カテゴリ: その他法律

家を購入する場合は、一軒家にするかマンションにするか、という論争がありますが、こと建替えの「自由度」に関しては一軒家に軍配が上がります。

 

家が老朽化して建替えをしようと思ったとき、一軒家であれば法的には所有者の意思で自由に決められます(家族や親族の様々な意見はあるでしょうが)。

マンションでも、区分所有者全員の同意があれば建替えは可能ですが、通常マンションは何十戸、今流行りのタワーマンションであれば100戸を超える戸数を有しており、区分所有者一人一人の思惑があるため、一致した意思形成を行うことは非常に困難です。

 

それではマンションの建替えをするにはどうすればいいのかというと、マンションの集会で「区分所有者及び議決権の各5分の4以上」の多数の賛成を得ることにより建替えの決議をすることができます(区分所有法62条)。マンションの議決権というのは、各区分所有者の専有部分の割合で決まり(同法38条)、専有面積が大きければそれだけ議決権を多く持っていることになります。

しかし、一般に単に集会を開催するための定足数(マンション標準管理規約に則り半数以上としていることが多いです。)を充たすことすら難しいという傾向がある中で、この「区分所有者及び議決権の5分の4以上の多数の賛成」を得ることは相当に難しいことが分かります。

当然ですが人は重大な決断をすることを嫌いますから、建替えという大きな決断をしたがらない人が多数出てしまうことは想像に難くありません。

その上、もし「建替えに一戸数千万円の負担金が必要です。」と言われてしまったら、もはや建替えの「5分の4以上の多数の賛成」を得ることはほとんど不可能になってきます。

 

もし賛成を得たければ「餌」が必要で、例えば負担金はゼロで、建替えて新築に住めますよ、という話が出れば乗ってくる人がいそうです。負担金をゼロにするためには企業の力が必要で、デベロッパーと契約(等価交換契約)をすることで、これが実現するケースもあります。この契約は、従前のマンションの権利と、再建マンションの権利との交換を行うもので、一旦土地の権利はデベロッパーに移り、マンションが再建されたときに、再び各区分所有者に割り当てられるというものです。デベロッパーは、今よりも大きいマンションを建設し、割り当てた後、残りの部屋を売却して利益を得ます。いわば余剰の容積率をお金に換えるというものです。

しかし、当然ながら余った容積率がなければならず、また容積率が余っていたとしても、デベロッパーのほうで売却が難しいと判断されてしまったら実現はできません。

ちなみに、近年マンションの建替え等の円滑化に関する法律が改正され、特定行政庁から耐震性不足の認定がされれば、容積率制限の緩和というボーナスが得られる場合があります。

 

借家人がいる場合の問題や抵当権の問題(建替えをしたら抹消される)等もありますが(これらについては上記円滑化法によって一定の手当てがなされている)、以上のように、まず「5分の4以上の多数の賛成」を得ること自体が非常に困難です。

デベロッパーがつきやすい都心の好立地のマンションを除けば、マンションの建替えをするには相当のハードルがあることが分かります。

 

それでは、立法も行政も、マンションの建替えを円滑化する方向(デベロッパーとの協同を円滑に行う方向)にいけば良いのかといったら、近い将来の空き家問題(住宅の3分の1以上が空き家になるという問題)を考えると、建替えを円滑化して単純にマンションの戸数を増やすことは必ずしも良いとは限りません。

 

この問題は、マンションを売りたい建設業界、住宅ローンで利益を得たい金融業界の思惑もあり、場合によっては政治的な部分も大きいですが、重要な社会問題であるため、今後もこの問題の動向に注目しなければなりません。

現在、法務省の法制審議会民事執行法部会において、「第三者から債務者財産に関する情報を取得する制度の創設」が審議されている。

民事執行法上、債務者財産に関する情報を取得する制度としては、債務者本人に自分の財産を開示させる「財産開示制度」というものがある。しかし、この制度は、平成15年の法改正で導入されてから毎年1000件前後しか利用されず、しかも実際に債務者から開示されているのは全体の約35%(平成27年)にとどまっているという。つまり、使い勝手が悪い上に、実効性がないのだ。そこで、現在、前述の民事執行法部会では、財産開示制度の実効性を高めるために、その「見直し」が審議されている。
ただし、そもそも論として、債務者自身に自分の財産を開示させる制度には限界があると考えられるため(債務者には財産を開示しようとするインセンティブがない。)、その「見直し」と同時に、先ほどの「第三者から債務者財産に関する情報を取得する制度の創設」が審議されているというわけなのである。

私は、この方向性には大賛成で、民事執行法部会には、是非とも使い勝手がよく、実効性のある制度を作ってほしいと願っている。ただ、法務省の同部会のページを除いてみたところ、ちょっと気になった点があるので、その点を書いておきたい。

