2022年11月22日 日経新聞朝刊47頁

「『妻殺害』審理差し戻し」「講談社元次長の有罪破棄」「最高裁」

「東京都文京区の自宅で2016んねん、妻を殺害したとして殺人罪に問われた講談社の青年コミック誌「モーニング」の元編集次長、○○被告(47)の上告審判決で、最高裁第1小法廷は21日、一審に続き懲役11年とした二審判決を破棄し、審理を東京高裁に差し戻した。」


(飛田コメント)
 この事件は、夫が殺害したのか、妻が自殺したのかが争われていたようなのですが、高裁判決は、妻の額には深い傷があったが、血を拭った痕跡がないから自殺ではないと判断したのに対し、最高裁は、いやいや検視時や救急搬送時の不鮮明な写真から顔の血痕の有無を判断するのは困難でしょ?と判断したようです。
 刑事裁判では、「疑わしきは被告人の利益に」と言われるのですが、具体的な場面でこの原則を適用するかどうかは人によってかなりの違いがあるのでしょう(一審と二審は「疑わしい」を超えいると考えて有罪として、最高裁は「疑わしい」に留まり、事件を差し戻した。)。とても難しい問題です。