最近、家事関係の相談を受ける機会が多いのですが、中でも養育費は金額がそれなりに大きいこともあり、相談数が多いように思います。
 今回は、比較的トラブルになりやすい、一方の親の再婚が養育費に与える影響についてご紹介します。

 まず、養育費とは子の監護に要する費用のことを言い(民法766条1項)、子に対する扶養義務(民法877条)に基づいて親が支出するものです。両親が離婚する場合には、養育費は、父母がその資力に応じて分担するものとされています。
 未成年の子がいる夫婦が離婚する場合、必ず親権者を決めて離婚することになりますが、通常は親権者が子の監護をすることになりますので、非親権者(=非監護親)が親権者(=監護親)に対して養育費を支払うのが一般的です。

 養育費の具体的な金額や支払期間は、親同士の話し合い、家庭裁判所を利用した調停や審判といった手続きで決めることになりますが、家庭裁判所の審判で決める場合には、東京家庭裁判所が公表している養育費算定表(http://www.courts.go.jp/tokyo-f/vcms_lf/santeihyo.pdf)を基に金額を算出し、子が成人するまでの期間を支払期間とすることが多いかと思います。
(子の監護のために通常よりも多額の出費が予想される場合や、大学への進学が予定されている場合などは、支払金額や期間の決定にあたって考慮される場合もあります。)

 養育費の金額や支払期間は上記のように決まりますが、養育費の支払いは長期に渡ることが多く、支払期間中に一方の親が再婚するという事態が少なからず起こります。

 まず、義務者(=非監護親)が再婚した場合、再婚したからといって子に対する扶養義務がなくなるわけではないため、養育費支払義務がなくなることはありません。
もっとも、義務者は再婚相手に対しても夫婦間の扶助義務を負うことになり、再婚相手が専業主婦である、稼働能力が低い、などの事情から義務者が扶助しなければならない場合には、義務者の扶養人数が増えることになります。また、再婚後に再婚相手との間にも子が出来たという場合には、さらに扶養人数が増えますが、扶養人数が増えたとしても、義務者が扶養のために割ける総額はあまり変わらないことが多いので、扶養人数が増えれば一人一人の受け取り金額は少なくなるのが通常です。
したがって、義務者が再婚した場合、扶養人数が増え、結果として前配偶者との間の子が受け取れる養育費の額が減少するという事態が発生する可能性があります。

 一方、権利者(=監護親)が再婚した場合ですが、権利者が再婚した場合も、それだけでは義務者の扶養義務に変わりがないため、養育費支払義務がなくなることはありません。
 ただし、権利者の再婚相手が子と養子縁組した場合には事情が変わります。養子縁組をすると、再婚相手と子の間に法的な親子関係が形成されるため、再婚相手に子の扶養義務が発生します。再婚相手と子が養子縁組をしても義務者と子の間の親子関係が終了するわけではないため、義務者にも扶養義務は残るのですが、再婚相手の扶養義務が一次的なもの、義務者の扶養義務は二次的なものとなります(東京高決平成28年12月6日WLJ文献番号2016WLJPCA12066007)。
 したがって、子が再婚相手から十分な扶養を受けられている限りは、義務者が養育費を支払う必要はなくなり、義務者は原則として養育費の支払いを免れることになります。

 離婚は非常に身近な問題になってきていますが、養育費の扱いは意外と知られていないようです。皆様のご参考になりましたら幸いです。

今月の初めに、中国の宇宙ステーション「天宮1」が制御不能になり、宇宙空間から地球上に墜落するというニュースがありました。
このニュースを見て私なんかは、落下してくる破片にあたらないかと内心ちょっとビクビクしていましたが、後に確認すると、落下した破片によって人の体に危害が及ぶおそれは1兆分の1という非常に少ない確率だそうで、さらに自分自身に危害が及ぶ可能性はもはや天文学的な確率です(宝くじが当たる想像をしたほうが余程現実的です)。

今回のように宇宙空間に打ち上げた物体が地球上に落下した場合に、仮に人の身体や財産(建物、自動車等)に危害ないし損傷を加えてしまった場合の責任問題はどう処理されるのでしょうか。

