カテゴリ:投稿者別 >   弁護士 馬場 悠輔

家を購入する場合は、一軒家にするかマンションにするか、という論争がありますが、こと建替えの「自由度」に関しては一軒家に軍配が上がります。

 

家が老朽化して建替えをしようと思ったとき、一軒家であれば法的には所有者の意思で自由に決められます(家族や親族の様々な意見はあるでしょうが)。

マンションでも、区分所有者全員の同意があれば建替えは可能ですが、通常マンションは何十戸、今流行りのタワーマンションであれば100戸を超える戸数を有しており、区分所有者一人一人の思惑があるため、一致した意思形成を行うことは非常に困難です。

 

それではマンションの建替えをするにはどうすればいいのかというと、マンションの集会で「区分所有者及び議決権の各5分の4以上」の多数の賛成を得ることにより建替えの決議をすることができます(区分所有法62条)。マンションの議決権というのは、各区分所有者の専有部分の割合で決まり(同法38条)、専有面積が大きければそれだけ議決権を多く持っていることになります。

しかし、一般に単に集会を開催するための定足数(マンション標準管理規約に則り半数以上としていることが多いです。)を充たすことすら難しいという傾向がある中で、この「区分所有者及び議決権の5分の4以上の多数の賛成」を得ることは相当に難しいことが分かります。

当然ですが人は重大な決断をすることを嫌いますから、建替えという大きな決断をしたがらない人が多数出てしまうことは想像に難くありません。

その上、もし「建替えに一戸数千万円の負担金が必要です。」と言われてしまったら、もはや建替えの「5分の4以上の多数の賛成」を得ることはほとんど不可能になってきます。

 

もし賛成を得たければ「餌」が必要で、例えば負担金はゼロで、建替えて新築に住めますよ、という話が出れば乗ってくる人がいそうです。負担金をゼロにするためには企業の力が必要で、デベロッパーと契約(等価交換契約)をすることで、これが実現するケースもあります。この契約は、従前のマンションの権利と、再建マンションの権利との交換を行うもので、一旦土地の権利はデベロッパーに移り、マンションが再建されたときに、再び各区分所有者に割り当てられるというものです。デベロッパーは、今よりも大きいマンションを建設し、割り当てた後、残りの部屋を売却して利益を得ます。いわば余剰の容積率をお金に換えるというものです。

しかし、当然ながら余った容積率がなければならず、また容積率が余っていたとしても、デベロッパーのほうで売却が難しいと判断されてしまったら実現はできません。

ちなみに、近年マンションの建替え等の円滑化に関する法律が改正され、特定行政庁から耐震性不足の認定がされれば、容積率制限の緩和というボーナスが得られる場合があります。

 

借家人がいる場合の問題や抵当権の問題(建替えをしたら抹消される)等もありますが(これらについては上記円滑化法によって一定の手当てがなされている)、以上のように、まず「5分の4以上の多数の賛成」を得ること自体が非常に困難です。

デベロッパーがつきやすい都心の好立地のマンションを除けば、マンションの建替えをするには相当のハードルがあることが分かります。

 

それでは、立法も行政も、マンションの建替えを円滑化する方向(デベロッパーとの協同を円滑に行う方向)にいけば良いのかといったら、近い将来の空き家問題(住宅の3分の1以上が空き家になるという問題)を考えると、建替えを円滑化して単純にマンションの戸数を増やすことは必ずしも良いとは限りません。

 

この問題は、マンションを売りたい建設業界、住宅ローンで利益を得たい金融業界の思惑もあり、場合によっては政治的な部分も大きいですが、重要な社会問題であるため、今後もこの問題の動向に注目しなければなりません。

法律事務所に勤務する弁護士には縁のないものですが、いわゆる企業内弁護士として働いている同期の弁護士の中に、勤め先の会社の社宅に住んでいるという話を聞きました。
都内にありながら、使用料として23万円支払えばその他の費用はかからないと聞き、非常に羨ましく思いました。
住宅手当は自由な転居が可能となるメリットはありますが、給与の一部になるとして課税の問題があり、その点社宅の場合はその意味での課税の問題はないようです。

