カテゴリ: 労働法務

ご存知のとおり労働基準法では、労働時間の限度を規律する法定労働時間(18時間、週40時間)が規定されており、この法定労働時間を超えて労働者に労働させるためには、時間外労働(及び休日労働)に関する協定(いわゆる三六協定)を使用者と労働者との間で締結しなければなりません(労基法第36条第1項)。

この点、いわゆる法内残業(会社が定めた所定労働時間を超えてはいるが、法定労働時間内で行われた残業)であれば、三六協定の締結は必要ありません。
三六協定を締結し労働者に残業をさせた場合には、使用者は残業代(割増賃金含む。)を支払わなければなりません(上記の法内残業であれば、時間分の賃金だけで割増賃金の支払いは不要です)。
その計算方法は次のとおりです。

・時間外労働の時間×1時間あたりの賃金(月給÷1ヶ月あたりの平均所定労働時間)×1.25

※さらに、1ヶ月の時間外労働が60時間を超えた場合には、その超える部分の時間については、1.5倍の割増賃金になります。ただし、中小企業については猶予措置が定められていますが、平成313月末日までの見込みです(「労働基準法等の一部を改正する法律案要綱」の答申(平成2732日))。
従業員の労働時間管理は、タイムカードやICカード等の客観的な記録を基礎として行わなければならず、自己申告制を行う場合には適切な措置を講じなければなりません(詳細は「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(厚生労働省労働基準局監督課平成29120日策定)参照 https://www.startuproudou.mhlw.go.jp/pdf/guidelines.pdf)

時間外労働の計算は客観的な記録を基礎として1分単位で行わなければならず、実務上(労基署対応上)、始業開始の何分か前は労働時間に算入しないことがありますが、これは労基署のいわばお目こぼしであり、やはり原則としては1分単位で計算する必要があります。

ちなみに、深夜労働(午後10時~午前5時)を労働者が行った場合には、深夜労働の割増賃金として、次のとおり加算されます(さらに法定労働時間外であれば、合計の割増率は1.5倍になります。)

・深夜労働の時間数×1時間あたりの賃金×0.25

次に、休日労働を労働者が行った場合は、1.35倍の割増率・・・かといったら必ずしもそうではありません。
労基法が定める週1日の「法定休日」に行われた労働と、それ以外に就業規則や労働契約で定められた週の休日である「法定外休日」に行われた労働とを区別しなければなりません。

すなわち、「法定休日」の労働については、次のとおり使用者には割増賃金を支払うことが義務づけられています(労働基準法第三十七条第一項の時間外及び休日の割増賃金に係る率の最低限度を定める政令)。

・法定休日労働の時間数×1時間あたりの賃金×1.35
(さらに深夜労働(割増率0.25)があれば、合計の割増率は1.6倍になります。)

一方で、「法定外休日」に行われた労働に関する賃金ついては、特に法律は規定していませんので、仮にその休日労働が時間外労働であれば1.25倍の割増賃金を支払わなければなりませんが、特に時間外労働にあたらなければその賃金は労働契約・就業規則の定めによって決まることになります。

「法定休日」に行われた労働と「法定外休日」に行われた労働とを区別せず、休日労働に対しては必ず1.35倍の割増賃金を支払う(貰える)と考えている方もいらっしゃるかと思いますが以上のとおり注意が必要です。

残業代の計算は、従業員数が多くなればなるほど大変な計算になり、また2年間の消滅時効にかかるとはいえ(労基法第115条)、6%の遅延損害金も加算されるので放置しておくとかなりの金額になるので気を付けなければなりません。なお、残業代は退職者に対しても支払う必要があり、退職者に対しては、退職後から14.6%の遅延損害金(賃金の支払の確保等に関する法律第6条第1項)が発生することになりますので注意する必要があります。

最近では労働者の意識も変わり、残業代もきっちり貰うという流れになってきており、金額が大きくなりがちな残業代の精算は、使用者にとっては頭の痛い問題ですね。
今では社会的にも「残業を前提としない働き方」が求められていますので、私自身も頑張りたいと思います(ちなみに弊事務所では専門型裁量労働制が導入されており、深夜・休日労働を除き残業代は発生しないので、私にとって「残業を前提としない働き方」は切迫した課題です)。

今年(平成30年)の41日から、「無期転換ルール」が実施されるようになります。

「無期転換ルール」とは、有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申込みによって、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できるルールです。

