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【宇宙法入門】書影


これだけは知っておきたい!
弁護士による宇宙ビジネスガイド
New Spaceの潮流と変わりゆく法
第一東京弁護士会 編
同文舘出版
出版日:2018-11-15










弊事務所の馬場悠輔弁護士が共著者の一人として、本を出版いたしました!

「これだけは知っておきたい!弁護士による宇宙ビジネスガイド
‐New Spaceの潮流と変わりゆく法」(第一東京弁護士会:同文舘出版)
(出版日平成30年11月15日、税込み¥2052(本体¥1900)、A5判)

近年宇宙開発が大企業・ベンチャー企業問わず民間にまで拡がっていく中、宇宙活動をめぐる法律問題は多岐にわたっています。
しかしながら、宇宙法自体が非常に新しい分野であるため、宇宙法を概説した書籍はほとんどありません。
本書は、宇宙法だけでなく、宇宙の歴史から最新の宇宙ビジネスまで幅広く解説しておりますので、法務担当の方だけでなく、少しでも宇宙に興味のある方でも楽しめる内容となっています。

宜しければお手に取りご愛読いただければ幸甚です。

1024日に厚生労働省は企業などがデジタルマネーで給与を従業員に支払えるよう規制を見直す方針を固めたとのニュースがありました。従業員に支払う給与を、銀行口座を通さずに、プリペイドカードやスマートフォンの資金決済アプリなどに送金できるようにするそうです。(日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36868440U8A021C1MM8000/

 

最初に法的な原則論を整理しますと、従業員に対して支払う給与(賃金)については、「通貨」によって支払わなければなりません(通貨払の原則:労基法第24条第1項)。
「通貨」とは、我が国に強制通用力のある貨幣及び紙幣を意味しており、要は日本円の硬貨と紙幣(日本銀行券)で支払わなければならないということになります。
ちなみに「通貨」には外国通貨は含まれませんので、会社が一方的に「今日から給与はドルで支払うことにした」と言って給与をドル払いにすることはできません。

以上が原則論で、これを修正する例外が3パターンあります(労基法第24条第1項但書)。

①法令に別段の定めがある場合

②労働協約に別段の定めがある場合

③(確実な支払の方法として)厚生労働省令で定める場合

①法令に別段の定めがある場合
まず1つめの、法令に別段の定めがある場合ですが、今のところここでいう「法令」は存在しないので、特に問題にはなりません。

②労働協約に別段の定めがある場合
次に2つめの、労働協約に別段の定めがある場合について、労働協約とは、労働組合と会社との間の書面で締結される協定のことをいいますが、労働組合がない会社では、労働協約によって通貨払いの原則を修正することはできないので注意が必要です。

③厚生労働省令で定める場合
最後に3つめの、厚生労働省令で定める場合ですが、これが冒頭で挙げたニュースの話です。
現在では厚生労働省令(労働基準法施行規則第7条の2)によって、労働者の同意があることを前提に、給与を金融機関口座に振込むことが可能となっています。
なぜこれが通貨払の原則の例外なのか?というと、給与の振込みでは、厳密に言えば、労働者は通貨そのものを受領できるのではなく、金融機関に対する預金債権を取得することになるので、通貨払の原則の例外になるのです。
金融機関口座への振込みでも、確実に労働者の手元にいくので、それなら許容しましょうという価値判断です。

 

今回厚生労働省は、これを更に拡大して、従業員に支払う給与を、プリペイドカードやスマートフォンの資金決済アプリなどにも送金できるようにするそうです。
これは昨今の労働者人口の減少に伴う外国人労働者の受け入れをみると、必然的な流れではないでしょうか。

ただし、この記事によればこの手続きの利用ができるのは、デジタルマネーを手数料無しで現金化できることが条件となっていますが、現在のところ(銀行所定のプリペイドカードを除けば)デジタルマネーを現金化するのは難しいと思いますので、実現のためには今後インフラが整備される必要があります。

とはいえ今後銀行口座を間に入れずに給与の振込みができるようになると、外国人労働者にとって働きやすくなるでしょう。
給与の現金払いでは安全面の心配や、確実に給与を支払った証拠を確保するためにも、最近では給与の銀行口座への振込が一般的になってきましたが、銀行口座を外国人が開設しようとすると大変です。短期滞在(90日以内)の場合は開設できないですし、長期滞在ビザを持っていたとしても、日本での滞在期間が6ヶ月未満の場合は開設ができないなどハードルが高いですが、銀行口座が不要となると、外国人労働者でも給与の支払いを受けることが容易になります(今後は併せて就労ビザの拡大も行われていくと考えられます)。

デジタルマネー決済の昨今の状況をみると、クレジットカードや電子マネーの利用のみ(現金不可)の店が出てきたり、病院の診療費の支払いに電子マネーの利用ができたり、経済産業大臣がクレジットカード会社に対し手数料の引き下げを要請する考えを示したりするなど、デジタルマネー決済の推進(キャッシュレス化)の流れに入っています。
このままキャッシュレス化が拡大すれば、上記のデジタルマネー現金化の条件もなくなるのではないでしょうか。

