(以下の記事は、弁護士飛田博及び弁護士萩原勇の意見にとどまり、裁判等における結果を保証するものではないので、ご注意ください。)
残置物の処分と法律的な論点
建物の賃貸人(管理会社及び保証会社)が日々頭を悩ませている問題として、賃借人が、賃料を支払わないようになり、その後、いわゆる夜逃げをしてしまったような場合、建物内に残った残置物をどのように処分したらよいか? という問題があります。
この問題に関する法律的な論点は次の3点となります。
(1) 契約関係の処理
賃貸借契約をどのように解除したら良いのか(具体的には、賃借人の居場所がわからないため、解除の意思表示が賃借人に到達しないのではないか)?
(2) 物件への立ち入り
賃借人に無断で部屋に立ち入った場合、住居侵入罪(刑法130条)は成立しないか?
立入りは、不法行為(民法709条)に該当し、損害賠償義務を負わないか?
(3) 残置物の処分
賃借人の同意なく残置物を処分した場合、器物損害罪(刑法261条)が成立しないか?
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