換をしよう、という状況、と報道されています。

さて、この⑥が、今後、どう効いてくるのか、見ものです。

Libraにとって追い風となり、Libraが返り咲くのか、あるいはそうでないのか(あくまで、中央銀行主導のCBDCに力を入れてゆくのか。)。

 

また、日本政府としても、CBDC(デジタル日本円)を、どう「検討」してゆくのかも興味深いです。

 

(1) 具体的には、まず、硬貨や紙幣に代わるものであれば、極めて高い安全性を備えたシステムである必要があります。この辺りを、具体的にどう実装してゆくのか、様々な考え方があろうかと思います。ビットコインなどの仮想通貨とは、大きく異なった技術的仕組みを採用することになるかもしれません。

 

(2) 他方、(安全性の点は、政府も、言われなくとも最大限配慮をすることとは思いますが)その結果、全く使い勝手が悪いものになっては、意味がないように思います。安全性を備えつつ、利便性が高いものを作る、という点、難しい問題と思います。

 

(3) さらに、法律家的な視点ですと、デジタル円に対して、強制執行ができるか、という点にも興味があります。すなわち、現状、自己保有するビットコインに対する有効な強制執行策がありません(全財産をビットコインに変えて、ビットコイン管理用の秘密鍵をどこかに隠すないし暗記してしまった場合、いくら、裁判所が、差し押さえだ、といっても、実質、差し押さえようがありません。)。

 では、デジタル日本円については、どうするのか、という疑問があります。この点、

 ・ビットコインなどと違って、中央銀行ないしそれに近い機関が、任意に、いつでも個々人のデジタル円を移動させられる、という設計にすれば(そういった仕組みが哲学的にいいか、悪いか、は別として)、裁判所による差し押さえなどは支障ないかもしれません。ただ、その場合、「このデジタル円は、○○さんが保有するものだ」という切り分けができることが前提と思います(要するに、デジタル円と個人を結びつける情報を、どこかに記録しておくことが必要と思います。ただ、そうすると、事前の本人確認や口座開設などの手間などが生じ、結局、銀行預金と何が違うの?という話になってしまうかもしれません。)。

 

 ・他方、そもそも、デジタル円についても、裁判所による差し押さえはできないのだ、と割り切って、別の方法を考える(取引の際に、エスクローをかませる、担保をとるなど、事前の予防策に重点を置く)、ということも考えられます。

 

総論として、CBDCをやるとしても、各論として、具体的にどう設計するのか、これから議論が深化してゆくのではないかと思います。

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破産事件を扱っている中で、最近立て続けに、「破産者所有の不動産について、破産管財人が破産財団から放棄したのだが、次の年の固定資産税を誰から取り立てればよいのか?」という質問を受けたので、これについてまとめてみたいと思います。

 

破産者が不動産を所有した状態で破産すると、破産者の財産を管理する破産管財人が、この不動産の売却を試みます。これにより売却ができれば、固定資産税は、通常の不動産売買と同様の形(その年に発生するものを当事者間で精算し、翌年以降に発生するものは新所有者である買主が納税)で処理されます。

 

しかし、破産管財人が売却を試みたものの、買受希望者が見つからなかったり、希望者は見つかったけれども担保権者の同意が得られなかったりして、売却ができないことがあります。
そうなった場合、破産管財人は、この不動産を売却することを諦め、破産財団から放棄する手続(破産法第78条第2項第12号参照)を取ります。破産財団から放棄されると、その資産は破産管財人の管理対象から外れます。

 

破産財団から放棄された不動産は、破産者が個人である場合は、破産者の自由財産として、破産者に管理処分権が復帰することになります(最判平成12428日判時 1710100頁参照)。
したがって、個人の破産者の不動産を破産管財人が放棄した場合は、翌年以降に発生する固定資産税は、所有者である破産者から取り立てれば良いことになります。

 

一方、破産者が法人である場合も、破産管財人が不動産を放棄すると、破産者に管理処分権が復帰することになります(前掲最判平成12428日)。とは言っても、破産者は法人なので、固定資産税の請求は、法人が持つ管理処分権を行使する権限を持った人物に対してする必要があります。

 

破産管財人は対象不動産を放棄していて、その不動産については何の権限も持っていないので、破産管財人を請求の相手とすることはできません。
それなら、破産した法人の代表者に請求すれば良いではないかと思いますが、破産者の役員は、破産者と委任関係にあり、この委任関係は、委任者である破産者が破産手続開始の決定を受けた時点で終了しています(民法第653条第2号)。つまり、破産者の役員は全員いなくなっているため、代表者に請求することもできません。
また、破産した法人は解散したものと扱われ(会社法第471条第5号)、解散した時には取締役が自動的に清算人に選任されるはず(会社法第478条第1項第1号参照)だから、この清算人に請求すればよいのでは?という考え方もありますが、破産した法人の場合は、通常の会社の解散の場合と異なって、取締役が自動的に清算人に選任されるわけではないとされています(最判平成16101日裁判集民215199頁参照)。会社法第478条第1項第2号や第3号に基づく清算人(定款や株主総会決議に基づく清算人)がいれば、そちらに従って清算人が現れる可能性はありますが、あまり多くはないでしょう。

