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段々と涼しくなり、夏の終わりと共に秋が近づいてくるのを感じます。厳しい暑さが続くと早く秋が来ないかなと思いますが、いざ秋が近づいて涼しくなると何だか寂しい気分になります。

 

夏と言えばお祭りですが、先週、「麻布十番納涼祭り」に行ってきました。初めて行ったのですが、多くの来場者で溢れかえっていました。地元の名店や国内の郷土料理の屋台などが多く立ち並び、六本木のほうには、グランドハイアット等の有名ホテルの屋台もあって見ているだけで楽しめました。

しかし、あまりに多くの人がいるせいか、メインの通りでは途中からすし詰め状態になり、いつ将棋倒しになってもおかしくない状態でした。周囲からは不満の声が聞こえはじめ、たまに怒号が飛んだりします。雨が少し降っていたせいで、混雑の中で傘をさすことによるトラブルもあるようです。

すると後ろから、「渋滞ってのは先頭の奴が早く行けば起こらないんだ」という趣旨の発言が聞こえてきましたが、すぐに「それは違うな」と思いました。というのも、高速道路の渋滞と同じように、上り坂(六本木方向)にさしかかったところが一番混んでいました。上り坂になると気が付かないうちに歩行速度が落ちるので、後ろから来る通常の歩行速度の人との距離が近づいてしまうということが起こり、この現象は連鎖していきます。その結果、自然と渋滞していきます。また、屋台が並んでおり、それを観察して歩くので歩行速度が落ちている部分もあります(混みすぎていて購入は困難で観察するしかありません)。

 

渋滞は悩ましいところがあり、渋滞につかまって遅れてしまって生じる法律トラブルも絶えません。渋滞では契約書の不可抗力条項にも該当しないでしょう。

法律先進国でもあるイギリスは、渋滞をなくすために、税法を改正し、渋滞税というものを導入しています。渋滞が多いとされる場所を通るには、あらかじめ税金を支払っておかなければ通れない仕組みになっています。それで渋滞は緩和されたそうです。

 

ところで、アリは長蛇の列をなして歩き続けますが、渋滞税を導入せずとも渋滞をしないそうです。どうやら、速度を落とさず間隔を保つことで渋滞を避けることができると、皆が本能で理解しているからだそうです。人間はアリから学ぶべきだと思います。

 

祭りでは、大好きな牡蠣を食べることができたので目的は達成しました。

夏が終わるのは寂しいですが、秋の味覚も楽しみですね。

ビットコイン関連ですが、毎月、何かしら大きな出来事が起きていますね。前回のメルマガでは、「激動のイーサリアム」というサブタイトルを付けさせていただきましたが、イーサリアムにかぎらず、この業界は、常に、激動の状態にあるように思います。


最近ですと、良くない出来事ですが、香港にあるBitfinexというビットコインの取引所がハッキングを受け、数十億円相当のビットコインが盗まれるという事件が発生しました。これにより、ビットコイン価格も、一時、20%以上も暴落しています。

前回との関連で言えば、同じ仮想通貨のイーサリアムの場合、ハッキングを受け、仮想通貨が流出したところ、コミュニティーが一致団結して、ハードフォークにより救済をしました。他方、今回のビットコインの件では、そのような話は出ていません。対応が対照的で、コミュニティーの違いが現れているように思います。


さて、このBitfinexという取引所、かつての日本のMt.GOXを彷彿とさせますが、そのまま倒産の道をたどるかと思いきや、なんと、現在、取引所の業務を再開しています。


なんで、未だ、生きながらえているかといいますと、まず、Bitfinexは、今回の被害を受けて、ユーザーの資産を一律36%カットしました(ただし、詳細は不明ですが、一部例外があるようです。)。

この点について、Bitfinexは、結局、会社を清算(原文「liquidation」)したとしても同様の対応となるのであり、今回の一律36%カットは、リーガルコストをかけず、迅速な対応になる点で、ユーザーにとってメリットが多いと判断した、と説明しています
(http://blog.bitfinex.com/announcements/security-breach-faq/)。


