2023年2月7日 日経新聞朝刊4頁

「LGBTQ法案 検討指示」「首相が陳謝、理解促進へ」「秘書官更迭、米欧でも報道」「G7議長国 国際世論を意識」との見出しの記事から

国際世論を意識し、首相は6日、LGBTQらへの理解を増進する法案の検討を進めるよう茂木敏充幹事長に指示した。首相周辺が明かした。


(飛田コメント)
 荒井秘書官が、同性婚に関し、記者団に「隣に住んでいたら嫌だ」「導入したら国を捨てる人もいると思う」と発言して問題となり、首相は荒井秘書官を更迭しましたが、さらに、LGBTQらへの理解を増進する法案の検討を指示した、という流れです。もっとも、首相自身も衆議院予算委員会で、同性婚について「制度を改正するとなると家族観や価値観、社会が変わってしまう課題だ」と慎重姿勢を示しており、具体的に同性婚を認める法案ではなく、LGBTQらへの理解を増進する法案と、一歩後ろをいくような内容となっています。
 私的には、民法・戸籍法、必要があれば憲法を改正して同性婚を認めてあげれば良いのにと思うのですが、一般の人の意識はそこまでいっていないのでしょうかね。たまに自分の意識と社会の意識とにズレがあることを感じて凹みます。
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2023年2月6日 日経新聞朝刊15頁

「法テック、普及8割超」「AIで契約審査など 質には不満も」「『使いこなす力』課題に」との見出しの記事から。

AIレビューはサービスの適法性を巡る懸念もある。弁護士法は、弁護士以外が報酬目的で法律事務などを行うことを「非弁行為」として禁止。法務省は昨年、AIによる契約書審査サービスへの参入を検討する企業からの照会に、同法に接触する可能性を指摘した一方で、既存のサービス企業は「自社のサービスは合法だ」と主張し、利用者側に不安も出ていた。


(飛田コメント)
 今後、AIによる契約書レビューサービスが主流になってくると、弁護士の仕事は確実に減りますが、だからといってAIによる契約書レビューサービスが弁護士法72条に違反すると解する必要はないと思います。弁護士法72条は、三百代言の跳梁跋扈を防ぐためのもの(弁護士であるかのように弁舌たくみに相手を言いくるめて不当な利益を得るような行為を防ぐためのもの)なのですが、AIによる契約書レビューが主流になっても三百代言の跳梁が起きるとは思えません。我々弁護士もAIと協力しながら法務能力を上げていくべきで、足を引っ張る必要はないでしょう。あくまでも私の意見ですが。
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2023年2月6日 日経新聞朝刊15頁

「法テック、普及8割超」「AIで契約審査など 質には不満も」「『使いこなす力』課題に」との見出しの記事から。

リーガルテックの質に関する不満解消のためには、利用企業側の「使いこなす力」も必要だとの指摘もある。角田氏は生産性向上には「AIレビューだけではなく、データをためて知識共有など機能全般で使い込んでもらうのが理想的」と話すが、企業側からは「ベテランほど『自分がやった方が速い』と使わなくなる」との声も多い。


(飛田コメント)
 AIによる契約書審査のサービスは私も使ったことがあります。そのときから、既に技術は進んでいるのかもしれませんが、私が思うところ、①AIが審査できる契約書の類型が、秘密保持契約とか簡単な不動産売買契約といった比較的ひな形が出回っているものが多く、したがって、我々のような実務家から見ると、「そこはわかっている。もう少し多くの契約に対応できないの?」という場合が多いのと、②AIは契約書で必要とされる条項を漏れなく追加しようとするのですが、実務の観点からは、相手との力関係によって、どこまで相手方に有利な条項や不足する条項の状態を許容できるかが問題となることが多く、そこまでまだAIでは対応できない、というところに課題を感じました。したがって、今後はAIで契約書審査する会社と、法律事務所がタイアップして、企業側がAIを使って契約書審査する場合のノウハウを法律事務所が提供するパターンが増えるのではないかと思います。記事によれば、既に始められているようですね。
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2023年1月27日 日経新聞電子版