ちなみにアメリカでは、既に「ペイロールカード」というものがあって、会社は銀行を介さずに直接このカードに入金し、従業員はこのカードでショッピングをすることが可能になっており、日本の一歩先を行っています。
ただし、アメリカではペイロールカードの現金引出しの際の手数料について批判がされているので、厚生労働省はこの批判を避けるために、今回あらかじめデジタルマネーを手数料無しで現金化できることを手続利用の条件にしているのではないでしょうか。

今回のデジタルマネーによる給与支払いは、外国人労働者受け入れの布石となることでしょう。

各都道府県労働局に設置されている総合労働相談センターへの労働相談は、10年連続で100万件を超えており、内容は「いじめ・嫌がらせ」(ハラスメント)が6年連続トップになっています。
厚生労働省の統計データによれば、解雇に関する相談は10年前に比べて2分の1に減少していますが、「いじめ・嫌がらせ」(ハラスメント)に関する相談は、ここ10年で2倍になっています。(厚生労働省「平成29年度個別労働紛争解決制度の施行状況」https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11201250-Roudoukijunkyoku-Roudoujoukenseisakuka/0000213218.pdf


最近では女子レスリングや体操のパワーハラスメント(以下「パワハラ」といいます。)問題が世間を賑わせたこともあり、パワハラ問題に関するニュースが多くなっている印象です。
もっとも取り上げられるニュースはその時期の「流行り」という面がありますので、ニュースとして取り上げられることが多くなることと、実際にハラスメント行為が増えていることとは別問題ですが、年々、特にパワハラは増加の一途を辿っています。

パワハラは昔からあったはずですが、ネットやニュースで「パワハラ」という言葉が一般に認知され、「パワハラ=悪」という印象が世間的にも広がり、パワハラ被害を受けた人が声を上げやすい世の中になってきていると思います。一方で、いじめや嫌がらせの類を強いものから弱いものまで十把一絡げに「パワハラ」だと認定してしまっている傾向もあるでしょう。その意味で、パワハラが本当に増加しているかは簡単には判断できないでしょう。

「パワハラ」は、法律上定義されているわけではありませんが、厚生労働省円卓会議ワーキング・グループが、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」であると定義らしきものを報告書にまとめており、実務上はこれをパワハラかどうかの一つの基準にしています。

またワーキング・グループは、パワハラの行為類型として、以下の類型を挙げています。

①身体的な攻撃(暴行、傷害等)
②精神的な攻撃(脅迫、名誉毀損、侮辱、暴言等)
③人間関係からの切り離し(隔離、仲間外し、無視等)
④過大な要求(業務上明白に無理なこと・不要なことを要求等)
⑤過小な要求(仕事を与えない等)
⑥個の侵害(私的なことに立ち入る等)

個人的には、暴行や傷害、脅迫などは明確な犯罪行為であり、「ハラスメント(harassment)」(嫌がらせ)の語義から外れていると思いますので、単に暴行罪・傷害罪・脅迫罪と言えば足り、「パワハラ」という言葉で曖昧・抽象化する必要はないと思っています。

少し嫌な思いをしたら、何でもパワハラになるのではなく、上記の基準に当てはまるかを考える必要があります。この基準のうち特に「業務の適正な範囲を超えて」という部分がキーワードになります。

業務の適正な範囲を超えた行為とは、例えば、自分の考えを長時間にわたって「指導」と称して押し付けることや、自分の納得しない報告は受け入れず、ダメ出しを繰り返すことなどがあります(過度のダメ出しなんかは役所に多いので、個人的にはハラスメント行為だと思っています)。

またパワハラに当たるかは、時代(特にテクノロジーの発達)によって変わっていきますので、注意が必要です。
昔はネットやメールがなかったので、休日に上司等から連絡が来ることはなく、休日になれば仕事から完全に解放されたと聞きます。今では休日でも連絡がメール等でできてしまうので、パワハラと認定されるかはさておき、それが問題となり得る時代になっていることは認識しておくべきだと思います。
タイミング的に休日にメールを送らざるを得ないとしても、メールのタイトルに【月曜日に見ること】などの言葉をつける配慮をしている方もいます。

上司が部下に行った「叱咤激励」が、部下にとっては「パワハラ」に感じるということはよく聞く話ですが、コミュニケーション不足に原因があると思います。コミュニケーションが不足しているから、部下としては現れた言葉や行為しか見れなかったり、上司としても意味もなく強い言動をとってしまったりするのではないかと思います。
時代が違う、世代が違うから仕方ないと片付けてしまうのではなく、お互いに置かれた環境なども考慮しながら、言葉だけでなく言葉以外のノンバーバルな部分にも注意を傾けていく必要があるでしょう。

