1.最近、私にとってはちょっと意外に思える判例と解釈論に触れました。

 それは、定期建物賃貸借契約における中途解約条項を無効と判断する判例と解釈論です。

 

 その判例というのは、東京地方裁判所平成25820日判決(ウエストロー・ジャパン文献番号2013WLJPCA08208001)で、確かに、「定期建物賃貸借契約である本件契約において、賃貸人に中途解約権の留保を認める旨の特約を付しても、その特約は無効と解される(借地借家法30条)。」と言い切っているのです。

 また、この判例と同様の結論を述べる文献にも触れました。それは、水本浩・遠藤浩・田山輝明編『基本法コンメンタール第二版補訂版/借地借家法』(2009年月、日本評論社)で、119頁に、「家主からの中途解約権を認める特約は、契約の終了期限が不確定なものとなるので、定期建物賃貸借契約の制度趣旨に鑑み、無効と解すべきである。」などと書いてあるのです。

 

2.しかしながら、私としては、どうもこの結論には納得できません。

 上記の判例のいう借地借家法第30条というのは、「この節の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。」という規定ですが、普通賃貸借契約においても、賃貸人の中途解約権を留保するような特約は有効と解されており、なぜ普通賃貸借で許されるものが、定期建物賃貸借契約では許されなくなるのかが説明し切れていないように思います。

 おそらく上記の学説は、これに実質的な説明を示そうとして「家主の中途解約を認めると契約の終了期限が不確定となり定期建物賃貸借契約の制度趣旨に反する」という説明を試みているものと思われるのですが、定期建物賃借契約の制度趣旨は契約の更新のない賃貸借契約を認めようとするところにあり、更新の話と中途解約の話は別問題と考えることもできますので、この説明は説得的ではないように思います。

 

3.そもそも定期建物賃貸借契約の立法時の国会における議論を紐解いてみると、定期建物賃貸借契約であっても、普通賃貸借契約と同様、賃貸人・賃借人を問わず中途解約条項は有効であり、ただ賃貸人側から中途解約権を行使するには、借地借家法28条により正当事由が必要となるとの趣旨の答弁がなされており(第146回国会 参議院国土・環境委員会会議録438頁)、賃貸人の中途解約権を認める特約を無効とするような解釈はとられていません。

 

 また、文献上も、稲本洋之助・澤野順彦編『コンメンタール借地借家法 第3版』(平文社、20103月)301頁には、「賃貸人は、賃借人との合意によって中途解約権を留保している場合以外は、解約権を有しない。」と記載されており、合意した場合には賃借人の中途解約条項が有効であることが前提とされていたことは間違いありません。

 

4.そして、この問題にきちんとした理由を付して説明しているのが小澤英明、(株)オフィスビル総合研究所編『定期建物法ガイダンス』(住宅新報社、2005月)です。ここでは、小澤英明弁護士がとても分かりやすく説明してくださっているので、同書224頁〜225頁の該当箇所を引用したいと思います。

 

(以下、引用)

 解約権留保の定期建物賃貸借契約は定期借家契約に該当するのだろうか。例えば、「本契約は、期間を2年とし、更新しない。ただし、借主は6か月前の通知により、期間中といえでも本契約を解約することができる。」という規定がある建物賃貸借契約は定期建物賃貸借契約に該当するのだろうか。これは、期間の定めのある契約で、更新しないことが明確であるから、定期借家契約に該当する。中途解約権があれば必ずしも期間満了で終了するわけではないから、借地借家法新382項の説明ができないため定期借家ではないという屁理屈もあるかもしれないが、同条項はコウシンしない契約であることにつき不注意な借主による契約の締結を防止しようとする意図によるものであることは明白であるから、それ以上に同条項に意味をもたせるべきではない。

 それならば、借主に中途解約権がある場合はどうだろうか。これも同様である。問題は、中途解約権が貸主に与えられている場合に、中途解約権の効果が約定どおり認められるか否かということである。これは認められない。なぜならば、貸主による中途解約は借地借家法271項、28条および30条の適用があり、これを排除することは新しい借地借家法38条でも認められていないからである。つまり、中途解約権を行使する場合は、正当事由が必要である。もっとも、このような解釈に対しては、借地借家法271項は期間の定めのない賃貸借の場合の規定であり、また、28条は271項による解約の場合であるから、定期借家には適用がないのではないかという疑問も提起され得る。しかし、借地借家法271項および28条の規定は、民法の特則である。民法617条およびこれを準用している618条では、期間の定めのある賃貸借において、中途解約権が与えられている場合、解約申入れを行って3か月経過して終了することを定めている。これを貸主からの解約の場合は、6か月にして、かつ、正当事由の具備を求めたのが借地借家法271項および28条である。そうであれば、271項や28条は、期間の定めのある賃貸借にも適用がある。従って、貸主の中途解約権の行使には従来どおり、正当事由が必要と解せざるを得ない。