「広域強盗実行犯、報酬150万円 指示役「キム」も浮上」

「同庁は、実行役の大半がSNS(交流サイト)を通じて「闇バイト」で集められたとみている。関連性が疑われる昨年12月の中野区の強盗致傷事件でも、実行役は闇バイトで集まったとみられ、起訴された男は「強盗するために集まった。面識があるわけではない」と供述したとされる。」


(飛田コメント)

 強盗の罪の刑は、単純な強盗罪でも5年以上の有期懲役(刑法236条)、強盗致傷になると無期又は6年以上の懲役、強盗致死になると死刑又は無期懲役(刑法240条)しかありません。法定刑が非常に高いので、SNSの募集に応じて安易に行うような犯罪ではないので、注意すべきです(法定刑が低ければやっていいと言っているわけではないのでご注意ください。)。
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2023年1月26日 日経新聞朝刊39頁

「最高裁判決 新配分方式を評価 一票の格差 原告側『格差を容認』」との見出しの記事から

最高裁大法廷が25日、2021年衆院選の「一票の格差」を合憲と判断した。格差を2倍超に広がらないよう規定する新たな定数配分方式「アダムス方式」を国会が導入し、次回の選挙以降、適用されることを評価。一定程度の格差は容認する判断枠組みを示した。


(飛田コメント)
 この判決は最高裁判所の判例検索サイトで公開されていますが、それを読んでみると、現状の選挙制度は、10年ごとの大規模国勢調査の結果を踏まえ、根本的な一票の価値の格差是正を図り、その間については、大規模国勢調査から5年目に行われる簡易国勢調査の結果を踏まえ、一票の格差が2以上とならないように選挙区の区割りを修正して、応急処置的に格差是正を図るようになっているようです。そして、平成27年の簡易国勢調査の結果を踏まえ、平成29年に区割改正がされ、平成29年の衆議院選挙では一票の格差は1対1.979になったのです。そこで、最高裁は10年に1度のアダムス方式による大規模是正、5年に1度の選挙区の区割変更による暫定的な是正という国会の取り組みを評価して、平成29年の衆議院選挙を合憲としたのです。
 ところが、今回タイミングが悪いことに、29年に区割修正が行われてから、次のアダムス方式による大規模修正(今年?)までの間に衆議院選挙が行われてしまい、一票の格差が最大で、2.08倍まで広がってしまったので、どう考えるか?という問題です。
 最高裁としては、そもそも選挙制度をどうするかは国会に広い裁量があるのだし、現在の10年に1度のアダムス方式による修正、5年に1度の区割改変による修正という制度には合理性があるし、5年間に多少の格差の幅が広がるのはやむを得ないから、ということで合憲としたのが今回の判決のようです。
 15人のうち、たった1人反対意見を書いている宇賀裁判官は、そもそも平成29年の区割変更が「1人別枠方式を含む旧区割基準に基づいて配分された定数が変更されていない都道府県が相当数あり、その中には平成27年国勢調査結果によりアダムス方式による定数配分が行われた場合に異なる定数が配分されることとなるものも含まれていた」として、平成29年の区割変更自体が違憲状態を解消するものだったとは言えなかったと言っていますが、最高裁大法廷(多数意見)は、平成30年に平成29年の区割変更のもとで行われた衆議院選挙について合憲判決を出していますから、さすがにそこまでは言えない、ということなのでしょう。
 衆議院選挙の一票の格差問題は、今後アダムス方式により大幅な格差是正がなされれば解決かなと思うのですが、どうでしょうか?
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2023年1月25日 日経新聞朝刊47頁

「ソフトバンクG370億円申告漏れ」「M&A問われる税務処理」「法令、支出の線引き曖昧 企業の意思決定明確化重要」との見出しの記事から

一般的にM&A関連支出を巡る税務上との線引きは「意思決定」のタイミングにあるとされる。複数の専門家によると、実務では通常「取締役会などでM&Aの最終意思決定がある前は費用、あった後は取得価格」として扱う。だが最終意思決定前に事実上の決定がされていることもある。M&Aは個別性が強く、海外企業の買収などでは意思決定手続の複雑さはさらに増す。意思決定の時期にかかわらず、取引実行が前提となっていれば取得価格とすべきだという見方もある。