さてこの社宅ですが、会社が倒産した時や、会社を解雇又は退職したときは、今まで社宅に住んでいた従業員はどうなるのでしょうか。有無を言わさず社宅から立ち退きをしなければならないのでしょうか。賃貸住宅に住んでいる場合には、借地借家法という借主にとって非常に強い味方がついているわけですが、社宅の場合にもこの借地借家法が適用されるのかが問題になってきます。

借地借家法の適用があれば、新しい家主に対して、自分の賃借権を主張できますし(法311項)、家主(会社)から解約されても「正当の事由」(法28条)がなければ立ち退く必要もありません。

社宅の利用に借地借家法の適用があるかどうかは、社宅の使用料が決め手になってきます。

社宅の使用料を全く支払っていなければ、それは無償で貸し渡したということですので、使用貸借(民法593条)になります。使用貸借であれば、借地借家法の適用はないので、最初の取り決め(契約)のとおりに社宅を明け渡さなければなりません。

社宅の使用料を支払っているのであれば、話は変わってきます。一般の家賃とは比較にならないほどの安い使用料(維持費にも満たないもの)であれば、その使用料は家賃としては扱われず、賃貸借関係にないとして借地借家法の適用はありません(最高裁判決昭和30513日・判タ5021頁参照)

逆に、通常の相場に比べて、それほど安いとはいえない使用料であれば、賃貸借関係があるとして借地借家法の適用があるとされる場合があります。

そのため、会社としては、従業員から社宅の明渡しを求める際のリスク(借地借家法を盾に、明渡しを拒まれるリスク)を考えた上で、使用料の設定をする必要があります。

同期の話では、社宅は確かに安いが、居住者が皆会社の関係者であることや、家主が会社であることから騒音等のトラブルがあっても文句を言いにくいという不満があるらしく、家賃が多少高くついても住宅手当を貰って好きな場所に住みたい、いうことでした。
社宅も住宅手当も、私にとっては羨ましい話ですが、そういえば修習時代に知り合った裁判官も、騒音トラブルで官舎から出て自分の好きな所に家を借りていましたね。

最近すこしずつ暖かくなってきましたが、寒くなる日もあるので、体温調整にはお気を付けください。

ここ数ヶ月前から、弊事務所の隣のビルの解体工事を行っているようで、時々耳を塞ぎたくなるほどの激しい騒音がします。

もうしばらくは、この騒音と付き合わなければならないことを考えると、思わずため息が出ます。

 

騒音は、いわゆる典型7公害に数えられるものですが(他は大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、進藤、地盤沈下及び悪臭。環境基本法23項参照。)、今回のようなビルの解体工事の場合等、ビルの周辺住民・勤務者くらいしか被害者がいないものでもあっても(航空機の騒音は何千何万人もの人々が被害者となります。)、公害として法的救済が求められることに争いはないでしょう。

 

さて、騒音に対して日々悩まされている弊事務所は、どのような救済を求められるのかが問題になってきます。

騒音に対する救済は、大きく分けて行政的な救済(公法上の規制)と私法上の救済の2つがあります。

まず行政的な救済(公法上の規制)について検討すると、建築工事の騒音は、騒音規制法によって規制されておりますが、建築工事のうち、くい打機やブルドーザーの使用等、著しい騒音を発生する「特定建設作業」のみ規制しています。もっとも、条例で規制できる作業を追加することが可能で、東京都はコンクリートカッターを使用する作業や一定の方法による解体・破壊作業も規制しています。

建築工事の際に、騒音基準(85デシベル以下等)に適合しない等した場合には、解体業者に対して、知事ないし市町村長から是正勧告をすることができ、それに従わない場合には騒音防止方法の改善・作業時間の変更についての命令を行うことができます(騒音規制法15条)。

ただし、残念ながら、改善勧告が行われることは少なく、改善命令に至っては実務上ほとんどないため、仮に騒音基準に適合していない場合であっても、この救済は難しいでしょう。

 

