我が国では、結婚をしようとする男女は、結婚する意思及び夫婦関係を成立させる意思を持っていれば、婚姻届を役所に提出することで結婚することができます(民法739条)(婚姻適齢、重婚でない等の要件を充たしていることが前提ですが)。

たとえ外国に住んでいたとしても、日本人間であれば、その国の駐在大使、領事等に婚姻届を提出すれば結婚できます(民法741条)。

ただし、日本で結婚する場合は、婚姻届を提出すれば基本的には受理されて、提出日=入籍日となるのが通常だと思いますが、外国で婚姻届を提出する場合は、まずは日本から戸籍謄本を取り寄せてから婚姻届を駐在大使等に提出し、各関係機関を通じてから日本の役所に提出するので、日本の役所に届くまで何ヶ月もかかります。

日本の役所に届いて受理された日が入籍日になるため、自分達で入籍日を決めることができません。

しかし、たとえ海外にいたとしても、日本にいる人に代理人になってもらえば、書類に不備が無ければ婚姻届を受理してもらえるので、民法741の出番は限定的です。

海外といえば、アメリカのネバダ州ラスベガスの結婚が簡単なことで有名です。

ラスベガスの役所で結婚許可証(Marriage License)をもらって、ネバダ州の認可神父・牧師が結婚式をしてくれれば、結婚が成立します。結婚式はどんなに小さな式でも構わないようです(ドライブスルーで結婚ができるくらいなので)。日本は成人2人の証人が必要ですが(民法7392項)、ラスベガスでも証人(Witness)は必要です。しかし、その場にいるスタッフになってもらえばいいので特に問題はありません。

逆に結婚が難しい国としてフランスがあります。

どうやら結婚をするにも提出書類が多くあり、出生証明書、慣習証明書、独身証明書その他の証明書が必要とのことです(在フランス日本大使館:http://www.fr.emb-japan.go.jp/jp/ryouji/koseki/tetsuzuki.html)。

フランスの役所は手続きに時間がかかり、証明書を発行してもらうのに何ヶ月もかかります(日本の役所が優秀であることが分かります)。
自治体にもよりますが、結婚の公示を行うことで異議がある者がいないことを確認した後、婚姻日当日に当事者および証人が出頭して、自治体の市長の面前で婚姻の宣誓を行うことでようやく結婚が成立します。

市長も暇ではないので、アポイントを取るのが大変らしいです。このように、フランスでは結婚をすることが相当に大変です(ちなみに、面倒な結婚をしてもフランスは離婚率が高いです)。

たまに、ヨーロッパでは事実婚が多いことが挙げられますが、結婚することが非常に面倒な国もありますので、結婚が困難ゆえの事実婚の可能性を考慮に入れるべきと思います。

日本では当事者の話し合いだけで離婚できる協議離婚がありますが、フランスは協議離婚といえども弁護士を雇う必要があり、離婚協議の場で事前に白黒はっきり決めておきます。フランスの離婚協議書は強制執行が可能であるそうなので、養育費の不払い等の問題が後から生じても対処しやすいというメリットがあります。ただし、協議離婚とはいえ離婚するのにも何ヶ月もかかるのが大きなデメリットです。

日本でも協議離婚をする際に公正証書(執行認諾文言付き)を作っておくと、後々金銭のトラブルがあったときに強制執行ができるので安心です。

実は当事者の話し合いだけで離婚ができるのは、我が国の他に、台湾、中国、韓国、タイ、ネパール、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク等がありますが、これはむしろ少数派です。裁判離婚が多く、カトリック教徒の多い国では離婚を認めていない国もあるそうです。

残念ながら弁護士の出る幕はほとんど離婚の時ですが、離婚の際のアドバイスも、クライアントのその後の人生のためにも、法的観点以上のものを提供できればと思っております。