カテゴリ:投稿者別 >   弁護士 馬場 悠輔

今年は宇宙関連法が制定され、北海道で民間のロケットが発射されるなど、宇宙に関する多くの良いニュースがありましたが、段々と「宇宙ビジネス」が現実味のあるビジネスモデルとして根付いてきたように思います。 

最近は宇宙旅行がクローズアップされていますが、昔から宇宙をブランド化したビジネスモデルがあり、これは人々の「宇宙」に対する先進的な良いイメージを用いることで、「宇宙ブランド」として商品を販売するものです。

例えば、宇宙ブランドの商品の中でも、宇宙飛行士が宇宙空間で実際に食べる「宇宙食」は昔から根強い人気を誇っているようで、割と簡単に手に入るので宇宙食を食べたことのある方も多いのではないのでしょうか。私は、宇宙食の“ショートケーキ”と“プリン”を食べたことがあり、どちらも水分がないのでサクサクとした食感ですが、食べるとショートケーキやプリンの香りがしました。例えるとウエハースみたいにサクサクなので、フォークやスプーンを使う必要がなく、手づかみで食べられます。何とも不思議な味わいでしたが、宇宙では大変貴重なデザートになりますので、実際に宇宙空間で食べるとまた違う感想を持つことでしょう。

最近では、お台場にある日本化学未来館において、国際宇宙ステーション(ISS)で育てられた乳酸菌(通称「宇宙乳酸菌」)入りのグミを見かけましたので、購入して食べてみましたがヨーグルト風味でとても美味しかったです(なんだか体調も良くなった気がします)。

宇宙食だけでなく、宇宙の最新技術を使った日用品として、宇宙飛行士のために開発した消臭機能に優れた機能的な下着も販売されています。また、宇宙服の研究結果を利用して作られた冷却下着があり、これは炎の中で仕事をする消防士や、炎天下で作業をする作業員等のために、その効果が期待されています(JAXA(宇宙航空研究開発機構)新事業促進部http://aerospacebiz.jaxa.jp/success-story/cosmode001/ )。
「宇宙」の技術を使った宇宙ブランド商品は、何だか頼もしく見えますね。

その他の宇宙ビジネスでは、冠婚葬祭ビジネスがあり、宇宙空間に遺骨を散骨するいわゆる“宇宙葬”ビジネスがあります。宇宙先進国のアメリカでは、早くもこのビジネスを行っており、すでに20年前にロケットで24名の遺骨が打ち上げられています。海洋散骨は昔からメジャーですが、この宇宙葬(宇宙散骨)をされる方は今後増えていくことでしょう。
なお、海洋散骨をする際には、墓地埋葬法や刑法(190条。遺骨遺棄罪)の適用が問題となりますが、今のところ法律上完全に合法であることが明確になっているわけではなく(法務省の見解レベル)、もちろん宇宙散骨も法律上明確に規定されておらず、判例があるわけではないので、今後宇宙散骨が増えていくようであれば議論する必要があるでしょう。

他には、宇宙空間での結婚式も10年近く前から受け付けを開始しており、面白い試みがなされております。無重力状態だとドレスのスカート部分が浮いて躍動感が出る等、宇宙空間だと“映える”特別仕様のウエディングドレスがあるそうです。現在でも宇宙ウエディングの料金は億を超えるので、なかなか一般人には手が出せないですが、招待された親戚や友人は、宇宙空間での結婚式の様子を生中継で見ることができるので、是非招待されてみたいですね。

現在では、様々な宇宙ビジネスが実施されてきており、いかに固定観念を覆すかという能力が問われているような気がします。まだまだ宇宙ビジネスはブルーオーシャン(未開拓市場)であり、先に考えた者が勝つというものだと思いますので、皆さんもここは一つ宇宙ビジネスを考えてみてはいかがでしょうか。

引き続き宇宙ビジネスの動向に注目したいと思います。

1022日(日)に衆議院議員選挙・最高裁裁判官国民審査が行われましたが、皆様は投票に行かれましたでしょうか。台風が上陸したせいか、投票率は53.68%で戦後2番目の低さだったそうです(私は台風の中、雨に濡れながらも投票に行きました。自慢できることではありませんが…)。

さて、今回の選挙では、個人的に法律的な部分に着目しており、それは選挙権の年齢が「18歳以上」に引き下げられてから初めて実施される総選挙であるという点です。
平成276月に公職選挙法が改正されて、今まで20歳以上であった選挙年齢が、18歳以上に引き下げられました。

