私は、2005年12月から2007年2月までの1年2ヵ月間、当時在籍していた西村あさひ法律事務所から東京商工会議所内の東京都中小企業再生支援協議会に出向させていただき、同協議会のサブマネージャーをさせていただきましたが、その時、中小企業再生について1から教えていただいたのが、同協議会の統括責任者をされていた藤原敬三さんでした。その後、藤原さんは、中小企業基盤整備機構内に設置された中小企業再生支援協議会全国本部の統括責任者になり、長らく中小企業再生支援協議会の現場のトップとして活動されていましたが、この10月に統括責任者の地位を後進に譲り、自身は顧問となって、一歩引いたところから中小企業再生支援協議会にアドバイスしていくとのこと。その藤原さんが、かつて自分が手掛けた案件を振り返り、また、協議会の手続きを利用した社長等にインタビューをして回ってまとめたがのがこの本です。

中小企業再生支援協議会の手続は、秘密裡に進められるため、実際どのように行われているのか外からはよくわからないのですが、この本は、著者の藤原さんが易しい語り口で手続きがどのように進められるのか、各案件の勘所はどんなところにあったのかを説明してくれます。藤原さんが手がけた5つの案件が取り上げられていますが、どれもエピソード満載で、小説やドラマ、映画にしたら面白いだろうなと思える内容であり、とても興味深かったです。

中小企業再生にとどまらないと思いますが、企業の再生のためには、債権カットなどの財務面だけではなく、事業自体の改善がとても重要であることや、(同協会で行われている手続の対象者が金融機関だからということもあるかもしれませんが)金融取引や銀行のことを良く知っていることがポイントだということが良くわかります。

経営が苦しい中小企業の社長さんのみならず、弁護士・税理士・会計士、コンサルタントといった再生にかかわる専門家必読の書だと思います。

是非、ご一読ください!


なお、藤原さんが書いたより専門的な本として、「実践的中小企業再生論」があります。この本は書式まで網羅されていて非常に有益な本です。藤原さんによると、改訂版の計画が進んでいるとのことですので、こちらにも期待したいですね!



2018年11月19日の日本経済新聞に、「旧基準の大型建物、25年までの回収難しく」との見出しの、興味深い記事がありました。この記事によると「旧耐震基準の大規模建物で、震度6強以上の地震により『倒壊・崩壊する危険性が高い』と診断された全国1千棟のうち、耐震改修・除却計画の策定が4割弱にとどまっている」「国は2015年までに全ての建物で耐震性不足の解消を目指しているが、達成は難しい状況だ」とのことです。

 

地震大国である我が国では、建物の耐震性は非常に重要な問題ですので、平成7年に「建築物の耐震改修の促進に関する法律」を制定し、さらに最近の改正では、ホテル・旅館・百貨店・映画館などの大保建築物のオーナーに対し建物の耐震診断を行い、自治体にこれを報告することを義務づけました。そして、自治体にこれを公表することを義務づけ、倒壊・崩壊の危険性が高い建物については、建物のオーナーが、耐震改修・除却計画を作成することを促進しています。今回の報道は、この耐震改修・除却計画が進んでいないことを報道したものなのです。

 

ところで、私はこの問題が報道されるたびに思うのが、建物にテナントが入居している場合に、建物のオーナーが耐震改修または建て替えのため賃貸借契約を解除できるか?ということなのです。耐震診断が義務化されている建物は大型建物なので、多くの場合テナントが入居しています。はたして耐震改修や建て替えのためにそのテナントを立ち退かせることができるのでしょうか?ということです。法的には、借地借家法という法律があって、賃貸人が賃貸借契約の更新拒絶をしたり、中途解釈をするには「正当な事由」が必要とされますので、その「正当な事由」が認められるか?という問題として定式化されます。

 