このルールは労働契約法第18条で規定され、同条は平成2541日に施行されているのですが、経過措置によって、施行の日以後に締結した労働契約に適用されます。
そのため、実施されるのが最も早い方は、今年の41日にこのルールが適用されます。

今まで企業側としては、有期労働者を雇止めすることができたので、これが制限されるとなるとかなりの負担になります。
それでは、この無期転換ルールが、企業側にとってどのようなメリットがあるのかというと、厚生労働省のハンドブック(http://muki.mhlw.go.jp/policy/handbook_2017_3.pdf)によれば、

・長期的な視点に立って社員育成を実施することが可能になる

・会社の実務や事情等に精通する無期労働契約の社員を比較的容易に獲得できる

というメリットがあるとのことです。

しかし、無期転換ルールは、あくまでも労働者に無期転換への申込みを行う権利を認めたものなので、無期転換にするかどうかのイニシアチブは労働者側にあります。
そのため、上記の企業側のメリットはこじつけというか、結局メリットにはなっていないでしょう。

労働者としては、雇用の安定している無期労働契約に自分の意思で転換できるというのは大きなメリットです。しかし注意しなければならないのは、無期転換の申込みを行っても、あくまでも従前の有期労働契約の労働条件のうち、契約期間が無期になるだけですので、自動的に正社員と同様の待遇(給与、賞与、退職金等)になるわけではありません。

会社として注意しなければならないのは、無期転換した労働者に、会社のどの就業規則が適用されるのかをはっきりさせておかなければなりません。
通常は有期労働契約用の就業規則には定年を規定していない場合が多いので、仮に無期転換した労働者の適用される就業規則が、有期労働契約用の就業規則しかなかったとすると、会社は無期転換の労働者を、定年を過ぎても雇い続けなければなりません。

そのため、このような事態にならないように、定年だけでなくその他の労働条件についても、会社の運用に沿った内容を定めた無期転換用の就業規則を作成しておくことが望ましいでしょう。

人生100年時代です。
定年以降に有期労働契約を締結し、これが無期に転換した場合はどうするのか等、超高齢化社会を見据えて、就業規則等を用意しなければなりません。
実際に無期転換権を行使する労働者がどのくらいの人数・割合になるのかはまだ分かりませんが、今後の動向に注目したいと思います。

労働契約上の無期転換ルールをご存知でしょうか?
これは、2012年の労働契約法の改正により、新たに労働法18条に定められたルールです。

簡単に説明すると、契約社員・パート・アルバイトなどの期間が決められた労働契約をしている労働者(有期契約労働者と呼ばれています。)が、同一の使用者(企業)との間で、有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合、有期契約労働者からの申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換されるルールのことです。たとえば、 契約期間が1年の場合、5回目の更新後の1年間に無期転換の申込権が発生します。有期契約労働者が無期転換の申込みをした場合、使用者は、断ることができず、無期労働契約が成立することになります。

で、重要なのが、この労働契約法18条の無期転換ルールは、2013年4月1日から施行されたので、無期転換ルールにおける「5年間の期間」は、既に2013年4月1日から起算されており、来年2018年4月1日から無期転換権を取得する有期労働者が発生することです。

では、有期契約労働者が無期転換権を行使した場合、会社とこの労働者との契約関係はどのようになるのでしょうか?

労働契約法18条1項によれば、原則として、期間が有期から無期になること以外はそれまでの労働契約が適用されます。したがって、期間1年、週3日、1回あたり6時間、給料月額10万円のバイトが無期転換権を行使した場合には、単に期間が1年契約だったものが無期になるだけで、週3日、1回あたり6時間、給料月額10万円という労働条件には変更がないのです。

しかし、これには例外があります。すなわち、会社にこの無期転換権を行使した労働者(無期転換労働者)に適用される定めがある場合には、その定めが適用されることになります。たとえば、これまで正社員規則、契約社員規則、アルバイト規則しかなかった会社が、新たに、無期転換労働者に適用される規則を作れば、それが適用されることになりますが、もし特別にそのような規則を作らなかったのであれば、有期が無期になる点を除いて、従前は契約社員だった人には契約社員規則が、従前はアルバイトだった人にはアルバイト規則が、それぞれ適用されるということになるのでしょう。

