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現在進められている民法(債権法関係)の改正については、2014年7月に「改正に関する要綱案」が出る予定でしたが、スケジュールに少々遅れが生じているようであり、引き続き、法務省の法制審議会 - 民法(債権関係)部会で審議がされています。

しかし、法務省のHPの法制審民法関係部会の該当箇所には、部会資料として、「要綱仮案の第二次案」が開示されていますので、なんとなく要綱案がどういうものになりそうなのかがわかります。

http://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900225.html
(部会資料82-1「民法(債権関係)の改正に関する要綱仮案の第二次案【PDF】」参照)

この仮案の27頁の「6 保証人保護の方策の拡充 (1)個人保証の制限」の箇所を読んでみると、個人保証の扱いについて少々変更があったようです。
2013年5月に公表された中間試案のときは、経営者保証以外の個人保証は原則として無効とされる方向で議論が進められるのかと思っていましたが(このブログの従前の記事参照。)、どうやら、公正証書の作成を要件とすることで原則として有効とするようなのです。

さらに、公正証書の作成も必要としない例外(従来の議論では「経営者」)として、
(ア) 主たる債務者が法人その他の団体である場合のその理事、取締役、執行役またはこれらに準じる者
(イ) 主たる債務者が法人である場合のその総社員又は総株主の議決権の過半数を有する者
(ウ) 主たる債務者が個人である場合の主たる債務者と共同して事業を行う者又は主たる債務者の配偶者(主たる債務者が行う事業に従事している者に限る。)
が挙げられています(要綱仮案の第二次案28頁)。

中小企業では、取締役であっても、経営者でない人はたくさんいて、従来、そういう経営者でない取締役が会社債務について保証人とされて、とても過酷な事態が生じていたこともあって、今回の個人保証の原則的廃止(経営者のみ例外とする)という議論になったと理解しておりましたが、少々、議論が後退した感じはありますね。

民法(債権法改正)の今後のスケジュールとしては、法務省の法制審議会で、この要綱案が(仮案)ではなく、正式な案として間もなく完成し、さらに来年(2015年)2月に改正要綱を法務大臣に答申し、来年の通常国会に民法改正案が提出されるとのことです。
これからも、法曹関係者は、民法改正の議論から目が離せませんね。

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(本文とは関係ありませんが、また引き続きで恐縮でございますが、大坪和敏弁護士と私の共著の『倒産法の実務ガイドブック』です。昨日の記事のとおり、この本を教材にした講義も行いますので、是非、ご参加ください。)



再び、(現在検討されている)民法改正のお話に戻ります。
 

結論からいうと、中間試案の方向性を推し進めると、個人保証を利用するのは事実上難しくなる、ということです。それが良いか、悪いかについては、我が国の経済の中で、個人保証が、金融取引や企業間取引の中でどれくらいの役割を果たしているのかという点に関するデータがないと一概にいうことはできませんが、いずれにしても、中間試案の方向性としては、個人保証については、かなり否定的であることは間違いないと思います。


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今日の報道で、銀行や貸金業者が中小企業などに融資する際に求めてきた個人保証を原則として認めないとする民法改正案が、法制審議会(法相の諮問機関)で本格的に検討されることになったとのニュースが流れています。

ただ、「個人保証の中でも、経営者本人が会社の債務を保証する『経営者保証』は例外として認める案が検討されている。」ということですので、そうであれば、これまでも経営者以外の個人保証をとるのは稀という認識ですので、従来の実務を大きく変えることはないようにも思えます。しかし、さらに記事を読んでみると、「会社の返済が滞り、経営者が貸手から裁判を起こされた場合、裁判所が経営者の支払い能力などを考慮して、保証債務を減免できる制度の新設などを考える。」ということですので、そんな制度つくれるのか?と突っ込みたくなりますが、やはり従来の中小企業金融の実務に大きな影響を与えそうです。

記事によれば、中小企業金融の保証人になることにより、自己破産や自殺に追い込まれるという悲惨な結果が起きていることを受けての改正の検討ということのようです。
しかし、経営者の個人保証がなくなれば(又は制限されれば)、銀行等は融資の際に、これまで以上に厳しく対象企業の事業(収益力)を見ることになりそうですので、経営者側としても、事業をそうとう魅力的なものにしないと、銀行からお金を借りるのは大変だぞ!ということになりそうですね。まあ、それが本来の姿かもしれませんが…。

いずれにしても、民法改正の大きな注目ポイントになりそうです。

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