この点、弊事務所の馬場弁護士の協力を得ながら、これまでの耐震と正当事由の関係を調査したところ、次のような判例の傾向にあることがわかりました。

(1)老朽化がかなりの程度進行し、崩壊の危険性を有する場合や構造上の安全性を確認できない場合には正当事由が認められる。

(2)建物の改築の必要性が差し迫っていない場合であっても、早晩改築が必要となるときや、消防法上の改善指導を受けているような場合であれば、立退料の補完があれば正当事由が認められる。(耐震改修の必要性があるというだけではダメで、立退料の支払が必要であるところがポイント)

(3)建物が老朽化しておらず、崩壊の危険性が認定できない場合には、正当事由が認められない。

 

で、今回の報道により「倒壊・崩壊する危険性が高い建物」とされたといっても、震度6強以上のかなり大きな地震が起きることが前提ですし、現時点で実際に使用されている建物がほとんどですので、上記の分類からすると、(2)に分類されるものが大部分だと思われます。そうすると、弁護士的には、現行法上、立退料に関する金額の基準がなく、まさにケース・バイ・ケースの判断になるので、賃借人と立ち退きについて合意するまでにかなりの費用と時間を要することになるという点が頭の痛いところなのです。本当は急いで耐震改修をしなければならないのに、賃借人の立ち退きがうまくいかなくて、なかなか耐震改修ができないということも起きてきます。

 

そもそも借地借家法上の賃貸借契約を終了させるためには「正当事由」が必要との建て付けは、太平洋戦争後、住宅供給が逼迫して、賃借人保護が強く叫ばれたときにつくられたもので、現時点では、時代にマッチしないものとなっています。また、「立退料の補完」などといわれても、肝心かなめの立退料の算定基準が定められておらず、ゴネ得を許す(つまり、賃借人が居座って時間をかせぐと賃貸人が困って立退料を上げざるを得ない)ようなシステムになっています。

 

私は、「建築物の耐震改修の促進に関する法律」を作っておきながら、借地借家法の「正当事由」について手当をしていないのは手落ちだったと思います。この点はいずれ必ず問題になってくると思います。国全体で耐震問題を考えなければならないときなので、この問題は何とかしなければならないでしょう。

2018/10/31付の日経新聞に次の記事が掲載されました。

 

「『やせる青汁』根拠なし シエルに課徴金1億円
消費者庁は31日、青汁を飲めば『やせる』と根拠なく宣伝、販売したとして、景品表示法違反(優良誤認)で東京都渋谷区の通信販売会社『シエル』に約1億円の課徴金納付と再発防止を命じた。食品に対する課徴金としては過去最高額。…」

 

 消費者庁「平成 29 年度における景品表示法の運用状況及び表示等の適正化への取組」34ページ~41ページ(http://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_180615_0002.pdf)を見れば分かるのですが、これまで消費者庁が課してきた課徴金の金額は、200万円程度~多くても5000万円程度のことが多く、特に健康食品の場合は、小規模業者が多いためか、課徴金額が数百万円にとどまることも多かったのです。
 その中で、1件で1億円という課徴金額は相当大きく、㈱シエルの事例は、このレベルの課徴金もありうるのだということを世に知らしめる例になったものと思います。

 

 そもそも、景表法5条違反(優良誤認表示・有利誤認表示)の課徴金の額は、課徴金対象期間(課徴金の対象となる行為をした期間)における課徴金にかかる商品の売上額の3%と定められています(景表法第8条第1項)。つまり、違反行為をしている期間が長ければ長いほど、違反行為をして売り上げた額が多ければ多いほど、課徴金の額も上がることになっています。
 ㈱シエルの課徴金対象期間は「平成2841日から平成30730日まで」の約24ヶ月間で、相当長期間ですので、これが課徴金の金額にも響いたものと思われます。

 課徴金納付命令の制度自体、平成284月にできた新しいものなのですが、最近は、前例ができてきたためか、だんだんと積極的に運用されてきているように感じます。
 このくらいであれば…、他もやっているから…、などという理由で宣伝広告物に間違った記載をしていると、ある日突然、行政から景表法違反の指摘が来ることもあります。
 日頃から、景表法違反を起こさないように注意を払いつつ、万が一行政機関から何らかの連絡が来た場合には、直ちに記載を改めるといった対応を取ることが大切です。

