2022年12月14日 日経新聞朝刊46頁

「刑法犯、戦後最小を更新」「サイバー犯罪は23%増」との見出しの記事から

法務省が13日に公表した2022年版犯罪白書によると、全国の警察が21年に認知した危険運転致死傷などを除く一般刑法犯の認知件数は前年比7.5&減の56万8104件だった。19年連続で減少し、戦後最小を更新した。


(飛田コメント)

 世の中では、日本も格差が広がったと言われていて、ときどきショッキングな犯罪も起きるので犯罪も増えてきているイメージがあるのですが、一般刑法犯は19年連続で減少し続けているとのこと。これはどうしてなのかちょっと不思議です。ここ20年間日本は経済的に落ち続けていると思っているので、それに呼応する形で窃盗などの犯罪が増えているのかと思いきや、そうではないのです。
 日本の人口が減っていっていること(高齢化していっていること)と関係があるのですかね?
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2022年12月14日 日経新聞朝刊46頁

「パワハラで海自1佐降任」「部下数十人に暴言・業務強要」との見出しの記事から

海自によると1佐は2019年9月から昨年2月、当時所属していた部隊で、部下を指導する際に「インテリ野郎」「バカ」「制裁してやる」などと発言。帰宅するのが難しくなるほどの業務を押しつけ、数カ月間の自宅療養となった隊員もいた。


(飛田コメント)
 この案件とは全然関係ありませんが、アメリカの映画で、軍隊に入隊したばかりの新人が訓練期間中にしごかれるという場面が出てきますが、ああいうのもパワハラになるのかなと、このニュースを見て思いました。あれは職場におけるパワハラの問題ではなくて、学校における体罰の問題になるんですかね?
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2022年12月13日 日経新聞朝刊47頁

「家賃滞納で『明け渡し』違法」「最高裁判決 借り主側の保護重視」との見出しの記事から

賃貸住宅の家賃を借り主が2ヵ月滞納するなどして連絡も取れない場合、物件を明け渡したとみなす家賃保証会社の契約条項の是非が争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第一小法廷(堺徹裁判長)は12日、消費者契約法に基づいて条項を違法とする初判断を示し、条項の使用差し止めを命じた。


(飛田コメント)

 以前にもコメントしましたが、この問題は、賃料不払いを理由とする建物明渡訴訟が、ほとんどの場合、事実関係には争いがないのに、送達などで時間がかかり、1審判決が出るまでに、滞納発生から6ヵ月とか、明渡断行までに更に9ヵ月とか思いの外時間がかかる(また、弁護士なのであまり言いたくはないのですが、弁護士費用とか執行業者の費用で結構なお金もかかる)というところに、問題の根本があります。
 賃借人保護を重視して、この負担を保証会社側に課せばいいのか?というと、結局、それは保証料の値上がりとなって一般の賃借人に跳ね返ってきたり、健全な業界の阻害要因となる(したがって、保証会社を利用したいときに、適切な保証会社がなかなか見つからなかったりする。)ことが予想されるので、そう簡単な話ではないと思います。
 ただ、もう最高裁判決が出てしまったので、保証会社の業界としては、(かなり困難な道ではありますが)政治に働きかけて、民訴法の改正等で対応していく他ないのではないでしょうか。
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2022年12月11日 日経新聞朝刊27頁

「再婚後出産、現夫の子に」「嫡出推定で改正民法成立」「明治以来初 無戸籍解消へ」との見出しの記事から

妊娠や出産の時期によって父親を決める「嫡出推定」を巡り、制度を変える改正民法が10日の参院本会議で与党などの賛成多数で可決・成立した。出産が離婚から300日たっていなくても、女性が再婚していれば現夫の子とみなす例外を設ける。