(引用終わり)

 

長々と引用しましたが、私としては、この小澤弁護士の見解が、立法時の考え方に最も合致しているし、とても説得的なので、適切であると思います。

 

5.なお、一番新しく出版された田山輝明・澤野順彦・野澤正充編『新基本法コンメンタール借地借家法』(新日本評論社、20145月)233頁〔吉田修平執筆部分〕では、賃借人の中途解約権を認める特約は有効であるし、しかも、その場合、中途解約をするには正当事由も要求されないとの見解が述べられています。面白い見解なので引用すると、

 

(以下、引用)

 本条〔注:借地借家法28条〕1項の文言上、「30条の規定にかかわらず」と定めていることで、本法26条および28条の規定が適用されないことが明確化されているから、定期借家契約においては賃貸人からの解約権の行使に正当事由が要求されることはない。

 そして民法618条によれば、当事者が賃貸借の期間を定めた場合であっても、その一方または双方がその期間内に解約をする権利を留保した場合には、同法617条を準用することになる。同法617条によれば、当事者の解約申入れにより、建物賃貸借は解約申入れから3カ月の経過によって終了する。

 すると、定期借家契約の場合については民法618条および同617条により、賃貸人からの期間内の解約権を定めたときは、解約申入れにより3カ月で終了するとかいすることになる。

 よって、賃貸人と賃借人が真に自由な意思によって合意した以上、その合意通りの効力が認められるものと解さざるを得ない。

(引用終わり)

 

 私としては、この見解に従えば、当事者間の合意により「正当事由」の有無の厄介な判断まで回避できるので、大変魅力的ではあると思うのですが、当初述べた通り、「更新の問題」と「正当事由の問題」は別と考えており、「30条の規定にかかわらず」と規定されていても、そこから、27条、28条の規定の不適用まで読み取るのは難しいと考えています。

 

6.ただ、いずれにしても、定期建物賃貸借契約の立法時の考え方、借地借家法と民法の条文解釈さらには普通賃貸借契約とのバランスからして、賃貸人側の中途解約権を無効とするような東京地方裁判所平成25820日判決の考え方には違和感があります。

 

この記事が、この論点を考えるにあたって一つの参考になれば幸いです。

 

さて、81日の波乱が過ぎた後、ビットコインは、またも、高騰しました。7月に、一時、1BTC=21万円台にまで下がっていたビットコインは、現在、1BTC=46万円台で、過去最高価格を更新しています(平成29816日現在)。

 

状況的には、81日の混乱を回避したことや、Segwitのアクティベートに向けて問題なくステップを進んでいること(Segwitの導入は確実になりましたがアクティベート=実際の効力発動はまだ生じておらず、8月下旬頃に予定されています。)などから、期待が高まっているようです。また、北朝鮮問題のような国際情勢も、価格に影響しているのではないか、という声もあります。

 

ちなみに、BitcoinCashに関しては、分裂はしましたが、特段ビットコインに問題は生じていません。分裂、という表現よりは、少数者が離脱した、という表現の方が近いように思います。BitcoinCash自体は、その後、支持を撤回する者も出てきているようです。

 

 

 

ただ、これで全てが終わったわけではありません。以前のメルマガでもお伝えしていますとおり、ビットコインは、11月に、ハードフォークを予定しています。

 

ハードフォークが実施されれば、さらに、ビットコインが2つに分かれることになり、その辺りで、また、混乱が生じるかもしれません。もっとも、これも、今後の状況次第でどうなるかは分かりません。今後、ハードフォーク不支持が多数となり、ハードフォークが起こらない(又は、起こったとしても、少数の離脱となる)可能性もあります。ハードフォークに関しては、今後も、注意深く動向を見てゆく必要があります。

 

 

 

ちなみに、11月の混乱に向けて、大手メディアの報道については、注意深く受け止める必要がありそうです。ブログにもかかせていただきましたが、今回、81日の騒動に関して、新聞等のメディアの報道は、過度にセンセーショナルで、ミスリーディングなものもありました。ビットコインに関しては、技術的にも新しく、また、情報が刻一刻と新しいものになっていることから、大手メディアといえども、正確な記事を書くのが難しいのかもしれません。そのため、11月の状況に関しても、1社のメディア報道のみを信じるのではなく、著名なビットコインニュースサイト等も見て情報収集をすることがおすすめです。

 

理想を言えば、ハードフォークのような大きな話題に関しては、仮想通貨の業界団体が、(簡単なものでもいいので)逐次ニュースを発信するような体制ができればと思いますが・・・

 

こういった点も、仮想通貨に関する、今後の課題のように思います。

昨年に引き続き、

8月14日から、飛田&パートナーズではインターンシップの学生さんを受け入れております。

今年は、K大学のTさんが1週間の執務体験をして下さっております。


理解を深めようと熱意をもって真剣に取り組むTさんの姿が、事務所に良い緊張感と活気をもたらしてくれています!

