201568日の日本経済新聞朝刊15頁に『監査役制のまま統治改革』という見出しで、興味深い記事がありました。リード部分は次のとおり。

 

企業統治(コーポレートガバナンス)改革の一環として5月に「監査等委員会設置会社」が制度化された。日本独自の監査役会を廃し、取締役が監査する新しい統治モデルだ。移行を表明した上場企業は170社を超えたものの、実は従来型の「監査役会設置会社」が東証上場企業の9割以上を占めるのが現状だ。監査役会設置会社にこだわる企業のガバナンスの動きを追った。

 

この記事では、①取締役の任期が1年なのに対し、監査役の任期が4年と長いこと、②社外取締役が会社と接する機会は月1回程度の取締役会だけなのに対し、社外監査役は内部監査部門との連携を通じて多くの社内情報を持つことなどから、「監査役の権限は大きい。海外投資家に監査役制度の長所を訴えたい」という意見の会社が紹介されていたり、独立社外監査役と独立社外監査役で構成される独立役員会議を立ち上げることを表明し、「監査役との交流が社外取締役の判断に役立つことを期待している」という意見の会社が紹介されていたりします。いずれも、監査役会には一定の意義があるということを前提とした意見と評価できますね。

また、その他の意見としては、監査等委員会設置会社について、「効果が今はわからない」として監査役会設置会社を維持する方針の会社も紹介されています。これは、しばらくは様子見という感じでしょうか。

 

私はもっと、監査等委員会設置会社に移行する企業が多く出るのでは?と思っていましたが、9割以上が監査役会設置会社にとどまるようですので、それほどでもないようです。

 

少々この記事の中でよくわからなかったのは、人材紹介のプロネッドが社外取締役を対象に望ましい取締役会の形を聞いた調査で、東証1部上場の社外取締役121人のうち、半数を超える人が「監査役会設置会社」かその派生形と回答しており、監査等委員会設置会社の10%を大きく上回ったという部分です。

ということは、東証1部の社外取締役の大半は、監査役は必要と考えているということなのかしら???