実は、この責任問題の処理については、「宇宙物体により引き起こされる損害についての国際責任に関する条約」(宇宙損害責任条約)に規定されており、同条約第2条は以下のとおり物体を打ち上げた国の無過失責任を定めています。
A launching State shall be absolutely liable to pay compensation for damage caused by its space object on the surface of the earth or to aircraft flight.
(打上げ国は、自国の宇宙物体が地表において引き起こした損害、又は飛行中の航空機に与えた損害につき無過失責任を負う。)

今回「天宮1」を打ち上げた国は中国ですが、中国も宇宙損害責任条約を批准していますので、「天宮1」が仮に日本のどこかに落下して損害を引き起こしたとすれば、中国が国として無過失責任を負うことになります。

なお、最近は民間のロケット打上げがホットな話題ですが、宇宙損害責任条約における「打上げ国」(launching State)は、「宇宙物体を打上げ、又は行わせる国」(A State which launches or procures the launching of a space object)(第1条(c)(ⅰ))と定義していますので、たとえ民間が打ち上げた物体が落下して損害を引き起こした場合であっても、打上げを行わせた国が無過失責任を負うことになります。

宇宙からの落下物としては、今回の「天宮1」のような人工物は稀で、多くは隕石が考えられます。隕石が地表に落下したとして、この隕石が誰のものになるのかは、落下地点の国内法の規定に従うことになります。
隕石が落下した地点が日本だとすると、隕石は所有者のない動産として、最初に所有の意思をもって拾った人が所有権を取得することになります(民法第239条第1項)。仮に隕石が地面にめり込んだ場合には、土地に付合したとして土地の所有者のものになります(民法第242条)。

隕石はオークションにかけられることが多く、中には何百万円もの高値をつけるものもあり、石ころ程度の大きさでも何十万になるものもあります。
隕石のオークションサイトを覗いてみると、かなり高額で取引されていることが分かります(月や火星からの隕石は高額です)。

結局隕石かどうかは専門家ないし研究機関でないと判別できませんが、高値がつくかもしれませんので、地面に隕石っぽいもの(?)が落ちていたら、とりあえず拾っておいて、所有権を取得しておいたほうが良さそうですね。

 

ビットコインですが、前回メルマガ以降、下落し、1BTC=70万円と80万円の間をうろちょろしていましたが、412日夜から翌13日朝にかけて、短期間で10万円以上値上がりし、その後、現在(2018/04/231BTC=95万円前後で推移しています。ここ最近としては、大きな値動きですが、何が原因かはよく分かりません。

一説には、各国で納税期限が迫って(または経過して)おり、納税のための売却が減少したことが一因といった見方もあるようです。

さて、昨年末以降、大きく揺れ動く仮想通貨相場に多くのスポットライトがあたっていますが、その背後では、ビットコインに関する技術革新が着々と進化しているようです。

その1つが、ライトニング・ネットワークです。これは、昨年8月のSegwit導入により実装可能となったビットコインの技術で、

1円以下(0.1円など)の送金なども、格安ないし0の手数料で実施でき

・即座に決済される

という性質を有しています。

現在、未だ開発中の段階ですが、仕組みとしては、(ごくごく簡単に言えば)ライトニングネットワークを使おうとする者が、ブロックチェーンのネットワークとは別のネットワーク(ライトニングネットワーク)に参加し、その中で、例えば

 AB 3BTC

 BA 5BTC

 AB 4BTC

とビットコイン取引を行い、これらをまとめて、最終的には、ブロックチェーン上に、

 AB 2BTC

と書き込む、といったもののようです。また、ライトニングネットワーク上で、

 ABC 1BTC

とビットコインが移動した際には、最終的に、ブロックチェーン上には、

 AC 1BTC

が書き込まれることとなります。ブロックチェーンへの書き込みが省エネ化できますので、少額かつ大量の送金を、高速かつ低コストで行うことが可能となるようです。あくまでイメージの話ですが、ビットコイン分野における交互計算や、中間省略登記、といったところでしょうか。

特に、1円以下の単位での課金が(手数料を考えても)現実的にできるようになるため、あらたなビジネスチャンス(例えば、ほんのちょっとしたサービスに、0.1円を課金する、など)が生まれるかもしれません。

また、ビットコインは、1秒あたりで計算すると、67取引/秒の処理能力であり、まだまだ、VISAなどのクレジットカードの処理能力には及ばないと言われていますが、ライトニングネットワークが普及すれば、状況は変わってくるかもしれません。