というわけで、現在、来年4月1日以降に無期転換労働者が発生する可能性がある会社では、無期転換労働者に適用する規則を作っている会社も多いのではないかと推測します、その準備を後押しするために、厚生労働省では、ウェップで就業規則のサンプルを公開したりしていますね(http://muki.mhlw.go.jp/point/)。

ただ、ここで私には、どのように解釈したら良いのかわからない問題があります。

(1) たとえば、バイトばかりがいる会社が、バイトの無期転換権行使を阻止するために、無期転換労働者用の就業規則を作り、そこには、正社員並みの労働条件、たとえば、週5日労働、1回8時間労働、転勤命令に従う義務あり、残業命令に従う義務あり、もちろん給料は正社員なみに支払う、などと定められていたとする。そのため、多くのバイトは、事実上、無期転換権を行使できないでいる。このような就業規則は、実質的には、労働契約法18条の無期転換ルールの趣旨を没却するものであり、また労働契約の不利益変更禁止の精神も没却するから、無効なのではないか?

(2) IT業界では、案件をわたりあるく契約社員の方が正社員よりも給料が高い場合があるが、無期転換労働者規則において、給料は正社員並みにすることとした。しかし、そもそも無期転換権行使により給料を減額することは、上記と同様、無期転換ルールの趣旨を没却し、労働契約の不利益変更禁止の原則にも反するので、許されないのではないか?

労働法を専門にしている弁護士に、上記の質問を聞いてみましたが、まだ事例がなく、はっきりとした答えはないようです。

私の弁護士としての経験からすると、日本の会社は、上記(1)及び(2)のようなことは、法律上許されても社会からの非難を恐れてやらないところが多いのではないかと推測しますが、価値観の違う外資系の会社であれば、法律上許されるのであれば、実際にやるところが出てきそうです。
これからどのような解釈になるのか、注目してみたいと思います。

ちょっと古いニュースになってしまいましたが、2015年(平成27年)9月11日に改正派遣法も成立いたしました。

(2015年9月11日の日経新聞電子版の記事から)

「企業の派遣受け入れ期間を事実上なくす改正労働者派遣法が11日昼の衆院本会議で、自民、公明両党などの賛成多数で可決、成立した。」

「政府が進める労働法制改革の柱の一つで、9月30日に施行する。」

派遣法改正は、過去に2度ほど廃案となっており、今回も日本年金機構の個人情報流出問題などの影響で参院での審議が停滞していたため、今回も「2度あることは3度ある」なのか?と思いましたが、「3度目も正直」でようやく成立しましたね。この改正については、私もいろいろと意見があるところなのですが、成立した以上、よい運用を期待しています。


2015年6月20日の日経新聞朝刊3頁の『労働改革ようやく前進』『派遣法改正、成立へ』『脱時間給 労基法は不透明』という見出しの記事で、派遣法の改正案が衆議院を通過したことが報道されています(というか、他のマスコミでも大々的に報道されました。)。


企業が派遣社員を受け入れる期間の上限を事実上なくす労働者派遣法改正案が19日の衆院本会議で自民、公明両党と次世代の党の賛成多数で可決された。維新、共産両党は反対した。政府・与党は24日までの今国会会期を2カ月超延長する方針で、成立は確実だ。改正案は安倍政権が岩盤規制改革とみなす労働法制見直しの柱。過去2回の国会で廃案になったが、実現に向けて前進した。


今度こそ、派遣法の改正案が成立することはほぼ間違いないようです。私には、中小の会社のクライアントも多いので、特定派遣の廃止に関連する問題のアドバイスが多くなりそうです。 


少々前のニュースになりますが、2015年3月26日の日本経済新聞電子版の『不当解雇に解決金制度 規制改革会議が意見書 職場に戻る代わりに補償』という見出しで、興味深い記事を配信していました。

 

政府の規制改革会議は25日、すでに裁判で不当と認められた解雇を、金銭補償で解決する制度の導入をめざす意見書をまとめた。解雇された労働者から申し立てがある場合だけに適用する制度とする。不当解雇をめぐるルールを明確にし、労働者が泣き寝入りを迫られる事態を防ぐ。経営者側も労働紛争の決着を見通しやすくなる。

 

解決金制度は裁判で不当解雇と認められたとき、労働者が職場に戻るかわりに、法律で定められた一定額の補償金を使用者から払い、雇用関係を解消する仕組み。〔中略〕ただ、不当解雇と認められたなら職場に復帰したい、という労働者もいる。〔規制改革会議は〕あくまで「労働者側からの申し立てのみ認めるべきだ」と強調した。

