2022年11月27日(日)日経新聞朝刊27頁

「 五輪談合、メールで調整か」「テスト大会入札 「1社のみ応札」多く」 「相互拘束の有無が焦点に」との見出しの記事から。

「受注調整につながるやりとりは、元組織委理事への贈賄罪で元社長らが起訴されたADKHD側への捜査で明らかになった。同社はすでに公取委に課徴金減免制度(リーニエンシー)に基づき、違反を自主申告した。特捜部の聴取に対しても一覧表に沿って「受注調整があった」と談合を認めているという。」

「落札したイベント会社の関係者は「各社の実績が正当に評価されて、落札につながった」と強調する。「スポーツ大会の運営は特殊で、経験と実績がなければ受注できない。結果的に1社応札になった入札が多かっただけ」として、事業者間の競争が存在しなかったと指摘する。」

「組織委関係者も「受注実績の調査は委託を円滑に進めるための情報収集の一環。『談合』と判断されるのはおかしい」と話す。「一覧表のような候補社リストがあったとしても、そのリストに従う決まりもなかった」と主張する。」


(飛田コメント)
記事によると、①組織委員会大会運営局側が、入札を実施する前に、過去の実績を評価して、競技ごとに応札候補者を記載した一覧表を作成していて、それがメールで入札参加者にも共有されていたこと、②26件の入札のうち、電通、イベント制作会社セレスポ及びADKホールディングスの子会社で全体の半数が応札されていること、③26件の入札のうち少なくとも半数近くは1社応札であったことから、3社を中心とした調整がなされた疑いがあるということなのですが、逆にいうと、残りの半数は、この3社が応札したものではないのでしょうし、談合の合意が認定できるようなメールの遣り取りは見つかっていないのでしょうから(あったら、そのことがリークされて記事になっているのではないかと思いますので。)、上記の①~③だけでは、それほど強い「疑い」でもないのかな、と思います。そうすると、ADKHDが課徴金減免制度に基づき、違反を自主申告していて、特捜部にも談合があったことを認めていることが非常に大きいのではないかと思います。しかし、今回の発端は、五輪汚職によってADKHD社長らが逮捕された際の捜査にあるようですので、後々、ADKHD側の自白が任意のものだったといえるのか(言わされているのではないか?)という点が問題となってくるように思いますし、談合を認めているといっても、どこまで認めているのかがよくわかりませんので、まだ決定的でではないように思います。今回、電通に家宅捜索が行われたとのことですので、そこから何が見つかるのかも大きなポイントとなるでしょうね。