ただ、他方で、一部、ブロックチェーンに記載されない取引が生じることになりますので、技術的に安全性に問題がないか、十分な検討を要するように思います。

今後の発展に期待です。

・・・ちなみに、ビットコインの市場は、現在、「ビットコイン規制」といったワードには敏感に反応しますが、ライトニングネットワークの進展に関するニュースには、反応が薄いようです(現状で、ほぼ相場に影響を与えていないようです。)。この辺りも、今後、ライトニングネットワークの注目度が今まで以上に上がれば、状況は変わってくるかもしれませんね。

 もうすっかり暖かくなりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

 訴訟や相続関係の手続きなど、法的手続きを取ろうとすると、色々な公的書類を揃える必要があります。これらの書類は、一部弁護士の方で取ることができるのですが、どのような書類であれば弁護士に取ってもらうことができるのでしょうか。
 この点は、質問される機会も多いので、この機会に代表的なものをまとめておきたいと思います。

① 住民票
 住民票は、住民基本台帳法に基づき交付請求できる書類で、現住所の市町村役場に請求します。
 住民票には、現住所や本籍地が記載されており、正確な現住所が知りたい場合や本籍地を知りたい場合に取り寄せることがあります。弁護士の業務との関係では、戸籍を取りたいのに本籍地が分からないといった場合に、まず住民票を取り寄せて本籍地を明らかにすることが多いです。

 住民票は、一定の要件を満たす場合には、弁護士や司法書士が取得することができます。具体的には、①弁護士がある事件を受任していて、②その事件の依頼者が、自己の権利を行使し、又は自己の義務を履行するために住民票の記載事項を確認する必要がある等、住民票の交付を受けるについて正当な理由がある場合に、弁護士の方で住民票を取得することができます(住民基本台帳法第12条の32項)。

 ですので、例えば、弁護士が遺産分割調停の申立てを受任して、被相続人の戸籍を集める必要がある場合に、被相続人の住民票を取得して本籍地を調べるといったことは、上の①②を満たすので、許されます。
 上の例以外でも、ご依頼いただいた事件で住民票を取得する必要が出てきたという場合には、①②の要件を満たすことが多いので、多くの場合、弁護士の方で住民票の取得が可能と思われます。

② 戸籍謄本・抄本
 戸籍謄本・抄本は、戸籍法に基づき交付請求できる書類で、戸籍に記載されている人の本籍地の市町村役場に請求します。
 戸籍謄本には、同一戸籍内の全員について、氏名等の他に、戸籍事項(戸籍の編纂日等)や身分事項(出生・婚姻等に関する情報)が載っているため、特定の人の家族関係を明らかにしたい場合に使用されることが多いです。

 戸籍謄本・抄本についても、住民票の場合とほとんど同様で、①弁護士がある事件を受任していて、②その事件を処理するにあたって必要がある場合には、弁護士の方で戸籍謄本・抄本を取得することができます(戸籍法第10条の234項)。

 ですので、戸籍謄本・抄本も、事件を依頼していただいた中で取得する必要が出てきた場合には、ほとんどの場合、弁護士の方で取得することができることになります。

③ 固定資産評価証明書
 固定資産評価証明書は、地方税法に基づき交付請求できる書類で、不動産の所在する市町村役場に請求します。
 固定資産評価証明書には、不動産にかけられる税金の計算根拠となる不動産の評価額が記載されているため、その不動産の評価額を知りたい場合に使用されることが多いです。

 固定資産評価証明書に関しては、取得できる場合が法律と政令によって定まっているのですが、地方税法施行令第52154項において、「民事訴訟費用等に関する法律別表第一の一の項から七の項まで、一〇の項、一一の二の項ロ、一三の項及び一四の項の上欄に掲げる申立てをしようとする者」は、固定資産評価証明書を取得できるとされています。これは、ざっくりまとめてしまえば、当該不動産に関する民事訴訟を提起する場合を示しています。
 全くの第三者である弁護士が固定資産評価証明書を取得できる場合で当てはまりそうなのは上記のみですので、固定資産評価証明書に関しては、当該不動産に関する民事訴訟を提起する場合に限って、弁護士も取得することができるということになります。

④ 課税証明書
 課税証明書は、地方税法に基づき交付請求できる書類で、発行年の11日時点の住所地の市町村役場に請求します。
 課税証明書には、対象者に住民税がいくら課税されたのかが記載されているのと同時に、(自治体によって違いがあるのですが、多くの場合、)課税対象となる収入や所得の金額が記載されているため、課税対象者の収入・所得金額を知りたい場合に使用されます。

