カテゴリ:投稿者別 >   弁護士 江嵜 宗利

●はじめに

先の記事では、ハードフォークの話題について触れさせていただきました。しかし、先の記事でも書かせていただいたとおり、その後、BitcoinUnlimitedでは、一部の、特許技術を使うことができる者のみが儲かる構造となっていることなどが判明しました。これにより、BitcoinUnlimitedは支持を失ってゆき、BitcoinUnlimitedによるハードフォークのリスクは低下しました。

が、しかし、この問題、形を変えて、現在でも続いています。いわゆる「スケーラビリティー」問題と呼ばれるもので、現在、ビットコインは、混乱の真っ只中にあります。これを反映して、現在、ビットコインの価格は乱高下しています。


ごくごく簡単に言ってしまえば、BitcoinUnlimitedの時と同様、

  ビットコインが2つに分岐するかもしれない!!??

という問題が発生しています。



以下、順を追ってご説明致します(なお、この記事は、平成29年6月19日時点で記載されたものです。)。



●前提知識:スケーラビリティ問題

まずは、今回の問題の前提となる知識をご説明します。

ビットコインのシステムでは、

  ・約10分間ごとに
  ・世界中で生じた新たなビットコイン取引をまとめて
  ・それを新たなブロック(取引台帳)に記入し、
  ・チェーンのように、従前の台帳につなげてゆく

という仕組みがとられています。いわゆるブロックチェーンと呼ばれる仕組みです。


しかし、この1つのブロックのサイズは固定サイズ(1MB)であるため、近年の取引量増加に対応しきれなくなりつつあります。要するに、10分に1回しか取引台帳に新しいページを追加できないけれども、10分間の取引量が1頁分の分量を超えてしまって、台帳に書ききれなくなってしまうのです。


書ききれなくなるとどういうことが起こるかというと、取引がなかなか確定せず(台帳に書き込まれず)、送金に遅延が生じます。また、ビットコインは、これまで、送金手数料が0ないし非常に低い金額でしたが、この送金手数料が増加するという事態も発生します。


これらの問題は「スケーラビリティ問題」と呼ばれ、これまで、様々な対応策が検討されてきました。以前ご紹介したSegwitや、BitcoinUnlimtiedも、このスケーラビリティー問題への対応策の候補です。BitcoinUnlimitedは、その後、下火になりましたが、それで問題が解決したわけではありません。スケーラビリティー問題は依然として残っているのです。




●BIP148

このスケーラビリティー問題に関して、これまで様々な対応策が提案されてきました。その1つがSegwitですが、以前お伝えしたとおり、ネットワーク参加者の大半の賛成を得るには至らず、導入できずにいます。

このSegwitをなんとか、半ば強行して導入しようと考えられた導入方法の1つの案が、「BIP148」と呼ばれる案で、現在、非常にホットな話題となっています(https://github.com/bitcoin/bips/blob/master/bip-0148.mediawiki)。BIPとは、Bitcoin Improvement Proposalsの略で、ビットコインに関する改善の提案です。そして、「BIP148」とは148番目の改善提案ということになりますが、その具体的内容は、ごく簡単に言えば、以下のとおりです。

  ・このまま、Segwitの導入が見込めない場合
  ・2017年8月1日の夜中の0時0分(UTC=協定世界時≒グリニッジ標準時)以降
  ・Segwitを導入していないブロック(台帳)は拒絶する
  ・という仕組みをビットコインのプログラムに盛り込む


要するに、ネットワーク参加者の過半数も同意が取れていないSegwitを、言わば強行導入しようとするものです。一見するとかなり過激な提案ですが、これはうまくいくのでしょうか。

ただ、Segwit導入に全く勝算が無いわけではありません。これを理解するには、ビットコインに、どのようなプレーヤーがいるのかを理解する必要があります。まず、当然ながら、ビットコインを使う側、ユーザーサイドの人たちがいます。具体的には、個々のビットコイン保有者や、取引所、ウォレットのプログラムを提供している業者などです。

また、当然ながらビットコインを開発している人たちがいます。

さらに、ビットコインの台帳に取引情報を書き込む(マイニングといいます。)人たちもいます(マイナー)。この人達は、報酬として、ビットコインを受領しています(システム上、新規にビットコインが発行され、それを報酬として受け取ります。)。これらは、1人の人が複数該当することもあれば、1つしか該当しない場合もあります。以上をざっくりまとめると、以下のとおりです。


  ①ビットコインのユーザーサイドの人たち

     ・個々のビットコインユーザー(保有者・利用者)

     ・取引所

     ・ウォレットのプログラムを提供している業者

  ②開発者

  ③マイナー(採掘者)



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これまでも、メルマガやブログ等で情報発信させていただいているビットコインでございますが、この度、弊所のホームページ上に、「ビットコインQ&A」のページを設けました。

URLは以下のとおりです。
http://www.tplo.jp/bitcoin

今後、順次、Q&Aを追加させていただければと思います。
是非御覧ください。

ビットコインの話題をQ&Aの形でまとめた「ビットコインQ&A集」・第2段をお送りいたします。

なお、本稿に記載された情報は、平成29523日当時の情報です。ビットコインやブロックチェーンの技術発展はめざましく、時間の経過とともに、不正確となる情報が含まれ得ることを、予めご了承下さい。

 

Q6> ビットコインの通貨の単位はなんですか。

 通貨の単位は、そのまま「ビットコイン」で、「BTC」などと略されます。通貨の最小単位は、0.00000001BTCで、これは、1Satoshiとも呼ばれます。取引所などで購入できる最小単位は、取引所にもよりますが、大手取引所では、0.005BTC0.001BTCあたりのようです。