ビットコイン価格ですが、1114日頃まで、1BTC=70万円超にて取引されていましたが、その後、1BTC=60万円近くまで下落し、さらに、現在(2018/11/27時点で)、1BTC50万円を割るにまで至っています。

これまで、比較的ビットコイン価格は安定していましてが、ここに来て荒れ模様のようです。

なぜ、今回こんなに下落したのか、については、諸説ささやかれていますが、1つには、以前、ビットコインからハードフォークして誕生したビットコインキャッシュが、さらにハードフォークすることとなり、その影響があるのではないか、と言われています。別のコインのハードフォークが、なぜビットコインの価格に影響するのか不明確な点はありますが、ビットコインとビットコインキャッシュでは、ベースとなる構造はある程度共通しているため、今回のハードフォークの混乱により、ビットコインに対してもネガティブな感情が渦巻いて、売りを呼んだのかもしれません。一般論としては、1つの仮想通貨(特にビットコイン)が下落すれば、それに連動して、他の仮想通貨も下落する、という現象は、よく起こっています。

 

さて、このビットコインキャッシュのハードフォークですが、今月16日頃、Bitcoin ABCBitcoin SVという2つに分裂しました。過去、ビットコインからビットコインキャッシュが分裂した際には、結果的に、ビットコイン保有者にビットコインキャッシュが付与されたことになり、ある意味、終わってみれば、棚ぼた的な、ユーザーにとって嬉しい結果となりました。しかし、今回のビットコインキャッシュのハードフォークは、どうも、そんなに嬉しい話ではなさそうです。

 

もともと、ビットコインキャッシュのコミュニティーは、一枚岩ではありませんでした。発端としては、今回、Bitcoin ABC陣営が提案したアップデート(スマートコントラクトなどの機能追加)に対し、Bitcoin SV陣営が反発し、別のアップデートを提案(1つのブロック=台帳の1頁のサイズを32MB128MBに増加するなど)したため、対立状態が生じ、今回のハードフォークに至ったようです。

また、ビットコインから、ビットコインキャッシュがハードフォークした際は、今思い返せば、比較的スムーズに対応がなされましたが、今回のハードフォークは、 

 ・Bitcoin SV陣営が、分裂すること自体に否定的であり、ハードフォークによりビットコインキャッシュが分裂した場合には、相手のABC陣営に攻撃を仕掛ける、といった主張をしており(要するに、自らがビットコインキャッシュの正当な後継者となるべきであり、ABC側は潰す!、と言っているようなものです。)、

 ・また、技術的に厳密に2つのコインを区分けする措置がとられておらず(リプレイプロテクション)、どのような結果になるのか、不明確な状況であり、

 ・取引所の対応もまちまちで、分裂した片方のコインのみをサポートする、といった取引所もある

というように、かなり混乱した状況になりました。

 

混乱が続けば、その分、対応にコストがかさみますし、お互いに干渉せず、別々の仮想通貨としてやっていけばいいのではないかとも思いますが、なかなか、そう、うまくはいかないようです。ただ、現在、混乱収束に向けて、「停戦」の提案もなされています。今後の動きに注目です。

 

休日振替と代休は、一見すると似ているので、あまり区別なく使用されていることがありますが、実は時期や割増賃金の支払い等、取扱いが両者で異なっていますのできちんと区別する必要があります。


休日振替とは、就業規則上休日と定められた特定の日を事前に変更して労働日とし、別の労働日とされている日を休日に変更することをいい、これに対し、代休とは、就業規則上の休日に休日労働させた後、これに代わって労働を免除する日を付与することをいいます。


結局どう違うのか?ということで、両者の違いをまとめたのが以下の表です。

  (休日振替と代休の区別)

 