また、次の対応が面白いのですが、Bitfinexは、36%カットの引き換えとして、仮想通貨「BFXコイン」なるものを今回新たに発行し、各ユーザーに配布したのです。しかも、このBFXコイン、既に取引所が設けられて、USドルやビットコインと交換可能になっています(ただ、現状で、レートは低いようです。)。


さらに、このBFXコインについては、
・Bitfinexが、このBFXコインを、Bitfinex(の親会社)の株式と交換する
・2か月に1回配当がなされる。
といった特典を付けることが検討されているとのことです。


一部のニュースサイトでは、社債のようだ、などと説明されていましたが、現金で償還されるような話は、今のところ情報として出ていないようなので、日本的に言うと、議決権制限で取得条項がついた株式のようなもの、と言えるかもしれません。


このような対応については、賛否両論あるでしょうが、なかなか日本では出てこないような発想で、純粋に面白いと感じます。今回の件がうまく行けば、先例として、今後の参考になるかもしれません。


また、このBitfinexですが、今回の盗難事件を受けて既にFBIとも連絡をとっており、なおかつ、ビットコインを取り戻すために、盗難にあったビットコインの5%(6,000BTC・平成28年9月2日現在で約3.5億円相当)の懸賞金をかけるとのことです。果たして犯人検挙には至るのでしょうか?


今後の動向に注目です。

オワハラ。明確な定義はないですが、内々定や内定を餌に他社の就職活動を「オワ」(終わ)るように圧力をかけるといった問題です。

 

経営者の皆さまに対して私が今更申し上げるまでもないことではありますが、会社は、人、人材が命といっても過言ではありません。

いかに自社にとって良い人材を確保するのか、ということは経営上極めて重要な課題です。少し前に出たものですが、Googleの人事(採用等)に関する書籍もすごい人気でしたよね。

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良い人材を確保するためにという一心で、「自社にぜひ来てほしい。(が故に)他社の就職活動は終わってほしい。」という気持ちを抱いてしまうこともわからなくはありません。むしろ、その気持ちはとてもよく理解できます。

このオワハラに関して、会社側が、社会通念上の相当性を逸脱するような態様(例えば、脅すなど)で圧力をかけ、強要する行為が行われた場合には、内定者の職業選択の自由を不当に侵害したものとして、不法行為に基づく損害賠償責任を負うことになりうると考えられます。ただし、法的な問題として顕在化するのはほんとに限られたケースのみであると思います。

ここで問題になるのは、こういう法的なリスクというよりも、レピュテーションリスクの方が大きいですね。

今や、SNSで、会社側の対応は、かなり拡散されていきます。「○○会社から、○○で○○って言われた。オワハラ、マジ必死すぎwww」なんて、つぶやかれて拡散されていったら、会社は社会的に概ねマイナス評価を受けるでしょう。

オワハラではなく、他に工夫を行っていく必要があると思います。やはり、同業他社に比べて、入社したい、と思わせる施策を打てるかが必要であると思います。内々定や内定を出した後にも、ポジティブに思ってもらえるようなフォローをしたり(他に就職活動をさせないようにがんじがらめにフォローするとネガティブなので要注意)、そもそも内々定や内定を出すときに熱いメッセージで思いを伝えるなど。

採用プロセスには時間も費用も労力もかかりますので、そう簡単ではないのは重々承知していますが、それでも、「自分が納得するまで就職活動を続けてもらって構わない。そのうえでぜひうちに来てほしい。」と言える方がきっと好印象です。

(実は、私も、もう何年も前に弁護士デビューをする就職活動をしていたときに、オワハラを受けたことがあります。引いちゃいますよね。全然有効打ではない。むしろ、率直に、「来てほしい」という思いを伝達した方が、効果があると思います。)

 

ここで今回のメルマガも終わり、とも思いましたが、一応「法律問題を少しだけ考えてみた」というタイトルに名前負けしないように、内定辞退について考えてみます。内定者が、内定辞退をする場合に、会社に対して損害賠償責任を負うのかどうかという問題です。会社側からみると、内定辞退者に対して損害賠償請求できるのか、という問題です。

