(本文とは関係ありませんが、先週土曜日時点での広尾の有栖川公園の桜です。
もう満開になっていると思いますが、今日は肌寒いので、今週はまだもつかもしれませんね。)
江頭憲治郎教授の『株式会社法第4版』(有斐閣、2011年12月)は、とてつもない名著で、会社法でわからない問題があると、いつも参照させていただいていますが、ときどき、「あれっ」と思うことがあります。
先日も、「退任予定の取締役による従業員の引き抜き」(411頁)の箇所を読んでいて、この「あれっ」を感じました。
「退任後に会社と同一または類似の事業を開始することを企図する取締役が、在任中に部下に対し退職して自己の事業に参加するよう勧誘すること」は、当然に取締役の忠実義務(会社法355条)違反になると思うのですが、江頭教授は、411頁の本文で、
そうではなく、取締役と当該部下との従来の関係等諸般の事情を考慮の上不当な態様のもののみが義務違反になると解すべきである(東京地判平成3.8.30判時1426号125頁、千葉地松戸支決平成20.7.16金法1868号35頁)。
と記載し、412頁の注(7)で、