これを受けて、民法の成年の対象年齢の取扱いも18歳への引き下げが議論されていますが、少なくとも裁判員の対象年齢は今までどおり「20歳以上」に維持されています。もっとも、この裁判員の年齢については、賛否両論あるようです。
個人的には、今回18歳以上に選挙権という民主主義の根幹を構成する権利が付与された以上、法的にも18歳以上は主権者として民主主義の担い手になったと考えます。裁判員として評議に加わるということも国政を決めることと重大性は異ならず、裁判員制度も民主主義の実現の一つだと考えれば、18歳以上であっても裁判員になれるようにするべきだと思います。(ちなみにアメリカの選挙権は18歳以上に付与されて、かつ裁判員よりも重責な陪審員になるのも18歳以上からになっています。)

さて、民法の成年の対象年齢の取扱いが18歳へ引下げられた場合、様々な影響があります。
未成年者は、法定代理人(多くは親)の同意なく契約を締結した場合には、その契約を取り消すことができます(民法第5条第1項、第2項)。この取消権は、事情がどうあれ取り消すことができるので、かなり強力な権利です。18歳が自分の締結した契約について責任を負うことになり、消費者トラブルの多い、サラ金、デジタルコンテンツやエステサービス等の契約を取り消すことができなくなります。この点は早い時期から法教育や消費者教育を行っていくしかないでしょう。

また、養育費の支払いを決める際に、今では成年の20歳を基準として、「20歳に達する日の属する月まで」と決めたりしましたが(大学進学を予定し「22歳」の場合もあります。)、今後18歳を基準にする場合が出てくるでしょう(養育費を支払う側からすれば18歳を基準にしたい)。

なお、民法で成年の対象年齢が下がったとしても、喫煙については「満20歳」にならないと認められません。というのも、未成年者喫煙禁止法は、喫煙できる者を、例えば「民法に規定する成年」と規定されておらず、「満20歳」(満二十年)と規定していますので、民法の成年が引き下がっても、連動して喫煙可能年齢も引き下げられるわけではありません。飲酒も同様の議論で、未成年者飲酒禁止法が定められていますが、飲酒可能年齢は「満20歳」(満二十年)と規定されています。

他には、男性は18歳、女性は16歳になると婚姻できますが、20歳未満だと父母の同意が必要になりますが(民法737条第1項)、成年が18歳に変更されると、18歳の男性が結婚する場合は、少なくとも男性側の父母の同意は不要になります。併せて女性の婚姻可能年齢も18歳に引き上げられるとの議論はありますが、現在の規定のままだと女性は16歳、17歳に結婚する場合には父母の同意が必要になりますが、18歳になれば父母の同意なく婚姻できるようになります。

選挙権が18歳以上に付与されるようになって、若者も国政だけでなく民主主義全体への関心が強くなればいいですね。今後も未成年者をめぐる法律の動きに注目したいと思います。

今月、国際宇宙ステーション(International Space Station。以下「ISS」。)にいるクルーの交替がありました。3名のクルーを乗せたロシアの有人宇宙船は、今月13日にロケットで打ち上げられ、その日のうちにISSにドッキングし、無事3名のクルーはISSに到着しました。最近ではクルーの交代はそこまで大きなニュースになりませんが、このことは昔に比べればロケット技術等が遥かに進歩したことの現れでしょう。

ISS計画は、G8サミット(主要国首脳会議)の全メンバーも参加している巨大なプロジェクトであり、ISSでは、様々な国籍の宇宙飛行士達がそこに居住しながら日々研究しています。16.5時間労働、土日が休みで、祝日はクルーの国籍に応じて各国の祝日を調整して決定していくそうです(JAXA(宇宙航空研究開発機構)ウェブサイトより。http://fanfun.jaxa.jp/faq/detail/177.html)。

このISSですが多くの国が参加し、様々な国籍のクルーが居住しているため、権利関係の存否について疑義が生じた場合や、(考えたくはないですが)宇宙飛行士の間で紛争が生じた場合などのため、あらかじめ法的な取り決めをしていく必要があります。参加国は国際宇宙ステーション協定(以下「IGA」。)を締結しており、ISSでは、各国がそれぞれ登録した物体や、自国の国籍を有するISSにいる人員ごとに、各国の管轄権が与えられています。この管轄権は、(登録した)宇宙物体上で発生する事実や行為について、登録国の国内法が適用され、その国内法の遵守を強制する権限(法律を執行する権限)をいいます。

