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先日、このメルマガの読者の方から、共有不動産の地権者数の数え方について質問がありました。

ご承知のとおり、土地区画整理法第130条第1項には、宅地の共有者は、「併せて一の所有者とみなす。」と書かれていますので、例えば、ABC共有の土地がある場合には、一人と数えることになりますが、ABCがそれぞれ単独で他に土地を有していたり、BC共有の土地がある場合にはどう数えるのか?という問題です。

 

A  B  C  ABC  BC

 

この場合、2通りの考え方があり、

① 共有者全員が他に単独所有の土地を持っていれば、独立してカウントする必要なし

  ⇒ 上記はABCの3人と数える

② 法130条1項により、共有の場合は、あくまで一人としてカウントするのだから

  ⇒ 上記はABCABCBCの5人と数える

 

上記①は、土地区画整理審議会委員の選挙における共有者の選挙権の取扱いについて国土交通省の土地区画整理事業運用指針Ⅴ-13(3)https://www.mlit.go.jp/common/001052004.pdf)に記載されているカウント方法で、実務的には、こちらの運用が多いと思います。しかし、ご質問いただいた方によると、比較的経験年数の多い古参の社員の中には、上記②のように考えている方も実際にいるとのことです。

では、どのように考えるべきでしょう?

まず、実務家としては、国土交通省の見解である上記①の考え方に従うべきでしょう。法律は、科学ではなく、人間が決めたルールに過ぎないので、誰が言っているかが非常に重要です。私が調べた限り、この問題について、裁判所の見解や有力な学者の見解はないようですので、国土交通省の見解に従っておくのがもっとも安全でしょう。

次に、実質的に考えてみても、上記①の考え方のほうが適当かな、と思います。というのは、この問題は、実は、法130条1項の解釈の問題というよりも、どのような基準で「名寄せ」をすべきかという「名寄せ」の問題で、土地区画整理法自体は明確には定めていません。したがって、設問のような場合を3人としてカウントするのが適当か、5人としてカウントするのが適当か、という価値判断の問題でもあります。

この点、考えてみると、土地区画整理法では、組合員は施行地区内に数筆の土地を有していたとしても、一票しか持たないのが原則です(土地区画整理法38条1項)。つまり、施行地区内にどんなに多くの土地を有していたとしても、議決権としては、小さな土地しか有しない地主と同じ権利(一票)しか有しません。大地主にとっては酷なような感じがしますが、法律の定めはそうなっているのです。

そうすると、たとえば、

A B A B

という土地の場合には、議決権数としては、名寄によりABの2名になります。

これとの比較により、

A B AB 

という場合、名寄によりAB2名と考えるのが良いのか、名寄せをしないでABAB 3名と考えるのが良いのかの問題となります。単独で所有権を有していても名寄せされられてしまうのだから、共有で有していても名寄せするのがバランスとして宜しいのではないでしょうか。②のように考える人は、ABの共有となった場合には、AでもBでもない、Xになるのだ、と考えるのだと思いますが、実際には、いくらABが協議しても、ABとは違うXになるのは稀なのではないかと思います。

他方、

A  B  ABC

の場合には、Cが単独で土地を所有しておらず、共有の土地以外でCの意見表明の場もないので、この場合は、3人と考えてよいのでしょう。

問題なのは、

A  B  AC  BC

というバターンです。

この場合、①の考え方でも、Cが他に単独所有の土地を有していないので、ABACBCの4名になりますが、Cの意見表明の場がACBCの2つもあるようにみえますので、少々問題があるように思います。実際、ある組合で、このパターンを悪用され、単独所有地を持たない第三者と共有にすることで、事業反対派のたくさんの票を作り出され、大変苦労したことがあります。

ただし、②の考え方では、単独所有地があっても名寄せがされないので、さらに悪用されることになりますし、そもそもこの問題は「キメ」の問題というところがありますので、多少の弊害が生じるのはやむを得ないのでしょう。

というわけで、実務的には、①の考えで運用するのが適切だと思います。
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 今回は、先日たまたま有料の判例検索サイトを見ていたら面白い判例(東京地方裁判所令和2年4月7日判決)を見つけましたので紹介させていただきます。

 事案は、ある土地区画整理組合の施行地区内の地権者(組合員)が、従前地の立木を除却されたことと、従前地も仮換地も使用できなかったことを理由に、土地区画整理組合に損失補償金の一部の支払いを求める裁判を提起したというものです。