休日振替

代休

時期

事前

事後

就業規則の定め

必要

不要

※ただし、賃金控除を行う場合には定めておくほうが適当

割増賃金の支払い

不要

必要

休日の指定

使用者が指定

労使間の自由

 

休日労働が法定休日(毎週1日又は4週間に4日の労基法上定められた最低限の休日)に該当する場合には、35分の割増賃金の支払いが必要になります。


ところが、休日振替を行うことにより、もともとの法定休日が労働日に変更になるので、この労働日に働いても「休日労働」とはならず、休日労働に対する割増賃金の支払義務は発生しません。
これに対して、代休の場合は、法定休日の労働が行われた後に、いわばその代償として以後の特定の労働日を休みとするものであって、前もって法定休日を振り替えたことにはなりません。そのため、法定休日に「休日労働」した事実は消えませんので、休日労働分の割増賃金の支払義務が発生します。
(ただし、法定休日ではない休日(所定休日)について、休日振替や代休が行われても、就業規則に別段の定めがない限り、休日割増賃金という話にはなりません。)


また、休日振替は、労働契約の内容として特定されている休日を、使用者が一方的に他の日に変更することになるので、労働条件の変更になります。つまり、労働契約上の命令権の根拠が必要となり、就業規則の定めが必要になります。
これに対し、代休は、休日労働させた後に、別の労働日における就労義務を免除するものですので、労働者に有利な取扱いになるとして就業規則の定めは必須ではありません。逆に言えば、就業規則に使用者の義務として定められていない限り、代休を付与することは使用者の義務ではないのです。

 

ただし、代休取得後に就労免除分の賃金の控除を行う場合には、後々疑義が生じないように控除方法について就業規則に定めておくことが適当です。
例えば、「代休が付与された場合、法定休日における労働については、労働基準法所定の割増賃金(35分)のみを支払うものとする」等ときちんと定めておくことも検討したほうが良いと思います。


このように、休日振替と代休は、取扱いがそれぞれ異なっており、割増賃金の計算を間違えたりするおそれがあるので、きちんと区別することが必要不可欠でしょう。

【宇宙法入門】書影


これだけは知っておきたい!
弁護士による宇宙ビジネスガイド
New Spaceの潮流と変わりゆく法
第一東京弁護士会 編
同文舘出版
出版日:2018-11-15










弊事務所の馬場悠輔弁護士が共著者の一人として、本を出版いたしました!

「これだけは知っておきたい!弁護士による宇宙ビジネスガイド
‐New Spaceの潮流と変わりゆく法」(第一東京弁護士会:同文舘出版)
(出版日平成30年11月15日、税込み¥2052(本体¥1900)、A5判)

近年宇宙開発が大企業・ベンチャー企業問わず民間にまで拡がっていく中、宇宙活動をめぐる法律問題は多岐にわたっています。
しかしながら、宇宙法自体が非常に新しい分野であるため、宇宙法を概説した書籍はほとんどありません。
本書は、宇宙法だけでなく、宇宙の歴史から最新の宇宙ビジネスまで幅広く解説しておりますので、法務担当の方だけでなく、少しでも宇宙に興味のある方でも楽しめる内容となっています。

宜しければお手に取りご愛読いただければ幸甚です。

1024日に厚生労働省は企業などがデジタルマネーで給与を従業員に支払えるよう規制を見直す方針を固めたとのニュースがありました。従業員に支払う給与を、銀行口座を通さずに、プリペイドカードやスマートフォンの資金決済アプリなどに送金できるようにするそうです。(日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36868440U8A021C1MM8000/

 

最初に法的な原則論を整理しますと、従業員に対して支払う給与(賃金)については、「通貨」によって支払わなければなりません(通貨払の原則:労基法第24条第1項)。
「通貨」とは、我が国に強制通用力のある貨幣及び紙幣を意味しており、要は日本円の硬貨と紙幣(日本銀行券)で支払わなければならないということになります。
ちなみに「通貨」には外国通貨は含まれませんので、会社が一方的に「今日から給与はドルで支払うことにした」と言って給与をドル払いにすることはできません。

