タグ:法律

1. 近況について

引き続き、ブロックチェーンの話題に触れてゆきたいと思います。自らビットコインと「法律問題」と題しておきながら、法律エッセンスが(少)ないように感じていますが、気にせず今回も技術的なことについて書こうと思います。
 

その前に、近況でございますが、弊所も会員になっているブロックチェーン推進協会(BCCC)で、6月29日、会員数が60社を超えたとしてプレスリリースされました。プレスリリースは、以下のURLに記載されております。当初の予定を上回る勢いで会員数が増加しているとのことでございます。

http://bccc.global/ja/articles/297.html

また、昨日(630日)は、BCCCの第一回総会が開かれましたので、弊所からは私が参加してまいりました。様々な業界・規模の会員が参加されており、ブロックチェーンの関心の幅の広さが伺えます。


その他、最近のニュースとしては、ビットコイン採掘時の供給量が半減する「半減期」が間もなく迫っております(なお、この記事を書いているのが2016年7月1日です。)。そのためか、ビットコインの相場がかなり変動していますね。半減期をまたいで、どのように価格が推移してゆくかも興味深いです。


2.
 イーサリアム

さて、前回のメルマガ以降、私の方では、アゴラ研究所で開催されている、ブロックチェーンのセミナーに参加しております(全3回で、最終回は7月です。最終回には、池田信夫氏も登壇される予定です。)。ブロックチェーンの発展や、近時の応用事例などに触れられて、非常に勉強になります。


中でも、Ethereum(イーサリアム)の話は、特に印象に残りました。これは、ブロックチェーン技術を応用したソフトウェアで、その機能の一つとして、なんと、ブロックチェーン上でソフトウェアを動かすことができるのです!!


なんじゃそりゃ??という方も多いかと思います。簡単に言うと、

  ①専用の言語でプログラムを組む

  ②それをブロックチェーン上に載せる

  ③ブロックチェーン上でそのプログラムを動作させる

ということができるのです。

これの何が凄いかというと、(皆が参加する)ブロックチェーンネットワークは、基本的に、何があっても止まらないので、「止まらないプログラム」が実現できるのです。


具体的に言えば、サーバーなど、1つのPCで動かしているプログラムは、停電や、災害、人為的ミスなどで、稀に、止まることも考えられます。しかし、ブロックチェーン上のプログラムは、ネットワークに参加しているコンピューターがそれぞれコピーをもち、どれか一台が壊れても、ネットワークは維持されます。ブロックチェーンは、「電源の切れないPC」などとも例えられ、イーサリアムでは、その「電源の切れないPC」上で、ソフトウェアを動かせるのです。これは、個人的にかなり凄いことだと思います。


また、ブロックチェーンは、改ざんが困難です。そのため、ブロックチェーン上でソフトウェアを動かせるのであれば、そのソフトウェアの改ざんも困難だと思います。


さらに、イーサリアムは、ビットコインと同様、仮想通貨の機能も有しています。本日(7月1日)時点では1(ETH)=1370円前後で取引されています。
 

これは何を意味するかというと、先ほどのプログラムの面と、仮想通貨の面を合わせると、プログラムで容易に仮想通貨を操作することが可能になるのです。例えば、ある条件が成立した時に、仮想通貨を、誰々に移動する、といったことが可能になり、もっと言えば、管理者不要で、資金管理・移動を、自動化することができるのです。


もっとも、あまり良くないニュースも届いています。イーサリアム上で動くプログラムの脆弱性をついて、多くの仮想通貨が、意図せず流出してしまったというのです。これは、イーサリアム自体の脆弱性ではないと思いますが、課題として残された点だと思います。


今後の改善・発展に期待したいです。

3.
 番外編:エミュレーター上で、Solidityのプログラムを動かしてみる

ちなみに、イーサリアム上では、プログラムが動く、ということで、早速、プログラムの作り方を調べてみました。イーサリアム上で動くプログラム言語は、いくつかあるようですが、有名なものでは、「Solidity」という言語がございます。


文法を調べてみましたが、かなりC++ライクです(配列がポインタのような扱いになっていて、「C」っぽいな、と思いました。細かな文法も、かなり、CやC++っぽいです。)。


また、インターネット上に、ブラウザ上で動作する「Solidity」言語のエミュレーターがあったので、早速HelloWorldのコードを入力し、色々いじってみました。
試しにif文なんかを打ちこんでみましたが、普通に使えますね。


if (nData == 3){return "Hello T&P World!!";}

送金処理と組み合わせれば、特定の条件が満たされた場合に、お金を送金する、という処理も、ちょっとプログラムを勉強すれば、誰でも簡単に実現できるのではないでしょうか。

このエントリーをはてなブックマークに追加

a0960_003622_m
(豆シリーズ、今週は夏らしく「枝豆」です。)


本日は、【豆知識16日目~20日目】をお届け致します。 

【豆知識 16日目】 相続人に対する株式の売渡請求ってなんですか?

