少々前のニュースになりますが、2015年3月26日の日本経済新聞電子版の『不当解雇に解決金制度 規制改革会議が意見書 職場に戻る代わりに補償』という見出しで、興味深い記事を配信していました。

 

政府の規制改革会議は25日、すでに裁判で不当と認められた解雇を、金銭補償で解決する制度の導入をめざす意見書をまとめた。解雇された労働者から申し立てがある場合だけに適用する制度とする。不当解雇をめぐるルールを明確にし、労働者が泣き寝入りを迫られる事態を防ぐ。経営者側も労働紛争の決着を見通しやすくなる。

 

解決金制度は裁判で不当解雇と認められたとき、労働者が職場に戻るかわりに、法律で定められた一定額の補償金を使用者から払い、雇用関係を解消する仕組み。〔中略〕ただ、不当解雇と認められたなら職場に復帰したい、という労働者もいる。〔規制改革会議は〕あくまで「労働者側からの申し立てのみ認めるべきだ」と強調した。

 

この制度は、お金を払えば解雇できるという制度ではなく、不当解雇が認定されたときに、労働者側から申し立てがあれば、職場復帰ではなく、金銭補償で解決を図るというものです。私としては、以前、労働者側の代理人となって不当解雇を争ったこともあるのですが、既にクライアントはもとの会社で雇用を継続する意欲を失っている場合が多く、解雇が無効と認定されても、職場に戻ることなぞ全然考えていないことがほとんどだと思いますので、よい制度なのではないかと思います。ただ、補償金の金額が低いと不当解雇をした方が得ということにもなりかねないので、補償金の金額をいくらにするかという点で、非常に揉めるかもしれませんね(法令に定めないで、裁判所の個別判断にするのかな?)。