アメリカには、MBA(経営学修士)をとるためのビジネススクールが沢山ありますが、そのトップに君臨するハーバード・ビジネススクールの人気教授で、『イノベーションのジレンマ』というベストセラー本の著者でもあるクリステンセン教授の最終講義をもとにして書かれた本です。

クリステンセン教授は、自身もハーバード・ビジネススクールの卒業生ですが、卒業10年後、20年後となると、同窓会に出席する人が減っていき、仕事はうまくいっているようだが、私生活では結婚・離婚を繰り返していたり、子供との関係がうまくいっていなかったり、中には、エンロン事件のような大事件を起こして、刑務所に入ってしまう人が出てしまうことを憂えます。どうして才能豊かで、志も立派だった人たちが、そんなことになってしまったのか。そして、教授は、そうならないために、自分の後輩たちに向かって、幸せなキャリアを歩むにはどうしたら良いのか、幸せな家庭を気づくためにはどうしたら良いのか(子供の教育を含む。)、刑務所に入らないようにするにはどうしたら良いのか、を自分の人生観を交えて語っていきます。

しかし、単なる道徳論、教育論ではありませんぞ。さすが、ハーバード・ビジネススクールの教授、企業に適用される経営学上の理論を、我々個々人の人生にあてはめて語ってくれるのです。例えば、仕事ばかりしていて、家庭をおろそかにしているのは、目先の成果ばかりを追い求め、長期的な視点にたって経営を行っていない企業と同じでいずれしっぺ返しが来る(そもそも時間とお金という資源を投資していないのだから当たり前。)、というような感じです。それを具体的な企業のケースからわかりやすく解説してくれるので非常に説得的です。個人的には、ホンダの話がとても参考になりました(具体的な内容は読んでのお楽しみです。)。
今一番お勧めしたい本です。