私たちの事務所での経験を今後の社会生活に役立てていただけたらと期待しております。
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最近、ちょっと残念だな、と考えさせられる判決がありました。

 

案件としては、(判決からは正確にはわからないのですが)大学の教授または研究者の夫と、公務員として働きながら大学院にも進学するような向上心溢れる妻の離婚の話なのですが、ともにプライドが高く、ことあるごとに衝突して、別居に発展。その過程で、妻が、当時、2歳4か月の長女を夫に無断で実家に連れ帰り、以後、5年10か月間、はじめの方に6回娘にあわせただけで、その後は、夫が娘に会うのを拒否し続けたという案件です。

 

この案件では、婚姻関係が破たんしていことは明らかですので、離婚自体は認められるのですが、問題は、娘の親権者を誰にするか?です。

 

原審の千葉家庭裁判所松戸支部は、夫が妻に対し100日程度娘に会うことを保障する計画を提出していることを重視して、親権者を夫にすることを認め、妻に対して長女を夫に引き渡すように命じました。相手に100日の面会権を認めるから、自分を親権者にしてください、というのは従来なかった非常に進歩的な主張であり、この判決も画期的だったのです。

 

これに対し、東京高等裁判所は、「長女は妻のもとで安定した生活をしており、健康で順調に生育し、母子関係に特段の問題もなく、通学している小学校にも適応している」とか「年間100日の面会は長女の負担になる」などといって、妻を親権者にするのが適当だと判決したのです。夫の面会権については判示していませんが、妻側は、月1回(年12回か?)などと主張しておりました。

 

で、最高裁はどのような判断をしたかというと、(私にとっては)残念ながら、二審の東京高裁の判決を支持して、夫の上告を退けたのです。

 

私は、一審の松戸支部判決も、二審の東京高裁判決も読んでみましたが、松戸支部判決の方がはるかに説得力があるように思いました。

東京高裁判決の看過できないのは次の点。

 

1.妻が長女を連れ去ったことや、夫と長女との面会を長い間認めなかったことを、別居した当初、夫が仕事に忙しく長女の看護を委ねるのが困難だったからとか、結婚関係が破たんに瀕していて話し合うことも困難だったからとか、夫がマスメディアに娘との面会が認められないことを報道してもらおうとしていたから、等といって正当化しようとしているように思われる点。(ハーグ条約の観点からすると、こんなこと言っていたら怒られますよ。)

 

2.年間100日間の面会交流について、妻宅と夫宅の往復で長女の身体に負担が生じるとか、学校行事への参加、学校や近所の友達との交流に支障が生じるおそれがあり、必ずしも長女の健全な育成にとって利益になるとは限らないとかと言っている点。(欧米では、これくらいの面接交渉の日数は珍しくないでしょう。例えば、Week Daysは妻宅、Week Endは夫宅などというのは良くある話です。)

 

3.逆に、月1回の面接交流について「当初はこの程度の頻度で面会交流を再開することが長女の健全な育成にとって不十分であり長女の利益を害するとは認めるに足りる証拠ない。」などといっている点(逆に、月1回で十分という証拠はあるのか聞きたい。東京高裁の裁判官は、自分の子供と月1回6時間程度しか会えなくて、それで良いと考えているのかしら?)

 

私が最も嫌なのは、東京高裁判決は、配偶者の一方が無断で子供を連れ去って、子育ての最も重要な時期に、長年、他方に会わせないという非常に残酷なことをしているのに、むしろ、それをして既得権益を積み上げていった方が良い結果がでるという「やり勝ち」を奨励する結論になっていることです。

 

でも、こういう「やり勝ち」を許していたら、なんで司法があるの?ということになると思うのですが、そうではないのですかね(悩みます。)

霞が関にある弁護士会館は日比谷公園の向かいにあり、休憩スペースからは日比谷公園を上から見下ろすことができるので、都会の中にある自然を観ながら休憩している方(多くは弁護士)をよく見かけます。

 