Q7> ビットコインは誰が作ったのですか。

 ビットコインのアイデアは、2008年に、Satoshi Nakamoto(中本哲史)を名乗る人物が、「Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System」という論文(https://bitcoin.org/bitcoin.pdf)により発表しました。

 その後、同氏は、論文に基づきビットコインのソフトウェアも開発し、改良を加えていましたが、今では、姿を消しています(現在に至るまで、身元は分かっておらず、日本人か否かすら不明です。)。

 現在では、ソフトウェアの改良は、世界中のプログラマーにより継続されています。

 

Q8> ビットコインに使われている「ブロックチェーン」とは何ですか。

 ビットコインには、「ブロックチェーン」という技術が使われています。これは、一言で言えば、「台帳」に関する仕組みです。このブロックチェーン技術によって、ビットコインは、中央管理者なく送金でき、改ざんも事実上困難となっています。

 ブロックチェーン技術は、ビットコイン発祥の技術ですが、現在では様々な応用例があり、その定義も論者によってバラバラです。そこで、ブロックチェーン技術の源流である「ビットコイン」に使われているブロックチェーン技術に絞ってご説明します。

 ※なお、詳細については、ビットコインの原典である中本哲史氏の論文(「Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash Systemhttps://bitcoin.org/bitcoin.pdf)に記載されています。

 

ブロックチェーンの特徴は、次のとおりです。

①取引台帳

 ブロックチェーンとは、ビットコインの全取引を記録した「取引台帳」のデータです。

 ビットコインのブロックチェーンには、ビットコインの取引が開始された2009年以降の全ての取引が記録されています。この中には、誰から誰にビットコインが送金されたのかが記録されています(正確に言えば、ビットコインは匿名での取引ですので、ビットコインの口座番号にあたるビットコインアドレスが記録されます。つまり、どのビットコインアドレスから、どのビットコインアドレスに、ビットコインが送金されたのか、がブロックチェーンに記録されます。)。例えば、

  ・Aさん→Bさん、1BTC送金

  ・Bさん→Cさん、1BTC送金

  ・Cさん→Dさん、1BTC送金

といった形で、ビットコインの取引がブロックチェーンに記録されています。この記録をたどれば、現在、Dさんが1BTCを保有していることが分かります。

 

②共有

 ブロックチェーンは、ビットコインのネットワーク上で、皆が見れる状態で公開・共有されています(但し、繰り返すとおり、ビットコインの取引は匿名で行われ、利用者個人の情報は公開されません。)。

 図1のとおり、ビットコインの取引台帳は、ビットコインネットワークに参加している世界中の者が共有(コピーを保持)しています。これにより、例えば一部の参加者の台帳が壊れてしまっても、台帳は消えません。

【図1

図1

















 
 例えば、ある国が破綻し、インターネットへの接続ができなくなったとしても、台帳の写しは世界中に残っていますので、ビットコインは消えません。このファイル共有の技術自体は
P2Pと呼ばれ、従来からある技術です。

 また、この取引台帳の「共有」は、ビットコインはどこにあるのか?という問いに対する答えでもあります。つまり、あなたのビットコインは、世界中で共有されているブロックチェーン(取引台帳)に記録されているのです。

 ただ、このままでは、皆が皆、ブロックチェーンを改ざんして、好き勝手偽造できてしまいます。ブロックチェーンには、当然、こういった不正を防止する仕組みが備わっています(以下の③以下参照)。

 

③チェーン構造

 ブロックチェーン(取引台帳)は、取引情報(例えば、Aさんのビットコインアドレスから、Bさんのビットコインアドレスに、1ビットコイン送金した、といった情報)を複数まとめた「ブロック」が、数珠つなぎ(「チェーン」)になったものです。取引があるごとに、ブロックは、刻一刻と、新しいものができ、チェーンが長くなっています。

 ビットコインのブロックチェーンには、ビットコインの取引が開始された2009年以降の全ての取引がチェーン状に記録され、公開(前記①)されています。

【図2-1:ハッシュやナンスについての説明は後述します。】

図2-1

(例)例えば、ブロックチェーン上に、以下の取引が記載され、X+1番目のブロックが最新のブロックであれば、Cさんは、現在、少なくとも1ビットコイン(BTC)を保有していることが分かります。

  X番目のブロック:

    Aさん→Bさん、1BTC送金

  X+1番目のブロック

    Bさん→Cさん、1BTC送金

 また、「チェーン」の意味について掘り下げてみます。ブロックチェーンのブロックは、前のブロックまでの情報(簡素化され、圧縮されたようなもの。ハッシュ)を持っています。これが、ブロックチェーンが、「チェーン」と呼ばれる理由です。ハッシュにより、ブロック同士が内容的につながっている点で、ブロックチェーンは、「チェーン」なのです。

 では、なぜ、このようなことをやるのかというと、それは、改ざんの防止です。例えば、ブロックチェーン上のX番目にあるブロックの取引情報を書き換えると、お隣・X+1番目のブロックがもっているハッシュの値(X番目のブロックのハッシュ)と整合しなくなるためすぐにバレます。

【図2-2

図2-2

 では、さらに悪い事を考えて、X+1番目のハッシュも改ざんした場合はどうでしょうか。
             
              【図2-3


図2-3

 しかし、これも、すぐにバレてしまいます。X+1番目のブロックを改ざんしたため、X+2番目のブロックのハッシュ値と不整合となるためです。

 では、最新のブロックまで、以後、すべてのブロックのハッシュを計算・改ざんしたらどうでしょうか。結論から言うと、これも、不正がすぐバレてしまいます。これは、ナンスと呼ばれるブロックの情報が原因です。ナンスとは、そのブロックに関して、特定の計算を行って算出される値です。そのため、ブロックの内容を改ざんすれば、ナンスの値と不整合になるので、改ざんがバレます(整合性のチェックは、第三者がみて、すぐに行うことができます。)。