同部会の委員には、大学教授、弁護士、裁判官、法務省の役人、労働組合関係の方、消費者団体の方など、そうそうたるメンバーが顔をそろえ、委員会では自己の専門的な知見を披露しているようである。きっとそれらの知見を参考にして、部会の事務局サイドが具体的案をまとめていくのであろう。

それはそれでいいのではあるが、ただ、具体的な制度を作った場合、どれくらいの利用者が想定されるのかとか、銀行には毎月どれくらいの照会がいくことになるのかとかをきちんと数字でシミュレートしておいた方が良いと思うのだ。この辺のところは、裁判所や公証人役場で1年間でどれだけの債務名義が作られていいるのか?そのうちどれだけ強制執行の申し立てがあるのか?現在、弁護士会照会で3大メガバンクにどれくらい照会がなされているか?というようなところから、大体の推計値が出せるのではないだろうか。

このような数字は、制度利用者の中に確定判決等の債務名義所有者だけでなく、執行証書(公正証書)の所有者も含めるべきかとか、銀行の手数料をどうするかという議論にも大きな影響を与えると思う。この制度にかかわる裁判所の人員をどれだけの規模にしたらいいのかを考える上でも必要であろう。何よりも、財産開示制度のときのように、蓋を開けてみたら、あまり使われず、しかも、あまり役に立たなかったなんて不名誉なことを避けられるだろう。

もし既にやっているのであればすみません。

是非、民事執行法部会には良い制度案を作ってほしいと期待しています。よろしくお願いいたします。

小規模(訴額が140万円以下)の民事訴訟事件については、簡易裁判所が第一審の裁判権をもつことになります。今回は、この簡易裁判所における訴訟手続についてのトピックです。

訴訟を提起された被告としては、対応コストがかかることになります。とりわけ、遠方の管轄裁判所で訴訟を提起された場合、対応コストは確実に増えます。書面の作成や証拠の収集等のコストはもちろん、裁判所に出頭しなければならないというのが増大するコストです。


では、一回も出頭せずに、当方の主張をすることはできないか?簡易裁判所の訴訟手続では、できるのです。

簡易裁判所の訴訟手続に関しての特則が設けられています。

(私が日ごろよく通っております主戦場の)地方裁判所の訴訟手続においては、最初の口頭弁論期日に限り、出頭しなくても、当方の主張を書いた書面を陳述したものとみなしてくれます(民事訴訟法158条。擬制陳述)。訴えられた被告側の訴訟代理人が、とりあえず答弁書を出しておいて、1回目の期日には都合がつかないため、出席しないということはままあることです。

この擬制陳述について、簡易裁判所の訴訟手続の特則として、最初の口頭弁論期日以外の期日(続行期日)でも、適用されることになっています(民事訴訟法277条)。

そのため、簡易裁判所の訴訟手続においては、一回も出頭せずに、答弁書や準備書面を提出して主張をすることはできるということになります。


ここまでは条文そのとおりなので、わかりやすいと思います。

では、少し問いを変えて、一回も出頭せずに、当方の主張を裏付ける証拠を提出することはできないか?を考えてみます。

上で述べたように、簡易裁判所の訴訟手続においては、擬制陳述の制度を、最初の口頭弁論期日以外の続行期日にも認めていることからすれば、できそうですよね。そう思われませんか?

ちなみに、民事訴訟法は、「証拠調べは、当事者が期日に出頭しない場合においても、することができる。」という定めもおいています(民事訴訟法183条)。


ですので、証拠も提出できてよいのでは、、、とも思うのですが、結論としては、(原則)できません。

だったら、擬制陳述とかって、ほぼ意味なしですよね。

というのは、民事訴訟は、裁判所を説得する精緻な主張書面を作成したうえで提出することは重要ですが、裁判所は、他方当事者が争う限り、それだけでは事実として認めてくれず、自分の主張を裏付ける証拠を出せるかが勝負の決め手となるからです。


なぜ証拠の提出は「できません」という結論になるのかというと、文書の証拠を書証と呼ぶのですが、民事訴訟法は「書証の申出は、文書を提出し……なければならない」と規定しており(民事訴訟法219条)、ここでいう「提出」は、文書の所持者が出頭して顕出することが必要と解釈されていることがその理由のようです(旧民事訴訟法に関する判決ですが、最高裁昭和37921日第二小法廷判決・民集1692052頁参照)。


確かに擬制陳述という制度はあっても、同制度は出頭自体を擬制しているのではなく、陳述を擬制しているにすぎないため、事前に裁判所に文書を送付していたとしても、実際に出頭しない限り、書証の申出があったとは認められず、裁判所は取り調べてくれないこととなっています。


さて、困りましたね。そこで、私がトライするのは、電話会議システムを利用した弁論準備手続に付してもらうよう求めること(上申書の提出)です。
弁論準備手続とは、法廷で行われる口頭弁論手続ではなく、裁判所の小部屋で行われる争点及び証拠の整理を行うための手続です(民事訴訟法1681項)。ちなみに、実務では、和解の協議も、この弁論準備手続で行われることが多いです。