内定辞退の法的性質は、労働契約の解約と考えられます。労働契約の解約については、法律上、労働者の自由が保障されており(民法6271項)、労働者は法定の予告期間(原則2週間。完全月給制の場合には当月の前半まで。年俸制の場合には3か月前まで。同条1項ないし3項)をおいて解約をする限りにおいて法的責任は負わないと考えられています。

ちなみに、民法改正法案は、同条2項および3項を使用者からの解約の場合に限定して適用するものとし、労働者からの予告期間は一律2週間とするものとなっています。

また、内定辞退の事案ではありませんが、会社が、退職者に対して、入社後1週間で突然退職したため、これにより損害を被ったとしてその賠償を請求した事案において、「そもそも、期間の定めのない雇用契約においては、労働者は、一定の期間をおきさえすれば、何時でも自由に解約できるものと規定されている」ことから、遵守しなかった予告期間中の損害についてのみ責任追及できると判断された裁判例があります(ケイズインターナショナル事件 東京地裁 平4.9.30判決 労判61610ページ)。

以上からすると、内定者が入社予定日(始期)の前日を基準として遅くとも2週間前まで(見解が分かれるかもしれませんが、始期が到来していないため、完全月給制又は年俸制にかかわらず、このように解し得ると思われます。なお、前記の民法改正法案にも留意)に内定を辞退する旨通知した場合には、就労義務も消滅し(または発生せず)、会社に対して何ら法的責任を負わないと考えられます。

例外的に、内定辞退が、著しく信義則に反する態様でなされた場合には、内定者は新たな採用活動に要した費用等の損害を賠償する責任を負うと解されますが(菅野和夫『労働法 第11版』226ページ、土田道夫『労働契約法』186ページ)、内定者が会社に損害を与える目的で内定辞退をしたような限定的な場合にのみ「著しく信義則に反する態様でなされた」と評価されると考えておくべきでしょう。

少々前の記事ですが、201685日の朝日新聞DIGITALに「口座特定、裁判所主導へ 養育費や賠償金不払い対策」との見出しで、次のような記事が載っていました。

裁判などで確定した賠償金や子どもの養育費が不払いにならないように、支払い義務がある人の預貯金口座の情報を金融機関に明らかにさせる仕組みを法務省が導入する。裁判所による強制執行をしやすくする狙いがある。今秋にも、法相の諮問機関「法制審議会」に民事執行法の改正を諮る見通しで、2018年ごろの国会提出をめざす。

私は、かねてから、我が国の債権差押え制度、特に預貯金の差押えには、どこの支店に口座があるかまで調べなければならず(口座番号までは不要)、結局そこまで調べるのはかなりの時間と費用をかけなければならないので、悪い債権者は容易に差押えを免れることができて、裁判の実効性が確保できず、大問題であると訴えていました。記事では、養育費の問題が強調されていますが、民事裁判の判決全体の実効性を無にする大問題です。

ここにきて、ようやく法改正に動き出したということで、日本の民事制度にとっては朗報だと思います。

で、肝心の内容ですが、記事によると

法務省の見直し案では、債権者は、債務者が住む地域の地銀など口座がある可能性がある金融機関ごとに確認を裁判所に申し立てられる。裁判所は各金融機関に照会。口座がある場合はその金融機関の本店に対し、差し押さえる口座のある支店名や口座の種類、残高などを明らかにするよう命じる制度を新たに設ける。債権者にとっては、債務者が口座を持つ金融機関名が特定できなくても、見当がつけば足りることになる。

とのことです。

私としては、実効性があって、かつ、使い易い制度となることを切に切に願っています。

なお、記事によれば、現在の財産開示制度も見直しが図られるとのこと。

また、民事執行法には債務者を裁判所に呼び出し、自分の財産の情報を明らかにさせる手続きが定められているが、債務者が来ずに開示に応じないなど、実効性が課題となっていた。この手続きを経ずに差押えを申し立てるケースも多いことから、見直しでは、応じないときの制裁を強化し、現在の「30万円以下の過料」から、刑罰を科すことも検討する。

http://www.asahi.com/articles/ASJ845DC4J84UTIL02R.html

こちらも、本当に役立つ制度になることを願っています。 

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弊事務所のインターンシップ(第3弾)が今週から始まりました!
今夏の弊事務所のインターンシップも、今週で最後となります。