日本が登録しているISSにある実験棟のJEM(きぼう)内では、日本の国内法である民法等が適用されます。また、日本人搭乗員同士で喧嘩して損害賠償という話になったら、民法の不法行為(709条)等の規定を根拠に解決していくことになります。

仮に他国の搭乗員と揉めた場合には、IGAでは、当事国の政府間協議等での解決を目指し、この解決が不調に終わったら、紛争当事国間で合意された紛争解決手続(調停、仲裁等)で解決するよう定められています。

IGAは刑事事件に関する規定もあり、このことは以前取り上げたことがあるのですが、ISS内で犯罪行為が行われた場合は、ステーションのどの区画で犯罪があったかどうかは関係なく、被疑者である宇宙飛行士の国の法律で裁かれることが原則となっています(221項)。そのため、例えばA国の宇宙飛行士がB国の宇宙飛行士に傷害を加えた場合には、被疑者はA国の宇宙飛行士となり、このA国の宇宙飛行士はA国の法律で裁かれることになります。

なぜ被疑者の国の法律で裁かれるかというと、宇宙飛行士の活動は自国の国民から大きな関心が寄せられるため、他の参加国によって自国の宇宙飛行士が裁かれることは国際関係上好ましくないという理由から、属人主義(自国民による犯罪に対しては犯罪地を問わず自国の刑法を適用するという考え方)が取られています(小塚荘一郎著「宇宙ビジネスのための宇宙法入門」150頁参照)。

なお、日本人搭乗員が刑事事件の被疑者となった場合には、日本の刑法の定めが適用されますが、ISSは宇宙にあり日本国内ではないので、刑法の国外犯規定しか適用はありません。刑法の国外犯規定とは、日本国外の犯罪行為であっても日本の刑法が適用されるというもので、通貨偽造、殺人、傷害、窃盗、詐欺や強盗等が定められています。ISSで想定される刑事犯罪は基本的にはこの国外犯規定でカバーされていると思いますが、例えばISSで国内犯規定しかない賭博(刑法185条)が行われても、少なくとも日本人搭乗員には刑法の適用がなく不可罰になります。

最近は宇宙旅行が現実味を帯びてきましたが、並行して、法の適用がどのようになるのかを規定していかないと、例えば宇宙旅行中に旅行者間で賭博をしたり、国民が勝手に宇宙にカジノを作っても刑法の適用が無いなど、後から問題が生じることが増えていくことでしょう(“宇宙カジノ”という響きは魅力的に聞こえるかもしれませんが…)。

アメリカでは刑法の国内犯規定をISS内でも適用させるように、30年以上も前に刑法を改正しています。日本はえてしてこのような動きが遅いので、その行為が合法なのか違法なのかを明確にするという意味でも、想像力を働かせてどんどん法律を整備していく必要があると思います。日本は仮にも宇宙先進国の一つに数えられているので、世界にアピールする意味でも、今後の法整備を期待しています。

月や火星等の天体を所有することはできるのでしょうか。

“所有する”とは、法的に言えば、動産又は不動産に対して所有権を有するということですが、月や火星等の天体に対して所有権を有することはできるのでしょうか。

 

宇宙条約2条は「月その他の天体を含む宇宙空間は…(中略)国家による取得の対象とはならない」と規定しています。しかし同条は、あくまでも「国家による取得」を禁止しているに過ぎないので、私人による取得は禁止していない、と反対解釈することによって月の土地を販売する会社があります。

 

「(※私人による取得は禁止していないという)盲点を突いて合法的に月を販売しようと考えた同氏(※アメリカルナエンバシー社CEOのデニス・ホープ氏)は、1980年にサンフランシスコの行政機関に出頭し所有権の申し立てを行ったところ、正式にこの申し立ては受理されました。

これを受けて同氏は、念のため月の権利宣言書を作成、国連、アメリカ合衆国政府、旧ソビエト連邦にこれを提出。

この宣言書に対しての異議申し立て等が無かった為、LunarEmbassy.LLC(ルナ・エンバシー社:ネバダ州)を設立、月の土地を販売し、権利書を発行するという「地球圏外の不動産業」を開始しました。」

