今月の初めに、中国の宇宙ステーション「天宮1」が制御不能になり、宇宙空間から地球上に墜落するというニュースがありました。
このニュースを見て私なんかは、落下してくる破片にあたらないかと内心ちょっとビクビクしていましたが、後に確認すると、落下した破片によって人の体に危害が及ぶおそれは1兆分の1という非常に少ない確率だそうで、さらに自分自身に危害が及ぶ可能性はもはや天文学的な確率です(宝くじが当たる想像をしたほうが余程現実的です)。

今回のように宇宙空間に打ち上げた物体が地球上に落下した場合に、仮に人の身体や財産(建物、自動車等)に危害ないし損傷を加えてしまった場合の責任問題はどう処理されるのでしょうか。

実は、この責任問題の処理については、「宇宙物体により引き起こされる損害についての国際責任に関する条約」(宇宙損害責任条約)に規定されており、同条約第2条は以下のとおり物体を打ち上げた国の無過失責任を定めています。
A launching State shall be absolutely liable to pay compensation for damage caused by its space object on the surface of the earth or to aircraft flight.
(打上げ国は、自国の宇宙物体が地表において引き起こした損害、又は飛行中の航空機に与えた損害につき無過失責任を負う。)

今回「天宮1」を打ち上げた国は中国ですが、中国も宇宙損害責任条約を批准していますので、「天宮1」が仮に日本のどこかに落下して損害を引き起こしたとすれば、中国が国として無過失責任を負うことになります。

なお、最近は民間のロケット打上げがホットな話題ですが、宇宙損害責任条約における「打上げ国」(launching State)は、「宇宙物体を打上げ、又は行わせる国」(A State which launches or procures the launching of a space object)(第1条(c)(ⅰ))と定義していますので、たとえ民間が打ち上げた物体が落下して損害を引き起こした場合であっても、打上げを行わせた国が無過失責任を負うことになります。

宇宙からの落下物としては、今回の「天宮1」のような人工物は稀で、多くは隕石が考えられます。隕石が地表に落下したとして、この隕石が誰のものになるのかは、落下地点の国内法の規定に従うことになります。
隕石が落下した地点が日本だとすると、隕石は所有者のない動産として、最初に所有の意思をもって拾った人が所有権を取得することになります(民法第239条第1項)。仮に隕石が地面にめり込んだ場合には、土地に付合したとして土地の所有者のものになります(民法第242条)。

隕石はオークションにかけられることが多く、中には何百万円もの高値をつけるものもあり、石ころ程度の大きさでも何十万になるものもあります。
隕石のオークションサイトを覗いてみると、かなり高額で取引されていることが分かります(月や火星からの隕石は高額です)。

結局隕石かどうかは専門家ないし研究機関でないと判別できませんが、高値がつくかもしれませんので、地面に隕石っぽいもの(?)が落ちていたら、とりあえず拾っておいて、所有権を取得しておいたほうが良さそうですね。