 では、さらにさらに、ブロックを改ざんして、ナンスの値も、以後のブロックにつきすべて再計算して改ざんしたらどうでしょうか。そもそも、ナンスの計算には非常に膨大な計算が必要となり、1人では、ナンスの正解を算出するまで非常に時間がかかります。それでも、頑張って、ナンスを計算したとしましょう。

 

             【図2-4

図2-4















これだけ見ると、うまくいきそうです。しかし、このような改ざんは、以下のルールにより、確率的に、防止されます。

     ブロックチェーンは、一番長いものを正とする

繰り返すとおり、ナンスの計算には非常に膨大な計算が必要となります。具体的には、世界中の(高性能な)コンピューターが競って計算しても、10分に1人正解者が現れる程度です。そのため、1人がブロックチェーンを改ざんして、ナンスの計算をしていても、世界中のコンピューターが、正しいブロックチェーンに、新たなブロックをつなげてしまいます。そのため、1人による改ざんでは、不正なブロックが、新たなブロックの長さに追いつく日は来ません。そのため、ブロックの改ざんは防止されるのです。

なお、確率的に、ブロックチェーンネットワークに参加している者の51%が結託してブロックを改ざん・ナンスを計算してゆけば、改ざんが可能となると言われています。

④ブロックの承認(台帳への追記)ルール

ビットコインには、管理者がいないため、誰が台帳を書き換えるか(ブロックを追加・承認・確定するか)、公正なルールが必要となります。そこで、ビットコインでは、最新のブロックを作る場合、そのブロックに関する複雑な計算(ナンスの計算)を初めて行った者がブロックを承認・確定する権限を有することとされています。

 ナンスの計算は、計算するのは大変なものの(総当たり的な計算。いうなれば、南京錠を、000から999まで、ひとつずつ試してゆくような計算。)、計算が合っているかどうかは誰でもわかることとなっています。そのため、ズルはできません。

ナンスの計算なんて面倒なこと、誰がやるのか?と思われる方もいるかもしれません。しかし、ナンスの計算を初めて行い、ブロックを承認した者には、自動的に、ビットコインが対価として支払われます。この対価を求めて、世界中のコンピューターが、競って、ナンスの計算をしています。

 

【図3:ナンスという値の計算を初めて行った者が、ブロックを承認・確定する権限を有する。】

図3











⑤ビットコイン発行のタイミング

ナンスの計算によるブロックの承認は、ビットコインの唯一の新規発行のタイミングでもあります。ナンスを計算した者には、ビットコインネットワークから、自動的に、発行されたビットコインが、報酬として渡されます。この点から、ナンスの計算は、金などを採掘することに似ており、採掘(マイニング)と呼ばれています。

 

⑥一番長いブロックが正しいものとされる

 ⑥-1:意図しないチェーンの分岐

ビットコインのブロックチェーンは、原理上、分岐(フォーク)することがあります。例えば、別々の人間が、同時にナンスの計算を完了した場合、両者とも、ブロックを承認することができてしまいます。そうすると、ブロックチェーンは、Aさんが承認したブロックと、Bさんが承認したブロックの2系統に分岐してしまいます。

この事態に対応するため、ビットコインでは、一番長いブロックが正しいものとされるというルールがあります。2系統にブロックチェーンが分岐した場合であっても、その後、更にそれぞれのブロックチェーンにブロックが追加され、どちらかが長くなります。そうすると、世界中のビットコインネットワーク参加者は、長くなった方のブロックについて、さらに新たなチェーンをつなげようとします。こうして、どちらかのブロックチェーンが長くなってゆきます。一定の差がついた時点で、短い方のブロックチェーンは破棄されます。以上の流れで、意図しない分岐に対応できます。

 

【図4
図4




















ただ、Aさんも、Bさんも、悪意がない(データを改ざんするような人ではない)場合、どちらがブロックを繋げたとしても、適正なブロックチェーンができることとなりますので、その意味では、大きな問題はありません。

 

 ⑥-2:悪意のあるチェーンの分岐

次に、悪意ある者が、意図的に、ブロックチェーンを分岐させる(ブロックの内容を改ざんする)ことも考えられます。

しかし、前記③記載のとおり、

       ブロックチェーンは、一番長いものを正とする

というルールにより、悪意のあるブロックチェーンの分岐は防止されます。

 

Q9> ビットコインのブロックチェーンの中身を見ることはできますか?