大手予備校(福岡校)が、長年講師として働いてきた労働者(有期労働契約)を、無期転換ルールの適用直前になって雇い止めを行い、その雇い止めについて、福岡労働局が「雇い止めが無効の可能性がある」と指摘したというニュースがありました。
(毎日新聞:https://mainichi.jp/articles/20181024/k00/00m/040/210000c

「無期転換ルール」とは、有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申込みによって、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できるというルールです。このルールは労働契約法第18条で規定され、同条は平成2541日以後に締結した労働契約に適用されます。

この無期転換ルール「逃れ」のために、今後雇い止めが増えるのではないかと懸念されていましたが、やはりこのようなニュースが出てきました。

私がこのニュースを見て気になったのは、①労働者の年齢と②今までの契約更新事情という点です。

①まず労働者の年齢について、今回雇い止めされた労働者は68歳であり比較的高齢の方ですが、実は無期転換時の年齢については注意する必要があります。
というのも、仮にこの方に無期転換ルールが適用されて、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換した場合には、定年の問題が生じることになるからです。

無期転換後の労働者に適用される就業規則を準備していない場合には定年の規定が適用されませんし、仮に60歳定年の規定がある就業規則が適用されたとしても、無期転換時に60歳を超えている労働者については、60歳定年の定めは適用がないものとして扱われてしまいます。

これはどういうことかというと、無期転換時に60歳を超えている労働者については、いわば「定年なし」の状態になり、会社は、労働者自身が退職を申し出るか、心身の故障等の解雇事由が発生しない限り、その労働者を雇用し続けなければならないことになってしまうのです。

このような事態を回避するにはどうすればいいか?というと、無期転換後の労働者に適用される就業規則をきちんと準備しておく必要があります。

無期転換後の労働者に適用される就業規則に60歳定年の規定を定めておき、さらに、例えば「無期転換権を行使した有期雇用労働者で、無期雇用契約開始時に満60歳以上の者については、無期転換後2年間で定年とする。」といった内容の定年規定を置くことで、事前に対処が可能です。

今回の大手予備校はきちんと就業規則を整備していなかったと予想していますが、定年だけでなくその他の労働条件についても、会社の運用に沿った内容を定めた無期転換用の就業規則を作成しておくことが望ましいでしょう(無期転換後の就業規則の作成については当事務所で扱っておりますので遠慮なくご連絡ください。)。

②次に今までの契約更新事情についてですが、今回ニュースになった方は、29年間も講師として働いており、雇い止めの直前は1年契約を6回更新しており、また今回雇い止めされるまで特に会社から指導等はなかったという事情があります。

このような事情があったため、労働者が契約更新されると期待する「合理的な理由」(労働契約法192号)があるとされた結果、雇い止めの無効の指摘がなされたので、無期転換ルール適用直前の雇い止めであれば、全て無効になるという判断が今回なされたわけではありません。
すなわち、無期転換ルール適用直前の雇い止めであっても、労働者が契約更新されると期待する「合理的な理由」がないのであれば(かつ同条1号に該当しない場合)、雇い止めは有効になりますのでこの点は留意する必要があるでしょう。

とはいえ、そもそも無期転換ルールが作られた趣旨は、労働者が雇用の安定している無期労働契約に転換できるという労働者保護の観点が大きいため、この無期転換ルールがあるために雇い止めが助長される等、契約更新の足枷となってしまっては本末転倒です。また今回労働局も「無期転換ルールを意図的に避ける目的で雇い止めをすることは、法の趣旨に照らして望ましくない」と指摘しています。

したがって、今後の無期転換ルール適用直前の雇い止めについては、従来では契約更新されると期待する「合理的な理由」(労働契約法192号)があるに至らないとされる段階であったとしても、今までよりも労働者保護の判断(雇い止め無効)に行政・司法とも移行していくものと予想しています。

629日の参院本会議で成立した「働き方改革関連法」の柱である、「高度プロフェッショナル制度」について検討したいと思います。

 

1 高度プロフェッショナル制度とは何か?

高度プロフェッショナル制度とは、「残業代ゼロ法案」や「ホワイトカラーエグゼンプション」ともいわれていますが、高度の専門的知識等を必要とする業務に就いている一定の年収(年収1,075万円以上 ※現在)の労働者のうち、その労働者の同意があること等を前提に、労働基準法に定められている労働時間、休日及び深夜の割増賃金等の規定が適用されないという制度です。要は、就業時間に縛られない代わりに、深夜残業しようが、休日出勤しようが、残業代や深夜勤務手当、休日勤務手当は支払われないという制度です(以下の表参照)。

[表:高度プロフェッショナル制度の特徴]

