最近では、本屋に行くと「フィンテック」という文字の書かれている書籍が平積みになっているのをよく見かけます。すぐに頭に入ってこない言葉ですが、金融(finance)と技術(technology)を組み合わせた造語だそうです。フィンテックは、スマートフォンによる出入金の決済や、人工知能等を使った金融サービス、金融システムを指すものです。

このフィンテック発展には、リーマンショックが契機となっていると言われています。リーマンショックでは、多くの投資家が資産を失いました。これらの投資家は人間が主導して行う投資や金融に疑問を持ち、もっと信頼性のある新しい技術を作ろうと考え、このフィンテックの発展が進んだと言われています。

 

フィンテックの発展により、人工知能を使った資産運用や、スマートフォンを使った決済手続、顧客のデータ分析を駆使した融資等が実現し、確実に技術が進歩していっています。このフィンテックによる産物の一つに、ユニバーサルクレジットカードというものがあります。何枚何十枚もの、クレジットカードやポイントカードを一つにまとめたカードで、その一枚で全てのカードをまかなえるものです。まだ開始されたばかりのサービスで、日本ではまだ普及していませんが、早く使用できる日が待ち遠しいです。最近は多数のポイントカードがあり、コンビニ、カフェ、百貨店等に行くとポイントカードを求められることが多くげんなりします。ポイントカードを用意する手間や、どのポイントカードを出せばいいのか不明であったりするので(無い場合には、「無いです。」と言う手間)、このポイントカードに関するやりとりが省けるのは大きなメリットです。ポイントカードに関する手間や時間は社会的損失だと思いますので、有無を言わさず一枚のカードを出すことによりすべてが解決するのは魅力的です。個人の認証システムが進めば、カードを出す必要もなくなるかもしれません。

 

その他のフィンテックによる技術革新には、ビッグデータの活用があり、自動車の走行データに運用されています。これは、自動車に搭載された機器によって、運転手がどのように走行しているのか(急発進及び急ブレーキの有無、急ハンドルの有無、走行速度、アイドリングの時間等)のデータを収集して点数化します。このデータは自動車保険の保険料の算定等に用いられます。例えば、急発進・急ブレーキ等が多い人は、事故が発生しやすいタイプとみなされ保険料が高くなるというものです。さらに、そのビッグデータと人工知能の活用により、その人(運転手)の運転技術から性格まで分析し、さらに保険料を調整していくことにもなりそうです。分析結果次第では、保険契約書の内容自体も変えることがあるかもしれません。

 

このビッグデータと人工知能の活用については、弁護士も他人事ではいられません。弁護士の勝訴率や訴訟数、訴訟の進め方、苦手な相手方弁護士の種類、業界での地位等の情報も収集されてしまいます。これらの情報を人工知能に分析された場合には、その弁護士の性格や能力等も詳らかになってしまいそうです。そうなってくると、弁護士の報酬や保険料にも関わってきそうで、非常に恐ろしい話になってきます。

 

今では企業が従業員を雇う際に、その従業員の名前を検索エンジンで検索したり、SNSで情報を集めたりするそうですが、ビッグデータと人工知能による分析という概念は、個人情報の収集を益々加速させそうです。便利な反面、怖い面があります。最近ではグーグル検索で逮捕歴の削除を求める裁判がありましたが、忘れられる権利がそこまで重視されていない現在では、なるべくマイナスの情報が載らないように、慎ましく生活するのがベターです。

 

今はマイナスの情報をいかに残さないようにするかという話ですが、将来様々な場所でビッグデータの活用が加速すると、逆に、クレジットカードのように若いうちに作らずに高齢になってから作ろうとすると信用情報が無いということで不利になるように、様々なシーンにおいて、その人の情報がデータに無いほうが不利になる日が来そうです。そうなると、自分のあらゆる(良い)情報を、自分がお金を払って(!)データバンクに提供するときが来るかも知れません。

 

技術革新はメリットもあればデメリットもありますが、非常に楽しみでもあります。できれば上手く技術を利用し、技術の進歩の波に乗って、一緒に成長したいですね。