 これに対して、裁判所は、この組合員の訴えを不適法として却下しました。

 その理由は、

「損失の補償については、施行者と損失を受けた者とが協議しなければならず(法78条3項、101条4項、73条2項)、上記協議が成立しない場合には、施行者又は損失を受けた者は、収用委員会に土地収用法94条2項の規定による裁決を申請することができるとされており(法78条3項、101条4項、73条3項)、さらに、収用委員会がした損失補償の裁決に不服がある者は、裁決書の正本の送達を受けた日から60日以内に訴えを提起しなければならないとされ(土地収用法94条9項)、上記訴えについては、施行者がこれを提起した場合には損失を受けた者を、損失を受けた者がこれを提起した場合には施行者をそれぞれ被告とすることとされている(同法133条3項)。
 このように、法には、憲法29条3項の趣旨に基づく特別の規定が設けられている以上、法78条1項及び101条1項の損失補償の請求は、専ら上記規定所定の手続によってすべきであって、施行者と損失を受けた者との協議及び収用委員会の裁決を経ることなく直ちに施工者に対して補償を求める訴えは不適法というべきである(最高裁昭和60年(行ツ)第193号同62年9月22日第三小法廷判決・集民151号685頁参照)。」

というものです。

 実は判決の他の部分を読むと、この組合員は東京都収用委員会に、法78条3項、101条4項、73条3項所定の裁決の申請もしていて、その結論が出る前に、裁判所にも損失補償金の一部支払いを求める裁判を提起したようです。

 なぜそのようなことになったのか?もしかしたら東京都収用委員会の手続がなかなか進まないので、もしくは自分の思うようにうまく進まないので、裁判を起こしたのかな?などと推測しますが、いずれにしても、施行者との任意交渉と収用委員会の裁決を経た後でなければ裁判所は利用できないというところは覚えていても損はないでしょう。

 

・・・・・・

 このメルマガでは、土地区画整理の関係で、皆様が悩んでおられる法的な問題を募集しています。全てではありませんが、私が検討して、このメルマガ内で一般論として回答させていただきます。よろしくお願いいたします。

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 土地区画整理組合が保留地を売る場合、保留地売買契約書には、だいたい契約不適合責任(民法改正前は瑕疵担保責任と言われていました。)の規定があり、その行使期間は2年とされているのが普通です。

 ところが、保留地の売り始めの時期はいいのですが、最後の方になってくると、組合解散のスケジュールが近づいてきますので、売却後2年間の契約不適合責任を負うのが適当か?という問題があります。

 この問題について、私のアドバイスを先に言ってしまうと、「契約不適合責任を免責にして売却してください。」というものです。

 単に保留地売買契約書の契約不適合責任の条項を削除しただけですと、補充規範である民法第562条以下の契約不適合責任に関する規定が適用されてしまいますので、それを否定するため、契約書中に「売主は、買主に対し契約不適合責任を負わないものとする。」と、はっきりと契約不適合責任が「免責」であることを規定してしまうのがポイントです。

 私の経験からすると、このように契約不適合責任を免責にすると若干価額を下げざるを得ないのですが、そもそも土地区画整理事業で作った宅地であり、通常は、土地に契約不適合(瑕疵)があることは想定されないので、下げ幅はそれほどでもなく、最終的に保留地は売却できるのがほとんどです。

 他方、仮に買主から契約不適合責任を追求されて、任意の話し合いでは解決できず裁判にでもなると、売主の主張に全く理由がないとしても、それが解決するまで組合を清算結了することができず、弁護士費用や事務局の維持費などで全体的な損害額は決して少なくないのです。したがって、組合としては、無理して契約不適合責任をつけたまま保留地を売却するよりは、契約不適合責任を免責にして売った方が何倍も良いということになります。

 保留地の売却も終盤になってくると、このような問題が発生することになりますので、ご注意ください。

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1.土地区画整理組合の施行地区内に法人(企業)の大地主(組合員)がいる場合などに、よく「法人を理事にすることができますか?」という質問を受けることがあります。土地区画整理組合としては、大地主であるその法人に理事になってもらい、組合運営に積極的に参加してほしいと思ってのことですが、しかし、株式会社の例などで、法人が取締役になっているような例を聞いたことがないので、はたして法人を組合の理事にすることができるのか?という疑問が生じるわけです。

