タグ:セクハラ

既に、大々的に報道されたセクハラ発言に関するニュースですが、このブログでも取り上げると、


(2015年2月27日日本経済新聞朝刊41頁)

大阪市の水族館「海遊館」の男性管理職2人による女性派遣社員へのセクハラ発言をめぐり、会社側が警告せず出勤停止とした懲戒処分が重すぎるかが争われた訴訟の上告審判決が26日、最高裁であった。第1小法廷(金築誠志裁判長)は判決理由で「会社内でセクハラ禁止は周知されており、処分は重すぎない」として、処分を無効とした2審・大阪高裁判決を取り消した。


とのことで、既に判決本文も、最高裁のHPに掲載されています。

 http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/883/084883_hanrei.pdf


この判決の『別紙』部分にどのような発言をしたかが詳しく記載されていますが、あまりこのブログで引用するのは適当ではない内容なので引用は控えます。
しかし、男性の皆様は読んでおいた方がよいでしょう。


判決によると、セクハラ発言をしていた男性管理職2名は、平成3年と平成4年の入社ということですので、私と歳が近い40代後半なのかな?と推測います。我々の世代はまだセクハラ発言が職場で散見されていた時代を知っています。
しかし、もう時代は変わりました。
この男性管理職は、自分の発言は職場の女性に許されていると思っていたとか、職場の雰囲気を明るくするために発言していたという趣旨の言い訳をしていたようなのですが、もはやそのような勘違いが許されなくなっています。
職場では性的な言動は一切しない方がよいでしょう。

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sakura
(昨日の夕方に、広尾一丁目で撮った写真です。今年の冬は寒かった印象がありますが、
桜の開花は早いですね。東京は今週末が満開のようです)



3月19日の記事の最後に、同記事で取り上げたセクハラ事件の弁護士費用が、訴え提起から判決まで約2年もかかった事件なのに、10万円が相当とされたことについて衝撃を受けたことを書きました。

で、昨日祝日だったので、一日、何が問題なのかつらつら考えていましたが、今の民事訴訟手続であの種の事件を解決しようとすると、あのような結果になってしまうのではないかと思った次第です。つまり、10万円が問題なのではなく、解決までに2年もかかってしまったことが問題ではないかということです。

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いし井のしな蕎麦


今回の記事とは全く関係がありませんが、弊事務所の近くにある「いし井」というラーメン屋さんの支那ソバ(上)です。比内地鶏を使った濃厚スープで、とっても美味しい。癖になります。



1.会社の対応は?

女性従業員からセクシャルハラスメント(以下「セクハラ」といいます。)の被害の申し出があった場合、会社としてはどのような対応をすればよいのでしょうか?

もちろん、きちんとした事実の調査と、(それによりセクハラ行為が認められれば)行為者に対する処分や再発防止に向けた毅然とした対応ということになります。

2.厚生労働省の指針

この点につき、2006年に改正された男女雇用機会均等法第111項は、「事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。」と定めており、事業主に対して、セクシュアルハラスメント対策として雇用管理上必要な措置を講ずる義務を課しています。そして、同条2項に基づいて、厚生労働省は、次のとおり、事業主が講ずべき具体的な措置9項目を定めているのです。

●男女雇用機会均等法が定める「事業主が雇用管理上講ずべき措置」9項目(厚生労働省HPより抜粋)

1 事業主の方針の明確化及びその周知・啓発

 (1)職場におけるセクシュアルハラスメントの内容・セクシュアルハラスメントがあってはならない旨の方針を明確化し、管理・監督者を含む労働者に周知・啓発すること。

 (2)セクシュアルハラスメントの行為者については、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等の文書に規定し、管理・監督者を含む労働者に周知・啓発すること。

2 相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備

 (3)相談窓口をあらかじめ定めること。

4)相談窓口担当者が、内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること。

  また、広く相談に対応すること。

3 職場におけるセクシュアルハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応

 (5)事実関係を迅速かつ正確に確認すること。

 (6)事実確認ができた場合は、行為者及び被害者に対する措置を適正に行うこと。

 (7)再発防止に向けた措置を講ずること。(事実が確認できなかった場合も同様)

4 1から3までの措置と併せて講ずべき措置

 (8)相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、周知すること。

 (9)相談したこと、事実関係の確認に協力したこと等を理由として不利益な取扱いを行ってはならない旨を定め、労働者に周知・啓発すること。

女子従業員からセクハラ被害の申し出があった場合には、上記措置のうち(5)及び(6)が問題となます。

厚生労働省の指針によれば、「(5)事実関係の迅速かつ正確な確認」をしていると認められる例として、「相談窓口の担当者、人事部門又は専門の委員会等が、相談者及び行為者とされる者の双方から事実関係を確認すること」、「双方の主張に不一致があり、事実の確認が十分にできないと認められる場合には、第三者からも事実関係を聴取する等の措置を講ずること」を挙げています。

また、(6)の例としては、「就業規則等の規定に基づき、行為者に対して必要な懲戒その他の措置を講ずること」、「併せて事案の内容や状況に応じ、被害者と行為者の間の関係改善に向けての援助、被害者と行為者を引き離すための配置転換、行為者の謝罪、被害者の労働条件上の不利益の回復等の措置を講ずること」を挙げています。

3.裁判例の検討

では、実際に裁判に現れた事例として、東京地裁平成24年8月2日判決(Westlaw文献番号2012JPCA08028001)を検討してみましょう。

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