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すでにネットで話題となっておりますが、有斐閣のホームページで、江頭憲治郎早稲田大学教授(元東京大学教授)の株式会社法の第5版が7月下旬に発売されることが発表されております。

案内によれば、「第5版では,平成26年会社法改正(監査等委員会設置会社,多重代表訴訟,特別支配株主の株式等売渡請求などの制度の創設),産業競争力強化法の制定などの法改正および新判例を織り込んだ。」ということですので、実務家としては買わざるを得ないでしょう。

この本は、株式会社法のあらゆる論点・判例・学説が網羅された、本当に素晴らしい体系書だと思います。(なかなか時間がとれませんが)もし学生時代のように時間があれば、是非、通読・精読したい本ですね。

ちなみに、弘文堂のtwitter(3月11日)によると、神田秀樹教授の『会社法』(第16版)は、今年の秋発売予定のようです。もうじき公表でしょうか。
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(豆シリーズ、今週は夏らしく「枝豆」です。)


本日は、【豆知識16日目~20日目】をお届け致します。 

【豆知識 16日目】 相続人に対する株式の売渡請求ってなんですか?

株式譲渡制限会社では、定款で定めることにより、株主に相続が生じた場合、相続人に株式を会社に売り渡すよう請求することができるようになったよ。会社の経営が創業者の二代目、三代目に移ると、株式も一族に分散しがちになるから、中小企業にとってはとっても嬉しい制度だよね。事業承継のプランニングでよく使われてるよ。

 

【豆知識 17日目】 株式譲渡制限会社における新株発行は?

株式譲渡制限会社では、募集株式の発行は、株主に平等に割り当てるのが原則で、それ以外は、株主総会の特別決議が必要になるよ。これに対して、株式譲渡制限会社以外(公開会社)では、著しく低い価格による発行でない限り、取締役会決議のみで募集株式の発行が可能なんだ。だから経営陣の暴走を防ぐ意味でも、中小企業は、株式譲渡制限会社にしなくちゃね。

 

【豆知識 18日目】 株券はどうなっちゃったの?

会社法施行前は、定款に定めがない限り、株券を発行するのが原則だったけど、会社法施行後は、定款に株式を発行する旨の定めがない限り、株券を発行しないのが原則だよ。だから、株式といっても、株券があるわけではないので注意してね。

 

【豆知識 19日目】 額面株式ってまだあるの?

昔は、50円株とか500円株とか5万円株とか額面株式といわれるものがあったよね。でも、でも、今は、会社法が施行される前の平成13年から、既に、株式には無額面株式しかないんだよ。株券が発行される場合でも、株券には券面額の記載はなく、株式数のみ記載されるんだ。もうずっと前から「額面」というのは、会社法上はあまり意味のない概念なので覚えておいてね。

 

【豆知識 20日目】 裁判所には労働専門部があるの?

霞が関にある東京地裁(本庁)には、民事事件を扱う部が「50」もあるんだ(ちなみに大阪地裁は「26」)。このうち、労働事件を専門的に扱うのが、第11部、第19部、第36部の3つだよ。労働関係に関する主な訴訟のほか、労働関係保全(仮差押えや仮処分)事件、労働審判等を扱っているんだ。
 

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(豆知識にちなんで、お豆の写真です。)


本日は【豆知識6日目~10日目】をお届け致します。 
弊事務所の公式Twitterから情報を発信しております(https://twitter.com/wisdomlawoffice)。
豆知識のほか、ブログの記事の更新もタイムリーにチェックいただくことができます。
フォロー自由となっておりますので、ぜひフォローして、情報収集にお役立てください。


【豆知識 6日目】 (会社法) 株式譲渡制限会社ってなに?

会社法では、すべての株式の譲渡(売買や贈与)について、定款で会社(株主総会または取締役会)の承認が必要とされている会社のことを「株式譲渡制限会社」といい、これに対して、全てまたは一部の株式について譲渡制限のない会社のことを「公開会社」っていうんだ。「公開会社」といっても上場しているわけではないから注意してね。

 

【豆知識 7日目】 (会社法) 株式譲渡制限会社のメリットはなに?

中小企業のほとんどが株式譲渡制限会社だけど、これは、株式譲渡制限会社にすると、中小企業にとって都合のいい機関設計やルールを取り入れることができるからだよ。中小企業であれば、まず株式譲渡制限会社にすることを考えてね。

 

【豆知識 8日目】 (会社法) 取締役会は設けなければいけないの?

株式譲渡制限会社では、株主総会のほかは、取締役一人という機関設計も認められているんだ。つまり、取締役会とか監査役を設けなくていいから、会社の組織を単純な形態にすることができるよ。

 

【豆知識 9日目】 (会社法) 取締役設置会社の機関設計はどうなるの?

株式譲渡制限会社でも、取締役会を設けると(取締役会設置会社)、取締役は3名以上選任しなければならないし、監査役か会計参与を置く必要があるんだ。「株主総会+取締役1名」の組織よりも、とても複雑な組織になるよね。

 

【豆知識 10日目】 (会社法) 会計参与ってなに?