 ビットコインのブロックのデータは、以下のウェブサイトなどで、リアルタイムに見ることができます(このサイト自体は、ビットコインの情報を管理している訳ではなく、「P2Pネットワーク上にあるビットコインの取引履歴を見るウェブサイト」という位置付けです。)。

https://blockexplorer.com

 

Q10> ブロックチェーン技術について、どのような発展が期待されますか。

「ブロックチェーン技術」ですが、現在、世界中の著名な金融機関が、こぞって研究をしています。ビットコインと金融機関は、水と油で、敵対する関係のようにも思いますが、金融機関としても、「ブロックチェーン技術」に関して言えば、多くのメリットがあるようです。例えば、ブロックチェーンの技術を応用し、独自コインの発行を検討したり、未公開株式の管理に応用できないかなども考えているようです。

また、ブロックチェーン技術は、P2P技術を利用しており、中央サーバーが不要となるため、銀行のインフラコスト削減にも利用できないか検討されているようです。

さらに、ブロックチェーン技術は、台帳の技術ですから、(当然、法改正が必要ですが)権利の公示方法として応用ができるかもしれません。例えば、特定の権利関係に関する公示方法として、ブロックチェーン技術が利用できれば、面白いように思います。国としても台帳管理コストは大幅に削減されますし、当事者も裁判所も、インターネットを通じて台帳を確認できるため、わざわざ登記事項証明書を取り寄せる、なんていう手間も必要もなくなるかもしれません。

1. ハードフォーク問題・その後

さて、ビットコインですが、その後、若干状況が変わり、ハードフォークのリスクが低下しているようです。

これを反映してか、ビットコイン相場も上昇しています。先月、1BTC=10万円台をうろちょろしていたのに対し、現在(2017/05/02)、1BTC=15万円を超えて、過去最高値を記録しています。



2. 「お金」の問題
 その理由の一つが、いわば「お金」の問題です。SegwitとBitcoinUnlimitedの対立は、純粋的に技術的な良し悪しというよりは、政治的な部分が大きいといわれています。その中で、一部のビットコインネットワーク参加者(マイナー)にとって、BitcoinUnlimitedの方が、より効率的にマイニングができる(要は、その分、ビットコインを稼げる)、ということが判明しました。これにより、BitcoinUnlimited支持層の本音部分が垣間見え、印象が悪くなったようです。

具体的には、BitcoinUnlimitedに対して、AsicBoostという技術(技術、というよりは、ビットコインの脆弱性をついたもの、という評価も多いようです。)を使って採掘(マイニング)をすると、マイニングの効率化が図られ、より多くのビットコインを採掘できるようです。一説によれば、採掘の効率化が30%~50%も上がるとも言われています。また、この技術は、特許化されているため、一部のマイナーしか(適法には)使えません。そのため、ざっくり言えば、BitcoinUnlimitedでは、一部の、特許技術を使うことができる者のみが儲かる構造となってしまっているのです。

 他方で、Segwitでは、AsicBoostの技術はは使えないため、このようなことは起こりません。



3. ビットコイン以外のマネー流出

 また、ハードフォークリスクが低下している原因として、もう一つ考えられるのが、他の仮想通貨へのマネー流出です。現在、世間には、ビットコインの他にも、無数の仮想通貨が存在しますが、その中でも代表的なものが、ここ1ヶ月程度の間に、高騰してます。例えば、以下のとおりです。


●ライトコイン
 →1ヶ月の間に1.5倍超

●リップルコイン
 →3月末~4月頭にかけて、1週間のうちに、一時、6倍超に(その後、下落しています。)

●イーサ(イーサリアム)
 →1ヶ月の間に1.6倍超


※なお、上記データを確認したのは、平成29年4月28日です。その後、更に上昇しているかもしれません。



特に、ビットコインコミュニティーでは散々もめていたSegwitの機能ですが、別の仮想通貨であるライトコインでも、同じSegwitの機能の導入が問題となっていました。しかし、ライトコインでは、Segwit導入が支持され、ついに、導入されることが確定したようです。

ビットコイン陣営としても、ライトコインに先を越され、マネーもビットコインから別の仮想通貨に流出している現状を見て、ハードフォーク熱が下がるのではないか、とも見られているようです。


4. 小括
 今のところ、直ちにビットコインのハードフォークが起こるという気配はないようですが、今回の一件は、管理者のいない仮想通貨が、どのようにガバナンスを行っていくか、という問題を示すものだと思います。管理者がいないゆえに、コミュニティー内部で方向性が対立した場合、対処が難しいですね(某OSのように、開発会社の都合で、強制的なアップデート!、という手段もとれません。)。

 また、ビットコイン以外の仮想通貨の存在感は、日を追うごとに大きくなっています。ビットコインもそれ以外の仮想通貨も、互いに刺激しあって、全体として発展してゆければよいですね。例えば、今後、決済手段として仮想通貨が普及した際、ビットコインのオンリーワンではなく、いくつかの仮想通貨が併行して使われていくようになるのかもしれません(クレジットカードでも、複数の会社が使われていますので、同じような感じになるかもしれませんね。)。


メルマガ及びブログ等でビットコインの記事を連載させていただいておりますが、分量も多くなり、記事の形ですと、ご覧いただく際、少々読みづらくなってきたかと思います。

そこで、ビットコインについて、Q&Aの形でまとめさせていただきました。今回は、その第1段をお送りいたします。

なお、本稿に記載された情報は、平成29年5月9日当時の情報です。ビットコイン等の技術発展はめざましく、時間の経過とともに、不正確となる情報が含まれ得ることを、予めご了承下さい。

 

Q1> ビットコインとは何ですか。

 ビットコインは、インターネットを介して送金可能な、仮想通貨の一種です。また、現時点(この記事を書いた平成29年5月9日時点)で、世界で最も取引量が多い仮想通貨です。

 「仮想」と言っても、ビットコインで代金を支払えるお店が世界中に登場しています(数はまだ少ないですが)。何より、ビットコインと現金(日本円、ドル等)を交換する取引所が多くできています。そのため、個人の方にとって、ビットコインの購入は、現時点において、「インターネット銀行で、外貨を買うようなもの」という例えが、一番近いかもしれません。

 また、最近では、日本でも大手の量販店がビットコイン決済を導入するなど、支払手段としても着々と普及しつつあります。

 

