株式会社法 第4版

私がこの本の書評を書くのは、おこがましいというか畏れ多いのですが、200912月の第3版の発行後、2年を経て、昨年12月に第4版が発行されました。 

改訂箇所としては、この間の会社法改正を組み込むとともに、金商法、産活法、民事訴訟法、非訟事件手続法、法人税法といった周辺法令の改正を反映し、さらに、金融商品取引所の上場規則による独立役員確保の義務づけ等、ライツ・イシューに関する制度の整備といった業界の自主規制ルール及び企業買収等の分野を中心に現れた多数の新判例を盛り込んだというものがあります。

この本については、いろいろな意見があるようですが、私が思うに、本の帯にもあるのですが、「企業法務の実務に携わっている者にとっては必携の本」であるということです。実務では、この本だけでは足りませんが、細かい丁寧な(注)で問題となる論点やその論点についての考え方が端的に示されており、さらに嬉しいのは、参照すべき判例のみならず、文献までもが提示されていることです。私は、会社法関係で何かわからないことがあったときは、まず江頭『株式会社法』を参照し、そこで問題となっている論点についてどう記載されているかを確認したうえで、判例やコンメンタール、法律専門誌に掲載された論文にあたることにしています。

アマゾンのカスタマーレビューを見ると、「索引が使いにくい」とか「せめて辞書は辞書らしく」とか、あまり本質的でないことを批判されていますが、仕事として企業法務をやる人にとっては、索引を使わないでも、「あの辺にこんなことが書かれていたな。」というくらいには読み込んでほしい本です。

私は、企業の法務部の人から、「会社法の本としてはどんな本を読んだらいいでしょうか?」と聞かれると、必ずこの本を勧めます。

現時点における会社法の基本書の最高傑作だと思います。