(飛田コメント)
 改正民法では、離婚後100日間の再婚禁止規定は廃止、離婚後300日以内に子供が生まれた場合、原則として前夫の子として推定し、例外的に子供が生まれた時点で再婚していた場合には現在の夫の子供として推定するということになったようです。改正前は、離婚後300日以内に子供が生まれた場合、母が他の男性と結婚していても前夫の子供と推定されることになっていたので、今の時代にあっているとは思われず、よい方向での改正だなと思うのですが、再婚していない場合には、前夫の子供と推定されてしまうので、その点を残したのが適当であったかは議論がわかれるところだと思います。私的には、離婚間際に、夫婦が子供を作ろうとするのか少々疑問がありますし(もちろん中にはいるのでしょうが、普通は作らないのではないか?)、前夫の子供と推定されるのが嫌で、依然として出生届をしない(したがって無国籍となる)例がなくならないのではないかと思うのですが、いかがでしょう?
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2022年12月12日 日経新聞朝刊3頁

「洗脳下の寄付 一定の抑止」「被害者救済新法 違反には罰則」「成立優先、抜け道なお」との見出しの記事から

「救済策では禁止行為に基づく勧誘に困惑して、意思表示した寄付について事後的に取り消せると明記した。行為ごとに取り消し権を行使できる期間を分けて最長で10年と決めた。」

「救済対象を寄付者の家族にも広げたのも一歩前進といえる。子供や配偶者が生活費や養育費などを確保するために寄付を取り消したり、金銭の返還を請求したりする権利を盛り込んだ。」


(飛田コメント)

 記事中では、この問題の専門家の弁護士から、信者は宗教の使命感や責任感が根付いて寄付に至ることが多く、困惑しているケースは少ないから、「自由な判断ができない状況」など、より範囲の広い文言を規程すべきとのコメントがなされています。私も具体的な裁判の場合で、「困惑」をどのように立証するのか興味があります。信者側が、単に「困惑して寄付してしまいました。」と陳述書を提出すればよいのか、それとも陳述書だけでは不足で、一般的に「困惑して寄付する」ようなときに人々が残す何らかの証拠を提出する必要があるのか?その何らかの証拠とは一体何なのか?(例えば、寄付した方が良いか否かを家族に相談していて、その際に寄付しなければバチがあたる、と言っていたというような家族の証言?)興味がありまね。
 ただ、このような法改正をしたことは、洗脳により寄付をしてしまったような人々やその家族に対する解決策を示すもので、一歩前進だと思います。
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2022年12月9日 日経新聞朝刊42頁

「株主の請求、高裁も棄却」「積水ハウス地面師事件」との見出しの記事から

○○裁判長は、判決理由中で「(○○氏に)不動産購入の契約内容を具体的に点検することまで求められていたとは言いがたい」と指摘し、裁量を逸脱した経営判断で損害を被らせたとは言えない、とした。


(飛田コメント)
 弁護士になって思うことは、社長の責任が問われる場合、世間には、経営責任と法的責任の混同があるということです。経営責任の方は、社長個人に落ち度があると否とにかかわらず、会社の成績が悪ければ、辞任とか退任という形で社長がとらなければならない責任ですが、それ以上に社長個人の財産で会社が被った損害を賠償しなければならないなどということはありません。これに対して、社長の法的な責任の方は、もしこれが「あり」と判断されると、社長個人が自分の財産で会社が被った何千万円、何億円、下手をすれば何兆円もの損害を賠償しなければならないのです。刑事上の問題の場合には、有罪となって刑務所に行かなければならないということになります。したがって、社長個人が仕事をしているときに、どのような落ち度があったのかを厳密に問われなければならないということになります。
 積水ハウスの案件は、細かい点は知らないので、安易にコメントすべきではないかもしれませんが、確かに、購入すべきかどうかを決めるのは社長や役員(取締役会)の仕事なのですが、そこから下のレベルの具体的な不動産購入の手続きは、社長の仕事ではなく、担当の社員が行うのでしょう。したがって、それについてまで社長が個人として責任をとらなければならない、ということにはならないのです。
 何が言いたいかといえば、株主としては、地面詐欺師に騙されてしまって、会社に損害が生じたのだから、社長に「あなたの会社はなにをしているのか?もう少しきちんと仕事してください。経営責任をとってください。」的なことは言えるのですが、そこから更に進んで、「あなたの個人財産で会社の被った損害を賠償してください。法的責任をとってください。」というのは次元の違う話なんです、ということでした。
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2022年12月8日 日経新聞46頁

