2014年66日の朝日新聞デジタルの報道によると、
不動産仲介業大手の〔中略:A社〕(東京)が福岡市内の2件のマンション物件について、以前の入居者が室内で自殺したことを説明せず、新たな入居者に賃貸していたことがわかった。〔中略:A社〕は、物件の説明義務を定めた宅地建物取引業法に『違反した可能性がある』として、入居者に謝罪したという。社内のシステムに正確な物件情報が入力されていなかったことが理由、と同社は説明している。
ということです。 

宅地建物取引業法では、自殺や殺人があったいわゆる「事故物件」であることは、第35条の重要事項の説明の項目としては挙げていませんが、同法第47条第1号ニでは、「宅地建物取引業者の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすこととなるもの」について、故意に事実を告げなかったり、又は不実のことを告げることが禁止されており、日本の裁判所は、自殺や殺人があった事故物件であることは、この「相手方等の判断に重要な影響を及ぼす」事項に該当すると解釈しています。これに違反して事故物件であることを説明しないと、仲介業者は説明義務違反を問われることになり、上場会社だったりすると、ニュースバリューがあるということで、今回のように朝日新聞のネットのページで報道されてしまうのです。

ただ、どうでしょう?みなさん、この事故物件であることを仲介業者は説明しなければならないという解釈について何か違和感がないでしょうか?えっ、ない。そうですね。我々日本人としては全然違和感はないのでしょうね。

私は、このニュースを読んだときに、もうすぐサッカーのワールドカップが始まるということもあって、アフリカのサッカー界における黒魔術のことをイメージしてしまいました。

ネット情報なので恐縮ですが、アフリカの国々では、呪術がサッカーの勝敗に大きな影響を与えると一般的に信じられていて、各サッカークラブにはそれぞれお抱えの呪術師がいて、相手チームに呪いをかけるため、グランドに、ヤギやウシ、ヘビなど動物の血をまいたり、頭がい骨など人間の身体の一部をグラウンドに埋めたり(したがって、大きな試合が行われるときはグランドに呪術がかけられないよう前日から厳戒態勢となるらしい。)、相手チームのスター選手に呪いをかける行為が行われるということです(呪いをかけられることを恐れ、スター選手は海外でプレーすることを好むそうです。)。2008915日のロイターの報道によれば、コンゴ(旧ザイール)東部で、地元のサッカーチーム同士の試合中、劣勢だったチームのゴールキーパーが試合の流れを変えるために、前に出てきて呪文を唱えたところ、乱闘となり、駆け付けた警察に対し群衆が石を投げ、警察も催涙ガスで応酬して、11人の死者が出るという痛ましい事件も起こっています。2010年のワールドカップでは、南アフリカ代表が、フランス戦の前に、南アフリカが勝つよう呪術師に依頼したようであり(真実は定かではありませんが)、本当に南アフリカが勝ったので、その呪術師が南アフリカのサッカー協会に対して料金の支払いを求めるということが報道されていました。

このような報道に接すると、アフリカはまだ呪術が横行しているすごい前近代的な社会だなと思うのですが、しかし、この日本の事故物件に対する対応も、かなり前近代的だな、と思うのです。まだ、我々の社会でも、自殺や殺人があった物件では、死者の霊(おばけ)が成仏されずに残っていて、なにかよからぬことが起こる可能性があると、かなりの人が信じていると思うのです。少なくとも、平気で住んでいられる人はあまりいないはずです。アフリカの黒魔術のことをとやかく言えませんね。

「で、あなたは事故物件でも平気なのか?」ですって?
もちろん、嫌です。たたられます。私は、事故物件は借りませんよ。