裁判所が、電話会議システムを利用した弁論準備手続を付すと、こちらは裁判所に行かずとも電話で対応することができます(民事訴訟法1683項)。

この場合、電話で参加した側の当事者については、「出頭したものとみなす」と規定されているのです(民事訴訟法1684項)。

この規定に基づき、出頭自体が擬制されるのです。

そこで、先ほどの議論に戻って、出頭して顕出したということになり、書証の申出があったということで、裁判所も、証拠を取り調べてくれるのです。


弁論準備手続に付すかどうかはあくまでも裁判所が決めることですので、以上述べた方法が必ずしも「使える」わけではありませんので注意が必要です。

ちょっと時間がたってしまいましたが、今年(平成29年)の1月31日に、注目すべき最高裁決定が出ました。

事案は、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反の容疑で逮捕され、処罰された方の氏名と居住する県の名称をキーワードとしてネットで検索すると、この方が逮捕されたことが記載されているウェブサイトが表示されるため、人格権侵害を理由に、検索業者に対して、この検索結果の削除を求める仮処分の申し立てをしたという案件です。

最高裁は、検索業者が検索結果を提供する行為には、検索業者の表現行為という側面を有し、他方、公衆がインターネット上に情報を発信したり、インターネット上の膨大な量の情報の中から必要なものを入手したりすることを支援するものであり、現代社会においてインターネット上の情報流通の基盤として大きな役割を果たしていると前置きしたうえで、次のように判示しました。

「以上のような検索事業者による検索結果の提供行為の性質等を踏まえると、検索事業者が、ある者に関する条件による検索の求めに応じ、その者のプライバシーに属する事実を含む記事等が掲載されたウェブサイトのURL等情報を検索結果の一部として提供する行為が違法となるか否かは、当該事実の性質及び内容、当該URL等情報が提供されることによってその者のプライバシーに属する事実が伝達される範囲とその者が被る具体的被害の程度、その者の社会的地位や影響力、上記記事等の目的や意義、上記記事等が掲載された時の社会的状況とその後の変化、上記記事等において当該事実を記載する必要性など、当該事実を公表されない法的利益と当該URL等情報を検索結果として提供する理由に関する諸事情を比較衡量して判断すべきもので、その結果、当該事実を公表されない法的利益が優越することが明らかな場合には、検索事業者に対し、当該URL等情報を検索結果から削除することを求めることができるものと解するのが相当である。」

「当該公表されない法的利益が優越する」というだけではダメで(「きわどいけど、どちらかというと公表されない利益が優越する」というのではダメ)、そのことが「明らかな場合」と言えなければならないようです。つまり、公表されない利益がかなり優越しますといえる必要があるということでしょうか。

具体的な判断としても、

「児童買春をしたとの被疑事実に基づき逮捕されたという本件事実は、他人にみだりに知られたくない抗告人のプライバシーに属する事実であるものではあるが、児童買春が児童に対する性的搾取及び性的虐待と位置付けられており、社会的に強い非難の対象とされ、罰則をもって禁止されていることに照らし、今なお公共の利害に関する事項であるといえる。また、本件検索結果は抗告人の居住する県の名称及び抗告人の氏名を条件とした場合の検索結果の一部であることなどからすると、本件事実が伝達される範囲はある程度限られたものであるといえる
以上の諸事情に照らすと、抗告人が妻子と共に生活し、〔中略〕罰金刑に処せられた後は一定期間犯罪を犯すことなく民間企業で稼働していることがうかがわれることなどの事情を考慮しても、本件事実を公表されない法的利益が優越することが明らかであるとはいえない。」

として、児童買春をした者の公表されない法的利益が優越することが明らかとは言えないと判断しています。
プライバシー保護と表現の自由の交錯する非常に難しい問題ですが、児童買春をして処罰されると、刑は終了しても一生その記録がネット上からは消えず、非常に厳しい人生を送らなければならないということは言えそうです。児童買春なんてしてはいけません。

2017119日日本経済新聞電子版から

 

「みずほ銀行は民事裁判の支払い義務を果たさない債務者の預金口座情報について、債権者からの請求に応じて開示を始めた。確定判決や和解調書など債務の存在を確認できる文書を示し、弁護士を通じて照会することが条件。既に三菱東京UFJ銀行と三井住友銀行は開示しており、3メガ銀の対応がそろった。」

 

「ただ応じていない金融機関もあり、法務省は裁判所が開示請求できるよう法改正する方針だ。」

 

わざわざ裁判までして、債務者に金銭の支払いを命じる判決を得たのに、現状、債務者が預金口座をどこかの銀行に移してしまうことにより容易に強制執行を回避できる結果となってしまっていることは以前このブログでも触れたとおりです(実際、裁判で多額の支払いを命じられておきながら、かなり経済的に恵まれた暮らしをしているように見られる方が散見されます。)。
これは、債権者が債務者の口座情報を調査する手段がないことに起因しています。