高度プロフェッショナル制度の特徴

労基法上の規制

一般労働者

高度プロフェッショナル

法定労働時間

時間外割増賃金

休日・深夜割増賃金

休憩時間

                     ○…適用、☓…不適用

この制度を設けた趣旨は、従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないとされている業務(アナリストやコンサルタント等)については、時間ではなく成果で評価される働き方を希望する労働者のニーズに応えて、労働者の意欲や能力を十分に発揮できるようにするためと説明されています
(労働政策審議会「今後の労働時間法制等の在り方について」https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000073981.htmlなど)

これはつまり、成果主義的な色彩の強い業務の場合には、成果さえ出せば早く帰れるということにすれば、勤務時間に縛られないことになり、意味もなく勤務の終了時間まで居残り続ける必要はなく、また残業代のためにダラダラ仕事を続けることがなくなるので、労使双方にとってメリットがあるという話です。
本当にこのような理想的な結果になるのか?という疑問があるので検討してみます。

 

2 対象となる業務等

高度プロフェッショナル制度の対象となる業務は、金融商品の開発業務、金融商品のディーリング業務、アナリスト業務(企業・市場等の高度な分析業務)、コンサルタント業務、研究開発業務等を想定しているということですが、これらの業種は総じて長時間労働が常態化している業種であるといえます。
これらの業種の労働者は、業務が早く終わったので帰りたい、というよりも業務が終わらないので帰りたくても帰れないというほうが多いのではないでしょうか。

仮に業務を終えて帰れる余裕がある方でも、帰れるのは最初だけで、管理職(使用者)に早く帰っているのを目撃されたら最後、「まだまだ余裕があるな」と思われて、更なる業務を課されるのが目に見えています。そのようにならないように(又はそのようになったとしても)、労使共に納得できるように、成果(目標)をきちんと設定することが必要不可欠になってきます。
それでも、高給取り(現在のところ年収1,075万円以上)だからいいのでは?という意見があります。

本当に高給の労働者が対象なのかを見てみますと、今回の法律では、高度プロフェッショナル制度の対象者の年収が「基準年間平均給与額(略)の三倍の額を相当程度上回る水準として厚生労働省で定める額以上であること」(改正労基法第41条の22号ロ)とされています。
すなわち、高度プロフェッショナルの基準となる年収額は、少なくとも労働者全体の年間平均給与額の「三倍の額」を上回ることが「法律」で定められているので、高度プロフェッショナル制度が高給の労働者を対象としていることは疑いがないでしょう(現在のところ年収1,075万円以上)。

そのため、巷で言われているような、国(厚生労働省)が年収基準をどんどん下げてしまい、大勢の労働者が高度プロフェッショナル制度の対象者になってしまうのではないか、という指摘は当たらないと思います。なぜなら、高度プロフェッショナル制度の対象者を増加させるためには、この「三倍」ルールを撤廃(法律を改正)しなければなりませんので、国(厚生労働省)の一存では少なくとも平均の三倍未満に年収を引き下げることはできないためです。

 

3 労働者にとって得な制度なのか?

もっとも、高度プロフェッショナル制度の対象者が高給であったとしても、残業代や休日手当、深夜勤務手当等は支払われないので、毎月何十時間も所定労働時間よりも多く労働した場合には、時給換算で考えるとどんどん時給が下がっていきます。結局、時給で見てみると他の労働者の時給とさほど変わらなかった、という事態になってしまう可能性があります。

それでも、短時間で成果が出せれば良いので、実力さえあれば高度プロフェッショナル制度のほうが労働者にとって有利なのではないか?という考え方について、そもそも欧米型成果主義が日本企業にどれだけ定着できるのか(定着しているのか)という問題があります。売上以外の数値化できるものを除き、「成果」というものを定義することは難しいため適切な目標設定ができず、目標未達による労働者のストレスや、従業員間に連携が生まれにくい等の問題があります。また定時に帰る労働者を良しとしない会社においては、働き方についての考え方を変えない限り、なかなか導入は難しいと思われます。

「高度プロフェッショナル」という言葉は何となく聞こえがよいので、「君は今日から『高度プロフェッショナル』だ。」と言われて、あまりよく考えないで同意してしまうと、後で自分に合わない制度だったことに気づくことになりかねません。(又は制度をよく理解したとしてもパワーバランスから断れないこともあるでしょう。)

成果主義に合った業務内容で、労働時間に縛られないほうが成果を出せるタイプで、かつ労働時間も長時間にならずに成果を出せる実力がある労働者であれば、高度プロフェッショナルに向いていると思います。もっとも、そのような方は、そもそも雇用契約上の労働者としてではなく、業務委託契約でフリーランスとして働いたほうが良いのではないか…と思います。

高度プロフェッショナル制度が、単に使用者が残業代や深夜勤務手当等の支払いを避けるためだけに用いられることがないように、上手く成果(目標)の設定をして、労使双方にとってメリットになる運用がなされることに期待したいと思います。