T大学のMさん、とても一生懸命に取り組んでいます。 
初日は、訴訟記録の整理を丁寧におこなっていただきました。
明日以降は、講演会の出席や裁判傍聴等も予定しています。

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8月5日の記事で書かせていただいたとおり、飛田&パートナーズでは、現在、インターンシップの学生さんを受け入れております。

今週は、K大学のKさんが1週間のインターシップです。将来、弁護士になることを目指しているKさんに、法律事務所ならではの色々な業務を体験していただいています。

インターシップは来週も続きます。

 
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京都大学の山中伸弥教授が、再生医療に使うために備蓄している人工多能性幹細胞(iPS細胞)について、その安全性の確認に人工知能(AIを取り入れるという構想を明らかにしています(琉球新報 http://ryukyushimpo.jp/kyodo/entry-324115.html)。

近年ではiPS細胞から網膜の細胞を作製して目に移植することで、網膜の病気の進行を抑えることに成功しており、iPS細胞によって再生医療の進化が加速しています。それに伴い安全性の評価方法も工夫が必要になってくるようです。

山中教授は「膨大なゲノムデータの解析を、見落としなく、客観的に安全性を評価するのにAIを使いたい。」と述べています。

安全性の評価方法には様々あると思いますが、安全性チェックのために精巧を極めた機械を導入しても、それを使用する人間が誤入力や確認違い等のヒューマンエラーをしてしまうことは避けられないことです。そのため、原子力発電所等のような特に安全性が要求される施設の機械には、あらかじめ人間の特性(能力と限界等)を踏まえ、ヒューマンエラーが生じることを織り込んでおり、余裕のある設計になっているようです(明らかな誤入力には反応しない、事態が生じる前に予測して警報を鳴らす等)。

さて、iPS細胞の安全性等の医療現場にAIを導入するほか、人の生命・身体に関わるAIの運用(自動車の状況判断機能、自動運転等)によって生じる法的問題としては、事故が生じた際に誰が責任を負うのか、というものがあります。

機械とAIとの大きな違いは、AIの場合は自分で学習して変化していくという点にあると思われます。AI自体(デフォルト)に問題があって事故が生じれば、機械の場合と同様に製作したメーカーに責任を追及することや、AIを操作する人間がミスをすれば、操作した人間に対して責任を追及することが考えられます。

それでは、AIが自律的に行動した結果、事故が生じてしまった場合には、誰にどのように責任を追及すればいいのでしょうか。

AIは学習していくことが前提ですから、例えばiPS細胞についてのAIは、医療現場の統計やノウハウもどんどん吸収して変容していくことになるので、もはやAIの製造者の手を離れているといえます(飼い犬が事件を起こしても、その犬を販売したペットショップの責任を追及できないことと似ていると思います。)。

ちなみに製造物責任法は、製造業者等の無過失責任を定めた法律ですが、同法の定義する製造物は「製造又は加工された動産」なので、プログラムであるAIは製造物には該当せず、同法は適用できないといえます。

AIについての法律が整備されないうちは、一般法である民法の規定によって処理せざるを得ません。例えば民法には動物の占有者責任(民法718条)という規定があります。「動物」の範囲は社会通念によって決まるため、生物学的な分類とは異なります。そこで、AIの自律性に着目して「動物」と見る(類推適用)こともあり得るかと思われます。しかし、自律的に動く細菌やウィルスが「動物」に含まれないにもかかわらず(我妻榮他著「我妻・有泉コンメンタール民法(第3版)」1308頁)、AIのほうは含まれるというのも何だか不思議な気もします。

同条が適用されないとすると、AIが自律的に行動した結果事故が起こった場合に、現行法では請求する相手をどうするかは困難であり、非常に難しい問題です。AIの法整備が整わないと、AIを導入することに企業や研究者が二の足を踏んでしまうので、技術立国を目指すのならば、問題が生じる前に法整備を行うことが望まれます。

