20221228日(水)日経新聞電子版2021分配信

 

園児わいせつの保育教諭、処分後復帰 保護者に説明せず」との見出しの記事から。

 

大分県内の認定こども園で保育教諭だった40代の男=強制わいせつ罪などで公判中=が園児にわいせつな行為をしたとして減給処分を受けたのに、園側が保護者に説明せず現場復帰させていたことが28日、関係者への取材で分かった。

 

(飛田コメント)

見出しを読むと、保護者に説明しなかったことが悪いような感じを受けますが、保護者に説明しても、この保育教諭を復帰させることが承認されたとは思えないので、本当に問題なのは、強制わいせつの裁判中で、保育園側も強制わいせつがあったことを認めて減給もしているのに復帰させたことなのでしょう(園児の親だったら「とんでもない」ということになりますよね。)。

ただ、記事からは事情はよくわからないのですが、一見あり得ないことが行われているときには、職業柄、何らかの事情があるのでは?と勘ぐってしまいます。他方当事者の話を聞いてみると、実は、思いもしない事情があった、ということは実はよくあることなのです。この件が、そういう案件かは全くわかりませんが・・・

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202314日(水)日経新聞電子版1700配信

 

2022年の交通事故死者2610人、6年連続最少 警察庁」との見出しの記事から。

 

「警察庁は4日、2022年の交通事故による死者数が全国で2610人だったと公表した。前年より26人減り、統計が残る1948年以降の最少を6年連続で更新した。全体の死者数の56.4%(1471人)を65歳以上が占めた。」

 

(飛田コメント)

  一昔前までは、弁護士の飯の種の一つが交通事故と言われていたように思いますが、今や、交通事故件数も減り、弁護士にとっては厳しい時代になりました。この交通事故件数の減少が、テクノロジーの発達によるものだとすると、今後、自動運転が発展してくると、ますます弁護士の介在する余地は少なくなっていくんでしょうね。

  しかし、それは世の中にとっては良いことなので、それはそれで良いのでしょう。我々は他の分野で、世の中のために貢献しましょう。と、新年早々から、よくわからない話になりましたが、本年もよろしくお願いいたします!

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2022年12月26日 日経新聞朝刊15頁

「企業が選ぶ『頼れる法律事務所』」「長島大野、迅速対応に評価」

長島・大野・常松は昨年の調査では4位だったが、今回初めて首位になった。同事務所に投票した企業の半数以上(33社)が「弁護士の知識や実務経験が豊富」としたほか、15社が「幅広い分野に対応できる」とした。さらに「対応が迅速」という評価が全事務所の中で最多だった。


(飛田コメント)

 本日(12月28日)が弊事務所の今年の最終日です。皆様、今年も大変お世話になりました。
 上記の記事で思ったのは、法律事務所に要求されることで最も重要なのは、「迅速な対応」であるということ。この点は承知しているのですが、仕事が立て込んでくるとなかなか実現が難しいところであります。来年の課題にします。
   今年は大変お世話になりました。
 来年も何卒よろしくお願い致します。

 新年は1月5日(木)から業務を開始致します。
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2022年12月26日 日経新聞朝刊15頁

「社内外で法のプロ活用」「『法務能力高い企業』三菱商事が連続首位」との見出しの記事から

首位の三菱商事は41票を集め「法務スタッフの能力」が高く評価された。同社の法務部門は、日本の弁護士資格だけで20人、米国の弁護士資格者は50人規模と多くの社内弁護士を抱える。年間で100を超える外部法律事務所と連携し、内外で専門家を活用する。


(飛田コメント)

 国内外を含め70人の弁護士有資格者がいる法務部となると、我が国の法律事務所のトップ10内に入る弁護士数と思われ、すごい法務対応能力だなと思います。
 企業内部の弁護士には、その企業の指揮命令下で働くのに対し、外部の弁護士には、その企業から一歩引いた位置でその企業にとって言われたくないことも言える(アドバイスできる)という役割があると思うので、外部の法律事務所の存在意義がなくなるということではないのですが、普通のl法律事務については企業の法務部内で対応できるということになりますので、外部法律事務所としても確実に脅威だと思います。
 いやはや、時代は変わりましたね。
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https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/544/091544_hanrei.pdf

リンク先の判決は、今年の11月2日に山口地方裁判所で出た住民訴訟の判決です。
山口県が貴賓用としてトヨタセンチュリー2090万円を購入したところ、山口地方裁判所は、山口県知事に違法性があったとして、知事個人に対し、2090万円の賠償命令を出しました。
この判決が出たときに新聞報道もされていたので、記憶にある方もいるかと思います。

