ドレス写真
(本文とは関係がありませんが、某ホテル地下のウエディングドレス屋さんの写真です。

このドレスを着ようとする人は、この以下の記事は読まないで良いです。幸せな結婚に

なることをお祈りいたします。)


今日は、離婚事件の財産分与について、実務上最も苦労する点について書いてみたいと思います。

1. 
財産分与とは、夫婦が、結婚してから協力して築いた財産を清算することです(財産の名義人から非名義人への分与という形をとる。)。例えば、夫が働きに出て、妻が家庭に入っているような場合、家や車や預金などの財産は、多くの場合、夫名義で築かれているのが通常ですが、そのような場合、夫から妻に対し、結婚してから協力して築いた財産の分与が行われます。

民法の根拠条文としては、次のとおり。

768
協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。
2  前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、離婚の時から二年を経過したときは、この限りでない。
3  前項の場合には、家庭裁判所は、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める。

ところで、上記第768条第3項は、財産分与の額及び方法について、「家庭裁判所は、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、〔中略〕定める」と規定しているだけで、どのような割合で財産を分与したらよいのか等について何も規定していません。

この点について、かつては、専業主婦であれば34割、共稼ぎや妻が夫の事業に協力している場合は5割などと言われていました。しかし、現在の実務では、専業主婦であっても原則5割の割合で財産分与額が算定されるのが通常です。

実務上、この辺のところで争っても、何か特別な事情がない限り、労多くして実少なしというところでしょう。


2. 
それよりも、実務上最も重視されるのが、いかにして相手の財産を探り当てるかというところです。

というのは、夫婦といえども財布が共通でない場合、相手がどのような財産を持っているのかよくわからない場合が多いからです。例えば、夫が財テクでマンションを購入している場合、妻には、マンションがどこにあるのかわからない場合が多いでしょうし、甚だしい場合には、退職金を財産分与の対象にしようとしても、自分の夫がなんという名前の会社に勤めているのか正確にはわからない人もいます(信じられないかもしれませんが、転職や転籍などでわけがわからなくなっていることがあります。)。

相手の預金の状況がわからない場合、離婚訴訟では、裁判所に調査嘱託の申立てを行い、裁判所から相手方が取引をしていると思われる銀行等に照会してもらい、銀行等から相手方の取引履歴や一定の基準日時点での預金残高等を提出してもらうことになります。しかしその場合、支店単位で照会先を特定することが要求されるので、夫又は妻が〇〇銀行を使っているということだけを知っているだけではダメで、〇〇銀行〇〇支店に預金口座がある(番号までの特定は不要)というところまで知らなければなりません。

しかし、このような裁判所を通した照会ができればいいですが、そもそも不動産などは誰でも謄本を取得できるので、通常、照会など行われません。

したがって、財産分与で争いとなる見込みの離婚事件を、弁護士が原告側で受任するときは、まず相手の財産の状況をよく調べるよう(少なくとも、どこに不動産を持っていて、どの銀行の何支店に預金があって、どの証券会社の何支店で株の取引をしているか等々について調べておく)ことをアドバイスさせていただくことになります。


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