●ビットコインってなんだ?

今月3月4日に、「情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等の一部を改正する法律案」が国会に提出されました。この中では、巷で話題のビットコインについても規制がされるとのことで、一部で話題になっています。


ビットコインと聞くと、少し前に、マウントゴックスというビットコインの交換所が倒産したニュースなどを思い出して、あまり良いイメージがないかもしれませんが、そもそも、ビットコインって、何なのでしょうか。

ビットコインとは、ざっくり言えば、インターネットなどを通じてやり取りされる仮想通貨、などと表現されています。ただし、「仮想」と言っても、ビットコインと現金を交換する取引所や、ビットコインで代金を支払えるお店が世界中に登場しているので、もはや現金??みたいな雰囲気にもなってきています。

詳しく調べようとインターネットで検索すると、やれP2Pだ、やれ電子署名だ、と、かなり技術的にマニアックなサイトや、そもそも通貨とは何か??などと哲学的な議論をしているサイトまで、様々なものがヒットしますが、いまいちピンときません。こういう場合は、実際に使ってみることが早いと思うので、実際にビットコインを入手してみました。


●ビットコインの入手~現金と交換~

まず、ビットコインを入手するためには、大きく次の方法があるようです。

(1) 現金等と交換する

(2) ビットコインを貰えるキャンペーンなどを利用する

(3) 採掘する(マイニング)

このうち、(2)は、貰えるとしても僅かで、何らかの作業が伴うため、面倒です(例えば、広告を見続けて、代わりにビットコインをもらうサービスがありますが、時間がかかる上に貰えるビットコインも多くありません。)。

また、(3)は、ビットコインの特徴でもありますが、結論的に、一般人が、ビットコインを稼ぐ方法としては適していません。パソコンの電気代の方が高く付くレベルです。詳しい説明は、割愛します。

結局、(1)~(3)のうち、一番確実にビットコインを入手できる方法は、(1)の方法で、取引所にアカウント(口座)を開設し、ビットコインを購入することです。

現在、国内向けに、幾つかの取引所・販売所ができており、インターネットで口座開設ができます。取引所へは、銀行振込などで日本円を送金し、ビットコインを買うことができます。出金方法としては、自分の口座への銀行振込や、Amazonギフト券に交換する、なんてサービスを提供している取引所もありました。

レートや手数料は、取引所によってまちまちのようですが、ざっと見たところ、

平成28年3月29日現在、

  1ビットコイン(BTC) = 4万9000円前後

で取引されています。

通貨の最小単位は、0.00000001BTCで、取引所などで購入できる最小単位は0.01BTC前後のようです(つまり、本日時点で、一口約500円)。

先ず隗より始めよ、ということで、自分でも、口座を開設し、ひとまず、約1000円分(0.02BTC)買ってみました。これで、将来、ビットコインが値上がりすれば、私は大金持ちになれる算段です。夢が広がります。

次に、念のため、ビットコインを日本円にできるかも試してみました。流れとしては、

  ①日本円入金

  ②ビットコイン購入

  ③ビットコイン売却

  ④日本円出金(自分の口座への銀行振込)

となります。ちなみに、④で手数料が500円ほどとられて、とても寂しい気持ちになりました。大金持ちへの道は、まだまだ遠いです。


では、寂しい気持ちにならない方法は、無いのでしょうか。そもそも、そんな小口の取引をするな、とも言われそうですが、例えば、以下の方法であれば、高い手数料を支払う必要は無くなります(但し、ビットコインの構造上、ビットコインの送金時に僅かな手数料は発生します。)。

  ②ビットコイン購入→③'友達に高値で売りつける

           (友達のビットコイン管理アプリに送金)

つまり、ビットコインは、取引所でしか売れないものではなく、相対で取引ができ

るのです。取引所が信用できなければ、

  ②ビットコイン購入→③''自分のスマートフォンのビットコイン管理アプリに送金


なんてこともできるのです。③''後に、取引所が倒産しても、ビットコインは残ります。

さらに、


  ②ビットコイン購入→③'''他の仮想通貨の取引所で他の仮想通貨と交換

   →④他の仮想通貨の取引所で日本円に換金

という方法という方法も考えられます。

●今回の法規制

このように自由度の高いビットコインですが、今回の改正法案では、以下の観点から、資金決済に関する法律(いわゆる「資金決済法」)や、犯罪による収益の移転防止に関する法律(いわゆる「犯罪収益移転防止法」)が改正され、「仮想通貨」に関する規定がおかれました。ちなみに、主として取引所を規制する内容になっています。

  (1) マネーロンダリング・テロ資金供与対策 

  (2) 利用者の信頼の確保

(1)は、読んで字のごとくそのままで、ビットコインがマネーロンダリングやテロ資金として使われることを防止する趣旨です。ビットコインの取引の自由度を考えれば、うなずけます。


(2)は、ざっくり言ってしまえば、マウントゴックスのように取引所が破綻するようなことがないよう、取引所を登録制とし、取引所の財産的基盤をしっかりチェックしよう、という趣旨です。


具体的には、 

   ・資金決済法・改正案2条5項で「仮想通貨」を定義し、

   ・同7項で「仮想通貨交換業」を定義した上

   ・同63条の2において、仮想通貨交換業には登録が必要とされ、

   ・同107条で、登録無く仮想通貨交換業を行った者に刑罰

    (三年以上の懲役若しくは三百万円以下の罰金、又は、

     これを併科)が科される

こととされています。

登録といっても、この「仮想通貨交換業」、誰でも登録できるわけではなく、例えば、以下の場合は、登録が拒否されることとされています。

  ・「株式会社又は外国仮想通貨交換業者(国内に営業所を有する外国会社に限る。)

    でないもの」(資金決済法・改正案63条の5・第1号) 

  ・「仮想通貨交換業を適正かつ確実に遂行するために必要と認められる内閣府令

   で定める基準に適合する財産的な基礎を有しない法人」(同・第3号)

  ・「仮想通貨交換業を適正かつ確実に遂行する体制の整備が行われていない法人」

   (同・第4号)
  ・「他に行う事業が公益に反すると認められる法人」(同・第9号

要するに、改正法が言わんとしていることは、「財産的な基盤のある、しっかりした会社でなければ、仮想通貨交換業を行ってはいけませんよ」ということです。


また、資金決済法の改正案において、「仮想通貨」と「仮想通貨交換業」は、以下のとおり定義されています。

資金決済法・改正案

第二条

5 この法律において「仮想通貨」とは、次に掲げるものをいう。

一 物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されているものに限り、本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産を除く。次号において同じ。)であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの

二 不特定の者を相手方として前号に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの

 

7 この法律において「仮想通貨交換業」とは、次に掲げる行為のいずれかを業として行うことをいい、「仮想通貨の交換等」とは、第一号及び第二号に掲げる行為をいう

一 仮想通貨の売買又は他の仮想通貨との交換

二 前号に掲げる行為の媒介、取次ぎ又は代理

三 その行う前二号に掲げる行為に関して、利用者の金銭又は仮想通貨の管理をすること。

ビットコインにかぎらず、上記2条5項の定義(1号又は2号)に該当するものには、今回の規制が及びます(正確に言えば、主として「仮想通貨交換業」を行う者に対して規制が及びます。)。

また、仮想通貨交換業は、「交換」といいつつも、「媒介、取次ぎ又は代理」まで含まれるため、非常に広い定義となっています。

改正法案の概要については、金融庁が説明資料を公開しています。

http://www.fsa.go.jp/common/diet/190/01/youkou.pdf

改正法のもとで、今後のビットコインのさらなる発展が期待されます。