先日、このブログで、弊事務所の顧問先である西ヶ原字幕社が発売したDVD『鯨とり』をご案内させていただきましたが、その続編というべきか、今般、西ヶ原字幕社が、『鯨とり 対訳とシナリオで学ぶ韓国語』という本を発売いたしました。
この本では、映画『鯨とり』の脚本と西ヶ原字幕社の日本語訳と、さらにそれに対する同社の林原圭吾社長の解説が見開き1頁で見通すことができます。韓国語を学ぼうとしている方にはとても嬉しい一冊ではないかと思いますので、このブログでもご案内させていただきます。
ちなみに、私は韓国語を話せませんし、勉強をしたこともないのですが、この本には、12あるChapterごとに、80年代の韓国の時代背景、映画『鯨とり』やその出演者等々について、林原社長のコラムがついており、それがけっこう秀逸です。
『鯨とり』という映画には、80年代の軍事政権下における韓国の「民主化運動のメタファー」という解釈があるという点(9頁)には、解釈好きの私にとっては、「この映画を見る目が変わった」という感じがしました。ちょっとネタバレになってしまうかもしれませんが、この映画には、「口のきけない少女は、言論の自由のメタファーで、政治的に目覚めていない学生と厭世に走るインテリ層が力を合わせて、これを取り戻す」というメッセージがあるものと受け止められたとのことです(まだ見ていない方は、見てのお楽しみですね。)。
また、『鯨とり』の言葉の意味についてのコラム(96頁)も、「そうなのか!」という感じで、思わず笑ってしまいました。韓国語の「捕鯨」と「包茎」とが同じハングルだそうで、韓国の方は、「鯨をとる」と聞くと、「包茎手術をする」という意味を連想するとのことです。初めの方で、主人公の学生ミヌと、ホームレスのビンテが、「鯨をとる」ということで、何故か売春宿に行くのですが、その謎が解けました。
韓国語の勉強だけでなく、『鯨とり』という映画を理解するうえでも、とても有益な本であると思いました。韓国に興味のある方、是非ぜひお勧めいたします。
以上