フレックスタイム制とは、あらかじめ1ヶ月以内の一定の期間(清算期間)の総労働時間を定めておき、清算期間を平均して1週間当たりの労働時間が法定労働時間を超えない範囲内で、始業・終業時刻を労働者の選択に委ねる制度です(労働基準法第32条の3)。

このフレックスタイム制は、労働者が各労働日の労働時間を自分で決められることから、生活と業務との調和を図りながら効率的に働くことをその狙いとしています。

 

1 導入の方法

フレックスタイム制を導入するには、以下の①と②を行う必要があります。

①就業規則その他これに準ずるものにおいて、始業及び終業の時刻を労働者の決定に委ねる旨を定めること

 例えば会社の就業規則において、以下のような条項を定めることが考えられます。

第●条

フレックスタイム制が適用される従業員の始業及び終業の時刻については、従業員の自主的決定に委ねるものとする。ただし、始業時刻につき従業員の自主的決定に委ねる時間帯は午前6時から午前10時まで、終業時刻につき従業員の自主的決定に委ねる時間帯は午後3時から午後7時までの間とする。

ここでいう就業規則に「準ずるもの」とは、10人未満の従業員を使用する会社においては就業規則の作成義務がないため、例えば、上記の内容を定めた書面を作成する必要があります。なお、本論と外れますが、就業規則の作成義務がない会社であっても、画一したルール作りのためや、懲戒処分の根拠規定を設けるためにも就業規則を作成して周知しておいたほうが良いでしょう。

②労使協定を過半数労働組合又は過半数労働者代表との間で締結すること

 以下の表記載の事項(※(1)~(6))について、労使協定を締結する必要があります。ただし、この労使協定は36協定等と異なって、所轄労働基準監督署長への届出義務はありません。

表:労使協定に定める必要のある事項

労使協定に定める必要のある事項

備考

1)対象となる労働者の範囲

各人ごと、課ごとなど柔軟に範囲を定めることができます。

2)清算期間

1ヶ月以内に限りますが、1ヶ月とすることが一般的です。

3)清算期間における起算日

具体的な日を定める必要があります。例えば、「毎月1日」「毎月26日」等です。

4)清算期間における総労働時間

清算期間における総労働時間は、

「清算期間の暦日数/ 7 ×1週間の法定労働時間」

の範囲内にする必要があります(下記表参照)。

5)標準となる1日の労働時間

1日の標準となる労働時間(時間数)を定める必要があります。

6)コアタイム

労働者が1日のうち必ず働かなければならない時間帯で(ex.午前10時~午後3時)、必ず定めなければならないものではありません。コアタイムを設ける場合には開始と終了の時刻を明記する必要があります。

7)フレキシブルタイム

労働者が自らの選択により労働ができる時間帯(フレキシブルタイム)に制限を設ける場合には、その時間帯の開始及び終了の時刻を明記する必要があります。


表:清算期間における法定労働時間の総枠

 

週の法定労働時間数

40時間

44時間

清算期間の暦日数

31日の場合

177.1時間

194.8時間

30日の場合

171.4時間

188.5時間

29日の場合

165.7時間

182.2時間

28日の場合

160.0時間

176.0時間

(※東京労働局「フレックスタイム制の適正な導入のために」参照

https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/library/2014318104110.pdf


2 始業又は終業時刻の一方のみを固定するフレックスタイム制の可否

例えば朝礼ないし伝達事項があるので、朝は定時出勤にし、終業時刻のみ労働者の選択に委ねるフレックスタイム制を導入したいという企業があるかもしれません。

しかし、フレックスタイム制を定めた労働基準法第32条の3が、フレックスタイム制を「始業及び終業の時刻をその労働者の決定にゆだねる」ものであると定義しています。

また行政解釈では、フレックスタイム制は始業及び終業の時刻の両方を労働者の決定に委ねる必要があるとして、始業時刻又は終業時刻の一方についてのみ、労働者の決定に委ねるものでは足りないとしています(昭63.1.1基発1、平成11.3.31基発168)。

 そのため、朝は定時出勤にし、終業時刻のみ労働者の選択に委ねるような、始業時刻のみ固定するフレックスタイム制は導入できないものと考えられます。

 しかし、私としては、フレックスタイム制の導入は労使間の合意(労使協定)を前提としており、またフレックスタイム制を導入しても実労働時間の把握義務は使用者側に依然として課されたままであるため、始業時刻のみ固定するフレックスタイム制を導入しても、労働者の権利を害するような事態は生じないものと思います。

そのため、フレックスタイム制を硬直的に定義し運用する必要はないと思いますので、始業時刻又は終業時刻の一方が固定されるようなフレックスタイム制の導入を認めても良いと考えています。

 

