2015年3月8日の日本経済新聞朝刊1頁の「特許侵害、立証容易に」「被告の証拠不提出に罰則」「政府方針」という見出しの記事は注目すべきですね。



政府は特許訴訟で被告の立証をしやすくする制度改正に取りかかる。特許を侵害したとされる側が訴訟に必要な証拠文書を提出しない場合、罰則の導入などを検討する。被害額の算定規定も見直す。侵害された側の勝訴率を欧州各国並みに引き上げ、損害賠償額の水準の底上げにつなげる。


この記事の中で、勝訴率の各国の数字が挙げられています。日本は23%、英国20%、ドイツ63%、フランス39%、オランダ41%ということなのですが、このような勝訴率の違いが、本当は特許が侵害されているのに、証拠が揃わないため、敗訴してしまうということであれば本当に悲劇ですね。

損害賠償額についても、日本では、74億円の損害賠償が認められたのが最高だそうですが、米国では、故意の侵害であれば損害額の3倍までの賠償を命じる制度があるため、約1800億円の賠償が認められたことがあるということで、桁2つ違います(桁二つですぞ!)。

この記事では、「日本の低すぎる賠償額は知的財産権の海外流出の要因にもなっている。」と述べていますが、確かに、私の経験でも、日本では、証拠があつめられるのか?ということや費用(大部分は弁護士費用)のことを考えて、訴訟提起を躊躇しがちなことが多いので、そういう面があるように思います。
今回の特許法の改正の検討により、より特許の権利保護に厚い制度になることを願っています。