最近、倒産事件の講義をしているため、倒産関係の文献を読みあさっていますが、ちょっと興味深かったのが、金融法務事情1965号19頁の『東京地方裁判所における破産事件の運用状況』という東京地裁民事第20部の裁判官によって書かれた記事中の統計資料です。

年度破産事件全体管財事件同時廃止法人
新受既済未済新受(管財事件率)未済新受未済新受
平成20年24,47623,5695,78912,85652.52%5,68711,6201023,178
21年24,44724,0746,16213,92056.94%6,02610,5271363,525
22年22,21523,3495,02812,05854.28%4,89110,1571373,228
23年18,51419,2624,27810,45456.47%4,2168,058622,909
24年15,92316,4143,7879,33558.63%3,7366,588512,866

この表は、一部しか引用していませんが、記事によると、平成6年から15年までは破産事件の新規受付件数は増加し、その後平成16年・17年と減少傾向となり、平成18年・19年に再び増加に転じ(平成19年は過去最高となった)、その後は、現在まで減少傾向が続いているとのことです。

平成20年9月にリーマンショックがあって、日本経済は(それ以前からではありますが)低迷を続けていると思っていましたが、破産事件数でみると、むしろ減少なんですね。ちょっと意外でした。(ただ、平成20年度から平成21年度にかけて法人破産事件の新受件数がちょっとだけ増えているのはリーマンショックの影響でしょうか。)
実務弁護士の感覚としても、最近破産事件が減っているななどと感じていましたので、数字で裏付けられた形です。全体の東京地裁の新受件数が5年前の63%ぐらいの数になっているので、かなり少なくなっていますね。

このような破産事件の数の減少については、金融円滑化法の影響が大きいのではないかという分析がありますが、それ以前から減少傾向が始まっているようでもあり、人口減・少子化などの影響もあるのでしょうか。
最近は、今年3月31日で金融円滑化法が失効したので、破産事件が増えるのではと言われています。
しかし、今のところ、実務感覚としてあまり動きがない感じがしますし、逆にアベノミクスで経済が良くなっているというような話もありますね。
経済は本当によくわかりません。

いずれにしても、今後の動向に注目したいと思います。