(株式会社ルナエンバシージャパン(http://www.lunarembassy.jp/shop/about)より)

 

月の土地を販売するには、月の土地に所有権を有していることが前提になります。そもそも土地に法律上の所有権を及ぼすには、その土地がその国の領土であることが必要になりますが、ひとまずそれは措いておき、今現在、所有権概念が(地球上の)日本の土地と同じように月の土地にも妥当するのかを検討してみます。

 

所有権とは、客体を一般的・全面的に支配する物権のことをいいますが(我妻榮著「新訂 物権法(民法講義Ⅱ)」257頁)、ある土地に所有権を有していると、その土地を売却・賃貸したり、その土地上に建物を建築したりする等、自由に使用収益できることになります。

 

この所有権は土地の上下に及びます(民法207条)。そのため、字句通りにそのまま解釈すると、地下はマントルを突き抜けて地球の核まで、上空は宇宙の果てまで所有権が及ぶ…といったら、常識的に考えてあり得ないことは明らかです。

例えば日本の法令でも、40m以上の地下は、行政から使用認可を得られれば、土地所有者の意思を問うことなく使用することが可能になりますので、この法令には、40m以上の地下は通常物理的に利用できないので所有権が及ばなくてもいいでしょ、という価値判断が反映されています。土地の遥か上空において、ヘリコプターや飛行機が通過する際にその土地の所有者の許可を必要とすることが妥当でないことも当然といえるでしょう。

そのため、所有権は、物理的に管理・利用が可能な範囲(所有権者の利益が観念できる範囲)に限って及ぶと考えるべきです。

 

この考えは、欧州では法律上明文化しており、ドイツ民法は「土地所有権は、これを禁止するについてなんらの利益のない高所又は深所における侵害を禁ずることはできない」とあり、スイス民法は「土地の所有権は、その行使につき利益の存する限度において空中及び地下に及ぶ」と明確に規定しております(我妻榮他著「我妻・有泉コンメンタール民法(第3版)」432頁参照)。

 

上記の会社も含め、私人で物理的に月の土地を管理・利用している人はいませんので、そもそも論として現時点では月の土地を対象とする所有権を観念することができないと考えられます。

そうすると、私人が月の土地を販売するにしても、「月の土地の所有権を移転させる」という内容の不動産販売であれば、(そもそも月の土地が米国や日本に編入されていないということもありますが、所有権概念からしても)その契約は実現可能性の無い契約として、無効ないし取り消し得る契約になってしまうでしょう。

 

この点、上記の会社のウェブサイトを見ると、

 

「私どもは、「月の土地」を楽しんでいただけることを目的としております。日本の不動産と同じように考えていただくと無理のある商品と思われます。」

http://www.lunarembassy.co.jp/faq/2008/08/nasa.htmlより抜粋)

 

としており、あらかじめジョーク商品であることを明示しています。ジョーク商品を楽しむという内容の契約とすれば問題なく成立するでしょう。

なお、ブラジルでは月の土地を販売した業者が逮捕されており、また、火星はイエメン人が所有しているというイエメンの神話があるようで、イエメン人が米国の火星探査の中止を求めてNASAを訴えた例があります(小塚荘一朗他著「宇宙ビジネスのための宇宙法入門」38頁参照)。

 

宇宙空間の利用はすべての国の利益のために行う(宇宙条約第1条)、という理念からすれば、私人が月や火星などの天体の土地を所有できるようになるのは難しいかもしれません。しかし、将来技術が進歩して誰でも月や火星に行けるほど人間の活動領域が広がるようになれば、私人による天体所有もあり得るかもしれません。

もっとも、その頃にはVR(仮想現実)技術も今より進化して、仮想現実空間で物を所有していれば、現実に物を所有しなくても別にいい、という感覚になっているかもしれませんね。

霞が関にある弁護士会館は日比谷公園の向かいにあり、休憩スペースからは日比谷公園を上から見下ろすことができるので、都会の中にある自然を観ながら休憩している方(多くは弁護士)をよく見かけます。

 

最近休憩スペースから日比谷公園側を観てみると、帝国ホテルの並びに一つだけ突出した巨大なビルが建設中でした。調べてみると新日比谷プロジェクト(仮称)という高層ビル計画だそうです。高さは約191mになるそうで、最近建設された渋谷ヒカリエが約182mなので、それよりも9m程度高い高層ビルになります。