以上が原則論で、これを修正する例外が3パターンあります(労基法第24条第1項但書)。

①法令に別段の定めがある場合

②労働協約に別段の定めがある場合

③(確実な支払の方法として)厚生労働省令で定める場合

①法令に別段の定めがある場合
まず1つめの、法令に別段の定めがある場合ですが、今のところここでいう「法令」は存在しないので、特に問題にはなりません。

②労働協約に別段の定めがある場合
次に2つめの、労働協約に別段の定めがある場合について、労働協約とは、労働組合と会社との間の書面で締結される協定のことをいいますが、労働組合がない会社では、労働協約によって通貨払いの原則を修正することはできないので注意が必要です。

③厚生労働省令で定める場合
最後に3つめの、厚生労働省令で定める場合ですが、これが冒頭で挙げたニュースの話です。
現在では厚生労働省令(労働基準法施行規則第7条の2)によって、労働者の同意があることを前提に、給与を金融機関口座に振込むことが可能となっています。
なぜこれが通貨払の原則の例外なのか?というと、給与の振込みでは、厳密に言えば、労働者は通貨そのものを受領できるのではなく、金融機関に対する預金債権を取得することになるので、通貨払の原則の例外になるのです。
金融機関口座への振込みでも、確実に労働者の手元にいくので、それなら許容しましょうという価値判断です。

 

今回厚生労働省は、これを更に拡大して、従業員に支払う給与を、プリペイドカードやスマートフォンの資金決済アプリなどにも送金できるようにするそうです。
これは昨今の労働者人口の減少に伴う外国人労働者の受け入れをみると、必然的な流れではないでしょうか。

ただし、この記事によればこの手続きの利用ができるのは、デジタルマネーを手数料無しで現金化できることが条件となっていますが、現在のところ(銀行所定のプリペイドカードを除けば)デジタルマネーを現金化するのは難しいと思いますので、実現のためには今後インフラが整備される必要があります。

とはいえ今後銀行口座を間に入れずに給与の振込みができるようになると、外国人労働者にとって働きやすくなるでしょう。
給与の現金払いでは安全面の心配や、確実に給与を支払った証拠を確保するためにも、最近では給与の銀行口座への振込が一般的になってきましたが、銀行口座を外国人が開設しようとすると大変です。短期滞在(90日以内)の場合は開設できないですし、長期滞在ビザを持っていたとしても、日本での滞在期間が6ヶ月未満の場合は開設ができないなどハードルが高いですが、銀行口座が不要となると、外国人労働者でも給与の支払いを受けることが容易になります(今後は併せて就労ビザの拡大も行われていくと考えられます)。

デジタルマネー決済の昨今の状況をみると、クレジットカードや電子マネーの利用のみ(現金不可)の店が出てきたり、病院の診療費の支払いに電子マネーの利用ができたり、経済産業大臣がクレジットカード会社に対し手数料の引き下げを要請する考えを示したりするなど、デジタルマネー決済の推進(キャッシュレス化)の流れに入っています。
このままキャッシュレス化が拡大すれば、上記のデジタルマネー現金化の条件もなくなるのではないでしょうか。

ちなみにアメリカでは、既に「ペイロールカード」というものがあって、会社は銀行を介さずに直接このカードに入金し、従業員はこのカードでショッピングをすることが可能になっており、日本の一歩先を行っています。
ただし、アメリカではペイロールカードの現金引出しの際の手数料について批判がされているので、厚生労働省はこの批判を避けるために、今回あらかじめデジタルマネーを手数料無しで現金化できることを手続利用の条件にしているのではないでしょうか。

今回のデジタルマネーによる給与支払いは、外国人労働者受け入れの布石となることでしょう。

各都道府県労働局に設置されている総合労働相談センターへの労働相談は、10年連続で100万件を超えており、内容は「いじめ・嫌がらせ」(ハラスメント)が6年連続トップになっています。
厚生労働省の統計データによれば、解雇に関する相談は10年前に比べて2分の1に減少していますが、「いじめ・嫌がらせ」(ハラスメント)に関する相談は、ここ10年で2倍になっています。(厚生労働省「平成29年度個別労働紛争解決制度の施行状況」https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11201250-Roudoukijunkyoku-Roudoujoukenseisakuka/0000213218.pdf


