司法殺人 元裁判官が問う歪んだ死刑判決

私は、著者の森炎(もりほのお)弁護士(元裁判官)と面識がある。私が司法修習生だったとき、青森で実務修習をさせていただいたが、そのときの青森地裁民事部の右陪席裁判官が森さんだったのだ。残念ながら、私の民事裁判修習が始まる直前に、ちょうど退官されたので、森さんから直接教えを受けたことはない。ただ、懇親会等でご一緒させていただいたときなどには、森さんから気楽に声をかけていただいたので、とてもフランクなイメージがある。また、たしか当時社交ダンスをされていて、すらっとしていて、髪を油で固められていて、とてもダンディーで格好良かった(今でもきっとダンディなのではないかと思う。)

その森さんが最近新書で刑事裁判の本を立て続けに出版していたので(幻冬舎新書『なぜ日本人は世界の中で死刑を是とするのか-変わりゆく死刑基準と国民感情』、幻冬舎新書『量刑相場 法の番人たちの暗黙ルール』)、少々気になっていた。この本は、新書ではなく単行本であるが、「司法殺人」というインパクトのある題名に惹かれて、手に取った次第である。


読後の感想としては、非常におもしろい、というかとても考えさせられた。

3つの事件が取り上げられているが、いずれも詳細に記録が検討されていて、非常に突っ込んだ内容であるが、とてもわかりやすく書けている。職業裁判官の考え方がリアルに述べられているし、第一発見者と犯人の区別、内部犯と外部犯の区別、自白の任意性、秘密の暴露、「疑わしきは罰せず」ということの本当の意味も良く書けていて、「目からうろこ」という感じがした。裁判員制が採用された今日、一般の人にも読んでもらいたい本であるが、「裁判員制」などと固いことを考えなくても、とても興味深い本であると感じると思う。

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