2023年2月9日 日経新聞朝刊37頁

「五輪談合 受発注一体『官製』の構図」「組織委と電通、調整を主導」「『一覧表』で400億円合意」との見出しの記事から

今回の事件が過去の談合事件と大きく異なるのは、こうした「合意形式」の過程だ。リニア中央新幹線工事を巡る入札談合事件(18年)や医薬品を巡る談合事件(20年)のように、各社の実務担当者らが1ヵ所に集って合意形成を図った場合は見当たらない。独禁法に詳しい弁護士は「メールなどによる情報交換を通じて発注者側と各社が互いの行動を認識していたことを個別に立証していく必要がある」と話す。


(飛田コメント)
 この案件のようにある組織やグループ内で、(カチッとではなく)なんとなく物事が決まっていくような場合、合意の立証には、困難がつきまといます。暴力団の上層部が下っ端に犯罪を命じる場合には、共謀の証拠を残さないようにするため、意識的に、カチッとした指示や命令はされないわけですが、会社などの大きな組織では、これが無意識に行われているというか、当事者に合意したという認識もないことも多く、その場合には故意がなく犯罪が成立しないことになりますが、その合意したといえるのか、合意はないのかの境目がとても曖昧で難しいなと思います。