本日(2015年3月10日)の日本経済新聞朝刊38頁の記事ですが、不正競争防止法違反(営業秘密開示)に問われた事件の判決が重くて、改めて、営業秘密保護の時代の流れを感じました。

 


東芝の半導体メモリーを巡るデータ漏洩事件で、不正競争防止法違反(営業秘密開示)の罪に問われた提携先の元技術者、S被告(53)の判決公判が9日、東京地裁であった。室橋雅仁裁判長は「極めて悪質な営業秘密の開示。犯行によって東芝の競争力が相当程低下した」として、懲役5年、罰金300万円(求刑懲役6年、罰金300万円)を言い渡した。

 


記事によると、S被告は、公判では起訴状記載の事実をおおむね認め、反省の弁を述べていたということですし、弁護側も執行猶予付の判決を求めていたということですので、(おそらく同種の前科もないでしょうから)執行猶予付の判決が貰えるという読みがあったかもしれませんが、民事事件の方では、東芝が、(S被告が情報を流していた)韓国半導体大手のハイニックスに対して、約1100億円の損害賠償請求訴訟を起こしたということですので(約330億円で和解が成立したとのことです。)、損害額の莫大さと、最近の機密情報保護の流れから、懲役5年の実刑という比較的重い刑になったのでしょうね。

 


同じ頁にある「秘密不正利用 抑止急ぐ」「重罰へ法改正 企業も積極対応」という見出しの記事には、

 


政府は今国会で、不正競争防止法の改正を目指す。企業秘密を海外企業が不正利用した場合、最大10億円の罰金を科す。国内企業への流出も、罰金を3億円から5億円に引き上げる。重罰化によって、新興国などの産業スパイを抑止する狙いがある。

 


とありますので、今後も秘密情報保護の動きはますます強くなりますね。