 

2.実は、この問題については既に立法的に解決されています。
土地区画整理法第27条第3項は「理事及び監事は、定款で定めるところにより、組合員(法人にあってはその役員)のうちから総会で選挙する。」と規定していますが、「組合員(法人にあってはその役員)」という部分が重要で、法人自体は理事になれないが、その法人の役員個人は理事になれる、と解釈されているのです。
 詳しく説明すると、法人の役員は、その法人が組合員であるという資格のもとで個人として組合の理事となる被選挙権が与えられます。したがって、その役員個人が、組合の組合員(地権者)である必要はありません。
しかし、あくまでも(いわば)法人組合員枠で理事となったので、その理事が法人の役員でなくなったときは、自動的に理事の地位を失います(土地区画整理法第27条第3項)。
ただし、理事となるのは役員個人であり、法人ではありませんので、その役員の後任として法人の新たな役員を理事にしたいときは、別途、組合の総会で選挙をしなければなりません(土地区画整理法第27条第1項)。
 以上は、どの文献をみても、法人の理事についての確定した解釈・運用であり、特に異論はないかと思います。

 

3.問題は、どうしてこんなに七面倒くさい規定になっているのかということです。
端的に、法人自体を組合の理事にすることができなかったのかな?と思います。この点を理解するには、日本では一般的に法人の役員は自然人でなければならない(または、できない)と原理主義的に考えられていた点が影響しています。

 例えば、会社法第331条第11号では法人は取締役になれないことになっています。この「法人取締役の不許」については、会社法の教科書として最も権威のある江頭憲治郎著「株式会社法」によれば、

「法人取り締役を認めない理由として、取締役の職務は個人的性質のものであること(田中耕・下386頁)、または個人に民事責任を課すことにより経営の適正を図る必要があること(河本・443頁)があげられている。」と説明されています。つまり、株式会社における取締役は自然人でなければあり得ないし、自然人とすることで適正なものとなると考えられていたのです。

 しかし、最近はこのような原理主義的な考え方は否定されています。すなわち、江頭教授は、上記の説明に続けて、

「しかし、外国には法人の取締役資格を認める例が少なくなく、〔中略〕わが国でも、〔中略〕法人に会計監査人、更生管財人等の資格が認められる(会社3371項、会更法672項)ことに鑑みると、立法論として、少なくとも閉鎖型のタイプの会社については、法人の取締役資格を認める余地はあろう。」

と記載しているのです。

 したがって、私としては、土地区画整理組合は施行地区内の地権者で組織される閉鎖型の法人ですので、法人を理事とすることを認めてもよかったのではないかなと思います。

 

4. いずれにしても、この法人組合員は理事になることができず、その法人の役員が理事になれるにすぎないという制度設計は、前述の法人の理事は自然人でなければならないし、そうするのが適当だとする考え方があったから、いわば立法的な妥協の産物として作られたものなのです。この点を理解すると、この分かりにくい土地区画整理法第27条第3項の規定がよく理解できると思います。 

 

◆弁護士 飛田 博

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少子高齢化(アクセスの負担や医療機関の充実等)や、コンパクトシティ構想(中心市街地の活性化)の観点から、今後、限られた中心市街地に多くの人々が住むために、集合住宅たるマンションの需要がさらに増えていくと予想しています。
今回は、マンションの管理費と修繕積立金(以下、併せて「管理費等」といいます。)の滞納者に対して、どのように対応していくかという点についてお話したいと思います

 

マンションは、管理費等を各区分所有者から徴収し、この管理費等によって、共有部分や敷地部分のメンテナンスが行われ、また将来的な修繕のための費用をプールしていくことになります。
管理費等の滞納者がいると、最終的に他の区分所有者が負担しなければならなくなるので、マンション全体の価値を下げることになります。「マンションは管理を買え」とよく言われますが、滞納者がいる事実だけでなく、管理組合もこのような滞納者を野放しにしているとなると、ますますマンションの価値を下げることになりかねません。
伝説のヴィンテージマンションとされる広尾ガーデンヒルズ(渋谷区)は、管理体制が抜群に良いと言われており、築36年を経過した今でも、購入希望者が後を絶たないそうです。(そもそもこのマンションに滞納者はいないとは思いますが…)仮にこのマンションに滞納者が出てきた場合には、管理組合はしっかりと対応するのでしょう。

