タグ:民事再生

今朝の新聞各紙で大々的に報道されていますが、東証1部のスカイマーク株式会社が昨日東京地方裁判所に民事再生の申立を行いました。

我が国で第3位の航空会社の民事再生案件であり、久しぶりに大型の、かつ、話題性のある案件だなと思います。

新聞報道からしか情報が得られませんが、その報道の情報だけでも、
① 日航と全日空との共同運航をどうまとめていくのか?
② エアバス社から請求されている約830億円の損害賠償金をどうするのか?
③ 今後のスポンサー探し、及び出口戦略をどうするのか?
等々、問題山積みのように思えます。

投資会社のインテグラが今後の資金繰りやスポンサー探しの面倒をみてくれるようなのですが、東京地裁での民事再生は(原則として)約6箇月の手続ですから、その短い間に、数かすの交渉をまとめて、民事再生の成功までこぎつけることができるかどうか、とても興味があります。
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最近、「あれっ、私の感覚とちょっと違うな!」と思った判例に、最判H26.6.5(金融・商事判例№1444-16)があります。


この判例によると、事案は次のとおりです。


上告人の請求は、再生債務者である上告人が、支払の停止の前に、A銀行から購入し、A銀行にその管理を委託していた投資信託受益権(以下「本件受益権」という。)につき、支払の停止の後、再生手続開始の申立て前に本件受益権に係る信託契約の一部解約がされたとして、原判決言渡し後にA銀行を吸収合併しその権利義務を承継した被上告人Y(旧商号は、B。以下、同合併前のA銀行と併せて「被上告銀行」という。)に対し、上記の管理委託契約に基づき、その解約金の支払を求めるものである。再生債権者であった被上告銀行は、上告人に対する上記解約金の支払債務の負担が民事再生法93条2項2号にいう「支払の停止があったことを再生債権者が知った時より前に生じた原因」に基づく場合に当たるので相殺が許されるとして、上記解約金の支払請求権を受働債権とする相殺を主張している。


判旨は次のとおり。結論からいうと、被上告人の解約金債務の負担は、民事再生法93条2項2号にいう「支払の停止があったことを再生債務者が知った時より前に生じた原因」に基づく場合に当たらない、として、上告を認め、被上告銀行の相殺を認めませんでした。

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fujisan
(ちょっと前のことになりますが、ゴールデンウィークに富士山に行ってきました。

ちょうど世界遺産に登録されるということで、観光客でにぎわっていました。
まだまだ雪が残っていて、綺麗でしたよ。)

 

現在の法制度では、破産手続(破産法)、民事再生手続(民事再生法)、会社更生手続(会社更生法)、特別清算手続(会社法)の4つが代表的な法的倒産処理手続ということができますが、この4つの法的倒産手続については、色々な分け方があります。

その中で良く使われるのが、(1)清算型か再建型かということと、もう一つは、(2)DIP型か管理型か、という分け方です。


(1) 清算型か再建型か
『清算型』というのは、債務者の財産をすべて換価して、債権者に平等に配当することを目的とする手続で、法人の場合、手続が終了すると、法人は消滅することになります(厳密にいうと、まだ清算されていない財産が実はあったという場合には、消滅していないということが言われますが、その辺の議論はここでは措いておきます。)。破産手続と特別清算手続が、この清算型に分類されます。

これに対して、『再建型』は、債務者や債務者の事業を再建させて、再建された事業等から生じる収益や収入を債権者の弁済の原資とする場合です。民事再生手続と会社更生手続が再建型になります。


(2) DIP型か管理型か
次に、『DIP型』と『管理型』の区別ですが、これは、手続開始後に財産の管理処分権を債務者(debtor in possession=「占有を継続する債務者」という意味です。)に委ねて、債務者により手続を進めさせるか(DIP型)、裁判所が第三者を管財人として選任して、その管財人に債務者の財産の管理処分権を委ねて、管財人により手続を進めさせるか(管理型)、という違いです。

破産手続と会社更生手続が管理型、民事再生手続と特別清算手続がDIP型と整理されています。

 