債権者側の対抗手段としては、弁護士を雇って、弁護士法23条の2が定めている弁護士会照会制度を使い、各弁護士会を通じて、債務者の口座があるか銀行に照会することが考えられますが、これまで多くの銀行では、顧客情報の保護を理由にこの照会に対する回答を拒絶していました。


しかし、この記事にあるように、現在、確定判決や和解調書があることを条件としていますが、三菱東京
UFJ銀行、三井住友銀行及びみずほ銀行の3メガ銀行が、弁護士会照会に対応していただけるようになっています。

 

私は日本社会のあり方として、裁判をして確定判決まで得たのに、債務者の口座情報を調べる手段がなく、判決が絵に描いた餅になるなどということはおかしいのではないかと思っています。裁判所に金銭の支払いを命じられても支払わない債務者の口座情報をそこまで保護する必要はないのではないかと。そういう観点からすると、この3メガ銀行の判断は素晴らしいと思います。行内でいろいろな意見があったのだろうと想像しますが、あるべき日本社会を見据えたまさに英断だと思います。弁護士会がメガ3銀行と協定を締結することによりこのような対応が実現したとのことですので、弁護士会の努力にも感謝したいと思います。

 

記事の最後のところで、「法務省は裁判所が開示請求できるよう法改正する方針」とのことなので、今後民事執行法の一部改正を睨みながら、いろいろな動きが出てくると思います。その点も注目ですね。

 

なお、弊事務所ではさっそくこの弁護士会照会制度を使わせていただきました!

最近ちょっと残念な最高裁判決(H28.10.18)があったので紹介します。

 

前提として、弁護士には、弁護士法23条の2という条文により、弁護士会を通じて、公の団体や会社等の私的な団体に対して事実の照会をすることができます。条文の記載は次のとおりです。

 

(報告の請求)

第二十三条の二  弁護士は、受任している事件について、所属弁護士会に対し、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることを申し出ることができる。申出があつた場合において、当該弁護士会は、その申出が適当でないと認めるときは、これを拒絶することができる。

2 弁護士会は、前項の規定による申出に基き、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。

 

これは、国民の権利を守るためには、弁護士にこのような照会権限を認めた方がいいだろうという判断からなのですが、ただ、個々の弁護士に照会権限を認めるのは適当でない場合があるので(悪い弁護士もいますからね。)、弁護士会に適切な照会か否かを判断させて、弁護士会を通じて照会権限を行使させようとしているのです。

 

ところが、近年の個人情報保護の高まりなのでしょうか、最近、この弁護士会照会を拒絶する団体が増えています。そのため、個々の弁護士が、拒絶した団体に対し、照会に回答する義務があるにもかかわらず回答を拒否するのは不当だとして損害賠償を求める案件が頻発したのですが、裁判所は、弁護士法第23条の2に基づく報告義務は弁護士会に対するものであり、個々の弁護士に対するものではないから、個々の弁護士に対する不法行為は成立しない(拒絶しても、照会をした弁護士に対して損害賠償を支払わなくて良い)という判例を連発したのです。

 

そこで、今度は、個々の弁護士ではなく、弁護士会自体が立ち上がりました。弁護士会が、照会を拒絶した団体に対して、損害賠償を求めるようになったのです。

事案は次の通り。

 

1.AさんがBさんに対して、株式の購入代金名目でお金を騙し取られたと主張して、損害賠償を求める訴訟を提起したところ、おそらくAさんの主張に理由があったのでしょう、BさんがAさんに損害賠償金を支払うことを内容とする訴訟上の和解が成立しました。

 

2.しかし、Bさんが和解に従って損害賠償を支払わず、かつ、住む場所も移転して(しかも住民票は移転していない)、どこにいるかわからず、ただ郵便物は転送されている形跡があったため(ここまでは、判決には記載されていない私の推測です。)、Aさんの弁護士は、強制執行準備のため、所属する弁護士会を通じて、日本郵便株式会社に対し、転居届が提出されているか及び転居届記載の新住所について弁護士法23条の2に基づく照会をしました。

 

3.しかし、(最高裁判決からは理由が不明ですが)日本郵便は、報告を拒絶。

 

4.そのため、弁護士会が日本郵政を相手に、不法行為を理由に損害賠償を求めました。

 

というのが事案の概要です。

原審の名古屋高裁は、1万円という信じられないような少額ですが、日本郵政の不法行為を認め、弁護士会への損害賠償の支払を命じました。

 

ところが、最高裁は、次のように述べて、損害賠償の成立を否定しました。

 