この高層ビルはオフィスビルですが、低層階は商業施設になり、巨大な映画館も入るということなので、映画好きとしては今から楽しみです。

 

この高層ビルは日比谷公園沿いの他の建物と比較すると、一つだけ目立って高いので、そんなに高いビルが建てられるのかなぁと、違和感がありました。

というのも、ご存知の方も多いと思いますが、たとえ自分の土地だとしても、自分で自由に高さや大きさを決めて建物を建てられるわけではなく、建築基準法や都市計画法等の規制がかかり、ビルを建てるにしてもその高さには限界があるためです。

 

建築できる建物の高さについて説明すると、まず建物を建てようとする土地の面積(敷地面積)のうち建物を建築することが可能な面積(建築面積)が地域によって異なります。この敷地面積に対する建築面積の割合を「建ぺい率」といいます(建築基準法53条)。例えば建ぺい率が60%だと、100坪の土地に、最大60坪の面積に建物を建築することができます。

次に、敷地面積に対する、建物の床面積の合計(延床面積)の割合も地域によって決まっており、これを容積率といいます(建築基準法52条)。この容積率によって建築する建物の高さの限界が決まります。ただし、延床面積のうち、例えばエレベーターの面積分は容積率の計算対象にはならない等の取扱いがなされています。

容積率は住居地域なら200%や300%程度になりますが、低層住居専用地域ならもっと低くなり、例えば田園調布の容積率は80%程度しかありません。商業地域は概ね600%~800%になるため、商業地域では高い建物を建てることができます。

 

さて、本件の日比谷の高層ビルの所在地である東京都千代田区有楽町一丁目1番の建ぺい率と容積率を調べてみると、建ぺい率が80%、容積率が900%と定められていました。

また、公示されている建築計画をみると、敷地面積は約10,702㎡で、延床面積のうち容積率の対象面積は約155,180㎡でした。

ここで容積率の対象になる延床面積から容積率を計算してみると、155,180㎡÷10,702㎡×1001450(%)となり、この地区の容積率900%を550%も超えていました!

 

それではこの高層ビルは違法建築なのか、というとそうではなく、実は「都市再生特別措置法」という法律によって、「都市再生特別地区」の都市計画決定を受ければ、容積率等の制限の緩和を受けることができるのです。

その観点から東京都千代田区有楽町一丁目1番を調べてみると、きちんと都市再生特別地区の都市計画決定を受けており、容積率が「900%」から「1450%」に緩和されています(都市再生特別地区状況一覧http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/toshisaisei/04toushi/h270401ketteijoukyou.pdf)。

 

この都市再生特別地区の都市計画決定を受けて、高層ビルや延床面積の大きい建物を建築している例は結構あります。上述の渋谷ヒカリエや、丸の内のJPタワー、銀座の歌舞伎座タワーやGINZA SIX、大阪のあべのハルカス等があります。

 

最近の高層ビルは、スタイリッシュなものが多く、どのように空間を生かし、どのような機能性を有しているのかを見るのは面白いですね。

今回の日比谷の高層ビルは、来年1月に工事が完了するそうなので、出来上がったら見に行ってこようと思います。

 

堀江貴文氏が創業者であり、役員も務めているインターステラテクノロジズ社が、観測ロケットの「MOMO」を730日に打ち上げました。

MOMOは全長10m、重さ1トンで、目標高度の100kmには約4分で到達できる能力を持つ観測ロケットだそうです。

打ち上げ当日は、多数の報道陣が集まっていましたが、MOMOは打ち上げ後、高度約20kmに達した時点で緊急停止した末に、沖合に落下してしまいました。

目標の100kmには遠く及ばず、打ち上げは“失敗”だったという声が叫ばれています。

 

しかし、MOMOは、地上から緊急停止コマンドを送るまで正常に作動していたらしく、また今後のロケット開発に多くの情報を提供して貢献するでしょうし、本当の意味での失敗とはいえないと思います。今回の打ち上げは、まだまだ民間企業のロケット打ち上げが一般的ではない中での打ち上げであり、しかも低価格でコンパクトなロケットというコンセプトを持って臨んでいる、いわば挑戦です。そのため、今回の打ち上げは、失敗ではなく今後の宇宙開発にとって大きな一歩になることは間違いないでしょう。

堀江氏やインターステラテクノロジズ社の方々には、まだまだ挑戦し続けて欲しいと思います。

 