最近休憩スペースから日比谷公園側を観てみると、帝国ホテルの並びに一つだけ突出した巨大なビルが建設中でした。調べてみると新日比谷プロジェクト(仮称)という高層ビル計画だそうです。高さは約191mになるそうで、最近建設された渋谷ヒカリエが約182mなので、それよりも9m程度高い高層ビルになります。

この高層ビルはオフィスビルですが、低層階は商業施設になり、巨大な映画館も入るということなので、映画好きとしては今から楽しみです。

 

この高層ビルは日比谷公園沿いの他の建物と比較すると、一つだけ目立って高いので、そんなに高いビルが建てられるのかなぁと、違和感がありました。

というのも、ご存知の方も多いと思いますが、たとえ自分の土地だとしても、自分で自由に高さや大きさを決めて建物を建てられるわけではなく、建築基準法や都市計画法等の規制がかかり、ビルを建てるにしてもその高さには限界があるためです。

 

建築できる建物の高さについて説明すると、まず建物を建てようとする土地の面積(敷地面積)のうち建物を建築することが可能な面積(建築面積)が地域によって異なります。この敷地面積に対する建築面積の割合を「建ぺい率」といいます(建築基準法53条)。例えば建ぺい率が60%だと、100坪の土地に、最大60坪の面積に建物を建築することができます。

次に、敷地面積に対する、建物の床面積の合計(延床面積)の割合も地域によって決まっており、これを容積率といいます(建築基準法52条)。この容積率によって建築する建物の高さの限界が決まります。ただし、延床面積のうち、例えばエレベーターの面積分は容積率の計算対象にはならない等の取扱いがなされています。

容積率は住居地域なら200%や300%程度になりますが、低層住居専用地域ならもっと低くなり、例えば田園調布の容積率は80%程度しかありません。商業地域は概ね600%~800%になるため、商業地域では高い建物を建てることができます。

 

さて、本件の日比谷の高層ビルの所在地である東京都千代田区有楽町一丁目1番の建ぺい率と容積率を調べてみると、建ぺい率が80%、容積率が900%と定められていました。

また、公示されている建築計画をみると、敷地面積は約10,702㎡で、延床面積のうち容積率の対象面積は約155,180㎡でした。

ここで容積率の対象になる延床面積から容積率を計算してみると、155,180㎡÷10,702㎡×1001450(%)となり、この地区の容積率900%を550%も超えていました!

 

それではこの高層ビルは違法建築なのか、というとそうではなく、実は「都市再生特別措置法」という法律によって、「都市再生特別地区」の都市計画決定を受ければ、容積率等の制限の緩和を受けることができるのです。

その観点から東京都千代田区有楽町一丁目1番を調べてみると、きちんと都市再生特別地区の都市計画決定を受けており、容積率が「900%」から「1450%」に緩和されています(都市再生特別地区状況一覧http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/toshisaisei/04toushi/h270401ketteijoukyou.pdf)。

 

この都市再生特別地区の都市計画決定を受けて、高層ビルや延床面積の大きい建物を建築している例は結構あります。上述の渋谷ヒカリエや、丸の内のJPタワー、銀座の歌舞伎座タワーやGINZA SIX、大阪のあべのハルカス等があります。

 

最近の高層ビルは、スタイリッシュなものが多く、どのように空間を生かし、どのような機能性を有しているのかを見るのは面白いですね。

今回の日比谷の高層ビルは、来年1月に工事が完了するそうなので、出来上がったら見に行ってこようと思います。

 

堀江貴文氏が創業者であり、役員も務めているインターステラテクノロジズ社が、観測ロケットの「MOMO」を730日に打ち上げました。

MOMOは全長10m、重さ1トンで、目標高度の100kmには約4分で到達できる能力を持つ観測ロケットだそうです。

打ち上げ当日は、多数の報道陣が集まっていましたが、MOMOは打ち上げ後、高度約20kmに達した時点で緊急停止した末に、沖合に落下してしまいました。

目標の100kmには遠く及ばず、打ち上げは“失敗”だったという声が叫ばれています。

 

しかし、MOMOは、地上から緊急停止コマンドを送るまで正常に作動していたらしく、また今後のロケット開発に多くの情報を提供して貢献するでしょうし、本当の意味での失敗とはいえないと思います。今回の打ち上げは、まだまだ民間企業のロケット打ち上げが一般的ではない中での打ち上げであり、しかも低価格でコンパクトなロケットというコンセプトを持って臨んでいる、いわば挑戦です。そのため、今回の打ち上げは、失敗ではなく今後の宇宙開発にとって大きな一歩になることは間違いないでしょう。

堀江氏やインターステラテクノロジズ社の方々には、まだまだ挑戦し続けて欲しいと思います。

 

