新型コロナウイルスの影響で、今後新築マンションの供給数が減少するのではないかと言われていますが、それでも現在供給されているマンションの数は多く、流行りのタワーマンションをはじめ多くの人々がマンションに居住しています。
マンションの購入者は部屋の(区分)所有権を持っていますが、戸建とは異なり、区分所有法(以下「法」といいます。)という民法の特別法によってその権利関係が定められています。

さらに、マンションの専有部分(部屋内部等)と共用部分(廊下等)では権利関係が異なっており、専有部分については、自由に使用処分できる一方で(ただし、区分所有者の共同の利益に反する行為はできない。法6条)、共用部分については、自由に使用処分できるわけではなく、また民法の共有規定は適用されず(法12条)、以下のように民法の共有関係とは異なった制約が課されています(法13条~19条)。

 

①共用部分の分割請求は認められない。

②共用部分の共有持分の放棄は認められない。

③共用部分を「その用法に従って」使用できるに過ぎない。

④専有部分と分離して共有部分の共有持分を処分することはできない。

⑤共有持分に応じて、共用部分にかかる費用等の負担をし、利益を収取する。

 

以上のように専有部分と共用部分では、権利の帰属主体や利益収得等に大きな違いがあるので、当該マンションのある部分が、専有部分なのか、共用部分なのか、という区別は非常に重要になってきます。この点、専有部分というためには、「構造上の独立性」と「利用上の独立性」の両方が必要と考えられており(法1条参照)、「構造上の独立性」があるというためには、一般に、壁や天井、扉等で、物理的にその建物部分が他の部分から隔離されていることが必要とされ、他方「利用上の独立性」があるというためには、その建物部分が独立して建物の用途として利用できることが必要とされています。

この2つの基準によって、駐車場や廊下、バルコニー等が専有部分なのか共用部分なのかというところが判断されます。例えば、避難の用途のために、壊れやすい仕切りで2個以上接続されているようなバルコニーがあると思いますが、このようなバルコニーは、避難経路として他の人も利用することが前提となっていますので、「利用上の独立性」があるとはいえず、共有部分となります。
良い感じのマンション(?)などには、他の部屋の住人の往来ができないようなルーフバルコニーが付いていたりしますが、これは「利用上の独立性」があるので、専有部分となり得ます。(ただし、多くの場合、管理規約により一定の用法の制約がされます。)

また、区分所有法は、共用部分の変更、管理及び保存について規定しており、共用部分の「変更」(形状又は効用の著しい変更を伴うもの)は区分所有者及び議決権の4分の3以上の多数による集会決議で決する必要があり(法171項)、さらに、共用部分の「管理」(変更と保存の中間の概念)は区分所有者及び議決権の各過半数で決する必要がありますが(法181項)、共用部分の「保存」(清掃や蛍光灯の交換、破損個所の小修繕等)については各区分所有者が単独で行うことができます(同項但書)。一方で、共用部分の一部を改造して、新たに専有部分にして分譲すること等は、処分行為となりますが、これは共有者全員の合意が必要とされています。

分譲マンションは、第三者に賃貸に出すことができますが、賃貸に回している区分所有者の方は普段はそこに居住しないので、一般に共有部分の変更等についてあまり関心がない方が多いと考えられますし、区分所有者の家族構成(単身者、ファミリー層等)によっても関心の度合いも変わってくるので、決議が必要です、と簡単に言っても、実務上、決議をとるということがいかに難しいか分かります。

共用部分の変更、管理又は保存かどうかで、決議要件が変わってきますし、そもそも共用部分か専有部分かというところで、決議の要否も変わってきますので、これらの区別が非常に重要になってくることを頭に入れる必要があります。
分譲マンションは多くの方が関わってきますし、高額で社会的にも重要なので、マンション関係の法律の動向について今後も注視していきたいと思います。