世間は新型コロナウイルスの話題で持ちきりですが、ビジネスの世界で皆が気になるのは、やはり、今回の件で資金が回らなくなり倒産する企業がどのくらい出るか、でしょう。

 

 日経新聞の202041日付の記事(https://www.nikkei.com/article/DGXKZO57494840R00C20A4EA2000/)によると、企業の手元資金について「一般的には月商の3カ月前後を確保する企業が多い」とのことだったので、単純計算で、3か月ほど完全に収入がないと、多くの企業で資金が回らなくなると予想されます。中小企業の場合や業種等によっては3か月分も確保していないという企業もかなりあるはずなので、その場合は、もっと短期で限界が来ると思います。

 

 今のところ、緊急事態宣言の期間は48日~56日の約1か月とされていますが、実際にはこれより前から収入がダウンしていた企業が多いと思いますし、緊急事態宣言が56日に終わるかどうか、終わったとしてすぐに収入が戻るかどうかも怪しいので、放っておくと資金が回らなくなってしまうという企業は、かなりの数に上りそうです。

 

 これに対して経営者としては、まず、国や自治体等の資金繰り支援策を利用して対応することになるでしょう。
 ただ、今出されている国の支援策(https://www.meti.go.jp/covid-19/)は、貸付や税金等の支払猶予が多く、資金繰り的にはプラスですが、いわば負債を先送りにしている状態なので、「それを考えるとこれ以上借金をしてまで延命することに意味を感じない」または「延命を図ってはみたものの返済や支払をする見通しが立たない」といった企業が相当数出てくると思います。

 

 こうなったときは、いよいよ倒産を考えることになり、本格的に法律家の出番です。

 

 ある企業が倒産手続を使うという場合、例えば、債務がある程度減れば利益を挙げられる見込みがある、一部に黒字事業がある、といった事情があるのであれば、再建型の手続(私的整理、事業再生、会社更生等)を取れないか、又は事業譲渡等でスポンサーに事業を引き継いでもらうことで事業の一部だけでも残せないか、といった検討をすることになります。

 

 もっとも、そもそも事業の収益力が乏しい、債権カットについて債権者の理解が得られない、スポンサーが見つからないといった場合は、上記を諦めざるを得ないこともあります。
 そうなると、清算型の手続(多くは破産)を検討することになります。

 

 ただし、ここで注意が必要なのですが、破産をするにもまとまったお金が必要になります。
「破産はお金が無くなった人が利用する制度」というイメージがあるため、多くの人が誤解していると思いますが、資金がないと破産すらできなくなってしまうので、資金が完全に底をついてから破産しようとするのでは遅いのです。

 

 破産だけでなく、再建型の手続を取るにしても、手元に一定の資金があれば、時間的猶予が生まれたり選択肢が増えたりしますので、再建するにせよ清算するにせよ、少しでも多く手元資金がある状態で倒産の検討を始めた方が、結果的にベターな選択肢を取りやすくなります。
 経営者にとって酷な話だとは思いますが、倒産が頭をよぎったときは、早めに相談することが大切です。