ビットコインの話題をQ&Aの形でまとめた「ビットコインQ&A集」・第2段をお送りいたします。

なお、本稿に記載された情報は、平成29523日当時の情報です。ビットコインやブロックチェーンの技術発展はめざましく、時間の経過とともに、不正確となる情報が含まれ得ることを、予めご了承下さい。

 

Q6> ビットコインの通貨の単位はなんですか。

 通貨の単位は、そのまま「ビットコイン」で、「BTC」などと略されます。通貨の最小単位は、0.00000001BTCで、これは、1Satoshiとも呼ばれます。取引所などで購入できる最小単位は、取引所にもよりますが、大手取引所では、0.005BTC0.001BTCあたりのようです。


Q7> ビットコインは誰が作ったのですか。

 ビットコインのアイデアは、2008年に、Satoshi Nakamoto(中本哲史)を名乗る人物が、「Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System」という論文(https://bitcoin.org/bitcoin.pdf)により発表しました。

 その後、同氏は、論文に基づきビットコインのソフトウェアも開発し、改良を加えていましたが、今では、姿を消しています(現在に至るまで、身元は分かっておらず、日本人か否かすら不明です。)。

 現在では、ソフトウェアの改良は、世界中のプログラマーにより継続されています。

 

Q8> ビットコインに使われている「ブロックチェーン」とは何ですか。

 ビットコインには、「ブロックチェーン」という技術が使われています。これは、一言で言えば、「台帳」に関する仕組みです。このブロックチェーン技術によって、ビットコインは、中央管理者なく送金でき、改ざんも事実上困難となっています。

 ブロックチェーン技術は、ビットコイン発祥の技術ですが、現在では様々な応用例があり、その定義も論者によってバラバラです。そこで、ブロックチェーン技術の源流である「ビットコイン」に使われているブロックチェーン技術に絞ってご説明します。

 ※なお、詳細については、ビットコインの原典である中本哲史氏の論文(「Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash Systemhttps://bitcoin.org/bitcoin.pdf)に記載されています。

 

ブロックチェーンの特徴は、次のとおりです。

①取引台帳

 ブロックチェーンとは、ビットコインの全取引を記録した「取引台帳」のデータです。

 ビットコインのブロックチェーンには、ビットコインの取引が開始された2009年以降の全ての取引が記録されています。この中には、誰から誰にビットコインが送金されたのかが記録されています(正確に言えば、ビットコインは匿名での取引ですので、ビットコインの口座番号にあたるビットコインアドレスが記録されます。つまり、どのビットコインアドレスから、どのビットコインアドレスに、ビットコインが送金されたのか、がブロックチェーンに記録されます。)。例えば、

  ・Aさん→Bさん、1BTC送金

  ・Bさん→Cさん、1BTC送金

  ・Cさん→Dさん、1BTC送金

といった形で、ビットコインの取引がブロックチェーンに記録されています。この記録をたどれば、現在、Dさんが1BTCを保有していることが分かります。

 

②共有

 ブロックチェーンは、ビットコインのネットワーク上で、皆が見れる状態で公開・共有されています(但し、繰り返すとおり、ビットコインの取引は匿名で行われ、利用者個人の情報は公開されません。)。

 図1のとおり、ビットコインの取引台帳は、ビットコインネットワークに参加している世界中の者が共有(コピーを保持)しています。これにより、例えば一部の参加者の台帳が壊れてしまっても、台帳は消えません。

【図1

図1

















 
 例えば、ある国が破綻し、インターネットへの接続ができなくなったとしても、台帳の写しは世界中に残っていますので、ビットコインは消えません。このファイル共有の技術自体は
P2Pと呼ばれ、従来からある技術です。

 また、この取引台帳の「共有」は、ビットコインはどこにあるのか?という問いに対する答えでもあります。つまり、あなたのビットコインは、世界中で共有されているブロックチェーン(取引台帳)に記録されているのです。

 ただ、このままでは、皆が皆、ブロックチェーンを改ざんして、好き勝手偽造できてしまいます。ブロックチェーンには、当然、こういった不正を防止する仕組みが備わっています(以下の③以下参照)。

 