私法上の救済については、精神的肉体的苦痛を根拠に、人格権等の侵害があるとして、不法行為(民法709条)に基づく慰謝料請求を検討するのでしょうか。しかし、受忍限度論というものがあり、これは騒音行為の態様や程度、被害内容、地域性等から考えて、この程度の騒音は我慢しましょうという裁判上の議論があります。

この受忍限度論を考えると、本件の騒音は毎日あるものではなく(これを書いている今日はなぜか静かです。)、日々ビルの建築・解体が行われている地域性等からすれば、今回の騒音は受忍限度の範囲内(我々が我慢しなければならない限度内)という判断になりそうです。

 

やはり、本件の騒音とはしばらく我慢して付き合っていかなければならないようです。

 

ところで、音の大きさが何デシベルであるかどうかは、かつては騒音計がなければ分からなかったのですが、最近はスマートフォンのアプリで音の大きさを測れるアプリがあるようです。精度は分からないですが、騒音基準以内かどうかの参考にはなるのではないでしょうか。

最近は、裁判の証拠にLINEが出てきたりするので、何でもかんでもスマートフォンアプリで裁判の証拠を提出する時代が来るかもしれませんね。

 

最近「逃げるは恥だが役に立つ」(主演:新垣結衣、星野源)というテレビドラマに出てくる恋ダンスという踊りが流行っていると聞きました。恋ダンスは、主演の星野源さんが歌う主題歌「恋」に合わせて、ドラマの出演者が踊っているもので、そのダンスを一般の方だけでなく出演者以外の芸能人やスポーツ選手なども踊り、各々その動画をネットにアップロードしているようです。

 

さて、恋ダンスを踊り、その動画をネットにアップロードしたりする等して無断で公表することは許されるのか、ということについて考えたいと思います。

 

まず、恋ダンスのBGMの「恋」という曲は、著作物として著作権法上の保護を受けます(1011号、同2号)。

次に、恋ダンスの振り付け部分は、「舞踏」(1013号)に該当して著作物といえるかどうかが問題になります。ダンスの振り付けは全て著作権法上の「舞踏」に当たるかというとそうでもなく、特徴の無い簡単な振り付けであれば著作物性が否定されます。例えば、映画「Shall we ダンス?」(主演:役所広司、草刈民代)に出てくる社交ダンスの振り付けの著作物性が問題になった裁判では、ダンスの振り付けに著作物性が認められるためには「顕著な特徴を有するといった独創性」が必要であるとされています(判決では、映画の社交ダンスの振り付け部分について著作物性は否定されました)。

 

恋ダンスを見ると、ロボットみたいな動きや細かい指の動きなど、なかなか他に見たことがない振り付けですので、おそらく独創性があり、「舞踏」(1013号)に該当するとして著作権法上の保護を受けるものと思われます。

 

そうすると、恋ダンスを踊って、公衆に見せることを目的として無断でその動画をネットにアップロードすることは、原則として著作権法上の公衆送信権(23条)の侵害に当たります(なお、例えば恋ダンスを家の中で特定の数人に見せるために

踊るのであれば、公衆送信権や上演権(22条)の侵害には当たりません)。

そのため、恋ダンスを踊って、公衆に見せることを目的として無断でその動画をネットにアップロードすることは、権利者の許可を受ける必要があります。

 

著作権の帰属先は契約内容によることになりますが、特に契約で規定していない場合は、原則として著作物を作成した著作者に帰属します(ただし、職務著作の場合には会社や法人に帰属します。)。

この点について、恋ダンスの楽曲使用部分については、星野源さん所属のレコード会社が、「すでに多くの皆様が“恋ダンス”を楽しんでいらっしゃる現状を考慮のうえ、CD配信で購入いただいた音源を使用し、ドラマエンディングと同様の90秒程度の“恋ダンス”動画をドラマ放送期間中にYouTubeに公開することに対し、弊社から動画削除の手続きをすることはございません。但し、この音源を使った動画を営利目的に利用する等、その利用方法が不適切であると判断したものに関しては、予告なく削除手続きを行う可能性もございますので予めご了承ください。」(http://www.jvcmusic.co.jp/