 

この制度は、お金を払えば解雇できるという制度ではなく、不当解雇が認定されたときに、労働者側から申し立てがあれば、職場復帰ではなく、金銭補償で解決を図るというものです。私としては、以前、労働者側の代理人となって不当解雇を争ったこともあるのですが、既にクライアントはもとの会社で雇用を継続する意欲を失っている場合が多く、解雇が無効と認定されても、職場に戻ることなぞ全然考えていないことがほとんどだと思いますので、よい制度なのではないかと思います。ただ、補償金の金額が低いと不当解雇をした方が得ということにもなりかねないので、補償金の金額をいくらにするかという点で、非常に揉めるかもしれませんね(法令に定めないで、裁判所の個別判断にするのかな?)。

派遣法の改正案が再び国会に提出されました。

 

(2015年3月14日日経新聞朝刊5頁から)

政府は13日、派遣法社員に同じ仕事を任せる期間の制限を事実上なくす労働者派遣法の改正案を閣議決定し、国会に提出した。企業は派遣社員を活用しやすくなる。同時に派遣社員が雇用上の不利益を被らないように、派遣社員に対して派遣社員が期間終了後も働き続けられるように対応することを義務づけた。

9月1日の施行を目指す。ただ野党は「一生派遣につながる」として強く反対し、これまで2回廃案になっている。塩崎恭久厚労相は13日の閣議後の会見で「3度目の正直で成立させたい」と強調したが、閣議は難航が予想される。

 (私の感想)

私自身は、

① 日本の労働者派遣は、「正社員が本則で、派遣は一時的・臨時的な働き方」という位置づけで作られており、実務的には、「正社員の解雇が厳しく制限されているため、経済的な負担が大きくても雇用調整をしやすい派遣を使う」という発想で使われ、職場における正社員と派遣社員間の差別(同じ仕事をしているのに待遇が違う)を助長する方向で機能している。

② しかし、「正社員が本則で、派遣は一時的・臨時的な働き方」という位置づけ自体がおかしい。専門職などでは会社単位に働くよりも、案件・仕事単位で働く方が適している場合があり、そういう場合には、派遣は一時的・臨時的な働き方ではなく、恒久的な働き方とも位置付けられる。

③ また、雇用調整の必要性があるから派遣を増やす(雇いやすくする)という発想もおかしい。そもそも日本の社会および企業は、従業員を定年までずっと雇えるほどの体力がなくなっているのだから、雇用調整の必要性は、(派遣を増やす方向ではなく)一定の補償のもとで、正社員の解雇制限の規制を緩める方向で検討されなければならない。


という考えを持っています。

 

ところが、今回の派遣法の改正は、これまでの正社員と派遣社員の区別(雇用調整のための派遣)を前提としつつ、一方で、企業側で派遣を使いやすく、他方で派遣労働者側の立場にも配慮するというもので、そもそも問題の根本である正社員の解雇制限の問題に手をつけていません。したがって、私のような考えを持っている者からすると、この改正は、中途半端というべきもので、若干ひややかな目で見ています。

ただ、最近、竹中平蔵氏が、上記と同様の趣旨の発言をしたところ、ネット等でかなり叩かれましたので、おそらく、このような考え方は、まだまだ少数派なのでしょう。現状では、ドラスティックな制度変更は望めません。

 

だとすれば、問題のある現状を少しでも改善していく方向で考えなくてはなりません。

いずれにしても、労働法制は我が国の成長性を高めるうえでとても重要な分野ですので、国会で、今国会では実りある議論がなされることを望みます。 


今朝(2015年2月4日)の新聞各紙で報道されておりますね。以下、日経新聞からの引用です。

<厚生労働省は2016年4月から社員に年5日分の有給休暇を取らせるよう企業に義務付ける方針だ。19年4月からは中小企業の残業代も引き上げる。時間ではなく成果に対して賃金を払う制度(ホワイトカラー・エグゼンプション)も、対象が広がりすぎないよう年収基準に歯止めを設ける。働き過ぎを防ぎながら規制を緩める「働き方改革」を促す。