(飛田コメント)
 一般にM&Aにおけるデューデリは、M&Aをするか否かを調査するためのもので、その調査を踏まえて取締役会でM&Aをするかどうか(多くの場合が相手との具体的な契約交渉に入るかどうか)か決められるので、従来の基準からすれば費用になるのではないかと思います。「意思決定の時期にかかわらず、取引実行が前提となっていれば取得価格とすべきだ」との見解は理解できますが、「取引実行が前提となっていた」事実をどのような証拠から認定できるのか?
 裁判になった場合、税務当局側も大変なのではないかと思いました。
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2023年1月23日 日経新聞朝刊15頁

「安保リスク、契約書で先手」「主要企業の4割、免責条項など整備」「企業法務 弁護士調査」「ロシアや台湾有事警戒」との見出しの記事から

具体的には①契約締結時に中国企業との契約書では経済制裁リストの対象になっていないことを保証し合う②子会社が制裁リスト入りすれば不可抗力として契約不履行の責任を免除する③契約の相手企業がリスト入りした場合は契約解除できる-といった内容を含めることなどを想定する。


(飛田コメント)
 最近でいうと、不可抗力条項の中に、新型コロナウイルスなどの感染症が含まれるものと見たことがありますが、中国関係のビジネスをしている会社にとっては、このように台湾有事のことも考えながら契約書を作らなければなりませんね。
 台湾有事など起こらない方がいい訳なのですが、起きた場合の備えをしておくのが契約書ですので、日経新聞は勉強になりますね。
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2023年1月20日19:30配信 日本経済新聞電子版

離婚調停、申し立て・協議をIT化 法制審が要綱案、通常国会に改正法案提出へ」との見出しの記事から

法制審議会(法相の諮問機関)は20日、離婚や遺産相続の家事調停などにかかる裁判所の手続きをIT(情報技術)化する対策案をまとめた。申し立てや当事者間の協議、記録の閲覧をインターネットやオンライン会議で可能にする。書類や対面を原則としていた方針を改める。


(飛田コメント)
 最近、私が関与している裁判のほとんどがWeb会議で期日が行われるようになっていますが、書面の方は、まだFAXを使った送信が多いですね。しかし、このように書面の提出についても急速にネットでできるようになるのでしょう。弁護士の書く書面も、これまでは紙で見た場合に見栄えが良くなるように構成していましたが、これからはPCの画面で見たときに見栄えが良くなるように変えなければなりませんね。いずれにしても大歓迎の変化であり、今後の実務に期待しています。
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2023年1月19日5:00配信 日経新聞電子版

「強制起訴は誰のために 刑罰以外の選択肢はないのか」との見出しの記事から

福島第1原発の事故を巡っては、民事裁判では「津波は予見できた」として旧経営陣の過失を認める判決も出ている。だが民事は「原告と被告のどちらかの主張が真実と思われるか」という争い。一方、国が国民に刑罰を科す刑事裁判は「疑わしきは被告人の利益に」が大原則で、「合理的な疑いを挟む余地がない程度」の立証が求められる。


(飛田コメント)
 これは編集委員の坂口祐一さんの論考なのですが、内容的にとても深く考えられていて、素晴らしいと思います。かなりの意訳も込めて内容を要約すると、
 検察審査会強制起訴制度は、検察の起訴権限に民意を反映させるために設けられたが、検察委員会で強制起訴となりやすい業務上過失致死罪については、裁判上、裁判員裁判ではなく、従来の裁判制度として裁かれるので、結局裁判所でははじかれる傾向がある。
 ただし、それが悪いと言っているわけではなくて、そもそも、原発や航空機、列車の運行システムという多くの部署や人が関わる事件を、民意で、結果責任的に、個人を裁いてしまうのは、経済・社会活動に悪影響となるのではないか。
 他方、裁判にすることで真相解明が期待できるという意見もあるが、個人の刑事責任を問う場の裁判では、検察と弁護側の対立構造となり、双方とも自己に不利益なことを言う必要もないから、逆に真相解明や再発防止策の策定にはつながらないのではないか。
 したがって、検察審査会には、審査段階で、専門家のサポートをしっかりして、有罪にできるだけの証拠があるかチェックさせるべきであるし、強制起訴の対象を、「証拠はあるが検察が起訴を見送った起訴猶予案件」にしぼることも考えられる。
 他方、この種の案件では、刑事裁判に過度に期待するのではなく、米国のように、議会や国家運輸安全委員会といった機関が強い権限で調査を行い、懲罰的な課徴金を課すなどの対応を行う制度もあるので、我が国でも政治・行政・司法による総合的な対策を考える方が適当ではないか?