最近では女子レスリングや体操のパワーハラスメント(以下「パワハラ」といいます。)問題が世間を賑わせたこともあり、パワハラ問題に関するニュースが多くなっている印象です。
もっとも取り上げられるニュースはその時期の「流行り」という面がありますので、ニュースとして取り上げられることが多くなることと、実際にハラスメント行為が増えていることとは別問題ですが、年々、特にパワハラは増加の一途を辿っています。

パワハラは昔からあったはずですが、ネットやニュースで「パワハラ」という言葉が一般に認知され、「パワハラ=悪」という印象が世間的にも広がり、パワハラ被害を受けた人が声を上げやすい世の中になってきていると思います。一方で、いじめや嫌がらせの類を強いものから弱いものまで十把一絡げに「パワハラ」だと認定してしまっている傾向もあるでしょう。その意味で、パワハラが本当に増加しているかは簡単には判断できないでしょう。

「パワハラ」は、法律上定義されているわけではありませんが、厚生労働省円卓会議ワーキング・グループが、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」であると定義らしきものを報告書にまとめており、実務上はこれをパワハラかどうかの一つの基準にしています。

またワーキング・グループは、パワハラの行為類型として、以下の類型を挙げています。

①身体的な攻撃(暴行、傷害等)
②精神的な攻撃(脅迫、名誉毀損、侮辱、暴言等)
③人間関係からの切り離し(隔離、仲間外し、無視等)
④過大な要求(業務上明白に無理なこと・不要なことを要求等)
⑤過小な要求(仕事を与えない等)
⑥個の侵害(私的なことに立ち入る等)

個人的には、暴行や傷害、脅迫などは明確な犯罪行為であり、「ハラスメント(harassment)」(嫌がらせ)の語義から外れていると思いますので、単に暴行罪・傷害罪・脅迫罪と言えば足り、「パワハラ」という言葉で曖昧・抽象化する必要はないと思っています。

少し嫌な思いをしたら、何でもパワハラになるのではなく、上記の基準に当てはまるかを考える必要があります。この基準のうち特に「業務の適正な範囲を超えて」という部分がキーワードになります。

業務の適正な範囲を超えた行為とは、例えば、自分の考えを長時間にわたって「指導」と称して押し付けることや、自分の納得しない報告は受け入れず、ダメ出しを繰り返すことなどがあります(過度のダメ出しなんかは役所に多いので、個人的にはハラスメント行為だと思っています)。

またパワハラに当たるかは、時代(特にテクノロジーの発達)によって変わっていきますので、注意が必要です。
昔はネットやメールがなかったので、休日に上司等から連絡が来ることはなく、休日になれば仕事から完全に解放されたと聞きます。今では休日でも連絡がメール等でできてしまうので、パワハラと認定されるかはさておき、それが問題となり得る時代になっていることは認識しておくべきだと思います。
タイミング的に休日にメールを送らざるを得ないとしても、メールのタイトルに【月曜日に見ること】などの言葉をつける配慮をしている方もいます。

上司が部下に行った「叱咤激励」が、部下にとっては「パワハラ」に感じるということはよく聞く話ですが、コミュニケーション不足に原因があると思います。コミュニケーションが不足しているから、部下としては現れた言葉や行為しか見れなかったり、上司としても意味もなく強い言動をとってしまったりするのではないかと思います。
時代が違う、世代が違うから仕方ないと片付けてしまうのではなく、お互いに置かれた環境なども考慮しながら、言葉だけでなく言葉以外のノンバーバルな部分にも注意を傾けていく必要があるでしょう。