 課税証明書に関しては、法律で「地方団体の長は、…(課税)証明書の交付を請求する者があるときは、その者に関するものに限り、これを交付しなければならない。」(地方税法第20条の10)と定められており、弁護士等の完全なる第三者がこれを取得することはできないことになっています。
 したがって、課税証明書に関しては、依頼された事件の処理に必要な場合でも、弁護士の方で取ることはできないので、課税された本人か、本人と同一世帯の親族であれば申請を受け付けている自治体も多いため同一世帯の親族に取得してもらう必要があります。

以上、弁護士の公的書類の取得について、代表的なところをまとめてみました。
弁護士その他の士業にご依頼いただく場合には、ぜひご参照いただければと思います。

ご存知のとおり労働基準法では、労働時間の限度を規律する法定労働時間(18時間、週40時間)が規定されており、この法定労働時間を超えて労働者に労働させるためには、時間外労働(及び休日労働)に関する協定(いわゆる三六協定)を使用者と労働者との間で締結しなければなりません(労基法第36条第1項)。

この点、いわゆる法内残業(会社が定めた所定労働時間を超えてはいるが、法定労働時間内で行われた残業)であれば、三六協定の締結は必要ありません。
三六協定を締結し労働者に残業をさせた場合には、使用者は残業代(割増賃金含む。)を支払わなければなりません(上記の法内残業であれば、時間分の賃金だけで割増賃金の支払いは不要です)。
その計算方法は次のとおりです。

・時間外労働の時間×1時間あたりの賃金(月給÷1ヶ月あたりの平均所定労働時間)×1.25

※さらに、1ヶ月の時間外労働が60時間を超えた場合には、その超える部分の時間については、1.5倍の割増賃金になります。ただし、中小企業については猶予措置が定められていますが、平成313月末日までの見込みです(「労働基準法等の一部を改正する法律案要綱」の答申(平成2732日))。
従業員の労働時間管理は、タイムカードやICカード等の客観的な記録を基礎として行わなければならず、自己申告制を行う場合には適切な措置を講じなければなりません(詳細は「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(厚生労働省労働基準局監督課平成29120日策定)参照 https://www.startuproudou.mhlw.go.jp/pdf/guidelines.pdf)

時間外労働の計算は客観的な記録を基礎として1分単位で行わなければならず、実務上(労基署対応上)、始業開始の何分か前は労働時間に算入しないことがありますが、これは労基署のいわばお目こぼしであり、やはり原則としては1分単位で計算する必要があります。

ちなみに、深夜労働(午後10時~午前5時)を労働者が行った場合には、深夜労働の割増賃金として、次のとおり加算されます(さらに法定労働時間外であれば、合計の割増率は1.5倍になります。)

・深夜労働の時間数×1時間あたりの賃金×0.25

次に、休日労働を労働者が行った場合は、1.35倍の割増率・・・かといったら必ずしもそうではありません。
労基法が定める週1日の「法定休日」に行われた労働と、それ以外に就業規則や労働契約で定められた週の休日である「法定外休日」に行われた労働とを区別しなければなりません。

すなわち、「法定休日」の労働については、次のとおり使用者には割増賃金を支払うことが義務づけられています(労働基準法第三十七条第一項の時間外及び休日の割増賃金に係る率の最低限度を定める政令)。

・法定休日労働の時間数×1時間あたりの賃金×1.35
(さらに深夜労働(割増率0.25)があれば、合計の割増率は1.6倍になります。)

一方で、「法定外休日」に行われた労働に関する賃金ついては、特に法律は規定していませんので、仮にその休日労働が時間外労働であれば1.25倍の割増賃金を支払わなければなりませんが、特に時間外労働にあたらなければその賃金は労働契約・就業規則の定めによって決まることになります。

「法定休日」に行われた労働と「法定外休日」に行われた労働とを区別せず、休日労働に対しては必ず1.35倍の割増賃金を支払う(貰える)と考えている方もいらっしゃるかと思いますが以上のとおり注意が必要です。