 

さて、管理費等の滞納者に対する対応策ですが、実務上問題になった事例を紹介します。

 

①滞納者に対する水道・電気等の供給停止
水道光熱費を管理組合が集金する方式だと、管理組合がペナルティとして滞納者の部屋の水道や電気等の供給を停止することがしばしば行われます。

このような水道・電気等の供給停止について、裁判例(管理規約に、管理費等を滞納した場合には給湯設備をストップできる、という記載があるマンションの事例)では、「他の方法をとることが著しく困難であるか、実際上効果がないような場合に限って是認されるものと解すべきである」として、このような例外がない状況では、権利濫用であり、民法上の不法行為が成立するとして、損害賠償の請求が認められました(東京地判平成2130日・判時 137083頁)。

水道・電気等の供給停止は、滞納者に対する圧力として事実上の効果を発揮するとは思いますが上記のように最終手段として例外的に許容されるに過ぎないと考えられており、不法行為に当たらないとする裁判例もあるにはありますが、基本的にはNGであると考えたほうが無難であると考えます。

 

②区分所有法第58条に基づく使用禁止

区分所有法(以下「法」といいます。)第58条には、他の共同の利益に反する行為を行った場合において、区分所有者の共同生活上の障害が著しい場合等に、集会の決議(区分所有者及び議決権の各4分の3以上)に基づき、訴えをもって、当該行為にかかる区分所有者による専有部分の使用の禁止を請求することができる、とされています。

しかしながら、管理費等の滞納は、「他の共同の利益に反する行為」であると思いますが、裁判例では、「管理費等の滞納と専有部分の使用禁止とは関連性はない」として、法58条の請求を棄却しました(大阪高判平成14516日・判タ1109253頁)。

同裁判例では、法58条は、「専有部分で騒音、悪臭を発散させるなど他の区分所有者に迷惑を及ぼす営業活動をしている場合、暴力団構成員が専有部分をその事務所として使用し、他の区分所有者に対し恐怖を与える等の行動をとっている場合等」のための手段であると判示していますので、管理費等の滞納には、本条の使用禁止は使えないことになります。

 

このように、管理費等の滞納者に対し、上記の手段を使うことは困難であったり不法行為が成立してしまうおそれがあったりしますので、実務的には、以下の手段が考えられています。これは国土交通省が出している「マンション標準管理規約」(解説部分)においても説明がされています。

 

ⅰ法第7条の先取特権の実行(※専有部分の売却代金や専有部分の動産に対する物上代位)

ⅱ管理費等の請求訴訟(※判決(債務名義)を取得して滞納者の財産に強制執行)

ⅲ法59条による区分所有権の競売請求訴訟(※判決を取得して競売を申し立てる)

上記ⅲは最終手段であり、法第8条により特定承継人たる競落人に滞納管理費等を請求できるので、一旦滞納者を排除したうえで、新しい所有者から滞納管理費等の支払いを受けることができます。

強力ないわば外科的手段ですが、これを発動させるためには、各要件(共同生活上の障害が著しい等)を充たし、かつ滞納者に弁明の機会を与えたうえで、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数の決議が必要なので、ハードルが高く、皆の足並みを揃える必要があります。

 

まだ物件に滞納者が居住しているので、争っている間は非常に気まずさがあり、管理組合(区分所有者)としても穏便に済ませようとする傾向がありますが、このような紛争を放置するとマンションの価値全体に影響してきますので、区分所有者全員のためにも、きちんと対応していくことが必要です。

他にも、騒音、喫煙、ペット飼育、ゴミをめぐる問題、用途違反等の諸問題もあり、マンションは様々な考えや価値観を持った多数の方々と折り合いをつけながら居住していく必要があるので(戸建てでもこれらの問題はありますが)、お互い気を付けていきたいところです。

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 前回、メルマガ記事を書いたのは昨年7月。あれから、かなり時間が経過してしまいました。

 

 過去の記事を見返すと、当時、1BTC=100万円前後で推移していました。しかし、ご存知の方も多いかと思いますが、現在、1BTC600万円を超え、過去最高価格を更新しています(この記事を書いている2021/3/15 1505の時点で1BTC=648万円)。1年しないうちに、価格が6倍になった訳です。

 