ところで、今回のMOMOの目標高度である「100km」ですが、なぜ100kmかというと、高度100kmの空間は宇宙空間とみなされるからです。

もっとも、条約や法律のどこかに、高度100kmが宇宙空間である、と定められているわけではありません。

国際航空連盟(スカイスポーツの国際組織)が宇宙空間と大気圏の境界を高度100kmと独自に定め(この境界をカーマン・ラインといいます。)、その基準に皆が慣習として従っているに過ぎません。ちなみにアメリカのNASAもこの慣習に従っています。

 

慣習ではなく、早く条約で「宇宙空間」を定義してしまっても良いのではないかと思います(近年国連でも検討課題としているようです)。

この定義付けがなかなか進まない理由として、宇宙条約によって、宇宙空間の国家による領有が禁止されていることが挙げられるでしょう(宇宙条約2条)。

宇宙空間を国家が領有することはできず、宇宙空間より下が各国の領空になるため、厳密に宇宙空間が定義されると自分の国の領空が制限されてしまうとでも考えるのでしょうか。しかし、高度100kmまで領有権が確保できたら十分でしょう。

宇宙への進出という遠大な目的のために、まずは宇宙空間の定義を行うという一歩を踏み出して欲しいところです。

 

翻って今回のMOMOのロケット打ち上げは、宇宙開発にとって大きな一歩となりました。MOMOに触発された子どもたちが、将来宇宙飛行士や、宇宙開発の技術者・関係者になるかもしれません。

これからも日本だけでなく世界中の宇宙開発に期待したいです。

米国のイーロンマスク氏がCEOを務めるスペースX社は、201512月、世界初となる商用の衛星打ち上げロケットの垂直着陸を達成し、近い将来民間による火星探査移民構想も掲げています(国際宇宙会議2016IAC2016))。

日本では、三菱重工やIHIがロケット開発に関わっていますが、最近ではホリエモンこと堀江貴文氏もロケット開発事業を行い始め、宇宙開発事業は活気づいてきております。

 

このような中、宇宙開発に関する法律として、半年ほど前に「宇宙活動法」が成立し、JAXA(宇宙航空研究開発機構)が関わる形でしかできなかったロケット打ち上げが、国の許可を得られれば民間業者の参入が可能になりました。

宇宙開発事業が活気づき、近い将来世界的に宇宙旅行も増えていくことでしょう。

この宇宙旅行は巨額のお金が動くビッグビジネスですが、日本もこの宇宙旅行ビジネスの波に乗れるかというと、ちょっと難しいかもしれません。

 

というのも、例えば米国では自己責任の文化が強いせいか、事業者が宇宙旅行希望者に対して宇宙旅行のリスク説明をきちんして、そのリスクを宇宙旅行希望者が承諾すれば、リスクの高い段階(まだ宇宙旅行が一般化していない今の段階)でも、宇宙旅行ビジネスを認めています。インフォームドコンセントが充たされれば、宇宙旅行希望者に事故等があったとしても、宇宙旅行希望者やその家族が、企業や米国政府に対して損害賠償を請求することはできないようになっています。

 

一方日本では、自己責任の意識は少なく、国が許可を出したかどうかを重視する傾向があるようで、当事者間のインフォームドコンセントは重視されず、今現在、日本企業が主体となって行う宇宙旅行ビジネスについて国の許可が下りた例はありません。お国柄の違いから考えると、今後宇宙旅行ビジネスを日本で主体的に行うのは、まだまだ時間がかかりそうです。

 

宇宙旅行はいわばロマンある冒険なので、ヒマラヤに登るのや、未開拓の洞窟探検と変わらず、個人が自分の人生観に従ってリスクを承知しながら決断すれば、もっと積極的に認めても良いのではないかと思います。

ロマンのある冒険の一つである宇宙旅行に、日本も積極的になってくれることを願うばかりです。

 

ちなみに、宇宙旅行をするにもロケットの打ち上げが必要になりますが、ロケットの打ち上げは航空法の規制がかかり、国土交通大臣の許可が必要になります。「ロケット、花火…その他の物件を…打ち上げる」(航空法施行規則209条の3)には国土交通大臣の許可が必要と法令に規定されており、日本の航空法令上は、ロケットは花火と同様の扱いがなされています(爆発することが前提の花火と、人や物を運ぶためのロケットとは本質的に違うものだと思いますが…)。

 