以前にも書きましたが、私は、職場(同僚)への配慮で有給を取りにくいというのは極めて日本的な現象なのではないかと思っていたのですが、欧州でも同じような事情があるようであり、同記事によれば、「欧州諸国は事実上の消化義務を課しており取得率が100%近い。日本でも同じような仕組みを入れる必要性があると判断した。」と解説がされています。

しかし、もしそうだとするなら、そもそも社員から申告してお休みをとるという有給休暇の仕組み自体に問題があるということなのかもしれませんね。
今回の記事を読んで、そんなことを考えました。


本日(2015年1月8日)の日本経済新聞朝刊1面のトップ記事に、『年収1075万円以上を対象 専門職 労働時間規制外す』とうい見出しで大々的に報道されておりました。


厚生労働省は7日、働く時間ではなく成果で賃金を払う「ホワイトカラー・エグゼンプション」の制度案をまとめた。対象は年収1075万円以上の専門職に限り、週40時間を基本とする労働時間規制(3面きょうのことば)から外す。過労を防ぐために年104日の休日なども導入の条件にする。「岩盤」といわれる雇用規制を崩す第一歩をなる。


同省は16日に開く労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の分科会にこれらの労働時間規制の改革案を示す。今後、与党との調整を経て労働基準法改正案を閣議決定し、26日召集の通常国会での成立と16年春めどの施行を目指す。


何度もこのブログでは触れているように、このホワイトカラー・エグゼンプションは、政府が導入しようとすると、マスコミ等から「残業代ゼロ法案」とか「過労死法案」などと批判されて、導入ができないという状態が続きました。

しかし、今回は、年収1075万円以上の専門職のみを対象とするということで、おそらく「残業代ゼロ法案」などという批判は全く的外れになるのではないかと思います(年収1075万円を稼ぐには、通常、残業をしただけでは足りず、自分の仕事に対して残業以上の付加価値を付けなければならないと思われるからです。)。また、報道によれば、「労使が①年104日の休日取得②1カ月間の在社時間などの上限③就業から翌日の始業までに一定時間の休息-のいずれかを選ぶ」という「働き過ぎを防ぐ対策」とセットで導入されるということであり、「過労死法案」という批判もあたらないものになると思われます。私は、この政府の施策については、硬直的な我が国の労働法制について、現実に即した柔軟な修正を加えるものとして、積極的に評価したいと思います。どのような法案になるのか注目ですね。

11月28日にJIET(特定非営利活動法人日本情報技術取引所)北海道支部の情報交換会で、「労働者派遣法の改正がいつきてもいいように!」という題名で講演をさせていただきました。その内容を簡単にまとめさせていただくと、

 

(1) 労働者派遣法の改正案は、今年の春の通常国会では厚生労働省の担当者が罰則規定を書き間違えてしまったため、秋の臨時国会では、衆議院が解散になってしまったため2度も廃案になっていますが、厚生労働省内で議論が積み重ねられ、政府が重要法案として位置づけている法案なので、今回行われる衆議院選挙で与党(自民党・公明党)が過半数を取得すれば、来年年明けからの通常国会で成立する可能性が高いこと(施行は平成28年4月からか?)

 

(2) その場合、中小のIT企業にとって最も影響の大きいのは、特定労働者派遣(届出制)と一般労働者派遣(許可制)の区別がなくなり、全て労働者派遣事業として厚生労働大臣の許可が必要になることであること、また、認可の基準で問題となりそうなのは、(まだ改正案についての基準は公表されていないので正確なものではないのですが)現行の一般労働者派遣の許可基準から推測する限り、

① 基準資産額が、「2000万円×事業所数」以上であること

② 基準資産額が、負債の総額の7分の1以上であること

③ 事業所資金として自己名義預貯金が「1500万円×事業所数」以上であること

という財産基準であると考えられること

 

(3) しかし、現在特定派遣をしている業者については、改正法の施行日から3年間については、特定派遣を続けることができるという経過措置(猶予期間)が設けられることになっているので、それほどあわてる必要はなく、

① 基準を満たすよう頑張って、労働者派遣を継続する

② 労働者派遣は止めて、人を出す場合には請負にシフトする

③ 労働者派遣は止めて、人を出すことも止める

などの選択肢を自社の状況に応じて考えれば良いこと

 

です。

 

最近の報道を見ていると、今回の選挙で与党(自民党・公明党)が過半数を取る可能性はかなり高いようですので、ここしばらくは派遣法の改正に注目していかなければならないようです。

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