 

つまり、法人である破産者の破産管財人が不動産を放棄した場合は、破産した法人の法人格は残っており、放棄された不動産の管理処分権もそこに帰属しているものの、(殆どの場合)法人の持つ管理処分権を行使できる人物がいない状態ということになります。

 

このままですと、固定資産税の請求をする具体的な相手がいないことになるので、市町村側の対応としては、次の2つが考えられます。

 

1つは、会社法第478条第2項(会社以外の法人の場合は適宜の法令)に基づき、清算人の選任を裁判所に申し立てる方法です。清算人が選任されれば、清算人を相手に固定資産税を請求することができます。
ただ、破産者である法人は、(破産しているくらいですので)固定資産税の支払原資がない可能性が高いですし、清算人の選任を申し立てるには、かなりの金額の予納金を裁判所に納めなければなりません。
それを考えると、固定資産税の取り立てのために清算人の選任を申し立てるのは、あまり現実的ではないと思います。

2つ目は、不動産の所有者が変わるのを待つという方法です。
管財人が放棄するような不動産であれば、かなり高い確率で、担保権が付いていたり差押が入っていたりするため、放棄後に競売や公売にかかる可能性があります。これが進めば、不動産の所有者が変わる可能性が高いので、所有者が変わった年より後については、新所有者に固定資産税を請求することができます。
また、場合によっては、固定資産税を徴収しようとする市町村自身が、(放棄後に発生した)固定資産税の滞納を理由として、その不動産を差し押さえて公売にかけることも考えられます。
なお、不動産の所有者が変わるのを待つ方法を取る場合、所有者が変わらない期間の固定資産税は、請求困難なので、現実的には時効にかかるのを待つことになると思います。

法人の破産で管財人が不動産を放棄した場合は、法律関係が複雑になりますので、固定資産税の請求の相手方をよく確認することが必要です。

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1. はじめに

前回メルマガ記事を書いた4月の段階で、ビットコイン価格は、1BTC=76万円前後でしたが、その後、価格は上昇し、5月から6月にかけて、上下しつつも、概ね、1BTC=100万円超となりました。

 

その後、100万円を割ることもありましたが、この記事を書いている時点(2020/06/17)では、1BTC=102万円で推移しています。

 

2. リブラ等の最近の動き

 

さて、今回は、これまでにメルマガに書いたリブラ、の延長線上の話として、「デジタルドル」について触れたいと思います。

 

前提としまして、最近の動きなどを、ざっくりとまとめてみます。

 

これまでも記事にしたとおり、Facebookが主導して提唱した仮想通貨「リブラ」は、残念ながら、(特に、法定通貨を脅かすものとして、中央銀行の不興を買ったためか)各方面から袋叩きにあいました。

 

そこで、Facebook(リブラ)側としては、方針の修正をアナウンスしており(https://libra.org/en-US/white-paper/#cover-letter)、具体的には、(セキュリティを強化することはもとより)法定通貨と11で対応するステーブルコインを発行する計画を公表しました(https://libra.org/en-US/white-paper/#cover-letter)。

 

要するに、1ドル払って、1ドルリブラ、みたいな仮想通貨(ないしステーブルコイン)を貰える、という計画のようです。

 

但し、従前の仕組み(複数の通貨のバスケットにリンクするリブラ)も、諦めてはいないようで、既存の仕組みに「加えて」("in addition to")、上記のような仕組みを追加する旨、説明がされています。

 

リブラに関して、以上の状況をどう評価するか、人によって判断が分かれるところですし、将来的にどうなるかは分かりませんが、正直なところ、現段階で、批判を受けて、ほぼ頓挫している印象を受けます。

 

他方、リブラを尻目に、中国のデジタル人民元の計画は、着々と進んでいるようで、深センなどの一部の都市で、テスト運用を実施するとの報道がされています。報道の中で、興味を引いたのは、デジタル人民元は、インターネット環境がなくとも、スマホ同士で通信して、送金することができる仕組みを備えるそうです。まだ、テスト段階の話であり、今後もその機能が維持されるのかは分かりませんが、素朴な疑問として、果たして、それってセキュリティ的にどうなんだ?マネロン対策とかもできるの?などと思ってしまいます。

 

3. デジタルドル

 

さて、人民元をデジタル化しようという話があるのであれば、やはり、米ドルをデジタル化しよう、という話もあります。ちなみに、最近では、そういった、中央銀行が発行するデジタル通貨をCBDCCentral Bank Digital Currency)と呼んでおり、報道などでも、よく使われる単語となりつつあります。

 

この点、米政府としてはCBDC発行に慎重な姿勢のようではありますが、最近、ちょこちょこと気になる動きがありました。


まず、民間の話ではありますが、米国商品先物取引委員会(CFTC)の元委員長(J・クリストファー・ジャンカルロ氏)が、「デジタルドル財団」という財団を設立し、アクセンチュア社とともに、ドルのデジタル化の設計・推進を推し進めています(デジタルドルプロジェクト。https://www.digitaldollarproject.org/)。