ただし、破産手続は完全な管理型ですが、会社更生でも旧経営陣を管財人に選任してDIP型で手続を進めることは可能と解されていますし(会社更生法第67条は、破産管財人の要件として旧経営陣を排除していない。)、会社更生手続や特別清算手続でも裁判所が管財人や清算人を選任することが認められています(民事再生法第64条、会社法第478条)。したがって、やろうと思えば、会社更生手続をDIP型で手続を進めることができますし、民事再生手続や特別清算手続でも、管理型で手続を進めることはできます。ただ、今の運用からすれば、DIP型の会社更生や、管理型の民事再生は、ほとんど行われていないと言う事が言えるかと思います。

 

(3) 多数決原理が使われるかどうか
なお、この他の分け方として、債務者が計画や協定を提示して、債権者集会でそれを可決して、債務の減免等がきまるのか(民事再生・会社更生・特別清算)、破産管財人が計算して弁済額を決めるのか(破産手続)という区別があると思います。この区別は、破産手続とその他を区別することに意味がある訳ではなく、民事再生、会社更生および特別清算と私的整理とを分けるところに意味があります。すなわち、民事再生、会社更生および特別清算では、債権者の一部に計画や協定に反対する者がいても、多数決原理で押し切り、反対者にも債務免除等の効力をおよぼすことができますが、これが私的整理では、裁判所外で法律の手続に基づかず任意に行われるので、対象債権者の反対が一人でもあれば(すなわち、再建計画に同意が得られなければ)、その反対者に計画の効力をおよぼせないということを示すために、意味が出てきます。

 

以上、4つの法的倒産手続の分類方法として、覚えておきたい知識でした。

 

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この度、馬場澤田法律事務所大坪和敏弁護士と、ウイズダム法律事務所飛田博弁護士とで、
下記日時・場所において、「倒産法の実務」という講義をすることになりました。


教材は、両弁護士の共著の「倒産法の実務ガイドブック」です。

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                                     記

 

   日時:いずれも午後6時45分から午後8時45分まで

   場所:東京都千代田区一ツ橋2-6-2 日本教育会館 


第1回

平成25年5月 9日(木)
 

倒産手続の概要

 1 倒産処理手続の意義

 2 清算型手続の概要

 3 再建型手続の概要

 4 その他の手続の概要

(講師:飛田)

第2回

平成25年5月16日(木)

破産手続①

 1 破産手続の概要

 2 破産手続開始の申立て

 3 破産手続の機関

 4 破産者に対する債権の取扱い

 5 担保権の取扱い-別除権-

 6 破産手続と契約関係

(講師:飛田)

第3回

平成25年5月23日(木)

破産手続②

 7 否認権

 8 役員の責任追及

 9 破産債権の確定

 10 配当

 11 破産手続の終了

(講師:飛田)

第4回

平成25年5月30日(木)

特別清算

 1 特別清算手続の概要

 2 特別清算手続の流れ

(講師:飛田)

第5回

平成25年6月 6日(木)

民事再生手続①

 1 民事再生手続の概要

 2 民事再生手続の開始

 3 民事再生手続の機関

 4 一般の債権(再生債権)の取扱い

 5 再生債権以外の債権

(講師:大坪)

第6回

平成25年6月13日(木)

民事再生手続②

 6 再生手続と契約関係

 7 担保権の取扱い

 8 再生債務者の財産

 9 再生計画

 10 再生計画認可後の手続

(講師:大坪)

第7回

平成25年6月20日(木)

個人(消費者)についての倒産手続①

 1 概説

 2 個人破産

(講師:大坪)

第8回

平成25年6月27日(木)

個人(消費者)についての倒産手続②

 3 小規模個人再生

 4 給与所得者等再生

 5 住宅資金貸付債権に関する特則

(講師:大坪)












































講義内容は、「倒産法実務ガイドブック」に沿って、破産・特別清算・民事再生・会社更生の手続きを一通り解説しますが、実際に実務を行っている弁護士として、実務に役立つ講義にする予定です。

受講料は1講義4000円です。まだ定員に空きがあるようですので、ご興味のある方は、主宰する次の会社までお問い合わせください。
 

東京都千代田区一ツ橋2-6-2 日本教育会館7階

有限会社晃和

(担当:大野)

TEL: 03-5213-7055

 

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