-/Information/A023121.html?article=news132#news132と発表しており、また、ダンス部分について、振り付けを行ったMIKIKO氏(Perfumeの振り付けも行っている方。)も同じ考えであるそうです。

 

この条件を守って動画をYouTubeで公表するのであれば少なくとも動画削除の手続きはされないことになりますが、あくまでも「動画削除の手続き」をしないと述べただけなので、許可をしたのかどうか明確にして欲しかったところです。法律家としては、結局著作権法上はどうなったの?という疑問が拭えません。

 

ちなみに、著作者には著作者人格権として同一性保持権(20条)という、勝手に著作物を改変されない権利を持っています。そのため、恋ダンスとは違った振り付けのダンスを踊って、これを恋ダンスです、とは言えないということになりますので、恋ダンスを踊るのならば、キチンと踊りましょう。

最近、東京・後楽園にある宇宙ミュージアムというものに行ってきました。

そこでは、宇宙の歴史を映像で楽しめるようなプロジェクションマッピングや、まるで宇宙空間にいるような体感型の映像等があり、非日常を味わうことができて楽しめました。

ある部屋では、プロジェクターで地面に月の表面の映像が投影されており、あたかも月の上を歩いているような感覚にさせてくれます。「月」の上を歩くと、歩いた場所に足跡(の映像)がついていくという遊び心もあります。宇宙自分診断(?)というものもあり、複数の項目に答えていくと、その人がどの宇宙人の性格であるかが分かるという不思議なゲームもありました(ちなみに私は火星人でした)。

 

常に地球を周っている国際宇宙ステーションは、わずか90分で地球を1周しているそうです(国際宇宙ステーションから撮影された迫力ある地球の映像もありました。)。

国際宇宙ステーションは、日本、アメリカ、ロシア、カナダ及び欧州が参加し、その中には多様な国籍の宇宙飛行士が滞在しています。多国籍の人々が狭い空間にいるわけですから、当然クルーの間で揉め事が起きた場合の手当て(法律等)が必要になってきます。もし宇宙飛行士の間で刑事事件が起きた場合には、どのように取り扱うのでしょうか。

 

まず、日本の刑法の適用場面で主なものを整理すると、①日本国内で起きた犯罪は日本の刑法が適用される、②日本国外にある日本の船舶や飛行機の中で起きた犯罪についても日本の刑法が適用される(日本籍の飛行機のハイジャック犯は、飛行機がどこにあっても日本の刑法が適用されます。)、③日本国外において日本の公文書や通貨を偽造した場合等(公文書偽造罪、通貨偽造罪)は日本の刑法が適用される、④日本国外で日本人が殺人や傷害の被害者になった場合は日本の刑法が適用される、というものになっています。

③や④の場合には、日本の刑法が適用されますが、外国にいる被疑者をどうやって逮捕・起訴までもっていくかという問題があります。外国にいる被疑者を自国に引き渡すことを請求できる、いわゆる犯罪人引渡し条約は、我が国はアメリカと韓国としか締結していません。そのため、締結していない国にいる被疑者を日本の刑法で裁くことは実際には困難です。

 

さて、国際宇宙ステーションについての揉め事については、日本、アメリカ、ロシア、カナダ及び欧州の参加国が、「国際宇宙基地協力協定」という条約を締結しており、この協定で対応することになります。

この協定では刑事事件に関する規定もあり、国際宇宙ステーションで犯罪行為が行われた場合は、ステーションのどの区画で犯罪があったかどうかは関係なく、被疑者である宇宙飛行士の国の法律で裁かれることが原則となっています(協定221項)。そのため、A国の宇宙飛行士がB国の宇宙飛行士に傷害行為等を加えた場合には、A国の法律で裁かれることになります。

被疑者になったA国の宇宙飛行士を、スペースシャトル等が乗せてA国にたどり着けば話は早いと思うのですが、B国にたどり着いたときに、先に述べた犯罪人引渡し条約をAB国間で締結していない場合はどうなるのでしょうか。もっとも、この場合には協定で手当がされており、この協定を犯罪引き渡しの条約の根拠とすることができるとされています(協定223項)。