最近のテクノロジーの発展はめざましく、人工知能を使った資産運用や、スマートフォンを使った決済手続等も実現し、確実に世の中に広がってきています。

最近では、みずほ銀行がAIを企画部門や営業部門に導入し始めたというニュースがありましたが、金融業界に限らず、他の業種においても様々なテクノロジーが導入されてきています。

 

例えば、不動産業界では、不動産を売りたい個人と買いたい個人とを、インターネット上でマッチングするサービスを提供し始めています。ただし、不動産は高額な取引なので、実際に購入希望者は現地に行って内見をする必要があり、売主としては、面倒な内見を業者に頼みたいニーズがあるようです。

 

仮に内見を業者に頼むとすると、業者が購入希望者の内見に立ち会う行為は基本的に宅建業法22号の「媒介」行為にあたると解されるため、宅建士の資格を有した業者であることが要求され、買主に対して重要事項説明等が必要になります。

(※宅建業法22号の「媒介」とは、当事者の一方の依頼を受け、当事者間にあって宅地建物の売買、交換、貸借の契約を成立させるためにあっせん尽力するすべての事実行為を指称するものと解され、単に当事者間に契約を成立させることにとどまらず、契約成立に向けての賃借人等の募集、勧誘行為等は当然にこれに含まれるものと解するのが相当である。(東京高裁平成19214日判決参照))

 

現行制度では重要事項の説明は対面で行われることが前提となっていますが、現在国土交通省では、重要事項説明のIT化(スカイプなどを利用して重要事項説明を行う等)が検討されているようです(国土交通省「ITを活用した重要事項説明等に関する取組み」http://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/sosei_const_tk3_000092.html)。

 

内見の話に戻ると、近い将来、VR技術であたかも本当に内見に行ったかのように、家にいながら臨場感を持って不動産の内部を見ることができるようになるかもしれません。私はVRを体験したことがありますが、VRと分かっているのに(仮想の)高層ビルから地面を見下ろすと足がすくみました(それくらいリアルでした)。

 

内見のVR化が実現すれば、インターネット上で不動産売買契約や賃貸借契約を完結することができ、たとえ業者に勧誘などの何らかの「媒介」行為を頼んだとしても、重要事項説明をスカイプで受ければ、家にいながら契約が完結できるようになるかもしれません。遠方から不動産の購入や引越しを検討する場合には非常に便利なことでしょう。

 

単なる日用品の買物だけでなく、家の賃貸借や売買までも色々とIT化で便利になるのが楽しみです(運動不足がますます加速しそうです)。

家を購入する場合は、一軒家にするかマンションにするか、という論争がありますが、こと建替えの「自由度」に関しては一軒家に軍配が上がります。

 

家が老朽化して建替えをしようと思ったとき、一軒家であれば法的には所有者の意思で自由に決められます(家族や親族の様々な意見はあるでしょうが)。

マンションでも、区分所有者全員の同意があれば建替えは可能ですが、通常マンションは何十戸、今流行りのタワーマンションであれば100戸を超える戸数を有しており、区分所有者一人一人の思惑があるため、一致した意思形成を行うことは非常に困難です。

 

それではマンションの建替えをするにはどうすればいいのかというと、マンションの集会で「区分所有者及び議決権の各5分の4以上」の多数の賛成を得ることにより建替えの決議をすることができます(区分所有法62条)。マンションの議決権というのは、各区分所有者の専有部分の割合で決まり(同法38条)、専有面積が大きければそれだけ議決権を多く持っていることになります。

しかし、一般に単に集会を開催するための定足数(マンション標準管理規約に則り半数以上としていることが多いです。)を充たすことすら難しいという傾向がある中で、この「区分所有者及び議決権の5分の4以上の多数の賛成」を得ることは相当に難しいことが分かります。

当然ですが人は重大な決断をすることを嫌いますから、建替えという大きな決断をしたがらない人が多数出てしまうことは想像に難くありません。

その上、もし「建替えに一戸数千万円の負担金が必要です。」と言われてしまったら、もはや建替えの「5分の4以上の多数の賛成」を得ることはほとんど不可能になってきます。

 