残業代の計算は、従業員数が多くなればなるほど大変な計算になり、また2年間の消滅時効にかかるとはいえ(労基法第115条)、6%の遅延損害金も加算されるので放置しておくとかなりの金額になるので気を付けなければなりません。なお、残業代は退職者に対しても支払う必要があり、退職者に対しては、退職後から14.6%の遅延損害金(賃金の支払の確保等に関する法律第6条第1項)が発生することになりますので注意する必要があります。

最近では労働者の意識も変わり、残業代もきっちり貰うという流れになってきており、金額が大きくなりがちな残業代の精算は、使用者にとっては頭の痛い問題ですね。
今では社会的にも「残業を前提としない働き方」が求められていますので、私自身も頑張りたいと思います(ちなみに弊事務所では専門型裁量労働制が導入されており、深夜・休日労働を除き残業代は発生しないので、私にとって「残業を前提としない働き方」は切迫した課題です)。

さて、NEM流出事件後のビットコインですが、前回お伝えしたとおり、1BTC=70万円を割るまで下落した後、上昇に転じていました。その後、1BTC=120万円を超えるところまで上昇したのち、下落に転じ、1BTC=80万円を割るまで下がりました。しかし、319日頃を境に、また上昇し、現在(2018/3/22)、1BTC=96万円前後で取引されています。

この間、312日には、コインチェックが、NEMに関する補償を実施し、NEMの価格は一時上昇しましたが、価格グラフを見ると、ビットコインへの影響は少なかったように思います。

他方、ビットコイン価格の下落の要因となった背景の1つとしては、319日、20日にアルゼンチンで開かれたG20のようです。このG20では、仮想通貨が議題に上がっており、世界的な仮想通貨の規制強化がなされるのではないかとの見方から、ビットコイン価格のマイナス要因となったといわれています。

しかし、結果、ふたを開けてみれば、具体的な規制の合意はなされていません。ビットコイン価格は、この影響もあり、上昇傾向に転じたようです(今のところは。)。ただ、他方で、マネーロンダリング対策のために、今年7月までに規制の在り方をまとめることにもなっています。

このG20の評価については、様々な見方があるようですが、メディアでは、「今後は、規制強化・・・か?」といった、否定的なニュアンスとなっています(実際、新聞などをご覧いただくと分かるのですが、「規制強化」との断定を避け、かなりお茶を濁したような言い方になっています。)。

私個人としては、マネーロンダリング防止のための規制強化に関しては、やり方にもよるでしょうが、仮想通貨業界にとって必ずしもデメリットだけではないように思っています。特に、各国の統一的な規制・ルール作りがなされれば、今回のNEM流出事件のような事件が起こっても、流出した仮想通貨の追跡・ロンダリング防止や犯人検挙などが容易になるのではないかとも思います。また、ロンダリングが困難になり、犯人も容易に検挙されるようになれば、取引所に対するハッキングも「割に合わない」として減ってゆく可能性もあります。

ちなみに、現状、日本では、マネーロンダリング防止の趣旨も含め、世界に先駆けて仮想通貨法(資金決済法の一部)を制定・施行しており、今回のG20でも、議論をリードすることが期待されていました。が、麻生財務大臣は、森友問題への対応を優先して欠席となりました。森友問題が、思わぬところで仮想通貨業界にも影響していますね。

今後は、仮想通貨業界にも配慮しつつ、世界的に統一的な基準を、日本がリードして作って行ければ、と期待を寄せています。

金融庁が無登録営業を理由に世界最大の仮想通貨交換業者の香港に本社があるバイナンスに改正資金決済法に基づく警告を出す方針との報道がなされました。以下、2018年3月23日(金)日本経済新聞朝刊1面の「香港仮想通貨業者に警告」という見出しの記事から抜粋です。

「同社は2017年の設立。扱う仮想通貨は約120種類で手数料も比較的安い。利用者数は世界約600万人。そもに世界最大とされ、日本でも国内業者から同社に取引を移す利用者が多い。
 金融庁は、同社が日本人の口座開設時に本人確認していなかった点を問題視。匿名性の高い仮想通貨を複数扱い、マネーロンダリング(資金洗浄)対策も未整備とみる。警告と同時にホームページを公表する。」

「2017年の設立」って、昨年のこと?という感じでとても驚きますが、こういう業者がいるから、NEMについても、流出したNEMを追跡できても、なかなか犯人の特定には至らないのかな?と思います。少々気になるのが、金融庁のホームページで公表されて、それがどのような意味があるのか?という点。香港の業者が日本の金融庁の指示に従ってくれるのかしら。この分野の規制については、国際的な取り決めが必要という感じがしますね。