地球への帰還予定が狂い、国際宇宙ステーションに未参加の国に到着してしまった場合は、引き渡しについて協定を根拠とすることができないので、国家間の交渉ということになるでしょう(昔の連合赤軍の引き渡しのように)。

 

宇宙飛行士は数多くの困難な試験を通過してきた超人的な方達なので、犯罪行為は想像できませんが、万が一何かあってからでは遅いので、協定で規定しているようです。

実際の刑事裁判を考えると、捜査にあたり、実況見分(警察がやる現場検証)ができないですし、引き当たり捜査(実際の現場に被疑者も立ち会って行われる現場検証)で犯行の再現をすることもできません。犯行は無重力下で行われるので、犯行再現はCGやワイヤーアクションを使って行うのでしょうか。

宇宙飛行士の国際宇宙ステーションでの犯罪は考えたくないですが(考えるのも失礼な話ですが)、刑事裁判の証拠の観点からすると興味深いものがあります。

 


 

最近では、本屋に行くと「フィンテック」という文字の書かれている書籍が平積みになっているのをよく見かけます。すぐに頭に入ってこない言葉ですが、金融(finance)と技術(technology)を組み合わせた造語だそうです。フィンテックは、スマートフォンによる出入金の決済や、人工知能等を使った金融サービス、金融システムを指すものです。

このフィンテック発展には、リーマンショックが契機となっていると言われています。リーマンショックでは、多くの投資家が資産を失いました。これらの投資家は人間が主導して行う投資や金融に疑問を持ち、もっと信頼性のある新しい技術を作ろうと考え、このフィンテックの発展が進んだと言われています。

 

フィンテックの発展により、人工知能を使った資産運用や、スマートフォンを使った決済手続、顧客のデータ分析を駆使した融資等が実現し、確実に技術が進歩していっています。このフィンテックによる産物の一つに、ユニバーサルクレジットカードというものがあります。何枚何十枚もの、クレジットカードやポイントカードを一つにまとめたカードで、その一枚で全てのカードをまかなえるものです。まだ開始されたばかりのサービスで、日本ではまだ普及していませんが、早く使用できる日が待ち遠しいです。最近は多数のポイントカードがあり、コンビニ、カフェ、百貨店等に行くとポイントカードを求められることが多くげんなりします。ポイントカードを用意する手間や、どのポイントカードを出せばいいのか不明であったりするので(無い場合には、「無いです。」と言う手間)、このポイントカードに関するやりとりが省けるのは大きなメリットです。ポイントカードに関する手間や時間は社会的損失だと思いますので、有無を言わさず一枚のカードを出すことによりすべてが解決するのは魅力的です。個人の認証システムが進めば、カードを出す必要もなくなるかもしれません。

 

その他のフィンテックによる技術革新には、ビッグデータの活用があり、自動車の走行データに運用されています。これは、自動車に搭載された機器によって、運転手がどのように走行しているのか(急発進及び急ブレーキの有無、急ハンドルの有無、走行速度、アイドリングの時間等)のデータを収集して点数化します。このデータは自動車保険の保険料の算定等に用いられます。例えば、急発進・急ブレーキ等が多い人は、事故が発生しやすいタイプとみなされ保険料が高くなるというものです。さらに、そのビッグデータと人工知能の活用により、その人(運転手)の運転技術から性格まで分析し、さらに保険料を調整していくことにもなりそうです。分析結果次第では、保険契約書の内容自体も変えることがあるかもしれません。

 

このビッグデータと人工知能の活用については、弁護士も他人事ではいられません。弁護士の勝訴率や訴訟数、訴訟の進め方、苦手な相手方弁護士の種類、業界での地位等の情報も収集されてしまいます。これらの情報を人工知能に分析された場合には、その弁護士の性格や能力等も詳らかになってしまいそうです。そうなってくると、弁護士の報酬や保険料にも関わってきそうで、非常に恐ろしい話になってきます。

 

今では企業が従業員を雇う際に、その従業員の名前を検索エンジンで検索したり、SNSで情報を集めたりするそうですが、ビッグデータと人工知能による分析という概念は、個人情報の収集を益々加速させそうです。便利な反面、怖い面があります。最近ではグーグル検索で逮捕歴の削除を求める裁判がありましたが、忘れられる権利がそこまで重視されていない現在では、なるべくマイナスの情報が載らないように、慎ましく生活するのがベターです。

