最近、「あれっ、私の感覚とちょっと違うな!」と思った判例に、最判H26.6.5(金融・商事判例№1444-16)があります。


この判例によると、事案は次のとおりです。


上告人の請求は、再生債務者である上告人が、支払の停止の前に、A銀行から購入し、A銀行にその管理を委託していた投資信託受益権(以下「本件受益権」という。)につき、支払の停止の後、再生手続開始の申立て前に本件受益権に係る信託契約の一部解約がされたとして、原判決言渡し後にA銀行を吸収合併しその権利義務を承継した被上告人Y(旧商号は、B。以下、同合併前のA銀行と併せて「被上告銀行」という。)に対し、上記の管理委託契約に基づき、その解約金の支払を求めるものである。再生債権者であった被上告銀行は、上告人に対する上記解約金の支払債務の負担が民事再生法93条2項2号にいう「支払の停止があったことを再生債権者が知った時より前に生じた原因」に基づく場合に当たるので相殺が許されるとして、上記解約金の支払請求権を受働債権とする相殺を主張している。


判旨は次のとおり。結論からいうと、被上告人の解約金債務の負担は、民事再生法93条2項2号にいう「支払の停止があったことを再生債務者が知った時より前に生じた原因」に基づく場合に当たらない、として、上告を認め、被上告銀行の相殺を認めませんでした。

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