最近のビットコインですが、9月から10月にかけて、1BTC=75万円前後をうろちょろしていましたが、数日前に、70万円を切り、また、上昇して、この記事を書いている現在(2018/10/18)、1BTC=72万円前後で推移しています。

さて、ビットコインに関するニュースとして、最近興味を引いたのは、3万ビットコイン(BTC)が、送金手数料(トランザクション手数料)0.00001464ビットコイン(BTC)で送金できた、というニュースです。

当時、日本では、1BTC=70万円前後で推移していましたので、日本円になおすと、約210億円が、約10円で送金できたことになります。これを、銀行を使った海外送金と比較すると、例えば、SMBCHPhttp://www.smbc.co.jp/kojin/otetsuduki/sonota/kaigai/)では、「円普通預金から出金、または円現金を店頭にお持ち込みされ、円貨建てで送金される場合」の手数料として、海外送金手数料:4,000円、関係銀行手数料:2,500円、円為替取扱手数料:送金金額の0.05%(210億円であれば1050万円)がかかるとのことですので、これを単純に計算・合計すれば10506500円の手数料がかかる計算になります(ただ、そもそも、210億円を1回で送れるか、という問題もありますが。)。こうしてみると、送金手数料10円というのは、破格の安さですね。

 

ちなみに、なぜ、そんなことが分かったのか、というと、ビットコインは、取引台帳(ブロックチェーン)が公開されているため、いくらのビットコインが動いたか、という情報は、誰にでも分かるためです(但し、台帳には個人情報は記録されていないため、誰が送金したのかは分かりません。)。

実際、ブロックチェーンの情報を表示できるWebサイトを見ると(以下のURL)、3BTCが、手数料0.00001464BTCで送金されていることが分かります(正確には、3BTCが、手数料を引いて、0.8316BTC29,999.16838536 BTCに分かれて、2箇所に送金されています。)。https://www.blockchain.com/btc/tx/bace354d53088d92740485ade3211309d80b427355b931a790575b6646970202?show_adv=true 

このトランザクション手数料ですが、実は、銀行の送金手数料のように、額が決まっているものではなく、仕組み上、送金者が自由に設定することができます(※但し、送金するソフトなどの環境によっては、自動で設定され、変更できないものもあるかもしれません。また、通常は、何も設定を加えなければ、ウォレット=送金ソフトが適切な手数料を設定しますので、ビットコインを使ったことがある方でも、あまり、なじみがない方もいらっしゃるかもしれません。)。

このトランザクション手数料は、ビットコインの台帳を更新するマイナーと呼ばれる人たちに渡る、いわばチップのようなものです。チップが多ければ、その分、早く送金され(つまり、早く、取引情報が台帳に書きこまれ)、チップが安ければ、送金に時間がかかる、というのが一般的です。マイナーとしても、チップを多く貰いたいですから、チップが多いものから優先して台帳に書きこんでゆくためです。

 

トランザクション手数料を巡っては、これまでに、ビットコインのトランザクション手数料は高い、いや、安い、などといった議論がなされてきました。

自由に決められるチップに、高いも安いもないように思いますが、特に、取引が込み合ってきた際、この程度のトランザクション手数料にしておかなければ、取引の承認が後回しになり、なかなか取引が承認されない、などという事態が生じます。その結果、昨年末などには、平均的なトランザクション手数料が高くなった時期もあったようです。しかし、今回のニュースをみると、やはり、ビットコインの送金手数料は(銀行の手数料などに比べると)遥かに安いなと感じます。

土地区画整理組合の最高意思決定機関は組合員で組織される総会ですが(土地区画整理法30条、31条参照)、その総会の招集権者については、土地区画整理法32条1項及び2項において、通常総会と臨時総会のいずれについても「理事」と定められています。
 通常は、理事長が組合を代表しますので、理事会の決議を経たうえで、理事長の名義で総会を招集することが多いでしょう。
 では、組合員が総会を招集することができないか?についてですが、これについては、土地区画整理法32条3項が「組合員が組合員の5分の1以上の同意を得て会議の目的である事項及び招集の理由を記載した書面を組合に提出して総会の招集を請求した場合においては、理事は、その請求のあった日から20日以内に臨時総会を招集しなければならない。」と定めています。したがって、個々の組合員も、組合員の5分の1以上の同意を得れば、理事に臨時総会を招集するよう請求できることになります。

