今回は、図書館における地図の複製と著作権のことについて書こうと思います。

現在、多くの図書館では、住宅地図などの地図を、見開き半ページを越えてコピーすることが禁じられています。「あれ?図書館なら、なんでもかんでもコピーし放題じゃないの??」なんて思われる方も多いかと思いますが、図書館での著作物の複製にも、何かと制限がございます。

「地図が見開き半分までしかコピー不可」という運用ですが、この原因は、以下の3つの点に起因します。
①著作権法上、図書館における著作物の複製は、特に新品の本などの場合、「著作物の一部分」しか認められない。
②実務上、一部分とは、著作物の半分以内とされている。
③実務上、住宅地図は、見開き1頁が1つの著作物として扱われることが多い。

つまり、住宅地図は、見開き半ページを超えると、もはや「著作物の一部分」ではなくなり、著作権法上、図書館で複製が認められないことになるのです。

詳しく見てゆきますと、①については、いわゆる図書館におけるコピーが認められる範囲について、著作権法が次のような規定をしていることに由来します。

【著作権法第31条 第1項 第1号】
図書館等の利用者の求めに応じ、その調査研究の用に供するために、公表された著作物の一部分(発行後相当期間を経過した定期刊行物に掲載された個々の著作物にあつては、その全部。第三項において同じ。)の複製物を一人につき一部提供する

場合、つまり、著作権法上、少なくとも新品の著作物を図書館で複製する場合、「公表された著作物の一部分」しか認められていません。

では、「一部分」とは何かといいますと、②に挙げたとおり、(法律上明確な定義があるわけではありませんが)実務上、著作物の半分を超えたらもはや「一部分」ではない、という扱いがされています。

それなら、「100頁ある住宅地図の50頁までは「一部」か?」とも思われますが、そこは注意が必要です。著作権法上、図書館で認められる複製は、「本の一部」ではなく、「著作物の一部」なのです。そうすると、「じゃあ著作物って本のどこからどこまでなんだ?」という疑問が湧いてきますが、通常であれば、物理的な本の全ページ=著作物全体ということになります。しかし、場合によっては、本の一部が一つの著作物とされるケースもございます。それが顕著であるのが、地図で、実際の現場では、見開き1頁が1つの著作物として扱われることが多いようです。

そのため、最初にも書いた通り、見開き全ページの複製は図書館では認められない扱いとされているのです。

・・・もっとも、多くの地図は、端で切れている部分については、「●頁に続く」などと記載され、本一冊全体で一体性を有しているのですから、私の感覚では、一冊で一つの著作物と扱ってもいいような気がします。また、現実問題として、見開き半分だけコピーできても、複写したい箇所が、見開き全頁にまたがっている場合などは、不便ですよね。

こういったところの小回りがきかないのが日本の著作権法の難点だと思います。