3 導入している企業の割合

 このフレックスタイム制ですが、どのくらいの企業が導入しているかを見てみますと、以下の表のとおり、全企業のうち変形労働時間制(1年単位の変形労働時間制、1ヶ月単位の変形労働時間制、フレックス制)を採用している企業は57.5%と多いですが、変形労働時間制のうちフレックスタイム制を導入しているのは、全体で5.4%であり、導入している企業は少ないと考えられます。
 フレックスタイム制は、ワークライフバランスの取れた働き方や残業削減といった狙いがあると思いますが、上記2のように使い勝手が良いものとはいえず、またフレックスタイム制の勤怠管理は難しいので人事部の負担や、チーム間や取引先との時間調整の難しさが導入を遠ざけているのかもしれません。

表:フレックスタイム制の導入企業の割合

企業規模

変形労働時間制の採用

フレックスタイム制導入

全体

57.5

5.4

1000人以上

74.3

23.6

300~999

67.9

14.2

100~299

63.3

6.4

30~99

54.3

3.7

※調査対象数6,367、有効回答数4,432、有効回答率69.6

(厚生労働省「平成29年就労条件総合調査 結果の概要」

https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/17/dl/gaiyou01.pdf

6月29日の参院本会議で、いわゆる「働き方改革関連法」が成立しました。

残業代の上限規制や、同一労働同一賃金制度の導入、またいわゆる高度プロフェッショナル制度の導入が柱となっており、労働基準法や労働契約法等の複数の改正された法律を、一言で「働き方改革関連法」と呼んでいます。

残業代の上限規制についてですが、現行の労働基準法が規定している労働時間は、18時間、週40時間となっており、この時間を超えて労働者を働かせるためには、いわゆる36協定を労使間で締結する必要があります。

36協定を締結した場合は時間外労働が可能になりますが、今回、時間外労働について以下の上限規制が設けられました。

・月45時間、年360時間まで

・臨時的な特別な場合があっても、年720時間、単月100時間未満(休日労働含む)、複数月平均80時間(休日労働含む)まで

従来までは、厚生労働省が時間外労働の限度に関する基準の告示を出してはいましたが、今回その基準が法律に格上げされ、罰則による強制力を持たせることになりました。

これにより、行き過ぎた時間外労働に歯止めをかけることが期待されています。

もっとも、①1ヶ月100時間の時間外労働又は②2ヶ月~6ヶ月の間に1ヶ月80時間を超える時間外労働については、健康障害リスクが高まるという基準(いわゆる過労死ライン)があり(基発第1063号・https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/rousai/dl/040325-11a.pdf)、今回規制された上限はこの基準に近いものになっています。

そのため、この上限規制の範囲内であっても、健康障害リスクは皆無とはいえず、果たして今回の上限規制が十分な基準と言えるかどうかは正直難しいところだと思います。

また、長時間労働の是正のために、今回新しく年次有給休暇の強制付与制度も設けられました。これは、10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、そのうち5日について、毎年、使用者は時季を指定して与えなければならないとされました。 

この制度の対応策として、今まで会社が任意に定めている夏季休暇や冬季休暇を所定休日とするのではなく、これらの休暇を有給休暇として取り扱うことで、この年次有給休暇の強制付与制度をしのごうとする会社もあると予想されます。

このような有給休暇の入れ替え行為は、現時点でも会社が労働者に無断で進めてしまうこともあると思いますが、このような行為は年次有給休暇の計画的付与(労基法第39条第6項)に当たるので、労使協定が必要になりますので注意が必要です。

「働き方改革関連法」の成立の背景には、労働人口の減少、長時間労働、少子高齢化等の様々な問題があり、問題の種類によっては解決法が相矛盾するものもあるので(ex.労働人口の減少と長時間労働)、これらを一挙に解決することは簡単ではありません。

また、何をしようとしても抵抗勢力が出てきますので、抜本的な解決は難しいところです(人間自分が一番なので、内容によっては私も抵抗勢力側につくことになるかもしれません)。

今後「働き方改革関連法」の柱である同一労働同一賃金制度や高度プロフェッショナル制度についても、検討していきたいと思います。

今年の41日から、労働契約法第18条に規定されている無期転換ルールが開始されました。
まだ始まったばかりなので、実際に無期転換の申込みがどの程度行われているのか、使用者と労働者との間で何らかの問題が生じている等の報告やデータは集まっていませんが、今後使用者と労働者との間で生じるおそれのある問題を挙げていきます。

①業務形態の偽装

有期雇用契約から無期雇用契約に転換できるいわゆる「無期転換申込権」は、労働者側にイニシアチブがあるので、無期転換申込権の行使を防ぎたいと考えている使用者がいるかもしれません。
無期転換申込権は、有期労働契約が通算5年間を超えた場合に発生しますが、「同一の使用者との間で締結された二以上の有期労働契約」であることが前提なので、無期転換申込権が発生しないように、間に派遣会社を入れて派遣契約にシフトすることや、請負契約にチェンジすることが考えられます。

