仮想通貨革命
野口 悠紀雄
ダイヤモンド社
2014-08-04




経済学者であり、超整理法でも有名な野口悠紀雄さんの『仮想通貨革命』(ダイヤモンド社、2014年6月)を読んで、たまらなく興奮しました。おそらくアメリカのスティーブ・ジョブズやビルゲイツがパソコンに触れ、日本では孫正義さんや堀江隆文さんがインターネットに触れた時のような気持ちの高ぶりといったら大げさでしょうか。

この本は、ビットコインについて説明した本です。

皆さん、ビットコインというとどのようなイメージを持たれていますか?昨年、日本では、ビットコインを扱っていたマウントゴックスという会社が破産したニュースが大々的に報道されたので、なんだか実態のない通貨で、投機の対象になっていて、いかがわしいもの、というイメージではないでしょうか?

しかし、マウントゴックスは、ビットコインをドルや円に交換する単なる『両替所』であり、マウントゴックスが破産したからといって、ビットコインのシステムの脆弱性が顕在化したわけでもなんでもないのです。

ビットコインの詳しい仕組みの話はこの本に譲るとして、簡単にいうと、ビットコインは、デジタル署名による送金により受け渡され、ブロックチェーンに取引履歴が記録されことにより転々流通が可能となり、さらに、コンピューターのネットワーク(P2Pネットワーク)にプルーフ・オブ・ワークの計算を課すことによってブロックチェーンの改ざんが防止されるような管理者がいない仮想通貨なのですが、そう言われても全然わからないと思います(わたしも書いていてよくわからない。)。

しかし、重要なのは、非常に優れた仮想通貨であるということと、これを支払手段として使用することにより送金コストが格段に安くなるということです。

今は、日本の銀行で送金をしようとすると、国内でも432円くらい(ATM他行あて)、外国の銀行ではもっと大きな金額になります(先日、中国の銀行に10万円を振り込みましたが、1万円も手数料がかかりました。)。

これがビットコインを利用することによりゼロに近づけることができるとするとどうなるか?ですが、まず、eコマースの世界はもっともっと発展していきますが(外国のサイトの商品がクレジットカードを介さないで買えるようになります。)、反面、カード業界が縮小していく可能性があります。それから、銀行の送金業務(とりわけ海外送金)がごそっと銀行の業務でなくなる可能性があるので、銀行業界は縮小していくでしょう(預金と貸付を中心とした本業に回帰していく?)。さらに、このビットコインの技術を応用し、ビットコインを使った株式を作るとすると、ネットを通じて相対で売買ができるようになるので、もはや証券会社なるものは必要がなくなるようです。さらに、一国の通貨の価値が落ちると、国民がビットコインに通過を変えていくというような事態が想定され(そのため、中国では政府がビットコインの利用を禁止しているようです。)、国家に対してもインパクトを与えるとのこと。ビットコインによる取引は捕捉が難しいので、税制にも多大の影響を与えます。

 

現在、欧米では、ビットコインの利用が急激に増えているといことです。日本では金融機関(銀行等々)のネットワークが発展していますので、ビットコインの利用については金融機関が抵抗勢力になる可能性がありますが、海外でビットコインの利用が一般的になると、国内もそれに逆らうことができないと思われますので(いつもの黒船効果です。)、日本でも一気に普及する可能性があります。

ビットコインに関する周辺サービスも生まれてくるでしょう。我々の世界(法曹界)も、ビットコインによる決済に関連した法制度なり契約書なりを作り出していく必要が発生してきます。パソコンやインターネット技術では我が国はアメリカの後塵を拝しましたが、(現在の状況からするともう遅いのかもしれませんが)ビットコインの周辺技術については是非立ち遅れないようにしなければなりません。

このような大きな変化が、おそらくあと10年とか20年の単位で我々の世界に生じてくることになります。そう考えると、なんだか胸がわくわくするような気持ちになりました。
ビットコインについていかがわしいものというイメージをお持ちの方は是非『仮想通貨革命』をお読みいただければと思います。