ところで、今回のMOMOの目標高度である「100km」ですが、なぜ100kmかというと、高度100kmの空間は宇宙空間とみなされるからです。

もっとも、条約や法律のどこかに、高度100kmが宇宙空間である、と定められているわけではありません。

国際航空連盟(スカイスポーツの国際組織)が宇宙空間と大気圏の境界を高度100kmと独自に定め(この境界をカーマン・ラインといいます。)、その基準に皆が慣習として従っているに過ぎません。ちなみにアメリカのNASAもこの慣習に従っています。

 

慣習ではなく、早く条約で「宇宙空間」を定義してしまっても良いのではないかと思います(近年国連でも検討課題としているようです)。

この定義付けがなかなか進まない理由として、宇宙条約によって、宇宙空間の国家による領有が禁止されていることが挙げられるでしょう(宇宙条約2条)。

宇宙空間を国家が領有することはできず、宇宙空間より下が各国の領空になるため、厳密に宇宙空間が定義されると自分の国の領空が制限されてしまうとでも考えるのでしょうか。しかし、高度100kmまで領有権が確保できたら十分でしょう。

宇宙への進出という遠大な目的のために、まずは宇宙空間の定義を行うという一歩を踏み出して欲しいところです。

 

翻って今回のMOMOのロケット打ち上げは、宇宙開発にとって大きな一歩となりました。MOMOに触発された子どもたちが、将来宇宙飛行士や、宇宙開発の技術者・関係者になるかもしれません。

これからも日本だけでなく世界中の宇宙開発に期待したいです。

本日の新聞などを見ると、ビットコインの分裂について、大きく取り上げられています。ただ、報道内容を見ると、過度にセンセーショナルな内容で、誤解を生じかねないように思います。


確かに、分裂したことは事実なのですが、今回の分裂は、かねてから大きな問題とされていた分裂問題(Segwit・UASFにまつわる分裂問題)とは別物で、今のところ、それ程、大きな問題とはされていません。


7月24日付のブログ記事でも記載させていただきましたとおり、今回の分裂は、ビットコインのネットワーク参加者のごく一部が、ビットコインをハードフォークさせて、BitcoinCashという独自の仮想通貨を作る、というものです。しかし、追随するネットワーク参加者が多く集まっている訳ではなく、現状では、大きな問題は生じないと考えられています。


なお、既に報道されているように、かねてから問題とされていた方の分裂問題(8月1日のUASFによる分裂問題)は、回避されました。


その他、詳細が気になる方は、小職の7月24日付ブログ記事をご覧いただければ幸いです。

今月7日(平成2977日)、基本給にあらかじめ割増賃金を含む旨の合意の有効性が問題になった最高裁判決が出た。結論は、当該合意によって割増賃金が支払われたということはできない、というものである。

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/897/086897_hanrei.pdf

 

事件の当事者は、勤務医とその勤務先である医療法人である。事実の概要をシンプルにすると次のとおり。

・年俸1700万円。その内訳は、(1)本給月額86万円、(2)諸手当月額341000円、(3)賞与(本給3か月分相当額を基準に成績勘案)。

・週5日勤務。所定労働時間は午前830分から午後530分まで(休憩1時間)。時間外労働あり。

・時間外労働については、医師時間外勤務給与規程に定めがあるが、これによるとすべての時間外労働が時間外手当の対象とはなっていない。

・上記規程に基づく時間外手当以外の時間外労働に対する割増賃金は、年俸1700万円に含まれることが合意。ただし、当該年俸のうち割増賃金に当たる部分は明らかにされていなかった。

・勤務医側は、割増賃金が支払われていないとして、その支払いを求めた。

 

原審である東京高裁平成27107日判決の判断の要旨は、次のとおり(最高裁判決から引用)。

「本件合意は、上告人の医師としての業務の特質に照らして合理性があり、上告人が労務の提供について自らの裁量で律することができたことや上告人の給与額が相当高額であったこと等からも、労働者としての保護に欠けるおそれはなく、上告人の月額給与のうち割増賃金に当たる部分を判別することができないからといって不都合はない。したがって、本件時間外規程に基づき実際に支払われたもの以外の割増賃金(略)は、上告人の月額給与及び当直手当に含めて支払われたものということができる。」

 

この原審の判断は、基本給の中の割増賃金に当たる部分が判別できないことを認めつつも、実質的に労働者保護に欠けるおそれはないとして、合意どおり、割増賃金が支払い済みとしてOKという立場であったといえる。

 