Q2> ビットコインは、従来の電子的な資金決済手段と比べて、何が特徴的なのですか。

  ビットコインは、大きく言えば、以下の特徴を有する仮想通貨です。

①暗号化技術が使われている

 →勝手に使われない。

②改ざん困難である

 →勝手に金額を書き換えられない。

③管理者が不要である

 →特定の会社に依存しない。

 この中で、従来技術と最も違う点は、③の点です。例えば、鉄道会社のICカードなどは、特定の鉄道会社が管理・発行していますが、このような管理者はビットコインには存在しません。ビットコインでは、管理者が存在しないにもかかわらず、安全に取引が行える仕組みが導入されています(ブロックチェーンと呼ばれる技術により、これが可能となります。)。

 管理者がいないということは、極端な話、住んでいる国が破綻したとしても、ビットコインは残ります(そのため、電子化された金のようだとして、「デジタルゴールド」などとも表現されています。)。

 

Q3> ビットコインで、何ができるのですか。

 ビットコインは、送金先の番号が分かれば、インターネットを通じ、世界中の相手に対し、24時間、手数料は(ほぼ)0で、スマートフォンなどから手軽に送金することができます。

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1 ビットコインのハードフォーク問題

ビットコインですが、今一番ホットな話題がハードフォーク問題です。これは、ごくごく簡単に言えば、ビットコインが、2種類に分裂する「かもしれない」という問題です。以前から、問題として指摘されていましたが、ここに来て、ハードフォークの現実的な可能性が高まっています。

例えば、世界のビットコイン取引所各社がハードフォークをした場合の取り扱いについて声明を発表しするなどし(https://corp.zaif.jp/info/4055/)、また、ビットコイン相場も、ハードフォークを懸念して、1BTC=14万円台だったビットコインの価格は、今月中頃から、暴落し、10万円台まで下がりました(なお、その後若干上昇し、現在12万円台[平成29年4月4日現在]で取引されています。)。

2 ハードフォークとは何か

では、今回問題となっているハードフォークとは、一体何なのでしょうか。ハードフォークという言葉の意味自体は、「互換性がないバージョンアップ」、程度の意味ですが、それだけでは何のことかさっぱりかと思います。

以前、イーサリアムのハードフォークについてご説明しましたが、イーサリアムのケースと今回のビットコインのケースは、また、ニュアンスが異なります。

こで、(誤解をおそれず、生じる結果に着目すれば)今回問題となるビットコインのハードフォークとは、

・従来のビットコイン(BitcoinCore)の取引台帳を使って、別の仮想通貨(BitcoinUnlimited)を作ろうとする動き

と説明することができます。

例えば、現在、ビットコインの取引台帳(ブロックチェーン)上に、Aさんが10BTC(ビットコイン)持っている旨が記録されているとします。この台帳を使って、別の仮想通貨であるBitcoinUnlimited(単位は「BTU」と呼ばれます。)ができるとします。そうすると、Aさんは、自動的に、

・新しくできた仮想通貨の10BTUを持つ

ことになります(BTUは、従来のBTCの取引台帳を引き継ぐため)。このような状況が、今、将に起きようとしています(但し、現時点での予想ですので、実際、どのような動きとなるか、未知数の部分がございます。)。

3 なぜハードフォークが問題となっているのか

では、なぜ、ビットコインのハードフォークが問題となっているのでしょうか。これは、ビットコインの技術的な問題に由来します。

ビットコインは、ブロックが数珠つなぎになった「ブロックチェーン」と呼ばれる取引台帳を使っています。このブロックチェーンには、日々、新たなビットコインの取引が記録され、ブロックが追加され続けています。しかし、現状、ビットコインのシステムでは、1つのブロックのデータサイズが決まっている(1MB)ため、近年増加したビットコインの取引量に対応できなくなりつつあります。

そこで、1つのブロックに、今まで以上の取引を記録するため、様々な解決案が検討されました。


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●はじめに
ビットコインですが、今月9日には、中国国内のビットコイン取引所に対し、中国人民銀行(中国の中央銀行)が調査に入ったとのことです。中国人民銀行いわく、マネーロンダリング対策が不十分であるとのことですが、この調査を受けて、業者側は、ビットコインの引き出しを最大1ヶ月停止としました。当然、市場は敏感に反応し、ビットコインの価格が露骨に下がりました(BTC円のチャートをみると、崖のようです。ただし、その後、また、じわじわと価格が上昇しています。)。

他方、日本では、ビットコイン取引所に対し、三井住友銀行グループ、みずほフィナンシャルグループなどが出資をするなどの動きがありました(既にUFJグループも出資しており、メガバンクグループ3者が出資したことになります。)。また、国内では、今年以降、ブロックチェーン技術の実証実験などが本格化すると見込まれています。ビットコインに端を発する技術が、どこまで発展してゆくのか注目です。

●仮想通貨法に関する内閣府令等の公開
さて、前回の記事でも若干言及しましたが、仮想通貨に関する資金決済法等の法改正(改正により追加された仮想通貨に関する条文は、俗に、仮想通貨法と呼ばれています。)に関し、その細目を定める内閣府令やガイドライン等の案が、昨年末に公開されました。施行は、今年4月を見込んでいるとのことです。

http://www.fsa.go.jp/news/28/ginkou/20161228-4.html

そこで、遅ればせながら、それらの内容について簡単に触れさせていただければ
と思います。

●仮想通貨法のおさらい
まず、前提として、昨年成立した仮想通貨「法」(未施行)の概要について、ざっくりおさらいさせていただきます。

今回の仮想通貨「法」の注目部分は、やはり、なんといっても
・「仮想通貨交換業」(法2条第7項)が登録制となり(法631
・登録せずに「仮想通貨交換業」を行うと刑罰が課される(法107条等)
ことです。「仮想通貨交換業者」には、ビットコインの取引所などが含まれますので、法律施行後は、自由にビットコインの取引所を作れなくなります。概して、今回の仮想通貨法は、取引所に対する規制となっています。

