タグ:岡口基一裁判官


昨日(2018年3月20日)の日本経済新聞の社会面(43面)の「不適切な投稿の裁判官厳重注意」との見出しの記事から。

(以下、記事の抜粋。被害者の方の名前は略しました。)
東京都江戸川区で2015年、高校生の〔中略〕さん(当時17)が殺害された事件の判決をめぐってツイッターに不適切な投稿をしたとして、東京高裁は19日、遺族が処分を求めていた岡口基一裁判官(52)を文書による厳重注意処分にしたと明らかにした。〔中略〕岡口裁判官は「改めて反省している」と述べている。

(私のコメント)
私はツイッターでは岡口裁判官をフォローしておりませんが、facebookではフォローしており、司法関係のニュースを沢山紹介してくれるため、とても感謝しています。また、とかくベールにつつまれている裁判官の生の声が聞けて、色々な意見はあるかもしれませんが、裁判官のお仕事をされている方を身近に感じることができて、とてもイイネと思っています。この件では、不適切だったのかもしれませんが、これで岡口裁判官の投稿が見れなくなるとすれば非常に悲しいので、不適切投稿には注意しながら、これまでと同じペースでの投稿を応援しています!



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要件事実入門
岡口 基一
創耕舎
2014-08-30


岡口基一裁判官による要件事実論を説明した本です。

私(49期)が修習生だったころは、司法研修所の本(白表紙)で、断片的に要件事実を教わったので、よもやこの本で解説されているように、①民法を裁判規範と考えるか、行為規範と考えるか、ということが、実は要件事実論と関係していたり、②要件事実の定義には色々とあり、司法研修所の解釈も時代により変遷していたり、③「a+bの理論」という議論があったり等々、恥ずかしながら知りませんでした。(「a+bの理論」は司法研修所で教えていたようなので、単に記憶にないだけなのかもしれません。)。
こんな面白い世界があるなんて、この本が私が修習生だったころに存在していれば、もう少し興味をもって要件事実を勉強できたかもしれません。

要件事実論をこんなにコンパクトに、しかもわかりやすく説明した本があるなんて、今の司法試験受験生、司法修習生が羨ましい。

ちなみに、実務に出た場合、私の経験からすると、裁判所に提出する書面でも、相手方に出す内容証明でも、要件事実のみを書いた書面ではダメです。要件事実は基礎として踏まえつつ、たとえば、訴状を書く場合も主要事実だけを書けばよいというものではなく、当然に被告から抗弁が提出されることが予想されるときには、先回りして、抗弁が成り立たないことも書かなければなりません。また、「事情」として、紛争に至った経緯とか、この紛争でこちらに理がある(こちらが実質的にも正しいと思わせる)ことも書かないと、結局、裁判官が紛争全体を理解できず、判決の言渡しや和解の成立まで時間がかかることになってしまいます。
さらに、「証明責任の分配」という考え方も曲者で、実務では、証明責任はひとまず棚上げして、たとえば、原告であれば、請求原因事実を立証することはもちろん、抗弁事実も、(それが問題になりそうなのであれば)積極的に不存在を立証していかなければなりませんし、勝敗は、裁判官に80%の心証を得させるというのではなく、(裁判官は、どちらの主張・立証が確からしいか、換言すれば、51対49の心証でも、51の方を勝たせるということを念頭におきつつ)100%の心証を目指して立証していかないとダメだと思います。

しかし、いずれにしても、要件事実は基礎としてとても大事です。法曹(裁判官・検察官・弁護士)と一般の人が書いた書面の違いは、法曹が要件事実を踏まえて書面を書くのに対して、一般の人は、要件事実がわかっていないので、(裁判所に提出する書類としては)不要なことがたくさん書いてあるなと感じることです。要件事実は、法曹にとって、基礎となる不可欠の知識なのです。

この本は200頁弱で、とっつきにくい要件事実がコンパクトにわかりやすくまとめられています。
1日あれば十分に読めますので、これから要件事実を勉強される方、(私のように)もう一度要件事実を復習しようと思われている方には是非是非お勧めします。
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岡口基一裁判官の『要件事実マニュアル第1巻~第5巻』といえば、今や実務家・司法修習生必携の本でありますが(私自身もお世話になっております。)、それよりも何よりも、岡口裁判官の情報収集能力には目を見張るものがあり、しかも、それを同裁判官は、FaceBookで、情報発信してくれています。
これが我々法曹にとってはかなり役に立つのです。
岡口裁判官のFaceBookを通じた情報発信には、これまでの「閉ざされた社会の住人」という(最近出版された瀬木比呂志元裁判官の『絶望の裁判所』に描かれているような)暗い感じのする裁判官像を突き崩すものがあり、私は、とってもとっても良いと思います。
岡口裁判官のFaceBookには、「following」も設けられていますので、同裁判官とFaceBook友達にならなくても、同裁判官のFaceBookを見ることができます。
みんなで岡口裁判官をフォローして、岡口裁判官の情報発信を応援しよう!
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