ゼロ戦
(本文とは全く関係ありませんが、山梨県の河口湖の自動車博物館(飛行館)で撮った

ゼロ戦です。この博物館は8月しか開館していない珍しい博物館です。
今年は、小説「永遠の0」の映画化や、ジブリの「風立ちぬ」などでゼロ戦ブームという
感じですね。



残暑お見舞い申し上げます。

暑い日々が続いておりますが、皆さん、夏バテなどしておりませんでしょうか?

 

さて、先週はお盆で帰省されていた方も多いかと思いますが、帰省して家族や親戚が集まると、お墓の話題って出ませんか?

私が死んだらお墓の管理は○○にさせる、とか、いや○○より△△の方がいい、などという話題が出ますよね(えっ、出ない!私の家だけでしょうか。)。

 

この点について、法律の定めを整理してみると次のとおりです。
 

ある方が亡くなって相続が開始された場合、原則として、「被相続人の財産に属した一切の権利義務」が相続財産となると定められています(民法896条)。


896条 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。

     ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。


しかし、お墓の所有権も「被相続人の財産」として相続の対象になるのか、という問題については、民法897条が次のように規定しています。

 

(祭祀に関する権利の承継)

897  系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。

 前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。

 

要するに、系譜(家系図、過去帳等)、祭具(位牌、仏壇、仏具、神棚等)、墳墓(墓石、墓碑、墓地の所有権や使用権等)などの「祭祀財産」と呼ばれるものは、相続の対象とはなりません。下記①~③の順位に従って、祖先の祭祀を主宰すべき者に承継されます

 

① 被相続人が指定した者(指定方法に制限はないので、生前行為か遺言か、書面か口頭か、
  明示か黙示かを問わず、外部から被相続人の意思が推認できればよいとされています。)

② 慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者

③ ①も②も明らかでない場合は、家庭裁判所に祭祀財産の承継者の指定の調停又は審判を
  申立てる

 

なお、祖先の祭祀を主宰すべき者への承継は、「相続」ではありませんので、相続のときのように、(相続の)承認とか、放棄などというものはありません。被相続人から指定された者は、自分の意思とは関係なく、祭祀財産の承継人になりますが、ただ、お墓等を管理することを法律上強制されるわけではなく、また、祭祀財産を処分することもできます(たとえば、長男から次男に祭祀財産を譲渡することも可能です。)。

 

 

法律上の定めは以上のとおりですが、私のお勧めは、遺言書の中に祭祀承継者についてきちんと書いておくことです。

前述のとおり、祭祀承継者の指定は、遺言書の中に書かなくても、被相続人から、日頃、「お墓はお前が守れ」というようなことを言われていただけでも「指定があった」と認定されることがありますが、争いになれば、そのようなことを言っていたか否かについても争われることになりますので、争いが生じないよう遺言書の中にきちっと書いておくことが適当だと思います。

 

この時期の話題としてご参考にしていただければ幸いです。