 

今はマイナスの情報をいかに残さないようにするかという話ですが、将来様々な場所でビッグデータの活用が加速すると、逆に、クレジットカードのように若いうちに作らずに高齢になってから作ろうとすると信用情報が無いということで不利になるように、様々なシーンにおいて、その人の情報がデータに無いほうが不利になる日が来そうです。そうなると、自分のあらゆる(良い)情報を、自分がお金を払って(!)データバンクに提供するときが来るかも知れません。

 

技術革新はメリットもあればデメリットもありますが、非常に楽しみでもあります。できれば上手く技術を利用し、技術の進歩の波に乗って、一緒に成長したいですね。

本日(平成28107日)、東京・銀座の中央通りで、リオ五輪とパラリンピックのメダリストによるパレードが行われました。
パレードの場所が事務所から近いので、私(弁護士馬場)も馳せ参じました。

体操の白井選手、日本バドミントン界初の金メダリストの髙橋選手・松友選手、男子柔道の羽賀選手や原沢選手、また女子柔道の田知本選手、シンクロの乾選手等を拝見することができました。

 

沿道に集まった人々からは「ありがとう!」という声が多数聞こえました。「おめでとう」ではなく、「ありがとう」という言葉が多いのは、日本を背負って競技に臨む五輪・パラリンピックならではかと思います。
 

日本の代表選手として競技に臨み、かつメダルを獲得するというのは並大抵のことではないと、改めて感じました。彼らの堂々とした佇まいを見て、さすがメダリストだと感嘆するとともに、翻って自分のことを考えると身が引き締まる思いです。

五輪・パラリンピックの選手の方々ありがとうございます! 

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笑顔で金メダルを見せびらかす白井選手(体操・男子団体:金メダル)と山室選手(同左:金メダル)!お二人は終始笑顔でした。


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日本バドミントン界初の金メダリストの髙橋選手(バドミントン・女子ダブルス:金メダル)・松友選手(同左:金メダル)、右側が奥原選手(バドミントン・女子シングルス:銅メダル)。
落ち着いており、笑顔で手を振り返してくれました!


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ビルから見る人々にも上を向いて笑顔を振りまいていました!
中牧選手(シンクロナイズドスイミング・チーム:銅メダル)、乾選手(同左、デュエット:銅メダル)小俣選手(シンクロナイズドスイミング・チーム:銅メダル)。


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男子柔道メンバーは皆さんすごい体格で、ひときわ目立っていました。
左から原沢選手(男子100kg超級:銀メダル)、永瀬選手(男子81kg級:銅メダル)、大野選手(男子73kg級:金メダル)、羽賀選手(男子100kg級:銅メダル)、海老沼選手(男子66kg級:銅メダル)

京都大学の山中伸弥教授が、再生医療に使うために備蓄している人工多能性幹細胞(iPS細胞)について、その安全性の確認に人工知能(AIを取り入れるという構想を明らかにしています(琉球新報 http://ryukyushimpo.jp/kyodo/entry-324115.html)。

近年ではiPS細胞から網膜の細胞を作製して目に移植することで、網膜の病気の進行を抑えることに成功しており、iPS細胞によって再生医療の進化が加速しています。それに伴い安全性の評価方法も工夫が必要になってくるようです。

山中教授は「膨大なゲノムデータの解析を、見落としなく、客観的に安全性を評価するのにAIを使いたい。」と述べています。

安全性の評価方法には様々あると思いますが、安全性チェックのために精巧を極めた機械を導入しても、それを使用する人間が誤入力や確認違い等のヒューマンエラーをしてしまうことは避けられないことです。そのため、原子力発電所等のような特に安全性が要求される施設の機械には、あらかじめ人間の特性(能力と限界等)を踏まえ、ヒューマンエラーが生じることを織り込んでおり、余裕のある設計になっているようです(明らかな誤入力には反応しない、事態が生じる前に予測して警報を鳴らす等)。

