2022年9月15日 日経新聞夕刊の9頁社会面

「仮想通貨隠して自己破産」「容疑の37歳男逮捕 警視庁」

「自己破産する前にビットコインなど600万円相当の暗号資産(仮想通貨)を隠したとして、警視庁捜査2課は15日までに、山梨県韮崎市穂坂町の自営業●●●●●容疑者(37)を破産法違反(詐欺破産)の疑いで逮捕した。」
「破産手続きの際、資産を現金数万円などと申告したが、破産管財人の調査で仮想通貨を隠していたことが発覚したという。」



(飛田コメント)
 この容疑者は、仮想通貨を国内の取引所からアイルランドの取引所のアカウントに移したようなので、破産管財人は、取引所とコンタクトをとることによって、隠された仮想通貨を回収することができたのではないかと思います。
 しかし、仮にどこかの取引所のアカウントに移すのではなく、自分でインターネット上にウォレットを作って、そこに仮想通貨を移し、暗号キーも自分だけしか知らないようにした場合、破産者が仮想通貨を隠したことはわかっても、破産者が任意に暗号キーを教えてくれなければ、破産管財人は仮想通貨を回収する方法がないという事態が発生します。現在の刑では、「暗号キーを自白しない限り、刑務所に入っていなさい」ということはできず、刑期が満了すれば出てこれますので、破産者は、我慢すれば隠した財産を取得できるということになりますね。
 もっとも、破産者が刑務所から出てきたときにその仮想通貨にまだ価値があるかはわからないのですが…。