これに対して最高裁の立場はーーNO。今回、最高裁は、過去の最高裁判決を参照しながら、労働基準法37条の趣旨を説き、同趣旨から、「割増賃金をあらかじめ基本給等に含める方法で支払う場合においては、……労働契約における基本給等の定めにつき、通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを判別することができることが必要であ」るとして、今回の合意によって、割増賃金が支払い済みということはできないと判断した。なお、判別可能性が必要という判示の箇所では、(a)最高裁平成6613日判決[高知県観光事件]、(b)最高裁平成2438日判決[テックジャパン事件]、(c)最高裁平成29228日判決を参照しているが、

私は、弊事務所のブログにて、このうち(b)のテックジャパン事件をとりあげている(2012415日付、http://blog.tplo.jp/archives/5498638.html)。

 

最高裁は労働基準法37条の趣旨について、以下のとおり解釈している(この解釈については最高裁昭和4746日判決を参照しているが、今回、明確に判示したことの意義は小さくないと思われる)。

「労働基準法37条が時間外労働等について割増賃金を支払うべきことを使用者に義務付けているのは、使用者に割増賃金を支払わせることによって、時間外労働等を抑制し、もって労働時間に関する同法の規定を遵守させるとともに、労働者への補償を行おうとする趣旨によるものであると解される……また、……労働基準法37条等に定められた方法により算定された額を下回らない額の割増賃金を支払うことを義務付けるにとどまるものと解され、労働者に支払われる基本給や諸手当(略)にあらかじめ含めることにより割増賃金を支払うという方法自体が直ちに同条に反するものではない。」

 

前述した原審東京高裁も、労働基準法37条の趣旨は同じ方向で、つまり、労働者保護のため(うち、補償の面にウェイトをおいていると推察される。)ということで解釈していたけれども、最高裁としては、ざっくりと労働者保護とまとめてしまうのではなく、「時間外労働を抑制するという目的のために法定された額を下回らない割増賃金の支払いを使用者に義務付ける」という点にウェイトをおいていると思われる。それ故、いくら年俸1700万円であろうと、そもそも使用者が(もちろん労働者も)法定された額を下回るか否かがわからないような合意が許されてしまうのであれば時間外労働を抑制するという目的が達成されないためNG、としたのであろう。

 

個人的には、今回の事件は、モルガン・スタンレー事件(東京地裁平成171019日判決・判タ1200196頁)を想起させるものであった。同事件は、外資系証券会社モルガン・スタンレーの従業員であった者が労基法37条の割増賃金の支払いを求めたものであり、同従業員は、1年間に年間基本給として2200万円余及び裁量業績賞与約5000万円と多額の報酬の支給を受けていたが、会社側はこれらの報酬に割増賃金は含まれていると反論した。東京地裁は、同従業員の請求を棄却した。すなわち、会社側の反論を認めた。

この東京地裁でも労働基準法37条の趣旨に立ち返りつつも、同事件の場合には、(1)給与は労働時間数いよって決まっているのではなく、会社にどのような営業利益をもたらし、どのような役割を果たしたのかによって決められていること、(2)会社は当該従業員の労働時間を管理しておらず、仕事の性質上、自分の判断で営業活動や行動計画を決め、会社もこれを許容していたこと、このため、そもそも当該従業員がどの位時間外労働をしたか、それともしなかったかを把握することが困難なシステムとなっていること、(3)当該従業員は会社から受領する年次総額報酬以外に超過勤務手当の名目で金員が支給されるものとは考えていなかったこと、(4)当該従業員は高額の報酬を受けており、基本給だけでも月額1833333円を超える額であり、170分間の超過勤務手当を基本給の中に含めて支払う合意をしたからといって労働者の保護に欠ける点はないとして、当該趣旨を没却するおそれがないと判断した。

この事件が、今の最高裁まであがっていたら、おそらくNGであった、東京地裁の判断は否定されていたのではないか、と思われる。モルガン・スタンレー事件のようなケースへの対応は、現行の労働基準法の解釈の域を超えており、最高裁が判別性要件が欠ける事案でOKを出すことはないと思われる。

法改正(例えば、今、ホットとなっているホワイトカラー・エグゼンプションなど)をして解決するかどうかという立法的問題だと考えられる。 

実務的には、各企業で、明瞭に区分されていなかった判別不可能な固定残業代制度を判別可能にするように対策が進んでいるというのが実感であるが、まだまだ理解が浸透していなかったり、過去の部分(時効が完成していない債務)をどうするのかという問題を抱えている企業も少なくないと思われる。

 

1. ネット上で名誉を毀損された場合、はじめに思いつくのは、ウェブサイトの管理者に対して、直接、名誉毀損に該当するページの削除請求をすることです。ところが、一部の悪意のあるウェブサイトは、これに応じません。