さて、iPS細胞の安全性等の医療現場にAIを導入するほか、人の生命・身体に関わるAIの運用(自動車の状況判断機能、自動運転等)によって生じる法的問題としては、事故が生じた際に誰が責任を負うのか、というものがあります。

機械とAIとの大きな違いは、AIの場合は自分で学習して変化していくという点にあると思われます。AI自体(デフォルト)に問題があって事故が生じれば、機械の場合と同様に製作したメーカーに責任を追及することや、AIを操作する人間がミスをすれば、操作した人間に対して責任を追及することが考えられます。

それでは、AIが自律的に行動した結果、事故が生じてしまった場合には、誰にどのように責任を追及すればいいのでしょうか。

AIは学習していくことが前提ですから、例えばiPS細胞についてのAIは、医療現場の統計やノウハウもどんどん吸収して変容していくことになるので、もはやAIの製造者の手を離れているといえます(飼い犬が事件を起こしても、その犬を販売したペットショップの責任を追及できないことと似ていると思います。)。

ちなみに製造物責任法は、製造業者等の無過失責任を定めた法律ですが、同法の定義する製造物は「製造又は加工された動産」なので、プログラムであるAIは製造物には該当せず、同法は適用できないといえます。

AIについての法律が整備されないうちは、一般法である民法の規定によって処理せざるを得ません。例えば民法には動物の占有者責任(民法718条)という規定があります。「動物」の範囲は社会通念によって決まるため、生物学的な分類とは異なります。そこで、AIの自律性に着目して「動物」と見る(類推適用)こともあり得るかと思われます。しかし、自律的に動く細菌やウィルスが「動物」に含まれないにもかかわらず(我妻榮他著「我妻・有泉コンメンタール民法(第3版)」1308頁)、AIのほうは含まれるというのも何だか不思議な気もします。

同条が適用されないとすると、AIが自律的に行動した結果事故が起こった場合に、現行法では請求する相手をどうするかは困難であり、非常に難しい問題です。AIの法整備が整わないと、AIを導入することに企業や研究者が二の足を踏んでしまうので、技術立国を目指すのならば、問題が生じる前に法整備を行うことが望まれます。

ちなみに、アメリカ(運輸省)はAIによる自動車の自動運転について、AIを「運転手」として見る見解を出しています。

AIの自律性が強まり、あたかも人間のように振る舞い始めれば、AIに法的にも人格が認められ人権のような権利が与えられる日が来るかもしれません。なお、AIが人間のように自律的に行動し始めるのが楽しみな反面、AIに権利が与えられてしまい人間の肩身が狭くなることを危惧しています(人権は人間の既得権益です)。

技術革新によって、近い将来に無くなってしまう仕事があるそうです。

その理由には近年のAI(人工知能)の発達、ロボット技術の革新や、デジタルデバイスの進化によるペーパーレス化等が挙げられています。これらの技術が進化すると、今まであった仕事が無くなる、あるいはロボットに取って代わられたりするそうです。

目覚まし時計が無かった時代には人間目覚ましというもの(人)や、昔の映画を観るとよく出てくる電話交換手なども、技術革新によって無くなった仕事といえます。


法曹(裁判官、検察官、弁護士)がAIの発達やデータベースの充実によって、仕事がなくなる又はAIに取って代わられるかというと、そうはならないと思います(少し希望的観測はありますが)。


その理由としては、確かに裁判所は判例を重視し、判例に沿った判決を下すことが多いです。しかし、そもそも事案は様々なので、必ず判例の事案とは違う部分があり、判例がそのまま使えるとは限りません。そのため、弁護士は判例が無ければ文献等を調べて、それでも無ければ独自に論理を組み立てなければなりません。裁判

官や検察官も同じことです。AIやデータベースが充実し進化したとしても、その作業をどこまでできるのか疑問です。

ところで、判例は絶対かというとそうではなくて、何年か又は何十年に一度は判例が変更されます。判例はその時の国民感情や国民意識によって支えられていますが、時代の移り変わりによって、国民の意識は変化していきます。