③チェーン構造

 ブロックチェーン(取引台帳)は、取引情報(例えば、Aさんのビットコインアドレスから、Bさんのビットコインアドレスに、1ビットコイン送金した、といった情報)を複数まとめた「ブロック」が、数珠つなぎ(「チェーン」)になったものです。取引があるごとに、ブロックは、刻一刻と、新しいものができ、チェーンが長くなっています。

 ビットコインのブロックチェーンには、ビットコインの取引が開始された2009年以降の全ての取引がチェーン状に記録され、公開(前記①)されています。

【図2-1:ハッシュやナンスについての説明は後述します。】

図2-1

(例)例えば、ブロックチェーン上に、以下の取引が記載され、X+1番目のブロックが最新のブロックであれば、Cさんは、現在、少なくとも1ビットコイン(BTC)を保有していることが分かります。

  X番目のブロック:

    Aさん→Bさん、1BTC送金

  X+1番目のブロック

    Bさん→Cさん、1BTC送金

 また、「チェーン」の意味について掘り下げてみます。ブロックチェーンのブロックは、前のブロックまでの情報(簡素化され、圧縮されたようなもの。ハッシュ)を持っています。これが、ブロックチェーンが、「チェーン」と呼ばれる理由です。ハッシュにより、ブロック同士が内容的につながっている点で、ブロックチェーンは、「チェーン」なのです。

 では、なぜ、このようなことをやるのかというと、それは、改ざんの防止です。例えば、ブロックチェーン上のX番目にあるブロックの取引情報を書き換えると、お隣・X+1番目のブロックがもっているハッシュの値(X番目のブロックのハッシュ)と整合しなくなるためすぐにバレます。

【図2-2

図2-2

 では、さらに悪い事を考えて、X+1番目のハッシュも改ざんした場合はどうでしょうか。
             
              【図2-3


図2-3

 しかし、これも、すぐにバレてしまいます。X+1番目のブロックを改ざんしたため、X+2番目のブロックのハッシュ値と不整合となるためです。

 では、最新のブロックまで、以後、すべてのブロックのハッシュを計算・改ざんしたらどうでしょうか。結論から言うと、これも、不正がすぐバレてしまいます。これは、ナンスと呼ばれるブロックの情報が原因です。ナンスとは、そのブロックに関して、特定の計算を行って算出される値です。そのため、ブロックの内容を改ざんすれば、ナンスの値と不整合になるので、改ざんがバレます(整合性のチェックは、第三者がみて、すぐに行うことができます。)。

 では、さらにさらに、ブロックを改ざんして、ナンスの値も、以後のブロックにつきすべて再計算して改ざんしたらどうでしょうか。そもそも、ナンスの計算には非常に膨大な計算が必要となり、1人では、ナンスの正解を算出するまで非常に時間がかかります。それでも、頑張って、ナンスを計算したとしましょう。

 

             【図2-4

図2-4















これだけ見ると、うまくいきそうです。しかし、このような改ざんは、以下のルールにより、確率的に、防止されます。

     ブロックチェーンは、一番長いものを正とする

繰り返すとおり、ナンスの計算には非常に膨大な計算が必要となります。具体的には、世界中の(高性能な)コンピューターが競って計算しても、10分に1人正解者が現れる程度です。そのため、1人がブロックチェーンを改ざんして、ナンスの計算をしていても、世界中のコンピューターが、正しいブロックチェーンに、新たなブロックをつなげてしまいます。そのため、1人による改ざんでは、不正なブロックが、新たなブロックの長さに追いつく日は来ません。そのため、ブロックの改ざんは防止されるのです。

なお、確率的に、ブロックチェーンネットワークに参加している者の51%が結託してブロックを改ざん・ナンスを計算してゆけば、改ざんが可能となると言われています。

④ブロックの承認(台帳への追記)ルール

ビットコインには、管理者がいないため、誰が台帳を書き換えるか(ブロックを追加・承認・確定するか)、公正なルールが必要となります。そこで、ビットコインでは、最新のブロックを作る場合、そのブロックに関する複雑な計算(ナンスの計算)を初めて行った者がブロックを承認・確定する権限を有することとされています。