会社法では、税理士や公認会計士等を「会計参与」として株主総会で選任して、取締役と共同で決算書を作成することが認められているよ。これによって、会社の決算書等の信頼性が高まることを期待しているんだ。まだ一般的な制度ではないけど、他社と差別化するために、採用してみることも考えられるよね。 

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昨日、アマゾンで神田秀樹教授の『会社法』の第15版が出版されているのを知り、早速注文しました(今日には届くはず)。

この本は、会社法全体をコンパクトにまとめた好著で、会社法の制度や判例や学説を簡潔に知りたいときによく参照させていただきています。会社法関係の文章を
さらっと書きたいときに参考にするという感じです。

平成1310月に初版が発行されてから、現在まで(約12年間)に15回改訂されています。毎年更新されていますので、「第15版」というような呼び方ではなく、「平成25年版」とか(年に2回更新されるときは)「平成25年版(1)」とか「平成25年版(2)」とかいうような呼び方にした方がわかりやすいかもしれません。
また、私は、職業柄、第15版まで全の版を購入していますが、学生等には、(1冊2500円程度とはいえ)毎年購入するのは負担が大きいように思いますので、電子書籍にして、ソフトウェアのようにup date版は値段が下がるような仕組みにしていただけると嬉しいと思います。

冗談はさておき、前述のとおり、この本は、会社法全体をコンパクトにまとめた好著です。全体で365頁ほどなので、いつも一度通読して頭を整理したいと思うのですが、いざ覚悟を決めて、1頁目から読み始めると、すぐに改訂版が出てしまうので、途中で断念することになります。しかし、第15版が出版されたばかりの今は、絶好のチャンスです。私と一緒に読み進めていただける仲間(主として学生)を探していますので、興味のある方は弁護士飛田までご連絡ください。5人くらい集まれば読書会をしたいと思います。

あまり大きくは報道されませんでしたが、最近起きたエース交易株式会社(エース交易)の件は、報道とIR(投資家向けの広報活動)から見ていただけですが、弁護士として非常に興味深かったです。
私が、報道や同社IRから知り得た概要は次のとおりです(なお、エース交易以外の、固有名詞等は表示していません。)。

(1) エース交易は商品先物取引業を中心とする投資サービス業を営んでいる上場会社(JASDAQ上場)ですが、平成24年9月6日に、同社代表取締役社長名義で、同日開催の取締役会において、①T社グループとの平成24年4月27日付資本業務提携契約の解消に向けた交渉を開始すること、及び②同契約の締結に同社の元役職員による不適切な関与が疑われるため、外部専門家による第三者調査委員会を設置することを決議したことを同社IRで発表しました。
http://www.acekoeki.co.jp/ir/newsrelease/edited/348.pdf


ちなみに、同社の平成24年4月27日付IR「資本業務提携基本協定書の締結に伴う資本業務提携交渉の開始及び第三者割当による新株予約権の発行に関するお知らせ」によると、T社とは、
「2004年に設置された外国籍の信託です。T社は、E社、E証券株式会社及びTH社を保有し、TRその他様々な会社に主要株主として出資しています。尚、T社のグループ企業であるTRSが提供するTR Compassは、グローバルな機関投資家に提供するアジアマーケットを対象としたトレーディング・プラットフォームです。具体的には、アジア地域を中心として、14ケ国及び12市場外リクィディティープールにおいて、約700ブローカー及び24証券取引所の接続実績があります。」という趣旨の説明されています(が、ちょっと私にはよくわかりません。)。

いずれにしても、エース交易は、今年の4月27日に、T社と資本業務提携基本契約を締結し、それに伴い、T社側の4名がエース交易の取締役となり、そのうちの一人は、代表取締役会長になっています(以下、T社の推薦をうけた4名の取締役を「T社グループの取締役」といいます。)。

有価証券報告書によれば、エース交易の取締役は7名ですので、T社グループの4名の取締役が過半数を占めており、通常であれば、上記のような取締役会決議は成立するはずがないのですが、上記9月6日付IR文書によれば、T社グループの取締役は「利害関係人に該当するため、決議には参加しておりません。」とありますので、利害関係人の理論(会社法第369条第2項)を使って、代表取締役社長を中心とする3名の取締役のグループ(社長グループ)だけで決議したことが窺われます。

しかし、法的には、取締役会決議から排除しなければならない「利害関係人」とは、取引の相手方である等々のもう少し直接的な利害関係が必要で、今回のように業務提携先から推薦を受けて取締役になったというだけでは無理があるのではないか? 利害関係人の該当性を肯定するようなもう少し何か別の理由があるのかな? というように思って注目していました。

(2) 続けて、さらに、翌7日には、社長名義で、3名の弁護士(そのうち2名が検察官出身です。)で構成される第三者調査委員会を立ち上げたことをIRで公表されます。
このような第三者調査委員会を突然立ち上げることは不可能ですから、おそらく事前に準備をしていたのでしょう。
http://www.acekoeki.co.jp/ir/newsrelease/edited/349.pdf