ちなみに、アメリカ(運輸省)はAIによる自動車の自動運転について、AIを「運転手」として見る見解を出しています。

AIの自律性が強まり、あたかも人間のように振る舞い始めれば、AIに法的にも人格が認められ人権のような権利が与えられる日が来るかもしれません。なお、AIが人間のように自律的に行動し始めるのが楽しみな反面、AIに権利が与えられてしまい人間の肩身が狭くなることを危惧しています(人権は人間の既得権益です)。

前回の記事でご紹介したイーサリアムですが、非常にホットな話題となっています。

前回の記事、見てないよ!という方にご説明しますと、イーサリアムは、ビットコインと同様の仕組みを採用した仮想通貨・・・のみならずプログラミング環境もセットになったものです。イーサリアムという環境上で、利用者は、独自のプログラムを作って動作させることができます。例えば、プログラムで仮想通貨を管理して、中央管理者のいない信託、のようなことが実現できるのです。


このイーサリアム、それ自体には問題はなかったですが、6月には、イーサリアムの環境上で稼働するプログラムにバグを有するものがあり、これにより、40億円相当以上の仮想通貨が流出する事件が発生しました。


これに対して、イーサリアムのコミュニティーがどう反応するか、注目されていたのですが、720日、流出した仮想通貨を「取り戻す」対応がなされました。いわゆる、ハード・フォークと呼ばれる対応です。

改ざんができないはずの仮想通貨を、取り戻すことなんてできるのか?とも思いますが、今回は、特殊事情があり、できてしまったのです。それは、イーサリアムのコミュニティーの大半が、「取り戻す」ことに賛成したからです。つまり、イーサリアムに参加する人たち(特に、イーサリアムの取引所を含む。)が、一致団結し、

  ・これまでの通常の取引データはそのままにする

  ・しかし、流出した仮想通貨は、流出先から戻す

という新しいルールのネットワークを作って、そこに、一斉に引っ越しをしてしまったのです。流出を否定する新しい仮想通貨を作って、皆がそれに乗り換えた、とも言えます。このようなダイナミックな対応が、ハード・フォークです。

これにより、仮想通貨の流出問題は一件落着、のようにも見えましたが、そう簡単にはいきませんでした。今回の対応は、いわば、「超」例外的措置で、当然、そんな例外みとめていいのか?という反論もありました。例外は、どのようなことがあっても認めるべきではない、というポリシーを持った人たちは、当然、ハード・フォークに反対しました。

反対派の人たちの中には、新しいネットワークに引っ越しをせず、元のネットワークに残った人たちがいます。その人達は、自らを、イーサリアム・クラッシックと名づけて、仮想通貨の取引を今でも継続しています。当初は、ごく僅かなハードフォーク反対派に限られると思われていたところ、なんと、仮想通貨の取引所が、次々とイーサリアム・クラッシックの取り扱いを始め、「僅か」とは言えない状況になってきています。

そのため、現在、面白いことに、イーサリアムは、仮想通貨として2種類存在し、

 ・(ハードフォーク後の)イーサリアム

 ・イーサリアム・クラッシック

が別々に取引されています。ただ、もちろん、ハードフォーク後のイーサリアム利用者のほうが圧倒的に多数です。

そこまでして反対するのか!?と、思う方もいるかもしれませんが、突き詰めてゆけば、賛成派・反対派、どちらが正しいという訳ではないように思います。両者の対立は、どことなく、(法学部の憲法の授業などで学ぶ)民主主義と自由主義の関係に似ている気がします。つまり、

  ・コミュニティーの大半が賛成して一部の者を守る

   と決めたことだから良いじゃないか、という民主

   主義的意見

  ・皆が良いと言っても、やってはいけないことが

   ある(守らなければならない「取引への不介入」

   という価値がある)と考える自由主義的意見

の対立です。

各国の憲法では、こういった民主主義の側面と自由主義の側面の双方を国家制度に組み込んでいますが、仮想通貨という「国」にも、自由主義と民主主義をどのように組み込んでゆくか、今後も議論する必要があるのかもしれません。