 ところで、私が気になったのは、冒頭の引用箇所。日本の民事裁判でも、証明度という観点からは、理論的には、事実認定に「通常人が疑いを差し狭まない程度の高度の蓋然性」が要求されるのです(判例)。
 しかし、実際の民事裁判では「原告と被告のどちらの主張が真実と思われるか」という争いになっているのは(私の経験上)事実であるし、基本的には、民事裁判はそれで良いのではないかというのが私の意見です(注1)。
 しかし、問題もあって、
 1.民意に影響されやすい事件の場合、民意に流されやすくなる(ただし原発訴訟がそうであるというなどとは全く言うつもりはありません。事件の内容もよく知りませんので。)
 2.証拠が片方に偏在しているような案件の場合は、(特に一般的な筋とは違う主張をしようとする場合)証拠がない方が勝つのは困難となる。
と思っています。

 1については、刑事事件も民事に流されることはあるのですが、記事にも指摘されているとおり、民事の場合には、「疑わしきは被告人の利益に」の原則がないので、より流されやすくなります。
 2については、日本の民事裁判にはディスクロージャー(証拠開示)の制度がないということが問題なんですよね。
 ということで、色々と考えさせる良い論考だと思いました。

(注1)色々意見はあると思いますが、①民事裁判は、対等な当事者が主張と証拠を出し合って勝負するという建前の世界ですので、原告が80%確からしいと立証しない限り、原告敗訴となるという制度設計はおかしいと思うこと、②民事には、刑罰による著しい人権侵害はなく「疑わしきは被告人の利益に」の原則は妥当しないので、原告側に80%の立証を要求して、初めからハンディーをつけることを正当化する理屈が見出し難いこと、③民事事件の当事者には、警察・検察のような捜査権限はないので、提出できる証拠が限られており、80%確からしいというレベルまでいかないと裁判所が事実を認定できないとすると、そもそも裁判制度が成り立たないと思われること、④基本的には私人間の紛争なので、徹底的な真相究明をするまでコストをかけることはできないこと、などが理由です。
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2023年1月17日22:20配信 日経新聞電子版

逮捕容疑は昨年11月29日、ツイッターに「僕の全てをつぶした殺人鬼」「僕を地獄の底に落とした殺人鬼」といった内容の投稿をし、滋賀県内に住む元妻(32)の名誉を傷つけた疑い。


(飛田コメント)
 この記事で逮捕された将棋の元プロ棋士は、名人戦の最高位クラスA級に在籍したことがあるとても強い棋士であったばかりでなく、とてもサービス精神があり、NHK杯のインタビューなどで将棋ファンを楽しませてくれました。私も将棋が好きで、この棋士のファンでもありましたので、今回の件はとても残念です。記事によると、「容疑として示された日に投稿した記憶がない」と述べているそうなので、お酒に酔っていたのかな?などと想像します。
 この棋士が将棋のプロを辞めたのは、対局から家に帰ったら、妻が幼い子供を連れて実家に帰ってしまい、それから子供に会えないということが続いていたからであると認識しています。夫婦の間には外からはわからない色々なことがあるので、別居については特にコメントはないのですが、以降、この棋士は子供と会えなくなってしまい、将棋に集中することもできなくなったので将棋のプロを辞め、現在は子供の連れ去り問題について、法律や人々の意識を変える活動をしているものと理解しています。
 現在の日本の制度や運用ですと、別居や離婚後は子供との面接権があるとはいえ、月に1回数時間というのが普通で、これでは全く足りません。
 今回のこの棋士の件も、子供に会えなかったことが影響しているのではと推測してしまいます。
 子供との面会についての日本の現状の制度や運用は改善が必要だと思います。
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