この判決ですが、私は、山口県知事が積極的にトヨタセンチュリーの購入を希望・指揮していたかと勘違いしておりました。しかし、実際の判決を読んでみると次のとおりです。

証拠(甲6、8、49)及び弁論の全趣旨によれば、A知事は、本件契約について、予算編成過程で会計管理局や物品管理課との間で個別の協議をしたことはなく、本件センチュリー購入の段階で物品管理課から報告を 受けたものの、その金額を知ったのは、本件契約締結後、納品前の時点であると認められ、本件契約締結までに、物品管理課の検討状況を詳細には 知らなかった可能性がある。

つまり、センチュリーの購入は物品管理課で進められ、大雑把な報告は受けたものの、金額を知ったのは、契約締結後、納品前の時点であったとのことです(ただし、「可能性」と言っています。)。

山口県では、それまでに貴賓用として(県議会議長及び県議会副議長用も兼ねた)3台のセンチュリーを所有していたが、副議長用としても使用していたセンチュリーが平成27年に更新期を迎えたことにより、センチュリーを買い替えるとともに、3台あったセンチュリーを2台にした、ということであり、特に、何の疑問もなく(むしろ3台あったものを2台に減らしたので、適当でしょという感じで)、センチュリーを購入したようです。

判決は、いやいや物品管理課に任せておかないで、知事もちゃんと監視・監督しなさいよ、と言っていて、それはそのとおりではあるのですが、でも組織が大きかったり、前々からそういうふうに行われていたということであれば、なかなか監視・監督も難しいので、ちょっと知事個人に2090万円を賠償させるのは酷かなと思いました。甘いですかね。
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2022年12月23日 日経新聞朝刊4頁

「有識者『国葬の基準難しい』」「法的根拠対象者・・・見解割れる」「国会の関与『必要』半数」

対象者の基準を策定するのは難しく、事例に応じ柔軟に判断すべきだとの主張が目立った。


(飛田コメント)
 弁護士になって思うことは、裁判になったり、裁判になった後、解決までに裁判が長引くのは、法律の定める基準が曖昧な箇所です。例えば、今すぐに思いつく箇所としては、不法行為の違法性・過失の認定とか、借地借家法の「正当事由」の認定とか、労働法の解雇の正当理由の認定とか、公序良俗違反に該当するかの認定とかです。それに対して、交通事故の損害の算定とか離婚した場合の子供の養育費とかは、何も基準がなければいくらかを決めるにはかなり難しいし、時間がかかるかと思いますが、幸いなことに、実務上は赤い本基準とか裁判所の算定表が使われることがはっきりしていて、長引くということはあまりありません。
 何が言いたいかというと、基準を曖昧にして、「事例に応じ柔軟な判断」できるようにすることは、もちろん適当な場合もありますが、結局、その基準に該当するのかを巡って議論が続くことになるので、あまり好ましいことではないように思うのです。弁護士的には仕事の種がなくなっておもしろみがなくなりますが、大体紛争が起こるのは基準が明確でない場合ですので、基準を作るのであれば明確にした方が良いのではないかと。
 そういう意味で、私は「首相経験者は全員国葬とするルールを制定すべきだ」という有識者の一人の人の意見が最も良いように思いました。これだったら、与党・野党を問わず一致できるのではないでしょうか(どの党も首相を出す可能性はあるので)。中には、今の私たちの目から見てリスペクトできない首相経験者もいるかもしれませんが、そこは切り離して、元首相という地位に一定のリスペクトをするべきかと。皆さんはどう考えますか?
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2022年12月15日 日経新聞電子版

「五輪 選手村マンション引渡し遅れ、訴え却下 東京地裁」との見出しの記事から

「来年3月だった当初の引渡し期限がまだ来ておらず、○○裁判長は購入者側には実際に請求する額の基礎となる事実や法的関係が確定していないと判断した。
引渡しの遅延に落ち度がないとする売主側の主張や損害の範囲については、改築工事の推進や工事完了後の事務処理なども影響すると指摘。慰謝料についても実際にどれほど遅れたかや将来発生する事情も踏まえて検討するべきだとした。」


(飛田コメント)

