fujisan
(ちょっと前のことになりますが、ゴールデンウィークに富士山に行ってきました。

ちょうど世界遺産に登録されるということで、観光客でにぎわっていました。
まだまだ雪が残っていて、綺麗でしたよ。)

 

現在の法制度では、破産手続(破産法)、民事再生手続(民事再生法)、会社更生手続(会社更生法)、特別清算手続(会社法)の4つが代表的な法的倒産処理手続ということができますが、この4つの法的倒産手続については、色々な分け方があります。

その中で良く使われるのが、(1)清算型か再建型かということと、もう一つは、(2)DIP型か管理型か、という分け方です。


(1) 清算型か再建型か
『清算型』というのは、債務者の財産をすべて換価して、債権者に平等に配当することを目的とする手続で、法人の場合、手続が終了すると、法人は消滅することになります(厳密にいうと、まだ清算されていない財産が実はあったという場合には、消滅していないということが言われますが、その辺の議論はここでは措いておきます。)。破産手続と特別清算手続が、この清算型に分類されます。

これに対して、『再建型』は、債務者や債務者の事業を再建させて、再建された事業等から生じる収益や収入を債権者の弁済の原資とする場合です。民事再生手続と会社更生手続が再建型になります。


(2) DIP型か管理型か
次に、『DIP型』と『管理型』の区別ですが、これは、手続開始後に財産の管理処分権を債務者(debtor in possession=「占有を継続する債務者」という意味です。)に委ねて、債務者により手続を進めさせるか(DIP型)、裁判所が第三者を管財人として選任して、その管財人に債務者の財産の管理処分権を委ねて、管財人により手続を進めさせるか(管理型)、という違いです。

破産手続と会社更生手続が管理型、民事再生手続と特別清算手続がDIP型と整理されています。

 

ただし、破産手続は完全な管理型ですが、会社更生でも旧経営陣を管財人に選任してDIP型で手続を進めることは可能と解されていますし(会社更生法第67条は、破産管財人の要件として旧経営陣を排除していない。)、会社更生手続や特別清算手続でも裁判所が管財人や清算人を選任することが認められています(民事再生法第64条、会社法第478条)。したがって、やろうと思えば、会社更生手続をDIP型で手続を進めることができますし、民事再生手続や特別清算手続でも、管理型で手続を進めることはできます。ただ、今の運用からすれば、DIP型の会社更生や、管理型の民事再生は、ほとんど行われていないと言う事が言えるかと思います。

 

(3) 多数決原理が使われるかどうか
なお、この他の分け方として、債務者が計画や協定を提示して、債権者集会でそれを可決して、債務の減免等がきまるのか(民事再生・会社更生・特別清算)、破産管財人が計算して弁済額を決めるのか(破産手続)という区別があると思います。この区別は、破産手続とその他を区別することに意味がある訳ではなく、民事再生、会社更生および特別清算と私的整理とを分けるところに意味があります。すなわち、民事再生、会社更生および特別清算では、債権者の一部に計画や協定に反対する者がいても、多数決原理で押し切り、反対者にも債務免除等の効力をおよぼすことができますが、これが私的整理では、裁判所外で法律の手続に基づかず任意に行われるので、対象債権者の反対が一人でもあれば(すなわち、再建計画に同意が得られなければ)、その反対者に計画の効力をおよぼせないということを示すために、意味が出てきます。

 

以上、4つの法的倒産手続の分類方法として、覚えておきたい知識でした。