(3) これに対して、T社グループの取締役も反撃に出ます。2日後の9月9日に、代表取締役会長名義で、大阪証券取引所の適時情報開示サービスに、「代表取締役の異動及び平成24年9月6日付及び同7日付で当社より出されたお知らせについて」と題する文書を公表しました。この文書の中で、同社会長は、T社との資本業務提携解消に向けた交渉を開始する等の9月7日の取締役会決議は、特別利害関係人の該当性等について問題があることを理由に無効又は不存在であり、同日別途開催した取締役会で、代表取締役社長を解職したことを主張したのです。
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120120909004502.pdf


(4) しかし、ここでも、社長グループの動きは非常に迅速でした。9月9日の会長名義のIRを受けて、同日、すぐに、社長名義で、IR文書を公表したのです。そこでは、会長の主張している社長解職の取締役会決議は、適正な招集手続を経ておらず、T社グループの取締役だけが出席して行われた違法なものであることを主張するとともに、
「当社は、当社代表取締役会長を含むT社側の取締役4名が、当社の利益ではなく、T社及び当社一部株主の利益を優先し、当社財産の社外流出(約16億円)を図った事実を、具体的証拠を提示して説明し、その上で、当社代表取締役会長の代表取締役の解任を決議するため、平成24年9月11日(火曜日)午前9時に、当社取締役会を開催する通知書を発しました。」
「当社取締役会は、T社側の取締役4名により支配されているため、上記取締役会決議が成立する可能性は少ないものの、かかる取締役会において全ての事実を開示します。T社側の取締役4名も、当社取締役としての善管注意義務・忠実義務に従い、その職務を果たすことを期待しています。」

「取締役会決議の成立の有無を問わず、上記取締役会の決議結果及び審議の詳細は、直ちに、記者会見を開催して公表する予定です。」
などと発表したのです。

(5) ただし、9月11日の記者会見については、「都合により中止にさせていただくことになりました。」というIR文書がエース交易のホームページに公表されただけで、結局開催されず、その後、しばらく沈黙が続きます。

私としては、①これからどうなるのかな? ②法的には、(解職を主張されている)代表取締役社長がいまも会社に出社して職務執行を行っているということなので、会長らが、長とエース交易を相手方にして、代表取締役職務執行停止及び代行者選任の仮処分の申立てでも行うのかな? ③しかし、裁判所で選任される職務代行者は弁護士がなるのが普通だが、先物商品取引の会社の職務代行者を務められる弁護士がいるのかな? ④このまま紛争状態が続くと会社自体の存続が厳しくなるのではないかな? などと興味津々で注目していたのですが、なかなか動きがありませんでした。

(6) しかし、9月24日に、エース交易のIRで、遂に「取締役による合意及び当社持ち株会社制への移行中止、商号変更の中止並びに代表取締役の選任について」というIR文書が公表されました。
http://www.acekoeki.co.jp/ir/newsrelease/edited/353.pdf


この文書では、冒頭で、「本日開催された取締役会において、社長グループの取締役3名は、エース交易株式会社とT社グループとの資本業務提携契約の背景事情及び内容について誤解があったことを認め、T社グループの取締役は、その誤解が相互の不十分なコミュニケーションに起因するものであったことを認め、相互に謝罪いたしました。かかる誤解に鑑みれば、エース交易株式会社及びその取締役のいずれもT社グループによる不正な行為はなかったものと考えております。」と穏当な結論が述べられていますが、具体的には、


①〔T社グループとの資本業務提携の一環として進められていた〕持株会社制への移行中止及び商号変更の中止

②〔T社グループとの資本業務提携の一環として進められていた〕T社グループへの会社の予約権引受の中止

③〔T社グループの取締役により解職が主張されていた〕社長の代表取締役への再選任

等が合意されています。さらに、T社グループの取締役の1人が辞任したことが発表されるとともに、一番重要なT社グループとの資本業務提携については、「今後その方向性について改めて検討していくことを予定しており、詳細につきましては、確定次第、適時開示してまいります。」とされています。

つまり、内容的には、社長グループの取締役の言い分の大部分が認められたと言って良いでしょう。
法的にみると、T社グループの取締役は取締役会の過半数を占めており、かなり有利な立場にあったはずです。それにもかかわらず、このような結果となったのは、T社グループの方に(善悪は別として)何らかの弱い点があったのかな?と推察する次第です。
それにしても、(どこだかわかりませんが)社長グループのバックでアドバイスしていた法律事務所(弁護士)は、とても見事な腕前だったと思いますね。

この案件の大きな山は越えたと思いますが、今後もT社グループとの資本業務提携の解消をどのように進めていくか等々について色々と動きがあると思いますので、今後も注目していきたいと思います。

会社法 第14版 (法律学講座双書)

(本文とは関係ありませんが)会社法の教科書のスタンダード、神田秀樹著『会社法 第14版』です。
実務では役に立たないなどと思われるかもしれませんが、実はこの本に書いてある知識があればほとんど恐いものはありません(細かい論点は、コンメンタールや判例や論文で補充すればよい。)。お勧めします。

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