もし賛成を得たければ「餌」が必要で、例えば負担金はゼロで、建替えて新築に住めますよ、という話が出れば乗ってくる人がいそうです。負担金をゼロにするためには企業の力が必要で、デベロッパーと契約(等価交換契約)をすることで、これが実現するケースもあります。この契約は、従前のマンションの権利と、再建マンションの権利との交換を行うもので、一旦土地の権利はデベロッパーに移り、マンションが再建されたときに、再び各区分所有者に割り当てられるというものです。デベロッパーは、今よりも大きいマンションを建設し、割り当てた後、残りの部屋を売却して利益を得ます。いわば余剰の容積率をお金に換えるというものです。

しかし、当然ながら余った容積率がなければならず、また容積率が余っていたとしても、デベロッパーのほうで売却が難しいと判断されてしまったら実現はできません。

ちなみに、近年マンションの建替え等の円滑化に関する法律が改正され、特定行政庁から耐震性不足の認定がされれば、容積率制限の緩和というボーナスが得られる場合があります。

 

借家人がいる場合の問題や抵当権の問題(建替えをしたら抹消される)等もありますが(これらについては上記円滑化法によって一定の手当てがなされている)、以上のように、まず「5分の4以上の多数の賛成」を得ること自体が非常に困難です。

デベロッパーがつきやすい都心の好立地のマンションを除けば、マンションの建替えをするには相当のハードルがあることが分かります。

 

それでは、立法も行政も、マンションの建替えを円滑化する方向(デベロッパーとの協同を円滑に行う方向)にいけば良いのかといったら、近い将来の空き家問題(住宅の3分の1以上が空き家になるという問題)を考えると、建替えを円滑化して単純にマンションの戸数を増やすことは必ずしも良いとは限りません。

 

この問題は、マンションを売りたい建設業界、住宅ローンで利益を得たい金融業界の思惑もあり、場合によっては政治的な部分も大きいですが、重要な社会問題であるため、今後もこの問題の動向に注目しなければなりません。

法律事務所に勤務する弁護士には縁のないものですが、いわゆる企業内弁護士として働いている同期の弁護士の中に、勤め先の会社の社宅に住んでいるという話を聞きました。
都内にありながら、使用料として23万円支払えばその他の費用はかからないと聞き、非常に羨ましく思いました。
住宅手当は自由な転居が可能となるメリットはありますが、給与の一部になるとして課税の問題があり、その点社宅の場合はその意味での課税の問題はないようです。

さてこの社宅ですが、会社が倒産した時や、会社を解雇又は退職したときは、今まで社宅に住んでいた従業員はどうなるのでしょうか。有無を言わさず社宅から立ち退きをしなければならないのでしょうか。賃貸住宅に住んでいる場合には、借地借家法という借主にとって非常に強い味方がついているわけですが、社宅の場合にもこの借地借家法が適用されるのかが問題になってきます。

借地借家法の適用があれば、新しい家主に対して、自分の賃借権を主張できますし(法311項)、家主(会社)から解約されても「正当の事由」(法28条)がなければ立ち退く必要もありません。

社宅の利用に借地借家法の適用があるかどうかは、社宅の使用料が決め手になってきます。

社宅の使用料を全く支払っていなければ、それは無償で貸し渡したということですので、使用貸借(民法593条)になります。使用貸借であれば、借地借家法の適用はないので、最初の取り決め(契約)のとおりに社宅を明け渡さなければなりません。

社宅の使用料を支払っているのであれば、話は変わってきます。一般の家賃とは比較にならないほどの安い使用料(維持費にも満たないもの)であれば、その使用料は家賃としては扱われず、賃貸借関係にないとして借地借家法の適用はありません(最高裁判決昭和30513日・判タ5021頁参照)

逆に、通常の相場に比べて、それほど安いとはいえない使用料であれば、賃貸借関係があるとして借地借家法の適用があるとされる場合があります。

そのため、会社としては、従業員から社宅の明渡しを求める際のリスク(借地借家法を盾に、明渡しを拒まれるリスク)を考えた上で、使用料の設定をする必要があります。

同期の話では、社宅は確かに安いが、居住者が皆会社の関係者であることや、家主が会社であることから騒音等のトラブルがあっても文句を言いにくいという不満があるらしく、家賃が多少高くついても住宅手当を貰って好きな場所に住みたい、いうことでした。
社宅も住宅手当も、私にとっては羨ましい話ですが、そういえば修習時代に知り合った裁判官も、騒音トラブルで官舎から出て自分の好きな所に家を借りていましたね。

最近すこしずつ暖かくなってきましたが、寒くなる日もあるので、体温調整にはお気を付けください。

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