株式譲渡制限会社では、定款で定めることにより、株主に相続が生じた場合、相続人に株式を会社に売り渡すよう請求することができるようになったよ。会社の経営が創業者の二代目、三代目に移ると、株式も一族に分散しがちになるから、中小企業にとってはとっても嬉しい制度だよね。事業承継のプランニングでよく使われてるよ。

 

【豆知識 17日目】 株式譲渡制限会社における新株発行は?

株式譲渡制限会社では、募集株式の発行は、株主に平等に割り当てるのが原則で、それ以外は、株主総会の特別決議が必要になるよ。これに対して、株式譲渡制限会社以外(公開会社)では、著しく低い価格による発行でない限り、取締役会決議のみで募集株式の発行が可能なんだ。だから経営陣の暴走を防ぐ意味でも、中小企業は、株式譲渡制限会社にしなくちゃね。

 

【豆知識 18日目】 株券はどうなっちゃったの?

会社法施行前は、定款に定めがない限り、株券を発行するのが原則だったけど、会社法施行後は、定款に株式を発行する旨の定めがない限り、株券を発行しないのが原則だよ。だから、株式といっても、株券があるわけではないので注意してね。

 

【豆知識 19日目】 額面株式ってまだあるの?

昔は、50円株とか500円株とか5万円株とか額面株式といわれるものがあったよね。でも、でも、今は、会社法が施行される前の平成13年から、既に、株式には無額面株式しかないんだよ。株券が発行される場合でも、株券には券面額の記載はなく、株式数のみ記載されるんだ。もうずっと前から「額面」というのは、会社法上はあまり意味のない概念なので覚えておいてね。

 

【豆知識 20日目】 裁判所には労働専門部があるの?

霞が関にある東京地裁(本庁)には、民事事件を扱う部が「50」もあるんだ(ちなみに大阪地裁は「26」)。このうち、労働事件を専門的に扱うのが、第11部、第19部、第36部の3つだよ。労働関係に関する主な訴訟のほか、労働関係保全(仮差押えや仮処分)事件、労働審判等を扱っているんだ。
 

このエントリーをはてなブックマークに追加

コーヒー豆
(豆シリーズということで、「コーヒー豆」をお送りします。)


本日は、【豆知識11日目~15日目】をお届け致します。 

【豆知識 11日目】 取締役の任期は何年?

株式会社の取締役の任期は2年、監査役の任期は4年が原則だけど、株式譲渡制限会社では、両方とも10年まで伸ばすことができるよ。中小企業の場合、オーナー等がずっと取締役を務めることが予定されていることが多いと思うので、便利な制度だよね。再任登記費用の節約にもなるよね。

 

【豆知識 12日目】 監査役の職務の範囲はどこまでかな?

株式会社の監査役は、会計監査だけではなくて、取締役の職務執行の適法性監査もしなければならないのが原則だよ。でも、法律の専門家でもないのに、取締役の具体的な行為が適法かどうか判断するのは難しいよね。この点、株式譲渡制限会社では、定款で定めれば、監査役の職務の範囲を会計監査だけに限定できるよ。

 

【豆知識 13日目】 取締役の責任は無過失責任なの?

取締役の責任には、違法配当、利益供与、利益相反取引、競業避止義務違反、法令・定款違反など色々あるけど、このうち利益相反取引の中の自己取引だけが無過失責任なんだ。あとは取締役に過失があるときだけ責任を問われる過失責任だよ。でも、取締役は自分で過失が無い事を立証しなければならないから大変なんだ。

 

【豆知識 14日目】 破産しても取締役になれるの?

会社法では、破産手続開始決定を受けて、まだ免責を得られていない人でも、取締役になることはできるんだ。これはやむを得ない事情で破産した人が再チャレンジするうえでの法的障害をなくすためのものだよ。ただ、破産手続開始決定を受けると、取締役と会社間の委任契約は終了して、いったん役員から降りることになるので、再び役員になるには、株主総会の決議が必要だよ。

 

【豆知識 15日目】 株主総会の開催地はどこでもいいの?