2. そこで、次に、仮処分や訴訟といった裁判所の手続を利用して削除請求ができるかを考えることになります。しかし、例えば、ウェブサイト(WHOIS情報を含む)上に管理者の所在が記載されていなかったり、記載されていたとしても、アルゼンチンだとか、アメリカ・ネバダ州だとかのペーパーカンパニーだったりすると、問題が生じます。
 まず、管理者の住所が分からない場合、そもそも、送達先が分からないため、仮処分や訴訟はできません。また、外国のペーパーカンパニーの場合、仮処分や訴訟を提起することは、一定の要件のもと可能ですが、いざ勝ったとしても、その外国が日本の判決等で強制執行をすることを認めていない限り、日本国外にあるため、仮処分決定や判決を強制する手立てがありません。結局、裁判所の判断が出たので任意に削除するよう、「お願い」をするほかないのです。言い換えれば、「お願い」を聞いてくれないウェブサイトでは、削除ができません。


3. では、問題となる記事の削除ではなく、検索エンジンに表示させないようにすることはできないのでしょうか。これは、近時注目されている、検索結果の削除という手段です。
 現在、私達がウェブページを閲覧する際は、多くの場合、Googleなどの検索エンジンで目的のページを検索します。そのため、検索エンジンに検索結果として表示されなければ、(URLを事前に知っている場合を除き)事実上、ページにアクセスすることが困難になります。これにより、ページの削除に近い効果が得られることとなります。この検索結果の削除に関しては、東京地裁が平成26年10月9日の決定で、初めてこれを認めたことから話題となりました。
 このような、検索結果の削除は、ネット上の名誉毀損に対する有効な解決策となり得ますが、注意すべきは、最高裁では、未だ、認められた例が1つもないということです。今年1月31日に出された最高裁の判断においても、結論的に、削除は否定されています。
 また、下級審の傾向として、検索結果のタイトルやスニペット(ページの抜粋部分)自体で名誉毀損が成立しなければならないとされていることにも注意が必要です。検索に引っかかるサイト自体には、ひどい名誉毀損表現が記載されていたとしても、検索結果として表示されるタイトルや抜粋部分に名誉毀損表現が含まれていなければ、現状で、検索結果の削除は難しいといえます。
 さらに、下級審の裁判例によっては、表現自体から、非真実であることなどが明らかでなければ削除を認めない、という厳しい判断を示すものもあります。この判断に従うと、虚偽の記載により名誉を毀損された場合、虚偽であることの証明が容易であるにもかかわらず、名誉毀損の表現自体から虚偽であることが分からなければ、削除は認められないことになります。
 このように、検索結果の削除についても、認められるケースは限定的です。


4. そうすると、例えば、ネット上の名誉毀損のうち、
  ・外国のペーパーカンパニーが管理者であり
  ・管理者が一切削除に応じず
  ・検索結果自体に表示されるタイトルやスニ
   ペットに名誉毀損表現が含まれない
といった場合、法的な対応をとることは非常に困難です。


法的対応以外では、いわゆるSEO対策や逆SEO対策といったものもあります。これらは、技術的に、名誉毀損のページの検索順位を下げるという試みですが、名誉毀損の情報が消えるわけではありません。


何より、違法な状態が生じているにも関わらず、法的に対応する手立てがないということは、非常に問題です。


日本が法治国家である以上、このような、言わば法律の抜け穴は、直ちに塞ぐべきです。法治国家が人権侵害の誹謗中傷サイトを放置するようなことはあってはいけません。立法ないし司法(場合によっては、さらに、記事削除に関する国際的な協力体制の確立)による早急な対応を切に望みます。

●対立の決着

さて、これまで問題とされていたSegwit2xとUASFの対立(ビットコイン分裂騒動)ですが、今回、Segwit2xが多くの支持を得て、結論的に、8月1日には、問題となる分裂は生じない方向で進んでいます。

これを反映してか、一時21万円前後にまで落ち込んでいたビットコインの相場も、騒動前の30万円前後の水準に戻っています。

今回は、ここ1ヶ月の騒動と、今後の流れについて、ご説明させていただければと存じます(この記事を書いているのが、平成29年7月24日です。この記事が古くなった場合には、最新のニュースで状況をご確認下さい。)。



●これまでの騒動

前回までの記事をご覧になっていない方向けに、ざっくりご説明すると、これまで、ビットコインは、システムアップデートの内容・方法で大きく2つに意見が対立していました。