ちなみに・・・、ビットコインのコミュニティーが、例えば特定の利用者のビットコインの盗難事件が生じた際に、ハードフォークして救済するかというと、断言はできませんが、あまり考えられない気がします。実際、Mt.Goxの事件の当初、「ビットコインが流出した」と騒ぎになった際(これは後に否定されています。)にも、ハード・フォークして救済しよう、という大きな動きはなかったようです(ある意味ではドライ、見方を変えれば仮想通貨の理念に忠実ですね。)。

今回ハードフォークができたのは、イーサリアムの文化や機能の特殊性、登場してまだそれ程期間が経過していないという時期的な要素もあったように思います。

8月1日から、飛田&パートナーズではインターンシップの学生さんを受け入れております。

今週は、A大学のKさんが1週間の執務体験をしてくださいました。
法学部に所属し、ゼミ活動や模擬裁判等にも精力的に取り組み、熱心に法律を勉強されているKさん。
法律事務所ならではの様々な業務を体験していただきました。

衣川さん‗写真

こんにちは。弁護士の萩原です。
以下は、今月発行のメルマガからの転載です。
賃金体系について労働契約法20条の観点から見直してみていただくきっかけとなれば幸いです。


平成28727日の日経朝刊によれば、正社員と契約社員の手当格差(労働契約法20条)に関する大阪高裁判決が、同月26日に言い渡された。

物流会社の有期契約の運転手が賃金格差の是正を求めた事案であり、一審(大津地裁彦根支部)は、「通勤手当」の不支給につき違法と判断していたが、控訴審である大阪高裁は、正社員に支給されている7種類の手当のうち、「通勤手当」のみならず「無事故手当」など4種類の手当の不支給について違法と判断したとのこと。その他の賃金の格差については、契約社員と正社員との間で、転勤や出向がないという事情を考慮したうえで、是正の必要性はない(適法)と判断したようだ。

先月、弊事務所ブログに「定年後の再雇用と労働契約法20条に関する判決」(東京地裁平成28513日判決)をテーマにした記事をアップしたばかり。

http://blog.tplo.jp/archives/47690816.html

労働契約法20条は、平成25年施行であるため、徐々に浸透し、現在も各地でさまざまな訴訟が係属しているだろう。和解で解決する事案ももちろんあるだろうが、訴訟上は当事者である当該労働者のみの賃金格差の話であるものの、その結果によっては事実上全社レベルでの賃金体系の変更が問題となってくる(今回の物流会社についても大阪高裁の判断に従う場合には、訴訟当事者である運転手以外にも同様の有期契約の運転手の賃金を見直す必要がある)。そのため、和解にならずに判決も出るケースが今後も続くのではないか。

こうした判決(裁判例)の集積が実務へ影響を及ぼすことは間違いない。とくに、今回は、高裁レベルで、しかも、「大阪」高裁の裁判例ということでその影響度は大きいと思われる。

判決文を入手できていないので推測になるが、今回の大阪高裁は、通勤手当以外の各手当の性質や位置づけを詳らかに検討したうえで、不合理性を判断したものと思われる。たとえば、無事故手当の性質は、運転業務において安全を奨励し、かつ安全を維持した社員に対する報奨であることからすると、契約社員も正社員同様の運転業務を担っており当然ながら無事故(安全)であることも求められていることに照らし、契約社員についてのみ不支給とすることは不合理と言わざるを得ない、といった具合に。

なお、行政解釈(厚生労働省)では、「とりわけ、通勤手当、食堂の利用、安全管理などについて労働条件を相違させることは、職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して特段の理由がない限り合理的とは認められないと解されるものであること。」とされており(基発08102号)、手当については、「通勤手当」が例示されたうえで、その相違は特段の理由がない限り合理的とは認められないと解されるという見解が示されている。

通勤手当は言わずもがなであるが、その他の手当についても、正社員のみ支給対象としているものがある場合には、その合理性(不合理ではないか)を検討した方がよい。

正社員にのみに支給している○○手当は、どのような性質のものであり、なぜ正社員にのみ支給しているのかという趣旨に立ち返って検討するべきである。 

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