会社法施行前は、定款に定めがない限り、株主総会の開催地は本店所在地かその隣地しか認められていなかったけど、会社法はこのような制限を撤廃したよ。株主に著しく不利益が生じない限り、どこでも株主総会の開催地にすることができるので、覚えておいてね。 

このエントリーをはてなブックマークに追加

a1180_006345_m
(豆知識にちなんで、お豆の写真です。)


本日は【豆知識6日目~10日目】をお届け致します。 
弊事務所の公式Twitterから情報を発信しております(https://twitter.com/wisdomlawoffice)。
豆知識のほか、ブログの記事の更新もタイムリーにチェックいただくことができます。
フォロー自由となっておりますので、ぜひフォローして、情報収集にお役立てください。


【豆知識 6日目】 (会社法) 株式譲渡制限会社ってなに?

会社法では、すべての株式の譲渡(売買や贈与)について、定款で会社(株主総会または取締役会)の承認が必要とされている会社のことを「株式譲渡制限会社」といい、これに対して、全てまたは一部の株式について譲渡制限のない会社のことを「公開会社」っていうんだ。「公開会社」といっても上場しているわけではないから注意してね。

 

【豆知識 7日目】 (会社法) 株式譲渡制限会社のメリットはなに?

中小企業のほとんどが株式譲渡制限会社だけど、これは、株式譲渡制限会社にすると、中小企業にとって都合のいい機関設計やルールを取り入れることができるからだよ。中小企業であれば、まず株式譲渡制限会社にすることを考えてね。

 

【豆知識 8日目】 (会社法) 取締役会は設けなければいけないの?

株式譲渡制限会社では、株主総会のほかは、取締役一人という機関設計も認められているんだ。つまり、取締役会とか監査役を設けなくていいから、会社の組織を単純な形態にすることができるよ。

 

【豆知識 9日目】 (会社法) 取締役設置会社の機関設計はどうなるの?

株式譲渡制限会社でも、取締役会を設けると(取締役会設置会社)、取締役は3名以上選任しなければならないし、監査役か会計参与を置く必要があるんだ。「株主総会+取締役1名」の組織よりも、とても複雑な組織になるよね。

 

【豆知識 10日目】 (会社法) 会計参与ってなに?

会社法では、税理士や公認会計士等を「会計参与」として株主総会で選任して、取締役と共同で決算書を作成することが認められているよ。これによって、会社の決算書等の信頼性が高まることを期待しているんだ。まだ一般的な制度ではないけど、他社と差別化するために、採用してみることも考えられるよね。 
このエントリーをはてなブックマークに追加

twitter
ウイズダムでは、本ブログだけでなく、Twitterからも情報を発信しております(https://twitter.com/wisdomlawoffice)が、現在Twitterでは毎日1つずつ、様々な法律に関する“豆知識”をupしております。

より多くの皆様にお届けしたいと思い、本ブログでも、毎週、週の初めにいくつかの豆知識をご紹介してまいりますので、どうぞお役立てください。

それでは、本日は【豆知識1日目~5日目】をお届け致します。


【豆知識 1日目】 (会社法) 資本金は1円でもいいんだよ

平成18年5月の会社法施行前には、株式会社の資本金は最低1000万円というのが原則だったけど、会社法施行後は1円でもよくなったよ。だから、会社法施行後は、会社自体は簡単に設立できるよね。儲かる会社を作るのは大変だけど・・・

 

【豆知識 2日目】 (会社法) 設立費用自体は安いよ

株式会社の設立にかかる費用は、資本金を除けば、印紙税4万円、定款認証費用5万円、登録免許税15万円の合計24万円だよ。今や電子認証制度などを利用して、もっと安い費用で会社の設立を支援している業者もいるからネットで探してみてね。

 

【豆知識 3日目】 (会社法) もっと安く設立できる会社もあるよ

設立費用だけを比べると、LLP(有限責任事業組合)の設立には、登録免許税6万円のみ、合同会社では、印紙税4万円、登録免許税6万円(合計10万円)だから、株式会社よりも安く設立できるよ。LLPや合同会社には、株式会社と違って、決算公告の義務はないし、取締役も必要ないので、任期切れによる役員変更登記の心配もないんだ。

 

豆知識 4日目】 (会社法) 株式会社に組織変更するメリット・デメリット

会社法施行後も、まだまだ有限会社のままの会社も多いよね。株式会社に組織を変更すると、一般に世間的な信用力がアップすると言われているけど、役員の任期を定めなければならないし、決算公告を行う義務も発生するので、メリット・デメリットを天秤にかけて判断してね。

 

【豆知識 5日目】 (会社法) LLPのメリットはなに?

株式会社とLLP(有限責任事業組合)の1番の違いは、LLP自体には法人税がかからず、出資者に対してのみ税金(所得税)がかかるところなんだ。たとえば、出資者個人が黒字で、納税金額が大きいときでも、LLPが大赤字なら、黒字と赤字を損益通算して、節税効果が得られる可能性があるから、覚えておくといいよ。

 
このエントリーをはてなブックマークに追加

↑このページのトップヘ