 特に、昨年10月頃までは、まだ、1BTC=100万円台でした。しかし、年末・年始にかけて、1BTC=200万円、300円、と上昇し、一旦下落したものの、1月末頃から上昇し、500万円を突破しました。その後、2月末頃に、さらに一旦下落したものの、3月に入って巻き返し、上記のとおり、1BTC=648万円にまで至っています。

 

 その背景として、機関投資家の参入や、直近では、電気自動車のテスラが、15億ドル分のビットコイン投資を行った旨の発表が影響しているようです。

 

 さて、最近は、仮想通貨関係のニュースを検索すると、ビットコインの高騰に関する記事ばかり出てきますが、もちろん、仮想通貨に関してのニュースは、価格の話だけではありません。

 

 これまで、継続的にフォローしてきた、Libraに端を発する一連の動きについても、その後、大元のLibraサイドで、いくつかの動きがあります。

 

 まず、昨年12月、Libra(リブラ)は、その名称を、Diem(ディエム)に変更しました。意味としては、ラテン語で、Day(日)、だそうです。なぜ、名前を変えたか、といえば、マイナスイメージの払拭、特に、Facebookと距離を置いていることをアピールするためとされています。

 

 この点、簡単に、これまでの経緯をおさらいをしますと、

 

Facebookが主導して提唱したデジタルマネー「Libra」は、米国内外から、袋叩きにあいました。

②表面的には、安全性が確保されていない、等々、色々と批判されていましたが、本音ベースでは、(特にGAFA一角である)Facebookが中心となって、民間団体が、通貨類似のデジタルマネーを発行してしまうことに対する、中央銀行等の危機感があったのではないかな、と思います。

③その結果、Libraは、実質、頓挫の状況になったと見られました。

④ただ、そのような状況を尻目に、中国は、デジタル人民元の(早期)リリースを匂わせ、実証実験なども行いました。

⑤このような状況を見て、中国にやられるならば、ということで、デジタルドルの議論も活発化しました。

⑥さらに、日本を含めた各国で、自国通貨のデジタル化(CBDC)の検討もブームとなりました。

G20でも、デジタル通貨容認の方向性へと、舵を切った、と報道されるようになりました。

 

ここまで振り返ってみて、思うことは、

 ムード的に、だいぶ、LibraDiem)への風当たりが弱くなってきたのかな?

という点です。

 

 また、LibraDiem)サイドでは、これまで、批判を受けて、一部、仕組みを変更するなどしています。すなわち、Libraは、当初、複数の通貨をバスケットとした裏付け資産を持ち、価格を安定させる、という触れ込みでしたが、この点、不透明だ、等々、批判がされていました。そこで、現在では、LibraDiem)は、単一の通貨を裏付けとする方向性に転換し、現在、ひとまず、米ドルを裏付けとするコインの発行を準備中、という報道がされています。

 

 さらに、Libraのプロジェクトには、当初は、VISAなど、資金決済の業界の重鎮が参画していました。他方、銀行は、1行も参加していませんでした。個人的には、こういったメンバーの顔ぶれも、中央銀行等の危機感を煽った一因だったのではないかな、と推測します。しかし、その後、Libraに対する批判も踏まえVISAMastercardPayPalなどは、プロジェクトから脱退しました。そのため、顔ぶれの印象も、当初とはだいぶ変わったように思います(ちなみに、現在のメンバーで、有名どころとしては、例えば、UberSpotifyなどが参画しています。https://www.diem.com/en-us/association/#the_members)。

 

 以上の状況において、今回、Libraは、名前をDiemに変えて、過去のマイナスイメージの払拭し、Facebookとの距離をとっていることをアピールしているように思います。

 

 また、(これは、どこまで信用できるか分かりませんが)報道では、Diemは、20213月中の発行を目指している、とのことです。

 

 これまで、紆余曲折ありましたが、最初に業界に一石を投じたLibraが、Diemと名前を変えて、復活なるか?復活したとして、普及するか?

