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日本経済新聞2018年3月20日夕刊1面の「自動車運転で死亡事故 ウーバー車、米で歩行者はねる」との見出しの記事の抜粋


「米ライドシェア最大手ウーバーテクノロジーズの自動運転車がアリゾナ州で歩行者をはね、死亡させる事故が起きたことが19日までに分かった。同社はペンシルべニア州ピッツバーグなど他地域を含む北米4都市すべての公道での自動運転車の走行試験をいったん中止した。」


「米紙サンフランシスコ・クロニクルによれば、地元警察は歩行者が急に飛び出し、人間でも避けるのが難しい事故だったとみているという。」


「米国では既に1000台以上の自動運転車が実験走行中で、台数は急速に増えている。事故が起きたアリゾナ州は規制緩和が進み、無人運転の実験も始まっている。自動運転開発の世界的な中心地カリフォルニア州でも4月に無人運転が解禁される予定だ。」

(私のコメント)
事故でお亡くなりになった方にはお悔やみ申し上げますが、自動運転がもうそこまで来ているなと少々衝撃を受けました。あと5年〜10年後には、人間が自動車を運転することはなくなっていくのかもしれませんね。そうすると、たしか、損保会社の売り上げの半分は自動車保険と聞いたことがありますので、損保業界には大変動が起きることになるのでしょう。そして、もちろん、交通事故を主な収入源としている法律事務所・弁護士先生の仕事にも大変動が起きるのでしょうね。そんなことを考えた記事でした。

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新年早々、有名女性アナウンサーC氏が交通事故を起こしたとの報道がありました。C氏は、駐車場内を運転中、過って被害者1名を轢き、死亡させてしまったとのことです。
このような事故では、被害者やご遺族の方には本当にいたたまれないことであると思うし、また加害者のC氏にとっても、今後の人生にとって大変な痛みを負う出来事であると思います。

ところで、この事件において、警察はC氏を逮捕せず、書類送検する方針を固めたと報じられたことで、C氏を逮捕すべきであったのかどうかについてマスコミやネット上で論じられ、物議を醸しています。

逮捕すべきであったと主張する人は、
① 人の生命が奪われるという重大な結果が発生したのであるから、逮捕されてしかるべきである
② 同種の事件で逮捕された人もいるのに、不公平である
③ 有名人であるとか身内に有力者がいるから逮捕されなかったのは不公平である
ということを理由しているようです。

この点、法律上はどうなっているかというと、逮捕状により逮捕(通常逮捕)をする場合は、その要件が定められており、
① 被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由
② 逮捕の必要性
2点を充たすことが必要とされていいます(刑事訴訟法第199条第2項)。

これは、「逮捕」とは、重大な人権侵害にあたる身体拘束であるため、たとえ罪を犯したことが疑わしい人物であっても、安易に身体拘束することは許されず、逃亡のおそれとか罪証隠滅のおそれといった「逮捕の必要性」も備わっていることが求められているからです。

交通事故で逮捕される場合は、(逮捕状による逮捕ではなく)現行犯逮捕が多いのですが、現行犯逮捕の場合には、条文上「逮捕の必要性」は明記されてはいません。しかし、警察が逮捕する場合には安易な身体拘束は許されないため、やはり「逮捕の必要性」が必要だと考えざるを得ないと思います。

この点について、国家公安委員会の定める犯罪捜査規範においても、「身柄拘束に関する注意」として、

交通法令違反事件の捜査を行うに当たっては、事案の特性にかんがみ、犯罪事実を現認した場合であっても、逃亡その他の特別の事情がある場合のほか、被疑者の逮捕を行わないようにしなければならない(第219条)。
と定められており、逮捕にあたっては「逃亡」や「特別の事情」が必要とされています。

以上からすれば、安易に「被疑者を逮捕せよ」と主張することは適当ではなく、個々のケースに鑑みて、逮捕の必要性が認められる事案であるか否かを注意深く検討することが必要ということになります。

今回の事件についてC氏が逮捕されなかったのは、C氏が罪を犯したことは疑いないにせよ、逃亡のおそれとか罪証隠滅のおそれといった「逮捕の必要性」の有無を検討した結果、身体拘束の必要なしと判断されたものであると考えられるのです。

先に紹介した、逮捕すべきとする意見については、
①については、捜査と刑罰を混同しているということがいえると思います。たしかに人の生命を奪うという重大な結果を引き起こした以上、その責任をとるべきであることは間違いないのですが、それは「刑罰」によってなされるもので、捜査を行うための逮捕とは性質が異なります。たとえ逮捕されなかったからといっても、逮捕された場合より刑罰が軽くなることではなく、犯した罪に対する相応の刑罰が科されることになります。

また、故意に人の生命を奪ったような被疑者であれば、刑が重くなることを見越して逃亡してしまう可能性が高まるとも考えられますが、通常の交通事故の場合は、公訴が提起されても(即ち裁判が行われても)、現在の量刑相場では執行猶予となることが一般的ですので、重大な結果を起こしたから逃亡のおそれが大きくなるということもいえないと思います。

②については、同じ類型の事故であるとしても、逮捕の必要性や、逮捕すべき特別の事情の有無については、個々の被疑者の状況に鑑みてケースバイケースあるため、扱いが異なるのはやむを得ないということがいえるでしょう。

③については、根拠のない憶測のようなのですが、実務的な感覚としては、交通事故で死亡事故を起こした場合でも逮捕されないケースは多くあり、有名人であるとか、身内に有力者がいるから逮捕されなかった、というわけではないように思います。

「交通事故」は他の犯罪と異なり、一般の人でも加害者となり得るものですので、「死亡事故を起こしたら即逮捕」という運用になることの方が危険だと思うのですが、いかがでしょうか。

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