本日の日本経済新聞朝刊に、「経営に規範、説明責任課す 有識者会議でルール策定へ」という見出しで、コーポレートガバナンスコードに関する有識者会議の記事が出ていますね。
今後の注目点は社外取締役のコード案だ。来春に施行予定の改正会社法は選任の義務化を見送ったが、1人も選任しない企業には説明責任を課した。自民党・日本経済再生本部は5月、2人以上選任するか、しない理由を説明する案を示した。
今後はさらにハードルを上げる意見も出てくる見通しだ。会議メンバーの堀江貞之・野村総合研究所上席研究員は「3人がいい」と話す。3人いれば、うち1人が社外取締役の核になりやすいという。メンバーの小口俊朗ガバナンス・フォー・オーナーズ・ジャパン代表取締役も「コードの表現はともかく、取締役会の3分の1や半数を求める声があることを無視すべきではない」と言う。
というわけで、現在の状況からすると、今後策定されるコーポレートガバナンスコードでは、ほぼ確実に社外取締役については2名以上の複数選任が要求されることになりそうです(選任しないのであれば、選任しないことを相当とする理由を説明しなさい!ということになる。)。
次に、同記事では、社外取締役が複数、たとえば2名選任することが必要になった場合、監査役設置会社では、最低4名の社外役員(社外監査役2名+社外取締役2名)が必要であるのに対し、監査等委員会設置会社では、2名の社外取締役だけで済むということを説明したうえで、企業統治に詳しい太田洋弁護士の、「最低100社は監査等委員会設置会社に移行する」とのコメントを紹介し、さらに、「社外取締役コードのハードルが高くなるほど移行企業が増えそうだ。」としています。(なお、同記事では、逆に、「コードが厳しすぎると原則の順守をあきらめて説明に回る企業が増え、形骸化する恐れもある」との指摘もしています。)
以上から、(良いか悪いかは別にして)今後の上場企業の統治形態としては、社外取締役の複数選任が(事実上)要求され、かつ、監査役設置会社から監査等委員会設置会社に移行することがかなり高い確度で予想される、ということになりましょうか。
企業法務に携わる者としては、今後のために、社外取締役の権限や責任、監査等委員会移行するための手続などを整理しなければなりませんね。