 

 今後の展開に注目です。

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新型コロナウイルスの影響で、今後新築マンションの供給数が減少するのではないかと言われていますが、それでも現在供給されているマンションの数は多く、流行りのタワーマンションをはじめ多くの人々がマンションに居住しています。
マンションの購入者は部屋の(区分)所有権を持っていますが、戸建とは異なり、区分所有法(以下「法」といいます。)という民法の特別法によってその権利関係が定められています。

さらに、マンションの専有部分(部屋内部等)と共用部分(廊下等)では権利関係が異なっており、専有部分については、自由に使用処分できる一方で(ただし、区分所有者の共同の利益に反する行為はできない。法6条)、共用部分については、自由に使用処分できるわけではなく、また民法の共有規定は適用されず(法12条)、以下のように民法の共有関係とは異なった制約が課されています(法13条~19条)。

 

①共用部分の分割請求は認められない。

②共用部分の共有持分の放棄は認められない。

③共用部分を「その用法に従って」使用できるに過ぎない。

④専有部分と分離して共有部分の共有持分を処分することはできない。

⑤共有持分に応じて、共用部分にかかる費用等の負担をし、利益を収取する。

 

以上のように専有部分と共用部分では、権利の帰属主体や利益収得等に大きな違いがあるので、当該マンションのある部分が、専有部分なのか、共用部分なのか、という区別は非常に重要になってきます。この点、専有部分というためには、「構造上の独立性」と「利用上の独立性」の両方が必要と考えられており(法1条参照)、「構造上の独立性」があるというためには、一般に、壁や天井、扉等で、物理的にその建物部分が他の部分から隔離されていることが必要とされ、他方「利用上の独立性」があるというためには、その建物部分が独立して建物の用途として利用できることが必要とされています。

この2つの基準によって、駐車場や廊下、バルコニー等が専有部分なのか共用部分なのかというところが判断されます。例えば、避難の用途のために、壊れやすい仕切りで2個以上接続されているようなバルコニーがあると思いますが、このようなバルコニーは、避難経路として他の人も利用することが前提となっていますので、「利用上の独立性」があるとはいえず、共有部分となります。
良い感じのマンション(?)などには、他の部屋の住人の往来ができないようなルーフバルコニーが付いていたりしますが、これは「利用上の独立性」があるので、専有部分となり得ます。(ただし、多くの場合、管理規約により一定の用法の制約がされます。)

また、区分所有法は、共用部分の変更、管理及び保存について規定しており、共用部分の「変更」(形状又は効用の著しい変更を伴うもの)は区分所有者及び議決権の4分の3以上の多数による集会決議で決する必要があり(法171項)、さらに、共用部分の「管理」(変更と保存の中間の概念)は区分所有者及び議決権の各過半数で決する必要がありますが(法181項)、共用部分の「保存」(清掃や蛍光灯の交換、破損個所の小修繕等)については各区分所有者が単独で行うことができます(同項但書)。一方で、共用部分の一部を改造して、新たに専有部分にして分譲すること等は、処分行為となりますが、これは共有者全員の合意が必要とされています。

分譲マンションは、第三者に賃貸に出すことができますが、賃貸に回している区分所有者の方は普段はそこに居住しないので、一般に共有部分の変更等についてあまり関心がない方が多いと考えられますし、区分所有者の家族構成(単身者、ファミリー層等)によっても関心の度合いも変わってくるので、決議が必要です、と簡単に言っても、実務上、決議をとるということがいかに難しいか分かります。

共用部分の変更、管理又は保存かどうかで、決議要件が変わってきますし、そもそも共用部分か専有部分かというところで、決議の要否も変わってきますので、これらの区別が非常に重要になってくることを頭に入れる必要があります。
分譲マンションは多くの方が関わってきますし、高額で社会的にも重要なので、マンション関係の法律の動向について今後も注視していきたいと思います。

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IMG_2790コロナ禍にあまり注目されていないようなのですが、この7月10日から遺言書保管法なる法律が施行され、法務局での「自筆証書遺言書保管制度」が始まりました。

http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00010.html 

この制度は、簡単にいうと全国の主要な法務局で、(自分で書く)自筆証書遺言書を保管してもらえるという制度です。

自筆証書遺言は、自分で比較的自由に作成できますが、作成や保管について第三者が関与していないため、本当に遺言者が作成したのか?とか、実は作成日が記載されておらず形式に不備があって無効だったとか、後々紛争になることが多く、また、誰も遺言書があることに気がつかず遺産分割協議が行われてしまうこともあるため、法務局で遺言書の形式面のチェックと保管をやっていただき、リスクを回避しましょうというのが制度趣旨のようです。 

法務局で預かったまま、遺言者が亡くなった場合、通常の自筆証書遺言では家庭裁判所の検認という手続が必要となるのですが、この制度を利用した自筆証書遺言書では検認が免除されるという特典もついてきます。