すなわち、派遣契約にすれば、使用者は派遣会社になるので、「同一の使用者」との間で有期労働契約を締結していることにはならず、この場合には形式的には無期転換申込権は発生しないようにも思えます。
しかし、そもそも派遣契約では特定目的行為(派遣労働者を特定する行為)は禁止されているところですが(労働者派遣法第26条第6項)、形式的に使用者を変えるだけの行為を行ったとしても、結局通算契約期間の計算上の「同一の使用者」とみなされることになると解されます。
(厚生労働省・平成24810日付基発08102号「労働契約法の施行について」では、このような行為は「法を潜脱するもの」であると指摘しています。http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002hc65-att/2r9852000002hc8t.pdf)

また、仮に請負契約にチェンジしたとしても、「労働者性」の有無は、あくまでも実質的に判断されますので、実態としては労働契約であるとして、「同一の使用者」との間で有期労働契約があったとみなされることになるでしょう。

②無期転換申込権の不行使条項

無期転換申込権の行使を防ぐために、有期労働契約に無期転換申込権の不行使を定めることや、無期転換申込権の不行使を契約更新の条件にして更新することが考えられます。

労働者が同意をしているのだから許されるのではないか、というわけにはいかず、雇止めを恐れる労働者の足元を見て得られた同意であり、実質は使用者が無期転換申込権の放棄を強要しているに過ぎないと裁判所にみなされる可能性があります。

このような行為は、結局労働契約法第18条の脱法行為であり、無期転換申込権の不行使条項や、更新の条件である無期転換申込権の不行使条件は、公序良俗に反して無効になると解されます。

③無期労働契約の労働条件の低下

労働者が無期転換申込権を行使すると、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)になるに過ぎず、その他の労働条件は従前と同一となります。

もっとも、期間の定め以外の労働条件を変更することは可能であり、労働契約法第18条も「別段の定め」があれば可能であると明記しております。この「別段の定め」は、就業規則や労働協約、個別の労働契約が該当します。

この部分を利用して、事実上無期転換申込権の行使を防ぐために、例えば無期転換行使後に適用される就業規則が、従前適用されていた就業規則の労働条件から著しく低下するような内容にすることが考えられます。

結局そのような就業規則は、労働契約法第18条で無期転換申込権を定めた趣旨を没却するものとして、就業規則に要求されている合理性を満たさず(労働契約法第7条)、当該就業規則の適用がなされないと考えられます(それ以外の既に規定されている就業規則のほうが適用される)。

無期転換ルールが開始された今、なんとか無期転換申込権の行使を防ぎたいと考えている方がいるかもしれませんが、立法経緯からすると現状では難しいと思います。
無期転換ルールについては、上記の想定される問題や、その他の問題が生じる可能性があり、今後もその動向に注目していきたいと思います。

今月の初めに、中国の宇宙ステーション「天宮1」が制御不能になり、宇宙空間から地球上に墜落するというニュースがありました。
このニュースを見て私なんかは、落下してくる破片にあたらないかと内心ちょっとビクビクしていましたが、後に確認すると、落下した破片によって人の体に危害が及ぶおそれは1兆分の1という非常に少ない確率だそうで、さらに自分自身に危害が及ぶ可能性はもはや天文学的な確率です(宝くじが当たる想像をしたほうが余程現実的です)。

今回のように宇宙空間に打ち上げた物体が地球上に落下した場合に、仮に人の身体や財産(建物、自動車等)に危害ないし損傷を加えてしまった場合の責任問題はどう処理されるのでしょうか。

実は、この責任問題の処理については、「宇宙物体により引き起こされる損害についての国際責任に関する条約」(宇宙損害責任条約)に規定されており、同条約第2条は以下のとおり物体を打ち上げた国の無過失責任を定めています。
A launching State shall be absolutely liable to pay compensation for damage caused by its space object on the surface of the earth or to aircraft flight.
(打上げ国は、自国の宇宙物体が地表において引き起こした損害、又は飛行中の航空機に与えた損害につき無過失責任を負う。)

今回「天宮1」を打ち上げた国は中国ですが、中国も宇宙損害責任条約を批准していますので、「天宮1」が仮に日本のどこかに落下して損害を引き起こしたとすれば、中国が国として無過失責任を負うことになります。

なお、最近は民間のロケット打上げがホットな話題ですが、宇宙損害責任条約における「打上げ国」(launching State)は、「宇宙物体を打上げ、又は行わせる国」(A State which launches or procures the launching of a space object)(第1条(c)(ⅰ))と定義していますので、たとえ民間が打ち上げた物体が落下して損害を引き起こした場合であっても、打上げを行わせた国が無過失責任を負うことになります。

宇宙からの落下物としては、今回の「天宮1」のような人工物は稀で、多くは隕石が考えられます。隕石が地表に落下したとして、この隕石が誰のものになるのかは、落下地点の国内法の規定に従うことになります。
隕石が落下した地点が日本だとすると、隕石は所有者のない動産として、最初に所有の意思をもって拾った人が所有権を取得することになります(民法第239条第1項)。仮に隕石が地面にめり込んだ場合には、土地に付合したとして土地の所有者のものになります(民法第242条)。