加えて、仮想通貨交換業者には、仮想通貨法上、
情報の安全管理(法63条の8
・利用者の保護(法63条の10
・財産の分別管理(法63条の11
・事業年度ごとの報告書提出(法63条の14
等々の義務が課されます。

これらの規定の趣旨は、例えば、
・取引所が破綻したり
セキュリティー対策が十分に施されていない取引所からハッキングにより
仮想通貨が流出したりといったことを防ぎ、取引所の利用者を守る点にあります。

また、仮想通貨は、マネーロンダリングにも使われるため、マネーロンダリングを防止する趣旨も含まれています。

このように、仮想通貨法は、取引所の規制を主眼としています。ただ、取引所に対する規制が厳しすぎると、大企業しか規制に対応した取引所を運営できず、小さな業者は廃業を余儀なくされるかもしれません。そうすると、仮想通貨の利用者にも影響が出てきます(この他、仮想通貨交換業の定義に関して、取引所以外にも、広範に規制が及んでしまうのではないか、といった点は、危惧されています。)。

ちなみに、あまり報道はされていない点ですが、今回の仮想通貨法では、日本で登録されていない海外の取引所が、国内の者に対して、仮想通貨売買等の「勧誘」を行うことも禁止されていたりします(法63条の22)。

なお、巷では、今回の法改正により、ビットコインなどの仮想通貨が「通貨」として認められたかのような報道もありましたが、ミスリーディングのように思います。
もちろん、資金決済法上、「仮想通貨」が定義され、今後、取引所での取引に消費税も課されなくなるようですが、ビットコインが日本円のように、どこでも支払いに使えるようになったわけではありません(もちろん、今後、そうなっていくこ

とを期待します。)。

●今回の内閣府令
そこで、本題ですが、今回、公開された内閣府令(仮想通貨交換業者に関する内閣府令)等々の案(未施行)では、今ご説明した仮想通貨法の細目などが定められました。

例えば、仮想通貨交換業の登録申請の際、18項目にものぼる添付書類を付けなければならないこととされています(内閣府令第6条)。その中には、以下のような書類も含まれています。
・取締役や責任者の履歴書(内閣府令第6条⑤⑬)
・取り扱う仮想通貨の概要の説明書(内閣府令6条⑪)
・仮想通貨の取引に用いる契約書(内閣府令第6条⑮)

15号で取引契約書の添付が必要なことから、とりあえず登録だけしておいて、契約書等々は後から準備しよう、ということはできなさそうです。

また、例えば、仮想通貨法上、仮想通貨交換業者の登録拒否事由の1つとして、以下の条件が定められていました。

仮想通貨交換業を適正かつ確実に遂行するために必要と認められる内閣府令で定める基準に該当する財産的基礎を有しない法人」(法63条の51項第3号)

要するに、お金のない会社は、取引所を営んではいけませんよ、という規定です。

ただ、「内閣府令で定める基準」のハードルが高すぎると、取引所として営業をすることが非常に困難になってしまいます。そのため、基準がどう定められるのか、注目されていました。

これに対し、今回、内閣府令(案)では、以下のように定められました(内閣府令第9条)。
・資本金の額が一千万円以上であること
・純資産額・・・が負の値でないこと

それ程ハードルは高くはない?という意見も多いように思いますが、PC1台で起業して明日から取引所を開設する、ということは念頭に置かれていないように思います。

ちなみに、登録申請後、登録までに通常かかる期間(標準処理期間)は、補正などの期間を除き、は2ヶ月と定められました(内閣府令第36条第1)。

●ガイドラインについて
また、仮想通貨法に関する監督指針をまとめたガイドラインも公開されています。

そのなかでは、例えば、財産的基盤に関し、次のような記載があります。

・ガイドラインⅡ-1-2
「経営陣は、仮想通貨交換業者に関する内閣府令(・・・)第9条に規定する財産的基礎を遵守するだけでなく、業容や特性に応じた財産的基礎を確保するよう努めているか。」

要するに、資本金1000万円・純資産が-でない、という最低ラインをクリアしただけでなく、もっと、しっかりと、財産的基盤を確保しなさい、ということかと思います。

また、ガイドラインには、例えば、以下のような記載もあり、ある程度の人的資源・組織体制があることが、前提とされています。

・ガイドラインⅡ-1-2
「経営陣は、業務推進や利益拡大といった業績面のみならず、法令等遵守や適正な業務運営を確保するため、内部管理部門及び内部監査部門の機能強化など、内部管理態勢の確立・整備に関する事項を経営上の最重要課題の一つとして位置付け、その実践のための具体的な方針の策定及び周知徹底について、誠実かつ率先して取り組んでいるか。(注)本事務ガイドラインでいう「内部管理部門」とは、法令及び社内規則等を遵守した業務運営を確保するための内部事務管理部署、法務部署等をいう。また、「内部監査部門」とは、営業部門から独立した検査部署、監査部署等をいい、内部管理の一環として被監査部門等が実施する検査等を含まない」

・ガイドラインⅡ-2-1-1-2
「コンプライアンスに関する研修・教育体制が確立・充実され、役職員のコンプライアンス意識の醸成・向上に努めているか。また、研修の評価及びフォローアップが適宜行われ、内容の見直しを行うなど、実効性の確保に努めているか。」