はじめこの制度のことを聞いたときは、法務局では形式面だけチェックを受けるといっても、内容面について色々と相談されると法務局側でも答えざるを得ないだろうから、実質的には、(公証人が作る)公正証書遺言とあまり変わらず、実際には公証人の仕事を奪うことになるのではないか?と感じたのです。
それにも関わらずこのような制度を作るのは、法務局では、コンピューター化及びIT化が進んで、どんどん職員の仕事がなくなってきているようなので、法務局内での仕事を作りたかったからなのではないか?などと邪推しておりました。

しかし、保管の際の手数料が3,900円と破格の安さなので、公正証書遺言との差別化はできているようです。公正証書遺言では、遺産のボリュームによって公証人の手数料は違いますが、想定される遺産規模が5000万円から1億円くらいですと、だいたい5万円くらいかかるので(http://www.koshonin.gr.jp/business/b01/q12)、公証人に相談にのってもらいながら丁寧に遺言書を作りたいときには公正証書遺言、自分で作りたいときには自筆証書遺言を作って、保管だけは法務局に任せるという整理が良いのでしょう。

ちなみに、この制度を作るときに参考とされたのが平成29年度法務省調査の次のリンクの報告書。http://www.moj.go.jp/content/001266966.pdf 

平成24年から平成28年までの5年間で、家庭裁判所の自筆証書遺言書の検認事件件数は、毎年1万6000件から1万7000件しかないのですが、7,659名からのアンケート回答をもとに、全国の55歳以上の方のうちの4.3%にあたる211万人の方が既に自筆証書遺言を作成済みで、992万人の方が今後自筆証書遺言を作成する見込みの方(合計1204万人)と推計します。そして、さらに、既作成の211万人のうち89万人の方及び今後作成見込みの992万人のうちの448万人が保管制度を利用したいと考えているものと推計するのです。この報告書によると、2020年度は21万人の方が、2021年から2023年までは、毎年12万人から13万人がこの制度を利用すると予想されています。私には今ひとつ実感がないのですが、もしこの報告書の推計があたるとすれば、かなり利用される制度になりそうですね。

まだまだ若手などと思っていましたが、私も気がつくと52歳。そろそろ遺言書でも作って法務局に預けようかしら。

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adtDSC_6205厚生労働省によると、73日時点において、新型コロナウイルスの影響で、勤め先から解雇や雇い止めにあった人が見込みも含めて全国で3万人(うち非正規労働者は約1万人)を超えたとのことです。
(厚生労働省:「新型コロナウイルス感染症に起因する雇用への影響に関する情報について(73日現在集計分)」https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000646779.pdf

 

新型コロナウイルスは多くの業界に影響していますが、今回は、新型コロナウイルスを理由として、正社員(期間の定めのない労働契約を締結している労働者)の解雇はできるのか?という点を検討したいと思います。

 

そもそも解雇とは、労働者との間に締結された労働契約を会社が一方的に解除することをいいますが、解雇と言っても、普通解雇(社員の勤務態度、仕事の能力などを理由に行われる解雇)、懲戒解雇(重大な違反行為をした場合の解雇)、整理解雇(会社の経営難を理由とした解雇)などがあります。
新型コロナウイルスを理由とした解雇は、会社の経営難を理由とした解雇ということになると思いますので、整理解雇に位置づけられるでしょう。

 

労働契約法では、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」(第16条)と定められていますが、特に普通解雇と整理解雇などを区別しているわけではなく、また「合理的な理由」や「社会通念上相当」かどうかは解釈に委ねられています。
実務上、整理解雇の合理性・相当性については、以下の4つの要素によって判断されるとされています。ただし近年では、「退職条件」(割増退職金の支払い、就職先のあっせん等)の有無・程度も考慮要素にしている裁判例もあります。

 

①人員削減の必要性

②解雇回避努力

③人選の合理性

④手続の相当性

 

この中の解雇回避努力(②)について、解雇をすると従業員の生活の糧を奪うことになるので、いわば最終手段的なものであり、会社としては解雇を避けようと努力したけど結局駄目でした、という事実が重要になります。
一般的には、整理解雇をする前に、経費削減、時間外労働の中止、新規採用の中止、賞与の支給停止、休業、非正規労働者の労働契約の解消、希望退職者の募集などを行い、それでも会社の経営状況から考えて整理解雇をせざるを得ないといえる場合には、この解雇回避努力(②)を充たしていると評価されます。