「23条照会の制度は、弁護士が受任している事件を処理するために必要な事実の調査等をすることを容易にするために設けられたものである。そして、23条照会を受けた公務所又は行使の団体は、正当な理由がない限り、照会された事項について報告をすべきものと解されるのであり、23条照会をすることが上記の公務所又は行使の団体の利益に重大な影響を及ぼし得ることなどに鑑み、弁護士法23条の2は、上記制度の適正な運用を図るために、照会権限を弁護士会に付与し、個々の弁護士の申出が上記制度の趣旨に照らして適切であるか否かの判断を当該弁護士会に委ねているものである。そうすると、弁護士会が23条照会の権限を付与されているのは飽くまで制度の適正な運用を図るために過ぎないのであって、23条照会に対する報告を受けることについて弁護士会が法律上保護される利益を有するとは解されない。したがって、23条照会に対する報告を拒絶する行為が、23条照会をした弁護士会の法律上保護される利益を侵害するものとして当該弁護士会に対する不法行為を構成することはないというべきである。」

 

(以下、私の感想です。)

 

1.えっ!信じられない。とても変な理屈だ。個々の弁護士が損害賠償請求をしたら、弁護士会照会に基づく報告は照会を申し立てた個々の弁護士に対する義務ではないから、という理由で損害賠償を否定しておきながら、弁護士会が損害賠償請求をすると、今度は、弁護士会には法律上保護されるべき利益はないから、という理由で損害賠償請求を否定する。これでは、弁護士会照会制度が侵害されても、誰も利益を侵害されないということなのか???

 

2.この判決は、弁護士会の主位請求である損害賠償請求については弁護士会に法的に保護されるべき利益はないとして否定しておきながら、予備的請求である報告義務確認請求については、「さらに審理をつくさせる必要があるから、本件を原審に差し戻すこととする。」などと仰っている。えっ、えっ、じゃあ、差戻審の名古屋高裁で、日本郵政に報告義務があると確認されたらどうなるの?義務違反が認定されても誰も損害賠償を請求できない?義務加害者の違反が認定されても、損害賠償も請求できないなんて、そんな法律上義務、意味ないじゃん!

 

3.法律学は科学ではないので、原審のように弁護士会には法律上の利益はあると考えることもできるし、最高裁のように法律上の利益はないとも考えることができます。要するに重要なのは価値判断です。ところで、この判決は、いったい誰のどのような利益を保護しているのだろう?詐欺の被害者であるAさんが権利の実現に苦しんでいるのに、Bさんは単に居住場所を変えることで(転送届によって郵便物もちゃんと受領しながら)のうのうと暮らしている。まさかAさんの権利実現よりもBさんのプライバシーを優先しているのではないですよね?おそらく、そうではなくて、日本郵政がいちいち照会に応じなければならない不利益を優先したのかもしれないけど、それってAさんの権利実現よりも優先すべきなのかな?それで良い社会になるのかな?この判決を出した裁判官が一回でもAさんの立場になってみれば、きっとわかると思うな。

最近、東京・後楽園にある宇宙ミュージアムというものに行ってきました。

そこでは、宇宙の歴史を映像で楽しめるようなプロジェクションマッピングや、まるで宇宙空間にいるような体感型の映像等があり、非日常を味わうことができて楽しめました。

ある部屋では、プロジェクターで地面に月の表面の映像が投影されており、あたかも月の上を歩いているような感覚にさせてくれます。「月」の上を歩くと、歩いた場所に足跡(の映像)がついていくという遊び心もあります。宇宙自分診断(?)というものもあり、複数の項目に答えていくと、その人がどの宇宙人の性格であるかが分かるという不思議なゲームもありました(ちなみに私は火星人でした)。

 

常に地球を周っている国際宇宙ステーションは、わずか90分で地球を1周しているそうです(国際宇宙ステーションから撮影された迫力ある地球の映像もありました。)。

国際宇宙ステーションは、日本、アメリカ、ロシア、カナダ及び欧州が参加し、その中には多様な国籍の宇宙飛行士が滞在しています。多国籍の人々が狭い空間にいるわけですから、当然クルーの間で揉め事が起きた場合の手当て(法律等)が必要になってきます。もし宇宙飛行士の間で刑事事件が起きた場合には、どのように取り扱うのでしょうか。

 

まず、日本の刑法の適用場面で主なものを整理すると、①日本国内で起きた犯罪は日本の刑法が適用される、②日本国外にある日本の船舶や飛行機の中で起きた犯罪についても日本の刑法が適用される(日本籍の飛行機のハイジャック犯は、飛行機がどこにあっても日本の刑法が適用されます。)、③日本国外において日本の公文書や通貨を偽造した場合等(公文書偽造罪、通貨偽造罪)は日本の刑法が適用される、④日本国外で日本人が殺人や傷害の被害者になった場合は日本の刑法が適用される、というものになっています。

③や④の場合には、日本の刑法が適用されますが、外国にいる被疑者をどうやって逮捕・起訴までもっていくかという問題があります。外国にいる被疑者を自国に引き渡すことを請求できる、いわゆる犯罪人引渡し条約は、我が国はアメリカと韓国としか締結していません。そのため、締結していない国にいる被疑者を日本の刑法で裁くことは実際には困難です。

