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本日の日経新聞朝刊の1面に記事が出ていますが、最高裁が、2021年をめどに、東京都の中目黒にある関東信越厚生局庁舎跡地に、新庁舎「東京高地裁中目黒分室」を建て、そこで、知的財産や破産などビジネスに関連した訴訟を専門に扱う「ビジネス・コート」を設置するようです。この分室では、映像音響機器完備で、テレビ会議で口頭弁論が開催できるようにするとのこと。
記事の一部を引用すると、

新庁舎には、特許権や著作権、不正競争防止事件などを扱う知財高裁に加え、東京地裁から▽知的財産部▽株主代表訴訟や会社更生手続きなどを主に扱う商事部▽民事再生手続きや破産手続きを扱う破産部--が入る予定。


個人的な意見として、(弁護士にも責任の一端がありますが)今の裁判所がビジネスの紛争解決に十分な機能を発揮しているかといえば大いに疑問があるところですので(特に、スピードですね。)、ビジネス・コートと位置付けることにより、ビジネスの紛争案件について当事者を満足させる素晴らしい裁判所にしてほしいですね。
2021年というとあと7年もありますが、東京オリンピックなどもあって、きっとあっという間に到来すると思いますので、大いに期待しております。


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婚外子相続差別違憲判決が出て、本日の朝刊各紙には、その話題が一面に出ておりますが、次の裁判所のホームページから全文が読めます。

 

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20130904154932.pdf

 

判決を読んだ印象としては、平成7年に合憲の最高裁判例が出ていて、何故それが約18年の経過により違憲になるのかについて説得的な説明が必要になってくるので、最高裁は、非常に丁寧に論証しているなと感じました。結論部分を抜粋すると次のとおりです。

 

昭和22年民法改正時から現在に至るまでの間の社会の動向,我が国における家族形態の多様化やこれに伴う国民の意識の変化,諸外国の立法のすう勢及び我が国が批准した条約の内容とこれに基づき設置された委員会からの指摘,嫡出子と嫡出でない子の区別に関わる法制等の変化,更にはこれまでの当審判例における度重なる問題の指摘等を総合的に考察すれば,家族という共同体の中における個人の尊重がより明確に認識されてきたことは明らかであるといえる。そして,法律婚という制度自体は我が国に定着しているとしても,上記のような認識の変化に伴い,上記制度の下で父母が婚姻関係になかったという,子にとっては自ら選択ないし修正する余地のない事柄を理由としてその子に不利益を及ぼすことは許されず,子を個人として尊重し,その権利を保障すべきであるという考えが確立されてきているものということができる。

以上を総合すれば,遅くともAの相続が開始した平成13年7月当時においては,立法府の裁量権を考慮しても,嫡出子と嫡出でない子の法定相続分を区別する合理的な根拠は失われていたというべきである。

したがって,本件規定は,遅くとも平成13年7月当時において,憲法14条1項に違反していたものというべきである。

 

次に、この判例は、どの時点の相続についてまで遡って適用されるかについて、注目すべきことを述べています。
 

本決定は,本件規定が遅くとも平成13年7月当時において憲法14条1項に違反していたと判断するものであり,平成7年大法廷決定並びに前記3(3)キの小法廷判決及び小法廷決定が,それより前に相続が開始した事件についてその相続開始時点での本件規定の合憲性を肯定した判断を変更するものではない。

他方,憲法に違反する法律は原則として無効であり,その法律に基づいてされた行為の効力も否定されるべきものであることからすると,本件規定は,本決定により遅くとも平成13年7月当時において憲法14条1項に違反していたと判断される以上,本決定の先例としての事実上の拘束性により,上記当時以降は無効であることとなり,また,本件規定に基づいてされた裁判や合意の効力等も否定されることになろう。しかしながら,本件規定は,国民生活や身分関係の基本法である民法の一部を構成し,相続という日常的な現象を規律する規定であって,平成13年7月から既に約12年もの期間が経過していることからすると,その間に,本件規定の合憲性を前提として,多くの遺産の分割が行われ,更にそれを基に新たな権利関係が形成される事態が広く生じてきていることが容易に推察される。取り分け,本決定の違憲判断は,長期にわたる社会状況の変化に照らし,本件規定がその合理性を失ったことを理由として,その違憲性を当裁判所として初めて明らかにするものである。それにもかかわらず,本決定の違憲判断が,先例としての事実上の拘束性という形で既に行われた遺産の分割等の効力にも影響し,いわば解決済みの事案にも効果が及ぶとすることは,著しく法的安定性を害することになる。法的安定性は法に内在する普遍的な要請であり,当裁判所の違憲判断も,その先例としての事実上の拘束性を限定し,法的安定性の確保との調和を図ることが求められているといわなければならず,このことは,裁判において本件規定を違憲と判断することの適否という点からも問題となり得るところといえる(前記3(3)ク参照)。以上の観点からすると,既に関係者間において裁判,合意等により確定的なものとなったといえる法律関係までをも現時点で覆すことは相当ではないが,関係者間の法律関係がそのような段階に至っていない事案であれば,本決定により違憲無効とされた本件規定の適用を排除した上で法律関係を確定的なものとするのが相当であるといえる。そして,相続の開始により法律上当然に法定相続分に応じて分割される可分債権又は可分債務については,債務者から支払を受け,又は債権者に弁済をするに当たり,法定相続分に関する規定の適用が問題となり得るものであるから,相続の開始により直ちに本件規定の定める相続分割合による分割がされたものとして法律関係が確定的なものとなったとみることは相当ではなく,その後の関係者間での裁判の終局,明示又は黙示の合意の成立等により上記規定を改めて適用する必要がない状態となったといえる場合に初めて,法律関係が確定的なものとなったとみるのが相当である。

したがって,本決定の違憲判断は,Aの相続の開始時から本決定までの間に開始された他の相続につき,本件規定を前提としてされた遺産の分割の審判その他の裁判,遺産の分割の協議その他の合意等により確定的なものとなった法律関係に影響を及ぼすものではないと解するのが相当である。


この点は、これまで言及されたことがなかった論点なので、違憲判決の効力の問題として、今後憲法の学説等で色々議論されることになると思います。 

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法律上の婚姻関係にない男女間に生まれた非嫡出子の相続分を、法律上の夫婦間に生まれた嫡出子の半分とする民法第900条第4号の規定子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の二分の一と〔中略〕する。の合憲性が争われた裁判において、本日、最高裁は、当該規定は違憲であるとの判断を示しました。

最高裁が法律の規定を違憲と判断するのは非常に珍しく、今回で戦後9件目とのこと。
本決定を受け、国会は民法の改正を迫られることになります。

この問題については、当ブログ7月22日の記事でも取り上げ、非嫡出子相続分の差別の問題点につき検討しておりますので、 ぜひご覧いただければと思います。

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