 

また、今回、新型コロナウイルスに対する各種救済制度があるので、解雇回避努力(②)を充たしているといえるためには、これらの利用を検討する必要もあるでしょう。
ただし会社の経営状況によっては、上記の経費削減等の策をとっている暇がない場合もあるので(人員削減の必要性(①)の程度が高度な場合)、まずはこの救済制度が利用できないかを検討することもあり得ると思います。

 

この救済制度ですが、例えば、厚生労働省の雇用調整助成金、経済産業省の持続化給付金(中小企業向けの給付金)、各金融機関による事業者の元金弁済期の猶予(リスケジュール)等の支援、日本政策金融公庫や商工組合中央金庫の新型コロナウイルス感染症特別貸付、各自治体による支援制度(融資のあっせん、利息負担の軽減等)などがあります。

 

上記の雇用調整助成金は、労働者を休業させた場合に支払う休業手当の一部を助成する制度ですが、いち早く大手航空会社のANA(全日本空輸)は客室乗務員の休業を行い、この雇用調整助成金の申請をしたことがニュースになりました。
雇用調整助成金は、今回の新型コロナウイルス騒動の前からあった制度であり(今回、助成率や上限額が引き上げられました。)、2008年のリーマン・ショックの時にも多くの会社が利用して、雇用維持につながったという事実がありますので、今回も大いに活躍することが予想されます。

 

その他に、上記要素(①、③及び④)の有無・程度も重要になってきますので、「新型コロナウイルスを理由とした(整理)解雇はできるのか?」という問いは、簡単に答えが出るものではなく、諸事情を総合的に検討する必要があります。

 

新型コロナウイルスによって各業界が大きな打撃を受けており、今後整理解雇が増えていくおそれがありますが(最初の段階は退職勧奨や希望退職者の募集が増えるおそれ)、労使双方が休業や各種制度の利用について協議・検討できれば、解雇にまで至らないケースもあると思いますので、労使が一緒になって今回のコロナ禍を切り抜けるための方策を模索できればと思います。
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IMG_2791(以下は、2020年6月23日に発行したメルマガの記事ですが、7月21日現在もあまり状況は変わっていませんので、ブログに掲載することにしました。)

東京では、政府の緊急事態宣言が5月25日に解除され、その後の都庁の「新型コロナウイルス感染症を乗り越えるためのロードマップ」も6月12日には最終段階のステップ3に以降し、現在は、大型イベントを除いて、全ての業種において休業要請も終了しました。
皆様の生活においても、マスク着用・手洗い励行・三密回避などのコロナ対策は維持しながらも、徐々に普段の生活に戻りつつあるのではないかと思います。

ところが、裁判関係の仕事はまだ全然戻っていません。

約2ヶ月間の自粛期間中、裁判の期日は、保全事件などの一部の事件を除き、民事事件も刑事事件も全て取り消され、何も動いていませんでした。裁判は、国民の権利を守るための大切な活動であり、「不要不急」のものとは思われませんので、今にしてみれば裁判所のこの判断自体にも議論があるところだと思います。しかし、4月7日に政府の非常事態宣言が出た段階では、新型コロナウイルスがどのような猛威をふるうかわからず、欧米諸国のように医療崩壊を起こして、何万、何十万の死者が出るリスク(なにもしなければ42万人の死者といわれていましたね。)があったのですから、私はこの裁判所の対応を非難するつもりは毛頭ありません。
ただ、これからが重要だと思うのです。言うまでもなく、我々法曹関係者は早く裁判(司法)を正常な状態に戻さなければなりません。
そうしなければ、せっかく医療従事者がコロナ感染の危険にさらされながら、国民の命や健康を守ったのに、我々法曹が怠慢なために社会が不健康になったなどと言われかねないからです。
我々は、法曹になったころの初心を思い出して今頑張るべきだと思います。

現在、我々の事務所では自粛期間中に期日が取り消された約10件の裁判のうち、新しい期日が決まったのはたったの1件です。
それから、我々の事務所では、6月に入って立て続けに3件の新件の訴え提起をしましたが、まだ1件も第一回口頭弁論期日が決まっていません。
裁判所からは何も連絡がない毎日です。歯がゆい日々が続きます。

 

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