ちょっと前の記事になりますが、政府が国際商亊仲裁を専門に扱う「日本国際仲裁センター(仮称)」を年内にも都内のオフィスビル内に作るという報道がなされていました。

2017年5月18日日本経済新聞朝刊から抜粋

「政府は国際ビジネスのトラブルを解決する『国際商亊仲裁』を専門に扱う施設の設置に官民挙げて乗り出す。東芝の半導体メモリー事業売却を巡り米ウエスタンデジタルが国際仲裁を申し立てるなど企業間の紛争は多いが、日本での仲裁実績は少ない。経済財政運営の基本方針『骨太の方針』に施設設置や関連法の整備などを盛り込んで年内の開設をめざし、企業の国際競争力を高める。」

「国際仲裁は裁判と異なり、当事者間の合意に基づいて国際商取引の紛争を解決する制度。非公開で迅速に審理が進むことなどから企業のニーズが高い。米国や英国などの主要機関は年間数百件以上を扱うが、日本での仲裁は年20年程度にとどまる。施設の整備と並行して人材の育成も必要だ。」

「日本には設備の整った専用の仲裁施設がなく、大きな案件ではホテルの会議室などを借りるのが現状。人材が限られることも、欧米などに比べ極端に仲裁実績が少ない背景になっていた。企業側には『専用施設ができれば契約交渉で日本での仲裁を相手に主張しやすくなる』(新日本住金の佐久間総一郎副社長)との声も根強かった。」

国籍が異なる企業間の商亊紛争では、そのどちらか一方の国の裁判所で審理するのは公平が確保されるか不安がありますし、また現実に行われているビジネス(事業)についての専門的な知識が必要となることがありますので、契約書の中の紛争解決手段として、裁判ではなく、仲裁手続きが選択されることが多いのです。
なんとなれば、仲裁手続きでは、あらかじめ仲裁場所を中立的な第三国とすることもできますし、各当事者が自分の信頼する仲裁人を選ぶことも可能だからです。
しかし、日本では、言葉(英語ができない)と施設の問題があって、これまで仲裁地として選択されることはかなり稀(相当日本企業の力が強い場合に限られる。)だったのです。パリ、ニューヨーク、シンガポールなどにかなり負けていたのではないか。
しかし、これからますます国際取引は多くなりますので、このような傾向は是正されなければなりません。
したがって、国際仲裁センターを作るというこの方針には大賛成です。大いにやるべきかと思います。

あとは人材ですね (^^;