この6月1日から施行される住宅宿泊事業法(民泊)ですが、実は、第18条に地方公共団体が騒音やその他の生活環境の悪化を防止するために、条例で、民泊ができる区域を定めたり、民泊の営業日数を制限することができます。

(条例による住宅宿泊事業の実施の制限)
第十八条 都道府県〔中略〕は、住宅宿泊事業に起因する騒音の発生その他の事象による生活環境の悪化を防止するため必要があるときは、合理的に必要と認められる限度において、政令で定める基準に従い条例で定めるところにより、区域を定めて、住宅宿泊事業を実施する期間を制限することができる。

で、今日の日経新聞朝刊23面に「規制 東京7割・関西6割」という見出しで、このことに関する記事が出ていました。

「条例制定の意向を示したのは45自治体と35%を占めた。代表的なのは住居専用地域で平日の営業を禁止する形だが、宿泊需要が大きい大都市部でより厳しい制限を盛り込むケースが目立つ。
 兵庫県や神戸市、同県尼崎市は住居専用地域や学校周辺を中心に年間を通じて原則禁止にする。都内では全国に先駆けて条例を制定させた大田区が住居専用地域や工業地域などで通年禁止。中央区や目黒区では区全域で週末のみの営業に限る。」

「条例を作る自治体の半数超に当たる23自治体は営業地域や日数以外にも照準を合わせ、19自治体では届け出前に周辺住民向けに事前説明会を開く必要がある。管理人の設置を事実上求める事例もある。千代田区は家主や常駐の管理人がいない場合は学校周辺などでの営業を認めない。荒川区は廃棄物の適正処理・緊急対応で家主が不在の場合は1キロメートル以内に管理者の常駐を求める。
 他にも和歌山県では近隣住民に営業に反対する意思がないか確認してもらうようにする。京都市はゲストパス(身分証)を発行して宿泊客に携行させ、貸し手には自治会への加入や地域活動への参加を求める。」

(飛田のコメント)
私は、民泊問題は、民泊法の制定・施行と、Airbnbが民泊法の無許可物件の掲載を取りやめる旨を表明したことを以って収束するものだと思っていましたが、この調子で行くと、まだまだ法的な問題が発生しそうです。記事によると、政府は、通年禁止や全域制限を「法の目的を逸脱し、適切ではない」と指摘しているようなのですが、なんと、通年禁止や全域制限ばかりか、周辺住民への事前説明会や反対意思のないことの確認や管理者の常駐まで要求されそうです。記事によれば、このような地方公共団体の動きは、「住民の不安感」に基づくもののようなのですが、実際、そんなに不安があるのかな??いずれにしても、近い将来「過剰規制なのではないか?」と問題になる予感がしますね。