 ちょっと前のニュースですが、気になったので取り上げてみました。
 この問題、まだ裁判をしていたのか?と驚きましたが、まだ当初の引渡し期限が到来していないことにも驚きました。考えてみれば、東京オリンピックが終わった後にマンションを建てる(改修する?)わけなので、はじめから2023年の3月が引渡し期限だったのですね。ただ、「訴え却下」という判決についてもちょっと驚きました。マンションの引渡しを受けてから改めて訴えを提起してください、ということなのだろうか?ちょっと冷たすぎるようにも思いました。
 論理的には現時点で、マンション購入者側の損害(引渡しを受けるまでの賃料?)や慰謝料を確定できるのか?という問題だと思うのですが、売主側は2024年3月に引渡す見込みと通知しているので、おおよその遅滞期間はわかるので、判決しようと思えばできたのではないか?と思わなくもありません。例えば、引渡し遅滞が、現在原告側で借りている住居の賃料を基礎に算定するのであれば、「マンションの引渡しを受けるまで金○○万円を支払え」という判決は書けたのではないかとか、慰謝料については、そもそもあまりカチッとした基準があるわけではないので、約1年引渡しが遅れるという前提のもとで算定しても良かったのでは?と思わなくもありません。
 マンションの購入者側は控訴する方針とのことですが、控訴審の審理が始まる頃には、来年3月の当初の引渡し期限は到来するので、高裁がどのような判断をするのか注目ですね。
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2022年12月20日 日経新聞電子版

「富士急が全面勝訴、山梨県は控訴へ 県有地訴訟」との見出しの記事から

富士急は1927年に県から土地を借り、別荘地やゴルフ場などを開発して事業を続けている。両者は賃貸借契約を締結しているが、県は2020年8月の別の住民訴訟の中で突然、賃料が適正でなかったと従来の姿勢を転換。1997年~2017年までの20年間の契約と、2017年4月に結んだ20年間の契約は違法・無効であり、富士急はこの間の債務を負うとの主張に転じた。


(飛田コメント)
 記事を読んだ限りですが、山梨県の主張は無理筋なのではないかと思いました。いったん一定の地代で借地契約を締結した以上、地代額を変更する旨の合意をするか、借地借家法第11条に基づき、地代増減請求の借地非訟をしないと地代額は変わりません。地代額を継続賃料として評価しようが、新規賃料として評価しようが、地代変更合意や借地非訟(地代増減請求)もしていないのであれば、地代額は変わらないし、まして一旦合意した借地契約自体が違法・無効になるなどということはありません。
 どうして山梨県がこのような主張をしているのかちょっと不思議に思いました。記事には書かれていない重大な論点があるのだろうか?
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2022年12月19日 日経新聞朝刊15頁

「22年起業が選ぶ弁護士ランキング」という見出しの記事から

「調査概要 日経リサーチと共同で10月、主要609社と弁護士250人にアンケートを実施し、217社(回収率35%)と198人(同79%)が答えた。弁護士ランキングは今年活躍した弁護士を2人ずつ選んでもらった。」


(飛田コメント)
 私には望むこともできない世界の話ですが、思うに各分野1位の先生方も、19票から11票の間の票数で、1桁の票数でも5位になっている先生もいらっしゃるので、自分が一緒に仕事をした企業や弁護士が自分に票を入れてくれれば届くレベルかと。まあ、それでも難しいのですが…。
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2022年12月18日 日経新聞朝刊27頁

「勾留中死亡『映像開示を』「遺族、愛知県警幹部と面会」との見出しの記事から

県警関係者によると、署員らは①男性を蹴る②身体を拘束する『戒具』を連続100時間以上使用③持病の薬を与えなかった④食事をしない男性に医療措置を講じなかった⑤男性が便器に後頭部を突っ込んだ状態で水を流した-などの問題行為を繰り返した疑いがあり、県警は16日、岡崎署を特別公務員暴行陵虐容疑で家宅捜索した。


(飛田コメント)

 私は、年に2~3回当番弁護の順番が回ってくるので、刑事弁護をしていますが、弁護士になって25年が経過しましたが(記事のような)警察署の拘置所の中で、署員から暴行を受けたなどという案件にはあたったことがありません。昭和の時代ならまだしも、今でもこういうことがあるのか?とちょっと驚きました。(まだ真相はよくわかっていない段階だとは思いますが)、弁護士としては、(被疑者段階の)国選弁護人はついていなかったのか?ついていたのだとすると国選弁護人は被疑者から何か言われていなかったのか?というような点が気になりました。早く真相が明らかになってほしいと思います。
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