隕石はオークションにかけられることが多く、中には何百万円もの高値をつけるものもあり、石ころ程度の大きさでも何十万になるものもあります。
隕石のオークションサイトを覗いてみると、かなり高額で取引されていることが分かります(月や火星からの隕石は高額です)。

結局隕石かどうかは専門家ないし研究機関でないと判別できませんが、高値がつくかもしれませんので、地面に隕石っぽいもの(?)が落ちていたら、とりあえず拾っておいて、所有権を取得しておいたほうが良さそうですね。

 

ご存知のとおり労働基準法では、労働時間の限度を規律する法定労働時間(18時間、週40時間)が規定されており、この法定労働時間を超えて労働者に労働させるためには、時間外労働(及び休日労働)に関する協定(いわゆる三六協定)を使用者と労働者との間で締結しなければなりません(労基法第36条第1項)。

この点、いわゆる法内残業(会社が定めた所定労働時間を超えてはいるが、法定労働時間内で行われた残業)であれば、三六協定の締結は必要ありません。
三六協定を締結し労働者に残業をさせた場合には、使用者は残業代(割増賃金含む。)を支払わなければなりません(上記の法内残業であれば、時間分の賃金だけで割増賃金の支払いは不要です)。
その計算方法は次のとおりです。

・時間外労働の時間×1時間あたりの賃金(月給÷1ヶ月あたりの平均所定労働時間)×1.25

※さらに、1ヶ月の時間外労働が60時間を超えた場合には、その超える部分の時間については、1.5倍の割増賃金になります。ただし、中小企業については猶予措置が定められていますが、平成313月末日までの見込みです(「労働基準法等の一部を改正する法律案要綱」の答申(平成2732日))。
従業員の労働時間管理は、タイムカードやICカード等の客観的な記録を基礎として行わなければならず、自己申告制を行う場合には適切な措置を講じなければなりません(詳細は「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(厚生労働省労働基準局監督課平成29120日策定)参照 https://www.startuproudou.mhlw.go.jp/pdf/guidelines.pdf)

時間外労働の計算は客観的な記録を基礎として1分単位で行わなければならず、実務上(労基署対応上)、始業開始の何分か前は労働時間に算入しないことがありますが、これは労基署のいわばお目こぼしであり、やはり原則としては1分単位で計算する必要があります。

ちなみに、深夜労働(午後10時~午前5時)を労働者が行った場合には、深夜労働の割増賃金として、次のとおり加算されます(さらに法定労働時間外であれば、合計の割増率は1.5倍になります。)

・深夜労働の時間数×1時間あたりの賃金×0.25

次に、休日労働を労働者が行った場合は、1.35倍の割増率・・・かといったら必ずしもそうではありません。
労基法が定める週1日の「法定休日」に行われた労働と、それ以外に就業規則や労働契約で定められた週の休日である「法定外休日」に行われた労働とを区別しなければなりません。

すなわち、「法定休日」の労働については、次のとおり使用者には割増賃金を支払うことが義務づけられています(労働基準法第三十七条第一項の時間外及び休日の割増賃金に係る率の最低限度を定める政令)。

・法定休日労働の時間数×1時間あたりの賃金×1.35
(さらに深夜労働(割増率0.25)があれば、合計の割増率は1.6倍になります。)

一方で、「法定外休日」に行われた労働に関する賃金ついては、特に法律は規定していませんので、仮にその休日労働が時間外労働であれば1.25倍の割増賃金を支払わなければなりませんが、特に時間外労働にあたらなければその賃金は労働契約・就業規則の定めによって決まることになります。

「法定休日」に行われた労働と「法定外休日」に行われた労働とを区別せず、休日労働に対しては必ず1.35倍の割増賃金を支払う(貰える)と考えている方もいらっしゃるかと思いますが以上のとおり注意が必要です。

残業代の計算は、従業員数が多くなればなるほど大変な計算になり、また2年間の消滅時効にかかるとはいえ(労基法第115条)、6%の遅延損害金も加算されるので放置しておくとかなりの金額になるので気を付けなければなりません。なお、残業代は退職者に対しても支払う必要があり、退職者に対しては、退職後から14.6%の遅延損害金(賃金の支払の確保等に関する法律第6条第1項)が発生することになりますので注意する必要があります。

最近では労働者の意識も変わり、残業代もきっちり貰うという流れになってきており、金額が大きくなりがちな残業代の精算は、使用者にとっては頭の痛い問題ですね。
今では社会的にも「残業を前提としない働き方」が求められていますので、私自身も頑張りたいと思います(ちなみに弊事務所では専門型裁量労働制が導入されており、深夜・休日労働を除き残業代は発生しないので、私にとって「残業を前提としない働き方」は切迫した課題です)。

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