 実務的に、組合員が、5分の1の同意を得て、臨時総会の招集を請求することなどあるのか?と疑問に持つ方もいらっしゃると思いますが、これが結構あるのです。特に、組合の事業資金が不足して、組合員に賦課金を課そうなどと議論し出すと反対派グループが組織され、5分の1の同意を得た総会の招集請求に到るということが多いようです。

 ところで、この総会招集請求がなされたときにいつも頭を悩ませるのが、「理事は、その請求があった日から20日以内に臨時総会を招集しなければならない」という文言の解釈です。これは、単に20日以内に招集通知を発送すれば良いのか?それとも20日以内に総会を開催しなければならないのか?という問題です。仮に、20日以内に総会を開催しなければならないとすると、土地区画整理法32条8項本文は「総会を招集するには、少なくとも会議を開く日の5日前までに、会議の日時、場所及び目的である事項を組合員に通知しなければならない。」と規定していますので、組合員から請求があった日から15日後までには、理事会を開催したうえで、招集通知等の印刷、封入れを終え、組合員に発送しなければならないということになりますので、かなり忙しいのです。

 この点、会社法では、例えば株式会社の取締役会の招集において、定款又は取締役会で招集権者として定められた取締役(通常は代表取締役)以外の取締役も取締役会の招集を招集権者たる取締役に請求することができると規定し、その場合、「請求のあった日から5日以内に、その請求があった日から2週間以内の日を取締役会の日とする取締役会の招集の通知が発せられない場合には、その請求をした取締役は、取締役会を招集することができる。」(会社法336条3項)と規定しています。

 つまり、請求があった日から2週間以内の日を開催日とする取締役会の招集通知を、請求があった日から5日以内に発しなければならないことが明確になっているのです。

 しかし、土地区画整理法では、この点の記載が明確ではなく、どのように判断したらよいのか迷います。
 で、私も次の文献を調べてみたのですが、この点に関する記載がないのです。
(1)「逐条解説 土地区画整理法(第2次改訂版)」 国土交通省都市局市街地整備課監修 土地区画整理法制研究会編著

(2)「条解・判例 土地区画整理法」大場民男著

(3)「実務問答 土地区画整理」土地区画整理法制研究会編

(4)「特別法コンメンタール 土地区画整理法」松浦基之著

 ただ、(4)の松浦先生のコンメンタールには、32条7項の「第14条〔設立の認可〕第1項に規定する認可を受けた者は、その認可の公告があった日から1月以内に、最初の理事及び監事を選挙し、又は選任するための総会を招集しなければならない。」との規定の解釈について、「公告のあった日から1カ月以内に総会を開くという趣旨である。招集が1カ月以内であれば、総会の日は1月を超えてもいいというのではない。」(167頁)とあります。これと同様に考えるのであれば32条3項の「20日以内に臨時総会を招集しなければならない。」も20日以内に総会を開催しなければならないと読むのでしょう。

 で、お前はどう考えるか?ですって。

(1)   32条2項の文言からは、「20日以内に招集すれば良い」と読むのが自然なようにも感じますが、そうすると20日以内に招集通知を発送すれば、総会は1カ月後でも2カ月後でも良いなどということになりかねませんので、総会開催についての時間的縛りが曖昧になってしまいます。

(2)   仮に、20日以内に招集通知を発送すればよいと考えて、実際にそうしたが、あとで20日以内に総会も開催しなければダメ、などと裁判所で判断された場合、総会決議が無効になるリスクも存在することになります。

したがって私は、保守的に考えて、組合には「20日以内に総会を開催するのが適当」とアドバイスしています。この点については、土地区画整理法も会社法のように解釈の余地がないほど明確に定めてほしいですね。

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