このような時代の変化による国民意識の変化を考慮して、判例変更を行うという英断をAIが下せるのかも疑問です。下せたとしても、その決断を果たして国民が認めるのかどうかも分かりません。

 

法律には絶対的に正しいという物差しは無いため、裁判所という権威も必要になってきます。AIには権威が認められるのだろうか、また、裁判所には権威の他に人間味もありまして、裁判官が説諭(判決を言い渡す時に、被告人に対して言い聞かせるもの)において、さだまさし氏の「償い」を紹介したことは有名ですが、そのようなこともAIにできるのだろうかというものがあります。

権威の他にこのような人間味があるからこそ、裁判所の判断は支持されているのかとも思います。

 

さらに、大きな問題として、人は人に裁かれるからこそ身を委ねるのであり、AIによって裁かれることに違和感を覚えるのではないでしょうか(たとえ内容が妥当であったとしても)。たとえAIが万能でも、人の上にAIが立つことに対して、人は我慢ならないかもしれません。

 

AIが万能で、人間味もあって、人の上に立つことになっても皆が気にならないようになりましたら、我々は安心してAIに身を委ねることにしましょう。

私は高校生のときから、海外ドラマが好きで、大学生になってからも空いた時間を探してはよく観ていました。
あるとき、自分の好きな海外ドラマ(アメリカ)が放送されなくなり、どういうわけか調べてみると、どうやらドラマの脚本家達がストライキを起こしたためだということが分かりました。
今まで電車等の公共機関のストライキを体験したことの無かった私にとっては、直接ストライキの影響を受けることは(おそらく)初めてでした。
初めての経験だったせいか、しかも遠く離れたアメリカのストライキの影響が、日本にまで及んだことに素直に驚いた記憶があります。労働争議とは何なのか、労働組合とは何なのか、当時考えさせられる契機となりました。

アメリカでは脚本家だけでなく、多くの映画俳優も映画俳優組合という労働組合に加入し、自己の労働者としての権利を主張していました。今ではテレビの俳優やラジオの芸能人の労働組合と合併し、一つの労働組合になっています。その組合の力によって、控え室を用意してもらったり、長時間労働を避けたりしています。その組合に入らないと事実上仕事をすることが困難になるそうです。そのため大物俳優も多数加入しています。
エキストラの人々までも加入し、エキストラとしての最低賃金の保障や保険の適用を受けています。より強い保障を求めるためや、現状を改善するために時にはストライキを起こしていました。
上記の脚本家達も、インターネットやDVDの映像収入の増加に対して、自己の報酬の増額を請求するために労働組合を結成し、ストライキを起こしていました。この脚本家達のストライキはとりわけ大規模なものでしたが、アメリカの人にとっては、ストライキはわりとよく起こる身近な存在らしいです。

ストライキ大国のフランスにおいては、ストライキは日常茶飯事で、電車のストライキは頻繁に起こります。ストライキ情報を知らせるメルマガや、ストライキ情報のアプリ等があるくらいなので、フランス人にとっては朝起きたらその日の天気を確認するよりも、ストライキ情報を確認するほうが優先なのでしょう。
フランスでは現在各地の製油所や原子力発電所でストが行われ、運転の停止や遅延が生じており、さらに労働法改革に反対するストライキが広がり、全土に影響を及ぼしている状態です。

日本では、平成27年6月末における日本の労働組合数は約2万5000組合、組合員数は約988万2000人です(厚生労働省基礎調査)。
労働組合組織率は同じ先進国のアメリカやフランスよりも高いのにもかかわらず、日本では最近はストライキがかなり減少しているらしいです。昔は日本でもストライキが多かったですが、経済・財政状況の変化や、非正規雇用の増加など、要因は様々あり簡単には分析できない状況です。
近年では相鉄線がストライキを起こしてニュースになっていましたが、とはいえ最近ではストライキが減少していることは確かです。
労働法制の改善や労働協議の仕組みが充実してきたことも理由に挙げられるものと思われ、使用者・労働者共に問題意識を共有し妥協点を見出す機会が増えてきています。
職場環境に限らず、常に問題意識を持つ姿勢は見習いたいものだと思います。

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