・ガイドラインⅡ-2-1-2-2
「管理職レベルのテロ資金供与及びマネ-・ロ-ンダリング対策のコンプライアンス担当者など、犯収法第 11 条第3号の規定による統括管理者として、適切な者を選任・配置すること」

さらに、取引所といえば、ハッキング等の被害にも常にさらされている訳ですが、この点についても、ガイドラインは、然るべき人員を配置するように言及しています。

・ガイドラインⅡ-2-3-1-2(1)
「取締役会は、システムリスクの重要性を十分に認識した上で、システムを統括管理する役員を定めているか。なお、システム統括役員は、システムに関する十分な知識・経験を有し業務を適切に遂行できる者であることが望ましい。

・同④
代表取締役及び取締役(指名委員会等設置会社にあっては取締役及び執行役)は、システム障害等発生の危機時において、果たすべき責任やとるべき対応について具体的に定めているか。また、自らが指揮を執る訓練を行い、その実効性を確保しているか。」

・ガイドラインⅡ-2-3-1-2(7)
「システム部門から独立した内部監査部門が、システム関係に精通した要員による定期的なシステム監査を行っているか。(注)外部監査人によるシステム監査を導入する方が監査の実効性があると考えられる場合には、内部監査に代え外部監査を利用して差し支えない。」

ガイドラインは、あくまでガイドラインですので、法律ではありませんが、あまり厳格に運用しすぎると、結局、著名な業者以外はシャットアウト、ということにもなりかねませんので、そのあたりは配慮が必要なように思います。

ちなみに、細かなことですが、弁護士的には、以下のようなガイドラインの記載にも目が止まりました。ここでいう「弁護士法に基づく照会」とは、いわゆる弁護士会照会(23条照会)のことですね。今後、事件に関し、取引所に対して、顧客の氏名・住所等の照会ができるようになるかもしれません。

・ガイドラインⅡ-2-1-2-2(5)
仮想通貨交換業に係る取引の不正利用に関する裁判所からの調査嘱託や弁護士法に基づく照会等に対して、個々の具体的事案毎に、仮想通貨交換業者に課せられた守秘義務も勘案しながら、これらの制度の趣旨に沿って、適切な判断を行う態勢が整備されているか。」

●最後に
取引所を利用する側面では、利用者として、取引所への規制が厳しいほど、安全に取引ができますので、その面では喜ばしいことです。

他方、規制される側の企業にとっては、必ずしも軽い規制ではないかと思います。特に、「仮想通貨交換業」の範囲については、定義上、取引所以外の業態であっても該当する可能性があるため、そのあたりも踏まえて、今後、慎重な運用が望まれます。

気付けば、もう、12月に入り、来年も近づいてきましたね。年末年始の予定は、既にお決まりでしょうか。

来年は閏年ならぬ「閏秒」の年だそうで、1月1日の8時59分59秒の次に、8時59分60秒が挿入されるそうです。

「年始早々、1秒得できて超ラッキー☆」みたいに思いますが、ちょっと注意が必要です。数年前の閏秒の際には、某SNSなどの一部のサーバーが、閏秒に対応できず、サイトにアクセスできなくなったことがありました。どうしてもインターネットを使わなければできない用事がある方は、念のため、年内に済ませておいたほうが良いかもしれません。



 さて、最近のビットコインの動向ですが、11月25日、世界4大会計事務所の一つであるアーンスト・アンド・ヤングのスイス支社は、来年から、ビットコインでの報酬支払を受け付けると発表しました(http://www.ey.com/ch/en/newsroom/news-releases/news-release-ey-switzerland-accepts-bitcoins-for-payment-of-its-services)。アーンスト・アンド・ヤングは、日本では新日本有限責任監査法人がメンバーファームとなっていますね。

こういった国際的な会計事務所などでビットコイン決済の採用が進むと、国内にも、ビットコイン決済が徐々に浸透してゆくのかもしれません。



また、投資の対象としても注目されているビットコインですが、最近、価格の上昇が目を引きます。

今年の8月には、香港の取引所(Bitfinex)へのハッキングにより、数十億円相当のビットコインが盗まれ、ビットコインの相場は、日本円で1BTC=5万円代にまで下がっていました。しかし、現在(平成28年12月8日時点)の取引価格をみると、なんと、日本円で1BTC=9万円を超える価格にまで上昇しています。

そもそも、今年のはじめには4万円台だったので、1年で約倍になっています。



このような値上がりの背景には、米国大統領選、中国人民元への不審、インドでの高額紙幣廃止によるルピーへの不審などが影響していると囁かれていますが、それにしても大きな価格上昇です(もちろん、下がるときは、大きく下がりますが・・・。)。

ビットコインの値動きについては、多くの取引所が、価格の推移(チャート)を公表し、リアルタイムの価格がインターネットですぐ分かるようになっています。これらのチャートを見ていると、なんだか、外貨の値動きを見ているような感覚になります。現状では、個人の方にとって、「ビットコインって、結局何なの?」という問いに対し、「インターネット銀行で、外貨を買うようなもの」という答えが一番しっくり来るのかもしれません。外貨預金をされている方もいらっしゃるかとおもいますが、ドルやポンドの他に「ビットコイン」が選択肢に入ってくるのではないでしょうか。



その一方で、注意を要するのが、やはりハッキングによる被害です。ビットコインを含め、仮想通貨は、投資の対象として非常に注目されている反面、大口投資家に対するハッキングにより仮想通貨が盗まれるという被害も発生しています。直近でも、中国の投資家がハッキングを受け、約3700万円相当の仮想通貨を盗まれたなどと報道されています。


