最近は上場企業のガバナンス議論がさかんですので、企業不祥事もあまり生じなくなっているのではと思いがちなのですが、そうでもないようです。3月18日に、証券取引監視委員会が、警視庁組織犯罪対策3課と合同で、ジャスダック上場のグローバルアジアホールディングスに対し、金融証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載。いわゆる粉飾決算)の容疑で強制調査に入ったようです。
(2015年3月18日日本経済新聞夕刊17頁から)
関係者によると、同社は2013年3月期の連結決算などで、資金を不正に水増しした有価証券報告書を提出した疑いが持たれている。同社の12年3月期は4億7600万円の債務超過だったが、13年3月期は一転して2700万円の資産超過だった。
同社は資産が増加した理由として「新株予約権発行などで資金を調達した」と公表したが、実際には調達した資金が社外に流出し、債務超過だった疑いがあるという。監視委は上場廃止基準にあたる2期連続の債務超過を避けるため、決算を粉飾した疑いがあるとみているもようだ。
同記事によると、「同社では14年にも新株予約権の発行で払い込まれた約2億円が全額引き出され、支出先が不明となる問題が発覚した」ということですので、ガバナンスに相当問題があったのでしょうね。
まだ、粉飾決算であったことが確定したわけではありませんので、軽々しいことはいえませんが、企業法務に携わる者として、この事件には注目していきたいと思います。
なお、グローバルアジア側では、HP上で、強制捜査を受けた事実を認め、 「今後、当社といたしましては、関係当局の調査に協力し、事実関係が明らかになり次第、速やかにご報告申し上げます。」とコメントしています。