 ナンスの計算は、計算するのは大変なものの(総当たり的な計算。いうなれば、南京錠を、000から999まで、ひとつずつ試してゆくような計算。)、計算が合っているかどうかは誰でもわかることとなっています。そのため、ズルはできません。

ナンスの計算なんて面倒なこと、誰がやるのか?と思われる方もいるかもしれません。しかし、ナンスの計算を初めて行い、ブロックを承認した者には、自動的に、ビットコインが対価として支払われます。この対価を求めて、世界中のコンピューターが、競って、ナンスの計算をしています。

 

【図3:ナンスという値の計算を初めて行った者が、ブロックを承認・確定する権限を有する。】

図3











⑤ビットコイン発行のタイミング

ナンスの計算によるブロックの承認は、ビットコインの唯一の新規発行のタイミングでもあります。ナンスを計算した者には、ビットコインネットワークから、自動的に、発行されたビットコインが、報酬として渡されます。この点から、ナンスの計算は、金などを採掘することに似ており、採掘(マイニング)と呼ばれています。

 

⑥一番長いブロックが正しいものとされる

 ⑥-1:意図しないチェーンの分岐

ビットコインのブロックチェーンは、原理上、分岐(フォーク)することがあります。例えば、別々の人間が、同時にナンスの計算を完了した場合、両者とも、ブロックを承認することができてしまいます。そうすると、ブロックチェーンは、Aさんが承認したブロックと、Bさんが承認したブロックの2系統に分岐してしまいます。

この事態に対応するため、ビットコインでは、一番長いブロックが正しいものとされるというルールがあります。2系統にブロックチェーンが分岐した場合であっても、その後、更にそれぞれのブロックチェーンにブロックが追加され、どちらかが長くなります。そうすると、世界中のビットコインネットワーク参加者は、長くなった方のブロックについて、さらに新たなチェーンをつなげようとします。こうして、どちらかのブロックチェーンが長くなってゆきます。一定の差がついた時点で、短い方のブロックチェーンは破棄されます。以上の流れで、意図しない分岐に対応できます。

 

【図4
図4




















ただ、Aさんも、Bさんも、悪意がない(データを改ざんするような人ではない)場合、どちらがブロックを繋げたとしても、適正なブロックチェーンができることとなりますので、その意味では、大きな問題はありません。

 

 ⑥-2:悪意のあるチェーンの分岐

次に、悪意ある者が、意図的に、ブロックチェーンを分岐させる(ブロックの内容を改ざんする)ことも考えられます。

しかし、前記③記載のとおり、

       ブロックチェーンは、一番長いものを正とする

というルールにより、悪意のあるブロックチェーンの分岐は防止されます。

 

Q9> ビットコインのブロックチェーンの中身を見ることはできますか?

 ビットコインのブロックのデータは、以下のウェブサイトなどで、リアルタイムに見ることができます(このサイト自体は、ビットコインの情報を管理している訳ではなく、「P2Pネットワーク上にあるビットコインの取引履歴を見るウェブサイト」という位置付けです。)。

https://blockexplorer.com

 

Q10> ブロックチェーン技術について、どのような発展が期待されますか。

「ブロックチェーン技術」ですが、現在、世界中の著名な金融機関が、こぞって研究をしています。ビットコインと金融機関は、水と油で、敵対する関係のようにも思いますが、金融機関としても、「ブロックチェーン技術」に関して言えば、多くのメリットがあるようです。例えば、ブロックチェーンの技術を応用し、独自コインの発行を検討したり、未公開株式の管理に応用できないかなども考えているようです。

また、ブロックチェーン技術は、P2P技術を利用しており、中央サーバーが不要となるため、銀行のインフラコスト削減にも利用できないか検討されているようです。

さらに、ブロックチェーン技術は、台帳の技術ですから、(当然、法改正が必要ですが)権利の公示方法として応用ができるかもしれません。例えば、特定の権利関係に関する公示方法として、ブロックチェーン技術が利用できれば、面白いように思います。国としても台帳管理コストは大幅に削減されますし、当事者も裁判所も、インターネットを通じて台帳を確認できるため、わざわざ登記事項証明書を取り寄せる、なんていう手間も必要もなくなるかもしれません。