 

さて、国際宇宙ステーションについての揉め事については、日本、アメリカ、ロシア、カナダ及び欧州の参加国が、「国際宇宙基地協力協定」という条約を締結しており、この協定で対応することになります。

この協定では刑事事件に関する規定もあり、国際宇宙ステーションで犯罪行為が行われた場合は、ステーションのどの区画で犯罪があったかどうかは関係なく、被疑者である宇宙飛行士の国の法律で裁かれることが原則となっています(協定221項)。そのため、A国の宇宙飛行士がB国の宇宙飛行士に傷害行為等を加えた場合には、A国の法律で裁かれることになります。

被疑者になったA国の宇宙飛行士を、スペースシャトル等が乗せてA国にたどり着けば話は早いと思うのですが、B国にたどり着いたときに、先に述べた犯罪人引渡し条約をAB国間で締結していない場合はどうなるのでしょうか。もっとも、この場合には協定で手当がされており、この協定を犯罪引き渡しの条約の根拠とすることができるとされています(協定223項)。

地球への帰還予定が狂い、国際宇宙ステーションに未参加の国に到着してしまった場合は、引き渡しについて協定を根拠とすることができないので、国家間の交渉ということになるでしょう(昔の連合赤軍の引き渡しのように)。

 

宇宙飛行士は数多くの困難な試験を通過してきた超人的な方達なので、犯罪行為は想像できませんが、万が一何かあってからでは遅いので、協定で規定しているようです。

実際の刑事裁判を考えると、捜査にあたり、実況見分(警察がやる現場検証)ができないですし、引き当たり捜査(実際の現場に被疑者も立ち会って行われる現場検証)で犯行の再現をすることもできません。犯行は無重力下で行われるので、犯行再現はCGやワイヤーアクションを使って行うのでしょうか。

宇宙飛行士の国際宇宙ステーションでの犯罪は考えたくないですが(考えるのも失礼な話ですが)、刑事裁判の証拠の観点からすると興味深いものがあります。

 


1. 近況について

引き続き、ブロックチェーンの話題に触れてゆきたいと思います。自らビットコインと「法律問題」と題しておきながら、法律エッセンスが(少)ないように感じていますが、気にせず今回も技術的なことについて書こうと思います。
 

その前に、近況でございますが、弊所も会員になっているブロックチェーン推進協会(BCCC)で、6月29日、会員数が60社を超えたとしてプレスリリースされました。プレスリリースは、以下のURLに記載されております。当初の予定を上回る勢いで会員数が増加しているとのことでございます。

http://bccc.global/ja/articles/297.html

また、昨日(630日)は、BCCCの第一回総会が開かれましたので、弊所からは私が参加してまいりました。様々な業界・規模の会員が参加されており、ブロックチェーンの関心の幅の広さが伺えます。


その他、最近のニュースとしては、ビットコイン採掘時の供給量が半減する「半減期」が間もなく迫っております(なお、この記事を書いているのが2016年7月1日です。)。そのためか、ビットコインの相場がかなり変動していますね。半減期をまたいで、どのように価格が推移してゆくかも興味深いです。


2.
 イーサリアム

さて、前回のメルマガ以降、私の方では、アゴラ研究所で開催されている、ブロックチェーンのセミナーに参加しております(全3回で、最終回は7月です。最終回には、池田信夫氏も登壇される予定です。)。ブロックチェーンの発展や、近時の応用事例などに触れられて、非常に勉強になります。


中でも、Ethereum(イーサリアム)の話は、特に印象に残りました。これは、ブロックチェーン技術を応用したソフトウェアで、その機能の一つとして、なんと、ブロックチェーン上でソフトウェアを動かすことができるのです!!


なんじゃそりゃ??という方も多いかと思います。簡単に言うと、

  ①専用の言語でプログラムを組む

  ②それをブロックチェーン上に載せる

  ③ブロックチェーン上でそのプログラムを動作させる

ということができるのです。

これの何が凄いかというと、(皆が参加する)ブロックチェーンネットワークは、基本的に、何があっても止まらないので、「止まらないプログラム」が実現できるのです。


具体的に言えば、サーバーなど、1つのPCで動かしているプログラムは、停電や、災害、人為的ミスなどで、稀に、止まることも考えられます。しかし、ブロックチェーン上のプログラムは、ネットワークに参加しているコンピューターがそれぞれコピーをもち、どれか一台が壊れても、ネットワークは維持されます。ブロックチェーンは、「電源の切れないPC」などとも例えられ、イーサリアムでは、その「電源の切れないPC」上で、ソフトウェアを動かせるのです。これは、個人的にかなり凄いことだと思います。