「性別変更に手術の必要性」「最高裁憲法判断へ」「性同一性障害」

性別変更には手術が必要とする性同一性障害特例法の規定について憲法に違反するか判断する。最高裁は2019年、この規定を「合憲」としたが、判例が変更される可能性がある。


(飛田コメント)

 性同一性障害特例法から手術要件を外すということは、男性であるか女性であるかを、身体的特徴で分けるのではなく、その人が自分のことを男性と思っているのか女性と思っているのかという性自認の問題として捉えるという考えに基づくものでしょう。最高裁はこの種の分野では非常に保守的と思っていたので、この件で違憲判決が出るとすれば、画期的なことだと思います。
 頭では理解しているのですが、日常生活の中で、それが当たり前と感じるレベルまで落とし込めるかどうか。
 最高裁の判断に注目したいと思います。
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2022年12月6日 日経新聞42頁

「『海賊版サイト』賠償、増額を」「文化審報告素案 著作権法改正へ」

「損害賠償請求訴訟で売り上げの数値から損害額を算出する場合、現行では、著作権者の販売能力を超える部分については損害額から控除されている。
素案では、この控除部分のうち、本来なら著作権者に支払われるべきライセンス料に相当する金額を損害額に上乗せできるよう、算定方法の見直しを求めた。」



(飛田コメント)
 上記の引用部分のほか、ライセンス料相当額の算出にあたり、海賊版による被害であることも考慮して、正規に利用した場合の金額より多く賠償請求をすることができるようになるらしいです。基本的な方向性としては大いに賛成です。ただし、知的訴訟は、長い時間かかって労力も大きい(したがって裁判にかかる費用も大きい)割に、賠償額としては大したことがないというイメージのものが多いので、私としては、通常のライセンス料の3~5倍請求ができる(アメリカの懲罰的賠償を取り入れる。)とか、思い切った改正が必要なのではないかと考えています。
 そうでないと海賊版サイトはなくならないのでは?
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2022年12月6日 日経新聞朝刊1頁

「権利不明の著作 二次使用促進」「デジタル市場拡大へ 一元窓口」「名作もSNS動画も」

新制度の柱は、相談に応じる一元的な窓口組織の新設だ。利用者が権利者を把握していない場合、窓口が著作権管理団体のデーターベースを参照し伝える。最終的に権利者不明の場合は、著作権使用料の相当額を窓口に収めた段階で暫定的に利用を認める。


(飛田コメント)

 現行制度でも、権利者が不明の場合、文化長官の裁定を受ければ、二次利用が可能になるらしいのですが、手続きに時間がかかるので、新しい制度を創設するという話のようです。私としては、権利者は明らかになっているが、ある出演者の同意がどうしてもとれないので、デジタル配信ができないような例の解決策がないのかな?と思うところですが、今回の新制度でも、少なくとも、権利者不明の場合の解決は容易になりそうであり、過去の名作を観れるチャンスが広がるのではないかと思いますので、歓迎ですね。一歩前進だと思います。
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2022年12月2日 日経新聞朝刊46頁

「関電旧経営陣 再び不起訴」「検審審、改めて審査へ」「起訴議決なら強制起訴」「役員報酬補填の妥当性 市民感覚でどう判断」との見出しの記事から

2005年4月に起きたJR福知山線脱線事故では、JR西日本の歴代3社長が業務上過失致死傷罪で強制起訴されたが、17年6月に無罪が確定した。東京電力福島第1原子力発電所事故を巡って強制起訴された東電の旧経営陣も一審は無罪で、控訴審の公判が続いている。


(飛田コメント)

 記事の最後の方は、検察が2年にわたり不起訴とした事件が、その後検審審査会で起訴相当とされ、指定弁護士が強制起訴をしても、有罪にするのはなかなか難しいということが書かれています。
 実際、私も一般の人の感覚と法曹関係の人の感覚だと事実認定においては、法曹関係の人の方が厳しいというイメージを持っています。
 この証拠からこういうとこまで言えるのかという感覚がちょっと違うのですよね。なるべくズレない方が良いとは思うのですが、刑事の分野では、冤罪防止の観点から厳しい方が良いのではないかとも思います。
 難しいところですね。
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