2018年3月23日(金)朝刊社会面の「流出NEMほぼ全額交換」「580億円分 財団追跡中止で加速か」との見出しの記事で、コインチェックから流出した約580億円のNEMのほぼ全額が、匿名性の高い闇サイト「ダークウェブ」で他の仮想通貨と交換された疑いがあることが報道されています。私が注目したのは次の部分。

「警視庁は2月下旬に捜査本部を設け、捜査員約100人体制で流出の経緯を調べている。
 捜査本部は同社システムの通信記録(ログ)を解析。流出の数時間前まで同社のシステムが欧米のサーバーと不信な通信をしていたことを確認した。流出に関与した人物が不正にアクセスしてNEMの移動に必要な「秘密鍵」を盗んだ疑いがあるが、発信元の特定には至っていない。
 捜査本部は交換に応じた人物から事情を聴き、ビットコインなどの取引状況を注視している。」

流出したNEMについては、先日、NEM財団が追跡を中止したとの報道がありましたが、警視庁は、流出NEMとの交換に応じた人物から事情を聴いているとのことであり、徐々に犯人の包囲網が狭まっているような印象です。

少々わからないのは、この交換に応じた人物というのは、不正に流出させられたNEMであることがわかっているのに交換に応じたということなのでしょうか?通貨という以上、不正に流出させられたNEMであっても、占有とともにその所有権(権利)は移転し、民法の善意取得条項の規定の適用はない、つまり、不正に流出されたものであることを知っていたとしても、そのNEMの権利は、譲受人に移転する、というふうに考えるのでしょうかね?そもそも何法が適用されるのか、という問題も含め、法的に興味深い論点が沢山あるように思いました。

日本経済新聞2018年3月20日夕刊1面の「自動車運転で死亡事故 ウーバー車、米で歩行者はねる」との見出しの記事の抜粋


「米ライドシェア最大手ウーバーテクノロジーズの自動運転車がアリゾナ州で歩行者をはね、死亡させる事故が起きたことが19日までに分かった。同社はペンシルべニア州ピッツバーグなど他地域を含む北米4都市すべての公道での自動運転車の走行試験をいったん中止した。」


「米紙サンフランシスコ・クロニクルによれば、地元警察は歩行者が急に飛び出し、人間でも避けるのが難しい事故だったとみているという。」


「米国では既に1000台以上の自動運転車が実験走行中で、台数は急速に増えている。事故が起きたアリゾナ州は規制緩和が進み、無人運転の実験も始まっている。自動運転開発の世界的な中心地カリフォルニア州でも4月に無人運転が解禁される予定だ。」

(私のコメント)
事故でお亡くなりになった方にはお悔やみ申し上げますが、自動運転がもうそこまで来ているなと少々衝撃を受けました。あと5年〜10年後には、人間が自動車を運転することはなくなっていくのかもしれませんね。そうすると、たしか、損保会社の売り上げの半分は自動車保険と聞いたことがありますので、損保業界には大変動が起きることになるのでしょう。そして、もちろん、交通事故を主な収入源としている法律事務所・弁護士先生の仕事にも大変動が起きるのでしょうね。そんなことを考えた記事でした。

2018年3月20日日本経済新聞夕刊社会・スポーツ面の「ネットの人権侵害 2000件超 5年連続で最多更新」「『名誉棄損』が48%増加」という見出しの記事から抜粋。


「法務省は20日、2017年に全国の法務局が救済手続きを始めた人権侵害の状況を公表した。無断で個人情報を掲載するなどのインターネット上の人権侵害は前年比16.1%増の2217年と5年連続で過去最多を更新し、初めて2千件を上回った。」


(私のコメント)
裁判所の仮処分案件でも、今やネットの名誉侵害の削除請求等がとても多い状況なので、たとえば東京地裁あたりに、ネット関係の仮処分案件やネットの名誉侵害案件の専門部を作って、これらの案件を効果的に審理するようなことができないかな、と思います。高齢化・人口減の影響なのかはよくわかりませんが、裁判所の事件が年々減少傾向にあるので、時代の流れに即応して、少しでも国民の役に立つような制度・運用に変えていけたらな、と思うのですが、いかがでしょう?

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