また、ブロックチェーンは、改ざんが困難です。そのため、ブロックチェーン上でソフトウェアを動かせるのであれば、そのソフトウェアの改ざんも困難だと思います。


さらに、イーサリアムは、ビットコインと同様、仮想通貨の機能も有しています。本日(7月1日)時点では1(ETH)=1370円前後で取引されています。
 

これは何を意味するかというと、先ほどのプログラムの面と、仮想通貨の面を合わせると、プログラムで容易に仮想通貨を操作することが可能になるのです。例えば、ある条件が成立した時に、仮想通貨を、誰々に移動する、といったことが可能になり、もっと言えば、管理者不要で、資金管理・移動を、自動化することができるのです。


もっとも、あまり良くないニュースも届いています。イーサリアム上で動くプログラムの脆弱性をついて、多くの仮想通貨が、意図せず流出してしまったというのです。これは、イーサリアム自体の脆弱性ではないと思いますが、課題として残された点だと思います。


今後の改善・発展に期待したいです。

3.
 番外編:エミュレーター上で、Solidityのプログラムを動かしてみる

ちなみに、イーサリアム上では、プログラムが動く、ということで、早速、プログラムの作り方を調べてみました。イーサリアム上で動くプログラム言語は、いくつかあるようですが、有名なものでは、「Solidity」という言語がございます。


文法を調べてみましたが、かなりC++ライクです(配列がポインタのような扱いになっていて、「C」っぽいな、と思いました。細かな文法も、かなり、CやC++っぽいです。)。


また、インターネット上に、ブラウザ上で動作する「Solidity」言語のエミュレーターがあったので、早速HelloWorldのコードを入力し、色々いじってみました。
試しにif文なんかを打ちこんでみましたが、普通に使えますね。


if (nData == 3){return "Hello T&P World!!";}

送金処理と組み合わせれば、特定の条件が満たされた場合に、お金を送金する、という処理も、ちょっとプログラムを勉強すれば、誰でも簡単に実現できるのではないでしょうか。

刑事事件の示談交渉は弁護士泣かせなのです。

たとえば、AさんがBさんを殴ってけがを負わせてしまったという事件で、あなたが加害者Aさんの弁護人に選任されたとして、被害者のBさんとどのように示談交渉しますでしょうか?示談金額をいくらにするかが最大の問題です。

私が弁護士になりたてのころは、1発殴ったら10万円などと言われていました。
この基準からは、3発殴ったら30万円、10発殴ったら100万円ということになるのでしょうか?
双方で殴り合ったら、いったいいくらになるかわかりませんね。

また、示談金とはいっても、基本的には、被害者が被った損害の補てんですので、この問題を交通事故の損害賠償額の算定と同様の基準でアプローチすることも考えられるでしょう。Bさんが支払った治療費等の実費に、「赤い本」と呼ばれている交通事故のマニュアル本に記載されている慰謝料額を加えて、示談金額とするような方法です。

ところが、刑事事件の示談金の場合、多くの場合、このようなアプローチができません。
それは、Aさんの身柄の問題(留置場に拘束されているという問題)や、刑事裁判にされたくないという問題があるからです。

本件で、Aさんが逮捕され、そのまま警察の留置場に勾留されていたとします。そのままいけば、通常、逮捕されてから23日後(逮捕で3日+勾留で10日+再勾留で10日)に検察官が刑事裁判をするかどうか(専門用語で「公判請求」といいます。)を決定することになります。公判請求がされた場合には、100万円から200万円くらい積んで裁判官に保釈を認めてもらわない限り、被告人は留置場や拘置所から釈放されることはありません。1か月とか1.5か月後に行われる裁判の場で、執行猶予付きの懲役判決をもらって、ようやく解放されることになります。

このような進行が予想されますから、Aさんが早く解放されたいと思っていたり、裁判にならないようにするには、なんとしても被害者のBさんと示談して、検察官に「これは刑事裁判を行うまでもないな。」などと思っていただき、起訴猶予処分を出してもらわなければならないのです。この起訴猶予処分を得るために、Aさんとしては、何としても示談の締結が必要になるというわけです。

ただ、その場合、示談金の額は、AさんがBさんに与えた損害がいくらか?ということが基準になるのではありません。Bさんが被った「損害の補填」というよりは(もちろん「損害の補てん」が基礎としてありますが、多くの場合それを超えて)、身柄の解放や刑事裁判を逃れるという利益の対価が問題となっているのです。そして、その対価を算定する明確な基準はありません。加害者がどれくらい身柄の開放等を望んでいるか、加害者の資力がどれくらいあるか、被害者側の状況や対応に大きく影響を受けます。
したがって、Bさんとしては、実はたいした怪我でなくとも、示談金額に難色をしめせば、示談金を吊り上げられます。Aさんから見れば、身柄の解放や刑事裁判から逃れることを強く願っていればいるだけ、また、Aさんに資力があればあるだけ、それだけ示談金の金額は高くなります。