1つは、UASF(BIP148)と呼ばれるもので、もう1つがSegwit2x(別名、NewYorkAgreement、シルバート合意、Segwit+2MBなど)と呼ばれるものです。

このうち、UASFは、これまでのビットコインの開発者が開発したSegwitという機能(ざっくり言えば、ビットコインの取引のキャパを増加させる機能です。)を、そのまま導入するという案です。ただ、導入方法は、8月1日(=グリニッジ標準時)に、反対があったとしても強行的に導入するという、ちょっと過激な方法です。

他方、Segwit2xは

  ・Segwitを導入する
  ・さらに、導入後、ビットコインのブロック
   (取引台帳の1頁分)のサイズを2MB増加さ
   せる)

というものですが、

  ・Segwitはそのまま導入されるのか、改変が
   加えられるのか
  ・さらに変な機能が付加されないか

など、これまで、様々な憶測が飛び交ってきました。ただ、その後、開発段階のプログラムが公開され、

  ・Segwitの機能はそのまま導入される(Asic
   Boostは排除される)

こととなりました。このSegwit2xについては、80%のネットワーク参加者の賛成により、7月21日以降に導入される、という方式です。



このSegwit2xに関しては、6月のニュースで、中国国内のBitcoin関連企業が集まって、Segwit2xを支持することが確認されました。

https://www.btcc.com/news/en/%C2%A0%20%22announcements%22/2017/06/19/segwit2x/


この直後から、ビットコインネットワーク上でSegwit2xを支持するネットワーク参加者が急増し、一気に、全体の8割強を占めるまでになりました。

https://coin.dance/blocks/proposals


また、他方UASFも、徐々に、支持者を増やしてゆきました。



●問題点

さて、Segwit2xもUASFも、Segwitをそのまま導入するのであれば、どっちでも問題ないのではないか、とも思えますが、Segwit2xに対しては、様々な批判が加えられています。


1つには、Segwit2xの特徴である、Segwit導入後、約3ヵ月後に予定されているブロックサイズ変更です。これは、ハードフォークと呼ばれる、それまでのシステムと互換性のないアップデートとなるため、技術的な危険性が指摘されています。


また、公開されたSegwit2xのプログラムに対しては、従前のビットコインシステムの開発者から、Segwitの導入を失速させることを意図した内容になっている、との痛烈な批判が加えられています(ただ、一部、推測を含む批判です。実際、現時点では、批判は現実化していません。)。

https://medium.com/@lukedashjr/the-segwit-2x-beta-review-and-thoughts-ca480694a8c7


さらに、上記批判の中でも記載されていますが、Segwit2xは2MBのハードフォークと言っていたにもかかわらず、公開されたSegwit2xのコードでは、8MBのハードフォークになっているじゃないか、といった主張もなされています。

ただ、こういった主張に対しては、ブロックの大きさの測り方が違うのであり、実質2MBのハードフォークだ、といった説明もされています(つまり、ブロック自体を従来と比較して2倍=2MBにすることに加え、Segwitにより、理論値として、最大で、それまでのブロックを4MBに拡張したのと同じ効果が得られるため、4×2=8MBとなるが、ブロックサイズの拡張自体は2MBなのだ、とのことです。)。

https://medium.com/@jimmysong/understanding-segwit-block-size-fd901b87c9d4


その他、従前の開発者以外の開発者によりプログラムが作成されるため、バグがあるのではないかという点や、その後の保守がどうなるのか、という懸念もあります。




●今後について

前回メルマガを書いた時点では、
  ・Segwit2xか
  ・UASFか
  ・どちらにもならないか
といった状況で、ビットコインが分裂する可能性が叫ばれていました。


しかし、今回、Segwit2xの支持が多数となりました。Segwit2xもUASFも、Segwitの導入を目指す点では共通しており、ネットワーク参加者の大半がSegwitを導入することとなったため、巷で騒がれていた8月1日のビットコインの分裂は回避されたと言われています。

また、心配されていたSegwit2xのバグについても、現状では、特段、バグによって大きな問題が生じたなどの報道はありません。

今後、Segwitの機能自体は、8月後半頃に有効化される見込みです。


ただ、これから、8月にかけて、システムが切り替わったことが原因で、一時的なブロックの分岐が生じる可能性があります。これは、文字通り、一時的なもので、速やかに解消されると考えられていますが(そもそも、一時的な分岐は、ビットコインのシステムに織り込み済みの問題とも言えます。)、念のため、ビットコインを動かした際は、取引が確実に確定するまで、一定期間(6ブロック程、1時間程度)待つことが望ましいと言われています。


また、Segwit2xは、今後、11月頃、ハードフォークを予定しています。この点については、引き続き、注意が必要です。

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