 

最近では、ホワイトペーパー(目論見書)などを出してニュースになりました(https://www.digitaldollarproject.org/exploring-a-us-cbdc)。

 

ここまでは、単純に、民間団体によるドルのデジタル化に関する提言、といったレベルの話です。しかし、最近では、米議会の下院において、金融サービス委員会の公聴会が開催され、デジタルドルに関して議論もされています。前記デジタルドルプロジェクトのジャンカルロ氏も参考人として参加しています。

 

デジタルドルプロジェクトの動きは、要するに、技術的仕組み等々は、民間レベルで提言するから、政府はそれを採用して、ドルのデジタル化を進めてくれ、ということと思います。

 

これに対し、中央銀行側はどう反応したかといえば、そっけない反応です。すなわち、報道によれば、連邦準備制度理事会(米国の中央銀行に相当)のパウエル議長は、617日の下院委員会で、官民協力によるデジタルドルの設計について、否定的見解を示したとされています。

 

ただ、他方で、FRBは、これまで、デジタルドルの可能性を研究しきているとのことで、前記17日の委員会においても、パウエル議長は、CBDC(デジタルドル)は、真剣に研究していく案件の1つ、とも発言しています。

 

正直なところ、FRBとして、どこまで研究を進めているのか、どこまで発行に向けた具体的計画が進んでいるのか(あるいは進んでいないのか)、等々、ベールに包まれた部分が多いです。ただ、報道によれば、パウエル議長は、「待たせすぎるのも問題になる」という意味深な発言もしているようで、ひょっとすると、裏で、発行計画が着々と進んでいるのかもしれません。

 

このように、リブラに端を発して、中国のデジタル人民元、EUデジタルユーロ、そして、アメリカのデジタルドル、と、どんどんと波紋が広がっているようです。

 

ちなみに、日銀も、欧州中央銀行(ECBその他の銀行とともに、CBDCについて研究をするなどしています(https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel200121a.htm/)。

 

あと10年もしたら、今を振り返って、「リブラの発表が、法定通貨の歴史的な転換点であった」などと言われるようになるのかもしれません。

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厚生労働省によれば、今年の521日時点で、新型コロナウイルスの影響によって新卒採用の内定を取り消された方が少なくとも98人いるとのことです。
(朝日新聞デジタル:https://www.asahi.com/articles/ASN5Q4GZBN5QULFA004.html

 

採用内定が会社から出ると、法的には、「始期付解約権留保付労働契約」が会社と採用内定者との間で成立したと考えられますので、条件付きとはいえ労働契約が締結された以上、いったん出した採用内定を、会社が自由に撤回できるということにはなりません。

 

実務上は、採用内定の取消事由となるのは、「採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できないような事実であって、これを理由として採用内定を取り消すことが解約権留保の趣旨・目的に照らして客観的に合理的と認められ社会通念上相当として是認することができるものに限られる」とされています(最判昭54.7.20労判323-19)。

 

つまりは、採用内定者の態度が気に食わないなどの理由だけでは、採用内定を取り消すことはできません。
※採用内定を出す前の段階では、採用内定を出すかどうかについて会社に広範な裁量があるので、この程度の理由でも不採用にするということはよく聞く話です。

 

採用内定の取消事由となり得る主なケースは、以下のようなものがあり、採用内定時に署名する誓約書や承諾書に、これらが採用内定の取消事由になると具体的に記載されていることが多いです。企業側の観点からすれば、取消しの有効性に関わってきますので、できるだけ解約権の行使事由を明記しておくことは重要です。

 

・採用内定者の提出書類に虚偽記載(学歴詐称等)がある場合

・大学を卒業することができない場合

・身体又は精神の故障によって予定入社日からの就労の見込みがない場合

・会社の経営難等のやむを得ない事由がある場合

 

今回の新型コロナウイルスの影響による採用内定の取消しは、「会社の経営難等のやむを得ない事由がある場合」を理由にしているものと考えられますが、経営難を理由として採用内定の取消しを行うには、「いわゆる整理解雇の有効性の判断に関する…4要素を総合考慮のうえ、解約留保権の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ、社会通念上相当と是認することができるかどうかを判断すべきである」という裁判例があります(東京地決平9.10.31。※中途採用の裁判例)。

 

整理解雇の有効性の判断基準は厳格な基準ですが、採用内定の取消しは、採用内定者の他社就労の機会を奪っており、採用内定者の今後の生活・キャリアにも関わってきますので、慎重な判断が求められるべきという基準は適当であると思います。

 

したがって、今回の新型コロナウイルスの影響による経営難も、単に経営の見通しが不安等の漠然とした理由ではなく、具体的な数字に基づいて、きちんとした根拠を示せないと、採用内定の取消しは認められないと考えられます。

 

なお、内定取消・入職時期の繰下げにあった方のために、厚生労働省が4月から特別相談窓口を設置していますので、下記URLをご参照ください。
※厚生労働省「新卒者内定取消等特別相談窓口」(https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000193580_00003.html

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