ただ、デジタルか、アナログか、の違いはありますが、お金の盗難自体は、現金でも日々発生している現象です。結局、人が集まり、お金が集まるところには、悪い奴らも集まってくる、という当たり前のことが起きているだけのように思います。


形は違えど、現金であれ、ビットコインであれ、セキュリティー対策を万全にする、ということが重要ですね。

最近、東京は、急に寒くなってまいりましたが、風邪などひかれてはいないでしょうか。どうも、今年は、秋が短く、すぐに冬になってしまったような感覚がします。


さて、ビットコインの近況ですが、これまで、ビットコインの取引に関しては、取引所からビットコインを購入する際、消費税が課税されていました。しかし、近時の報道で、財務省と金融庁は、2017年春を目処に、これをなくす調整に入っているとの報道がされています。ますます、ビットコインが、実際の「通貨」に近づいてきましたね。



また、直近のニュースをみると、「ビットコイン取引所に対して、詐欺を行い、ビットコインを入手した者が逮捕された」などとも報道されています。

こういったニュースを聞くと、また、取引所にハッカーの攻撃があったのか!!??と思われる方もいるかもしれません。しかし、報道内容を見てみると、今回の件は、他人のクレジットカード番号等を入手して、単純に、ビットコインを購入しただけのようです。

古くから、他人のクレジットカードを(盗むなどして)、お店で商品を購入する、といった事件では、商品の購入行為に関し、詐欺罪が適用されてきました。ごくごく簡単に言えば、「本人じゃないのに、本人のように振る舞って、相手を騙した」ということです。

そのため、今回の事件は、言ってみれば、昔から「よくある話」であって、他人のクレジットカードで買った商品が、ビットコインだった、というだけの話のようです。報道のタイトルだけを見ると、何事が起きたのか!?と思ってしまいます。ちょっと、ミスリーディングですね。



ただ、思い返せば、過去、インターネットの黎明期では、インターネットに対するミスリーディングな報道が多くされていたように思います。今から見れば、どれもナンセンスな話ですが、おそらく、メディアや国民の多くが、当時、まだインターネットとは何かを知らず、使ったことも無い人が多かったため、得体の知れない物に対する不信感が募っていたのだと思います。しかし、その後、インターネットは爆発的に普及し、今では、生活に欠かせない存在になっています。

そうしてみると、ビットコインも、今、まさに、昔のインターネットと同じ道を辿っているのではないでしょうか。全く関心のないものについては、不信感もわかないので、ある意味、国民の関心が高まりつつあるのかもしれません。


ただ、メディアの報道については、注意深く見てゆく必要があるかもしれません。

ビットコイン関連ですが、毎月、何かしら大きな出来事が起きていますね。前回のメルマガでは、「激動のイーサリアム」というサブタイトルを付けさせていただきましたが、イーサリアムにかぎらず、この業界は、常に、激動の状態にあるように思います。


最近ですと、良くない出来事ですが、香港にあるBitfinexというビットコインの取引所がハッキングを受け、数十億円相当のビットコインが盗まれるという事件が発生しました。これにより、ビットコイン価格も、一時、20%以上も暴落しています。

前回との関連で言えば、同じ仮想通貨のイーサリアムの場合、ハッキングを受け、仮想通貨が流出したところ、コミュニティーが一致団結して、ハードフォークにより救済をしました。他方、今回のビットコインの件では、そのような話は出ていません。対応が対照的で、コミュニティーの違いが現れているように思います。


さて、このBitfinexという取引所、かつての日本のMt.GOXを彷彿とさせますが、そのまま倒産の道をたどるかと思いきや、なんと、現在、取引所の業務を再開しています。


なんで、未だ、生きながらえているかといいますと、まず、Bitfinexは、今回の被害を受けて、ユーザーの資産を一律36%カットしました(ただし、詳細は不明ですが、一部例外があるようです。)。

この点について、Bitfinexは、結局、会社を清算(原文「liquidation」)したとしても同様の対応となるのであり、今回の一律36%カットは、リーガルコストをかけず、迅速な対応になる点で、ユーザーにとってメリットが多いと判断した、と説明しています
(http://blog.bitfinex.com/announcements/security-breach-faq/)。


また、次の対応が面白いのですが、Bitfinexは、36%カットの引き換えとして、仮想通貨「BFXコイン」なるものを今回新たに発行し、各ユーザーに配布したのです。しかも、このBFXコイン、既に取引所が設けられて、USドルやビットコインと交換可能になっています(ただ、現状で、レートは低いようです。)。


さらに、このBFXコインについては、
・Bitfinexが、このBFXコインを、Bitfinex(の親会社)の株式と交換する
・2か月に1回配当がなされる。
といった特典を付けることが検討されているとのことです。


一部のニュースサイトでは、社債のようだ、などと説明されていましたが、現金で償還されるような話は、今のところ情報として出ていないようなので、日本的に言うと、議決権制限で取得条項がついた株式のようなもの、と言えるかもしれません。


このような対応については、賛否両論あるでしょうが、なかなか日本では出てこないような発想で、純粋に面白いと感じます。今回の件がうまく行けば、先例として、今後の参考になるかもしれません。


また、このBitfinexですが、今回の盗難事件を受けて既にFBIとも連絡をとっており、なおかつ、ビットコインを取り戻すために、盗難にあったビットコインの5%(6,000BTC・平成28年9月2日現在で約3.5億円相当)の懸賞金をかけるとのことです。果たして犯人検挙には至るのでしょうか?


今後の動向に注目です。

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