法外な額の示談金を支払うなんて、何てバカらしい、という人もいるかもしれませんね。
ただ、具体的に考えると、早く会社に復帰しないと会社をクビになってしまうとか、裁判になって前科がついてしまうとその後の人生のハンディとなるとか、Aさんが芸能人で裁判になってマスコミが騒ぐと致命的なイメージダウンになるとか、示談金が法外になっていく事情には色々あるのです。
現に、某元横綱が六本木で店員を殴って数千万円を支払ったとか、某歌舞伎俳優さんが、西麻布のカラオケ屋さんで元暴走族の若者を殴って(某歌舞伎俳優も大けがをされていましたが)、これも数千万円支払ったなどと報道されていますね(真相はよくわかりません。)。

これに対して、弁護人は、被害者Bに、①Aが犯した罪からするとその金額ではいかにも高すぎるとか、②被告人にはそれだけの財力がないとか、③「示談金には、裁判沙汰にしなくてすんだことのお礼も含まれているから、公判請求された後では同内容の示談はできないかもしれない」などと言って説得することになります。①は理による説得、②は手元不如意の抗弁(ない袖は振れない)、③は本当のことだったりしますが、ただ、被害者の損害は賠償されるべきという法意識と合致しませんし、加害者側がそういうことを言っていいのか?という問題がありますので、あまり適当ではないかもしれませんね。

刑事事件の示談金が法外な金額になる問題は、逮捕されるとなかなか身柄が開放されない制度の運用(「人質司法」などとも呼ばれています。)も影響してますね。
近時は、検察不祥事を受けて、裁判所が勾留決定を出すことに慎重になっている傾向がみられるようですので、これからの司法に期待したいと思います。

刑事事件における示談金の決まり方の構造について、ご理解いただけましたでしょうか?
えっ、刑事事件を起こさなければ良いのでは?ですって。正論でございます。

街を歩いていると色々な建物が建っています。

高層建築物もどんどん増えてきて、一見すると建物の耐震性や頑丈さに注目しがちですが、「上の階まで水道はどのように汲み上げているのだろうか」という設備の面も気になるところです。

主要な駅の周辺では、たいてい新しい建物が建設中だったりして、日本のどこかで毎日建物が作られています。

建物は人の命・財産を預かるものですから、安全・衛生を図る必要があり、建物を建てる際には御存知の通り建築基準法という法律が適用されます。

建築基準法が適用される建築物は、原則として、土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの、これに附属するもの(門や塀など)になります(法21号)。

ただし鉄道のプラットホームにある運転保安に関する施設やコンコース、地下の通路部分は「建築物」として扱われません。もっとも、改札内の駅務室、店舗等は運転保安に関する施設ではないことから建築基準法の規制の対象となります。

上のような定義であるため、居住用の建物だけにとどまらず、倉庫、店舗、百貨店や工場等も建築基準法の適用のある建築物にあたります。

神社や仏閣なども適用対象になりますが、国宝や重要文化財等に指定されていれば、建築基準法は適用されません(法31項)。

そのため、国宝の旧東宮御所(迎賓館赤坂離宮)、旧富岡製糸場、二条城、中尊寺金色堂や、重要文化財の出雲大社、清水寺、伏見稲荷大社、厳島神社等には建築基準法は適用されません。

ある一定の規模の大きさの「建築物」を建てる際には、確認申請をして、建築主事または指定確認検査機関の確認を受け、建築確認済証の交付を受ける必要があります(法6条)。

エレベーターやエスカレーターは「建築物」に当たりませんが、重要な建築設備のため建築基準法の適用を受け、確認申請をする必要があります(法87条の2)。

最近、とあるテーマパークに行ってきたのですが、巨大なコースターがあったり、子供が喜びそうな派手なメリーゴーランドを見かけました。

これらは「建築物」には当たりませんが、建築基準法上の工作物に該当します。

観覧車もそうですが、これらについても建築基準法の確認申請が必要になります(法88条)。

なので、某テーマパークの○○マウンテンや、遊園地のジェットコースター、観覧車等には建築基準法が適用され、その規制を受けることになります。

建築基準法は何年かごとに新しい基準ができて更新されていきます

しかし建築基準法は原則として着工時の法律に適合することを要求しているため、着工後に改正した場合には、新しい建築基準法は適用されません。

この場合に現行法に対して不適格な部分が生じた建築物に対しては、「既存不適格」という烙印が押されます。

確認はしていませんが、某テーマパークの象徴とも言える○ンデレラ城は昔からあるのできっと既存不適格でしょう。

ただし、既存不適格はあくまでも着工時には適法に建てたものなので、違法建築物とは区別しなければなりません。

ちなみに、建築基準法は着工時に適法であることを求めていますが、人の命に直結する消防法の規定は、一定の建物(ホテル、デパート等)については必ず現行法の規定を充たさなければならないという「遡及」適用になっています。

建築基準法は煙突や広告塔も規制していますし、想像以上に多くの物に適用されるという身近な存在の法律です(非常に読みにくい法律ですが)。

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